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治療ができない中での看護|スタッフ・インタビュー 渡邉里菜[前編]

今回は、病院などでの臨床経験を経て訪問看護に転職をした渡邉 里菜にインタビューを行います。前編では、渡邉がケアプロへの転職に至るまでの経験や、大事にしている価値観の原点について伺いました。

<プロフィール>
渡邉 里菜
ケアプロ訪問看護ステーション東京 中野ステーション
2018年よりケアプロ訪問看護ステーション東京に入職。
それまでは、大学病院で勤務した後、
海外でアシスタンストナースとして勤務。
学生時代より、慢性期の看護や在宅での看護に興味を持っており、
帰国に合わせて訪問看護師の道へ。明るく、前向き、ステーションのムードメーカー。


今回は2018年8月に入社した渡邉さんにインタビューをしたいと思います。
まずは自己紹介をお願いします。

渡邉里菜と申します。看護師歴は4年目になります。大学病院で3年間働いた後、オーストラリアで11ヶ月アシスタントナースという仕事をして、帰国後からケアプロで働いています。


オーストラリアでの勤務経験があるんですね。
アシスタントナースってどんなお仕事だったんですか?

ナーシングホームでバイタル測定や移乗介助をしたり、指導のもとで患者さんにお薬を渡すなど、日本で言う「看護助手」としての役割で働いていました。


オーストラリアで働こうと思ったきっかけは何だったのですか?

転職のきっかけにもなるんですが、大学病院で3年目の頃、今後何をやりたいか考えたときに、ちょうど東京オリンピックの開催が決まったので、英語が看護師にも必要になるだろうと思ったことと、独身だし(笑)、今のうちにやりたいことをやっておこうと思ったのがきっかけです。少し調べたらオーストラリアでアシスタントナースをとして働けるというのを知って、海外にいくことに決めました。


なるほど。東京オリンピックの開催決定が、海外に行くきっかけだったんですね。
海外に行く前に働いていた大学病院ではどんな経験をされていたのですか?

大学病院では、呼吸器内科・腎臓内科・神経内科の混合病棟で、主に肺がんで化学療法・放射線療法している方、気胸でドレーン管理が必要な方、腎臓病で血液・腹膜透析の方、神経難病の方など、に関わらせて頂きました。神経難病では、パーキンソン病や多系統萎縮症、脊髄小脳変性症などの方が多かったです。疾患の幅は広かったんですが、在宅看護の領域と重なるところもあって、退院調整の機会も多くありました。


その時に、大切にしていたことや、やりがいを感じたことについて聞かせてもらえますか?

慢性期疾患の看護として、家で過ごすために本人がどう生活していくかを一緒に考えていくことが好きだったんです。例えば、化学療法が効かなくなったり、治療に耐えられる状況でなくなってしまった方、神経難病で症状が進行していく方が、「早く家に帰りたい」と思っている時に、本人が今まで過ごしてきた人生を聞いて今後の生活について一緒に考えたり、退院調整を行うなどです。そういう看護がとても楽しく、やりがいを感じていました。あとは、多職種チームで連携して、対象者さんについて考えている時にやりがいを感じてました。


渡邉さんは、治療ができない中での看護という点に関心が強かったんですね。
いつ頃から関心が強くなったのですか?

学生の時に、成人看護の実習で、肝臓がんを患い症状への不安の訴えがとても強い方を受け持たせて頂いたんです。「不安が強すぎて退院できない!」っていうくらいの状況でした。なので、毎日、リハビリを兼ねて本人と屋上に行ってお話を聞くという、あんまり”病院感”がない看護を実習生なりに考えて実践しました。その時に、退院に向けて、本人にしてほしいことや本人でしなきゃいけないことについて一緒に話すのが楽しくて、興味を持つようになりました。気がついたら、病院に就職する時も、病と付き合っていく内科病棟の希望を出していました。今も「全人的に看ることが看護」って思っているので、そこが私の原点ですね。
訪問看護については、実習で「楽しかった!」という記憶があまりなかったのですが(笑)、「家で暮らすことを支える看護っていいな」って思っていたので学生の時から興味がありました。


これまでの話を聞くと、実習での経験が渡邉さんの原体験になってるんですね。
やりがいとは逆に、もやもやしたことってありますか?

神経難病や肺がんの方を多く見る経験がったので、嚥下障害によって、本人は食べたいのに食事制限が発生するケースを多く目の当たりにしたことですね。治療環境である病院ではしょうがないことでもあるんですけど、もやもやを感じることが多かったです。それをどうにかできないかなと、ずっと思ってました。なので、言語聴覚士の方とも連携して嚥下機能の改善を図ることを試みることも多くて、それが多職種との連携について興味を持ちはじめるきっかけもその点かもしれません。

あとは、大学病院って結構体育会系というか。(笑)病院で一緒に働いていた方々のことは今でも大好きですし、いい意味で緊張感をもって働くことができた一方で、自分に余裕がなくなっちゃったり、慌ただしい雰囲気の中で患者さんにも優しくなれないんじゃないかって悩んだこともあって、もやもやしていた点ですね。お母さんにも「働きはじめてから性格きつくなったね」って言われたりして。(笑)


たしかに、治療という目的や環境から考えるとしょうがないかも知れないけど、しょうがないと済ませることが出来ないジレンマを感じる場面ですね。自分もその立場だったら、どう気持ちを整理していくか、きっと悩んでしまいそうです。


★後編に続く:「訪問看護で心が広くなった!?」在宅看護での成長|スタッフ・インタビュー 渡邉里菜[後編]

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