社長インタビュー:ナリコマが受け継いできた「人こそ会社を成長させる原動力」という想い〈前編〉|ナリコマグループ社長 竹内 克成
食事を通して人々に生きる喜びを届けるべく、高齢者福祉施設や医療機関向けに食事サービスを提供する、株式会社ナリコマホールディングス(以下、ナリコマ)。大阪府大阪市に本社を構え、関西を中心に成長を続け、この春からは東京拠点にも力を入れ、全国にサービスを拡大してきました。
今回は、ナリコマグループ社長の竹内 克成にインタビュー。創業者で現会長の父・竹内 美夫から受け継いだ「人を大切にする」という想い、それを制度として形にして進化させていく取り組み、そして今後のナリコマがめざす姿について、前後編にわたって詳しく語ってもらいました。
なお記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
会長から受け継いだ「人を大切にする」想い![]()
この数年、より強く意識するようになったこと。それは「従業員の皆さんに安心して働いてもらうこと」です。
そのためにも、まずは私自身について従業員の皆さんに知ってもらうことが大事です。同時に、創業者である会長にも「お前だったら大丈夫やな」と安心してもらえる存在でありたい。そう思っています。
会長には、創業当初から「従業員を大事にする」「人を大切にする」という揺るがない想いがあります。今でもその想いは本当に強いですね。会長自身、現場からの叩き上げで、数々の苦労を重ねてきた人です。だからこそ、現場の最前線で働く皆さんの大変さを、身をもって理解しているのだと思います。
会長からよく聞いてきたのは「従業員の皆さんの負担を少しでも軽くしたい」という想いです。セントラルキッチンも厨房も、立ち仕事で夏は暑く、冬は寒い。。しかも、高齢のお客様のお口に入るお食事を取り扱う以上、高い衛生基準を保つため、常に細心の注意を払わなければならない。そうした環境で働く従業員の皆さんの負担を、少しでも軽くしたい。その想いは、私が入社した当時から繰り返し聞いてきました。
大変なこともたくさんあるとは思うけれど、それでも「ナリコマで働いていてよかった」と思ってもらえる会社でありたい。長く安心して働いてもらえる職場をつくりたい。そうした会社をつくることが、会長のやりがいであり、生きがいでもあるのだと思います。
会長の強い想いを聞く中で、私自身もその想いに強く共感するようになりました。やはり「何よりも人が大切なんだ」と。会長の背中を見ながら、そう実感するようになっていったのです。
想いを形にできてきた、この十数年![]()
ここ十数年で、この「人を大切にする」という想いを少しずつ形にできてきたように思います。
私が入社した2006年当時を振り返ると、働く環境が整っていたとは決して言えない状況でした。忙しさゆえに長時間労働が当たり前になっていた部分もありましたし、安全面への取り組みも、今振り返ると十分とは言えなかったと思います。制度についても、まだまだ整備途上でした。
そうした状況を少しずつでも変えていこうと、本気で向き合ってきたのがこの十数年です。働く環境を整えること、安全に対する意識を高めること、制度を一つひとつ形にしていくこと。その積み重ねにより、従業員の皆さんにも「会社が変わってきた」と感じてもらえるようになったのではないかと思っています。
その背景には、やはり会長の強い想いがあります。職場環境の改善や制度づくりは簡単なものではありませんでしたが、トップダウンでしっかりと方向性を示し、継続して取り組んできたことが今につながっているのだと思います。
また、制度や仕組みだけでなく、従業員の皆さんに「ありがとう」と感謝を伝えることも大切にしてきました。一人ひとりの頑張りにしっかり目を向け、言葉として伝える。そうした小さな積み重ねが、従業員の皆さんのやりがいや前向きな気持ちにつながっているのではないかと感じています。
もちろん、まだ十分だとは思っていません。ただ、少しずつでも「人を大切にしてくれる会社だ」と感じてもらえる場面が増えてきたことは、確かな手応えとしてあります。この十数年で積み上げてきたものを土台に、これからもより良い会社をめざしていきたいと考えています。
感謝を伝え続ける小さな積み重ね![]()
従業員の皆さんへの感謝の想いを、具体的な形で表している取り組みがいくつかあります。
私自身、入社当初は驚いたのですが、当社では毎年、社員の誕生日に会長が直筆のメッセージを添えてお祝いを送っているんです。定型文ではなく、一人ひとりに向けた言葉が書かれており、会長の想いの強さを感じました。会長と直接顔を合わせる機会の少ない社員もいますが、そうした距離を越えて感謝やねぎらいを届けたい、という会長の姿勢が伝わってきます。
また、冬にはセントラルキッチンや厨房で働く皆さんに、冬用の「温かい靴下」を贈っています。寒い冬に長時間立ち仕事をしている皆さんの足元を、少しでも温めたいという想いから始まったものです。総務の皆さんが中心となって、現場を思いながら続けてくれています。
一つひとつは小さなことかもしれません。それでも、そうした積み重ねの中で、「自分たちのことをちゃんと見てくれている」「大切にされている」という感覚を、従業員の皆さんに持ってもらえることが何より大切だと思っています。
とはいえ、会社の規模が小さかった頃にはできていたことでも、組織が大きくなるにつれて、どうしても難しくなってきたこともあります。それでも、感謝の気持ちを伝え続けたい、届け続けたいという想いは会長の中でずっと変わりません。その姿勢が、ナリコマのマインドとして、少しずつ社内に浸透してきているのではないかと感じています。
互いに感謝を示すことは「原動力」になる![]()
こうした会長の姿勢を間近で見る中で、私自身も「感謝」の精神をとても大切にするようになりました。
「ありがとう」という言葉はとても身近な言葉ですが、忙しくなればなるほど、しっかり言えていないこともあるのではないでしょうか。
感謝の言葉は相手のためだけでなく、自分自身を前向きにしてくれる言葉でもあります。感謝を伝え合うことで、お互いに「次も頑張ろう」と思えます。その積み重ねが、仕事を続ける上での原動力になる。私はそう思います。そういった意味でも、「感謝すること」「ありがとうを伝えること」を常に意識しています。
従業員の皆さん全員と直接顔を合わせる機会はなかなか多くはありませんが、画面越しのやり取りやビデオメッセージなどを通じて、感謝の言葉を常に伝えるようにしています。会議の場でも、本部長をはじめ、管理職の皆さんが「ありがとう」と自然に口にしている場面をよく見かけます。それが管理職から現場へ、少しずつ伝わっていっているのではないかと感じています。
とはいえ、まだ十分だとは思っていません。だからこそ、こうした感謝の気持ちや言葉を、これからもしっかりと絶やさずに続けていきたいと思っています。
距離が近く、寄り添う組織風土
私は社長という立場ではありますが、従業員の皆さんとの距離は比較的近いほうだと自負しています。それはナリコマの良さの一つだと思っています。私としても、「できる限り皆さんにとって身近な存在でありたい」という気持ちを常に持っています。
また、管理職の皆さんを見ていても、部下の方はもちろん、パートさんも含めて、困っていることや悩みがあれば自然と声をかけ、寄り添いながら相談に乗っている場面が多いと感じます。
管理職として、上司として、それは当たり前のことだと言われればその通りかもしれません。ただ、その「当たり前」を多くの管理職が実際に行動として体現しているところに、ナリコマらしさがあるのではないでしょうか。
そうした姿を見聞きするたびに、皆さん一人ひとりがもともと持っている人柄や価値観に加えて、当社が大切にしてきた考え方が、しっかりと受け継がれているのだと感じます。それが結果として、無理に作ったものではなく、文化として自然に根付いてきているように思いますね。
役職に関係なく、リスペクトの気持ちを大切に![]()
仕事をする上で、私が大切にしていることのもう一つが「相手をリスペクトする気持ち」です。
当然、仕事ですから、時には厳しいことを言わなければならない場面もありますし、意見がぶつかることもあります。ただ、相手をリスペクトする気持ちがベースにあれば、たとえぶつかり合ったとしても、解決すれば、また一緒にチームとして力を発揮できます。
当社では、役職ではなく「さん付け」で呼び合う文化が根付いています。私も「竹内さん」と呼ばれることが多いですね。私自身「社長」と呼ばれるよりも、「さん」で呼んでもらう方が自然で好きです。
「役職で人を見る」「役職で人を呼ぶ」ということ自体が悪いとは思いません。ただ、そこに壁を感じてしまうこともある。私は、たとえ立場が違っても、一人の人間として向き合いたいという想いがあります。実際、私自身も、現場にいた頃から上司や部下に対して役職名ではなく、「さん付け」で呼んでいました。
これは新入社員であっても同じです。もちろん、公式な場では役職名を使うこともありますが、日常のやり取りの中では「さんづけ」で呼び合う。それが当社ではごく自然なこととして根付いていると思います。
「さんづけ」で呼ぶことで、距離が縮まり、相手をより身近に感じられる。これもまた相手を尊重する文化や、風通しの良さにつながっているのではないでしょうか。
☆後編に続く☆
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[執筆・校正・取材]株式会社ストーリーテラーズ 平澤 歩
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