株式会社パートナープロップは、「パートナーが売れるを科学する」ことをミッションに、パートナーマーケティングを実現するPRMツール「PartnerProp」を提供するSaaS企業です。リリース1年でシリーズAに到達し、累計9億円の資金調達を実現するなど急成長中のスタートアップとして、パートナービジネスという未開拓市場で新たな価値創造に挑んでいます。
今回は、カナダの大学でコンピューターサイエンスを学び、国内でのインターン、多様なプロジェクトでのエンジニア経験、そしてフリーランスエンジニアという道を歩んだ後、パートナープロップで新たな挑戦をする三橋さんにインタビューしました。
三橋 尚寛/データエンジニア
カナダの大学でコンピューターサイエンスを専攻。在学中に一時帰国し、データアナリスト/グロースハッカーとしてインターンシップを経験した後、IT企業にてデータエンジニア、フロントエンドエンジニア、BIエンジニアとして多様なプロジェクトに従事。その後、フリーランスとして経験を積み、株式会社パートナープロップに参画。現在は、データ基盤の設計・構築というプロダクト成長の根幹を担う。
海外での学び、多様な実務経験で見出した「データ」という軸
ーーまず海外の大学に進学された経緯からお聞かせいただけますか?
高校生の頃から、「20代前半までに何かかけがえのない経験をしたい」という思いがありました。そして、17歳くらいにはもうエンジニアリングの領域で生きていきたいという方向性も定まっていたんです。
特にソフトウェアに強い興味があり、プログラミング言語を学ぶ上で英語力は大きなアドバンテージになると考え、カナダの大学でコンピューターサイエンスを学ぶことを決意しました。
ーー大学在学中には日本でインターンも経験されたそうですね。
カナダの大学に5年間在籍していたのですが、その間に一度日本へ戻り、Webメディア企業でデータアナリスト兼グロースハッカーとして約1年間インターンをしました。そこでは、分析業務だけでなくコンテンツの運用やPDCAを回すといったマーケティングに近い業務も経験しました。
インターンで経験を積んだ後に大学へ戻る予定だったのですが、ちょうどコロナ禍と重なりカナダへ戻れなくなってしまって...。インターンでの経験を通じて、実際に働くことの面白さや手応えを感じていたこともあり、そのまま日本で就職する道を選びました。
ーーそこから本格的なエンジニアとしてのキャリアがスタートするわけですね。
就職活動のタイミングが中途半端だったこともあり、新卒採用ではなく中途採用という形でSES企業に入社しました。当時はデータ領域でキャリアを積むか、フロントエンドなどの開発領域に進むかで迷っていた時期でもあったため、なるべく多様なポジションを経験できる環境を求めていましたね。
最初はデータアナリストとして、在庫管理に関するデータ分析や、レガシーなシステムからのデータ基盤構築の要件定義などを担当。その後、同じ会社でフロントエンドエンジニアとしてクラウドサービスの立ち上げにも関わり、Vue.jsやRailsを使った開発も経験しました。
ーーデータ領域と開発領域、両方を経験されてみてどのような気づきがありましたか?
フロントエンド開発を経験して感じたのは、私自身は「デザイナーの意図を忠実に再現する」というよりは、もっと自分の創造性を活かしてものづくりをしたいタイプなのだということでした。
一方で、データ領域の仕事は、顧客と直接対話し、彼らのペインを理解し、データという客観的な事実に基づいてソリューションを提案することで喜んでいただける。そこに大きなやりがいとインパクトを感じて。自分の軸足はデータ領域にあると確信しましたね。
データ領域での専門性を深め、独立の道へ
ーー軸足が定まった後はどのようなキャリアを歩んだのでしょうか。
データ領域における専門性をより高められる環境を求め、データ領域に特化したSES企業に転職。製薬・Fintech・電力といった様々な業界のクライアントに対し、BIツールの導入やデータの可視化、そして、それらの土台となるデータ基盤構築まで、一気通貫で担当しました。
ここでは、技術的なリテラシーが異なるお客様とのコミュニケーションや、その中でいかに最適な提案をしていくかというソフトスキルも非常に鍛えられました。また、世に出ているほとんどのBIツールに触れ、大規模データのチューニングを経験できたことも大きな財産です。
ーーそしてフリーランスの道を選ばれたのですね。
元々、いつかはフリーランスとして自分の力で仕事をしてみたいという思いがあり、案件が一段落したタイミングで独立しました。約1年間、主にOTA(Online Travel Agency)のデータエンジニアとして活動しており、担当する業務内容は会社員時代と近しいものでした。ただ、フリーランスとなるとやはり全ての責任を自身で負うことになります。特にお金の管理や、仕事が途切れることへのプレッシャーには、会社員時代にはなかった独特の厳しさがありましたね。
プロダクトの可能性と組織の魅力が挑戦を後押しする
ーーパートナープロップとは、どのような出会いだったのでしょうか?
フリーランスになる直前、現在のパートナープロップCTOである福森と遊んだことが最初のきっかけです(笑)。彼とはインターン時代の同僚で、年に数回会う仲でした。その時に「業務委託で手伝ってほしい」と声をかけられたんです。フリーランスとして活動し始めたばかりのタイミングではありましたが、旧知の仲である福森からの直接の頼みですし、彼の力になれればという思いもあり、業務委託としてお手伝いを始めました。
ーー業務委託から正社員へ。どのような経緯があったのですか?
業務委託として関わらせていただく中で、パートナープロップがまさに急成長の真っ只中にあり、それに伴ってデータ基盤の重要性が日に日に増していくのを強く感じていました。ただ、市場全体を見渡してもデータエンジニアというのは非常に希少で、採用はどの企業も苦戦しています。それはパートナープロップも例外ではなく、「もし自分が抜けてしまったら、この成長を支えきれるのか」という危機感と共に、「自分が本格的にコミットしてこのプロダクトを支えるなら、まさに今しかない」という、ある種の使命感のようなものを覚えたんです。
また、間近で見てきたパートナープロップというプロダクトが持つ、大きな可能性にも強く惹かれていました。データという自分の専門領域からこのユニークなプロダクトの成長を牽引し、チーム一丸となって大きな目標に挑む。これは人生でそう何度も巡り合えるチャンスではないと確信し、ジョインを決意しました。
ーー三橋さんが感じた「プロダクトの可能性」について具体的に教えてください。
パートナープロップが提供する価値は、単に国内市場に留まらず、グローバル展開しても全く見劣りしない普遍的なニーズに応えるものであり、その点に大きな可能性を感じています。
特に、従来の管理ツールとは一線を画す「パートナーを育成し、共に成功する仕組み」まで踏み込んでいる点は、他にはない強みですね。この仕組み自体がグローバルな拡張性を有しており、例えば日系のベンダーが海外のパートナーと連携すれば、そのパートナーを通じてさらに別の国の企業へと自然にサービスが広がっていく。そうしたネットワーク効果によって、将来的にはセールスフォースのような巨大なプラットフォームを超える可能性すら感じています。
データ基盤の未来を創る。エンジニアとしての新たな挑戦
ーーパートナープロップでの役割と業務についても教えてください。
パートナープロップのデータ基盤に関わる領域を幅広く担当しています。 具体的には、お客様にご利用いただくシステムの裏側で動く分析基盤の構築、日々のデータのクレンジングや性能チューニング、そして顧客ごとのデータアクセス権限の管理などがあります
こうしたデータ基盤全体の整備はもちろんのこと、UI/UXの改善にも携わっています。例えば、お客様にご覧いただく「インサイト」というダッシュボードにおいては、ただデータを表示するだけでなく、その見せ方や情報の順番、デザインのクリーンさなどを追求し、ユーザーがデータをより速く、快適に、そしてより直感的に理解し活用できるよう、日々改善に取り組んでいます。
ーー三橋さんが仕事を行う上で大切にしていることもお聞きしたいです。
「手段を目的にしない」ということです。これはパートナープロップに入社する以前から一貫して大切にしています。
私の考えでは、最も優先すべきは常にお客様やユーザーにとっての価値であり、技術というのは、その目的を達成するための最適な手段として選択されるべきものです。これまでキャリアの中で、SESという立場を選択してきたのも、特定の組織の都合や慣習に左右されず、データが示す本質を純粋に追求したいという思いがあったからです。パートナープロップにおいても、何が本質的な価値なのかを常に問い続け、その実現のために技術や知識をどう活かすべきかを考えていますね。
ーーパートナープロップのMVVで特に共感する点はありますか?
特にバリューの「圧倒的当事者意識」は重要だと感じています。現在のパートナープロップは少数精鋭でマネジメント層も少ないため、今の私たちにとって不可欠な姿勢ですし、今後組織が拡大していく中でも失ってはならない大切な価値観だと考えています。
また、「スピード至上主義」というバリューも強く意識しています。未開拓のブルーオーシャン市場で他社に先駆けて確固たるポジションを築くには、圧倒的なスピードが求められます。このバリューには、その危機感と目標達成への強い意志が込められていると感じ、共感しています。
データのイメージを覆し、持続的な成長を実現する
ーー組織としての魅力は、どのような点に感じていますか?
非常に個性的なメンバーが揃っているのですが、普通なら衝突が起きてもおかしくないような状況でも、そこが皆さんの人柄の良さや人間性でうまく調和し、組織として成り立っている点ですね。これは、カルチャーフィットを徹底的に重視してきた採用方針の賜物だと感じています。
また、起業経験者や大手企業出身者、ベンチャー・スタートアップでのCxO経験者など、各分野で豊富な経験を積んできたメンバーが多く、それぞれが自律的に、当事者意識を持って仕事を進めていくそのプロフェッショナルな姿勢もこの組織の大きな魅力だと感じています。
ーー最後に今後の目標についてお聞かせください。
短期的な目標は日々変わっていきますが、中長期で見据えているのは、パートナープロップを日本一のプロダクトに成長させること、そしてその成長をデータ基盤の側面から力強く支えることです。
データ利活用がますます重要になる中で、将来どんなニーズが出てきても柔軟に対応できる、強固でかつ進化し続けられるデータ基盤を構築したいですね。よくデータ基盤というと保守的で硬いイメージを持たれがちですが、私はそのイメージを覆したいと考えています。つまり、「壊したいときに安全に壊せるデータ基盤」。技術の進歩は非常に速いですから、新しい技術トレンドに素早く乗り換えられるような流動性、変化への対応力を持った基盤を作ることが、プロダクトの持続的な成長には不可欠だと考えています。