2025年7月、弊社アットマーク・ソリューションでは創業から20年社長を務めた増田から、新たに西川が代表取締役CEOに就任しました。
創業20周年というタイミングでの社長交代。創業当初からの想いや歴史・ビジョンについて、新旧社長の対談を通して、これまでとこれからを紐解きます。
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増田会長:旧 代表取締役CEO。2005年、アットマーク・ソリューションを創業。
西川社長:旧 代表取締役COO。2006年に新卒で入社し、2024年に代表取締役COOに就任。
― まず社長の交代についてのテーマですが、お2人とも社長交代が決まった時どんなお気持ちでしたか?
増田会長:ついに来たかなと。元々本当はね、10年前に交代っていうのを考えてたんですよ。それにはいろんな背景があって。
創業当時、就活生さんに対して説明会をしてきて、そこで大手企業と中小企業の違いっていうのを喋ってて。大手企業は何千人とかいてるから、1人当たりの責任ってそんなにない。
でも5人でやってる会社っていうのは1人20% の責任があるわけね。そういう会社に優秀な人がポンと入ってきたら、その会社はすごく伸びるんですよ。なので会社は優秀な人が欲しくなる。
優秀な人がいたら社長も、いずれその子に社長を託すってことをするんですよ。っていうのを(説明会で)ずっと言ってたのね。
この自分で言ってたことが、創業10年経ったタイミングで(優秀な子に託して自身も社長を交代する)というのがあった。でもコロナが来てしまって、ちょっとなかなか交代ができなかったっていうのはあるんだけど。
西川社長:同じくかもしれませんけど、そういう時が来たのかなって直感的に思ったのと、あとは1年半前に代表取締役っていう役職を頂いてましたので、少しずつ、その心の準備じゃないですけれども、いつかそういう日(社長に就任する日)が来るのかもしれないなっていうのが、より具体性が増していて。
それが本当に来たのかなっていうようなところもあり、あと、自分自身の気持ちもあって、お伝えさせていただいたところもありました。
― 自分の気持ちもあって、と仰いましたけど何か踏ん切りがついた瞬間はあるんですか?
西川社長:そうですね…時期的なものもあったかもしれないなと思っていて。 去年の暮れごろに、「うちの会社も来年20周年か」みたいなことを不意に思ったんです。色々節目でもあるのかなと思って意識し始めたというか。あとは(社長を)やってみたかったというのもあります。
― では、改めて今回社長交代に至った理由・背景を増田会長にお聞きしたいと思います。
増田会長:理由は1つではないですが、グループから背中を押してもらったというところが1番大きいと思います。グループの方からこういう役割分担をやってもらえないかっていう案をいただいて、「あ、もうそうか。そういう時期か」って思って。「じゃあ分かりました。やりましょう」となりました。
― 次に、これまでの振り返りについて。まず増田会長が社長の在任期間で特に印象に残ってる出来事はありますか?
増田会長:1番きつかったのは創業直後と2008年のリーマンショックの時。そこが1番きつかったかなと思ってます。コロナもきつかったですけど、それよりもリーマンと創業時が1番きつかったですね。
― 創業直後かリーマンかだと、どちらが大変でしたか?
増田会長:リーマンですね。1番大変だったのはやっぱり資金繰り。
20人ぐらいしか社員がいてないのに、毎月100万円赤字でしたからね。当然内部不和も起きるし。
もうしょうがないんで、たまたま当時の営業がとある仕事を見つけてきて、じゃあちょっと私行きましょうって。でも本来社長って SES でやっちゃだめなんですよ。けど黙って行って。
朝5時に起きて通勤2時間、夜中1時に帰って来てっていうのをずっとやってました。
当時確か単価が60万しかないのに、なぜか請求書はいつも100万円を超えてるっていうね。
― 通勤2時間…...。
増田会長:夜中1時に帰ってきて、そこから本来の社長業しないといけないから。そうやって2、3時間ぐらい寝て5時に起きて…そしたら赤字がとりあえず消えてきたので、だいぶ精神的楽になりましたね。
西川社長:当時預金が3万円?とか…
増田会長:そうそう、会社の預金残高が3万円の時とかもあって。 嫁さん(当時の経理担当)と一緒に、毎日毎日いつお金が入って来て、振込みがいつかって細かく計算して。でもどうしても間に合わない時があったね。大手企業でも支払いが遅れてたから。あれは本当にちょっとビビった。でも世間全体がそうだったから、しょうがないけどね。その後、2009年になんとか回復して。
― そんな風に荒波も乗り越えてきた会社だと思いますけど、西川社長から見て増田会長が社長だった時のリーダーシップについて、どう感じていましたか?
西川社長:良くも悪くも、俺について来いみたいなタイプではないと思っていまして。その反面信頼して任せてくださる。いつもご本人も仰っていると思うんですけど、信頼してくださる。
相談したものをダメっていうことは、本当にまずないです。ある意味お父さん的にいてくださっているところが増田会長らしいリーダーシップになっているのかなとすごく感じています。
― 西川さんのそんな声がありましたけど、いかがですか?
増田会長:そうですね。こうやって10年20年と経って、会社の歴史っていうのをちゃんと全部見てくれてる人がいてる。そうすると1本柱になってくるので、そういう存在がいてくれたことはすごく感謝しています。
― 西川さんは増田会長の言葉とかメッセージで、印象に残ってる言葉はありますか?
西川社長:色々あるなと思ったんですけど、1番印象に残ってるのは、" 20代ではこうなって、30代ではこうで40代ではこうなりたい、そしてあなたはそのために頑張れますか "、というのを*¹ 増田さんが学生さんとかに聞くじゃないですか。これをいろんなところでお話しされてるので、なんだかんだこの話が1番印象に残ってるなって思いました。
それこそ当時私、高校卒業してこの会社入って、アルバイトの延長線上ぐらいの気持ちで。働いて、お金もらって、ぐらいの気持ちでいたんですけど。なんか考え方として、そもそも自分には20代も来るし、30代も来るし、40代も来るし、という風になった時に、その時どういう人になってたらいいんだろう、みたいな。
会社としてこうなっててほしいっていうのも、個人としてそもそもどうなっていたいんだろうみたいなものも、「あ、そっか考えなあかんのや」って。全然何も思ってなかったので、考えるきっかけになった。
それを踏まえてこうしたいっていうのを書き出した上で、最後に ” それに向かって頑張れますか、まあイエスって答えてもらわないと困るんだけどね ” っていつも言われるんですけど。
こういうお話がすごく、自分自身にとってもですし、学生さんとか、入社して来られる方に対してもお話されてたなっていうのはすごく覚えていて。会社としてもそうですけど、個人個人のことを考えて言ってくださってたのかなっていうのは、今だから思いますね。
*¹ 新入社員や学生に、「自分がどんな人生を送りたいのか」を年代ごとに書き出すというのがアットマーク・ソリューションでは恒例でした
― 今の時代に多い、 ” 個人の mission・vision・value を立てる " みたいなことを増田会長は時代的に先取ってやってらっしゃったと思いますが、どういう風にして取り入れていったんでしょうか?
増田会長:取り入れたのは、メンターみたいな人がいて、その人が「大金持ちじゃなくて大"人"持ちになりたい」と言ってた人で。
mission・vision・value の話を展開して自分のものにした時に出てきたのが、「あなたは将来どんな人になりたいんですか ? どんな仕事をしたいかじゃなくて、どんな人になりたいんですか ? 」ということ。
これを(社員とかに)聞いていって、そうすると ” どんな人になりたいか " に応じて仕事が決まってくるので、どう頑張っていくかを聞いて一緒に考えていく。ただ、何もないっていう場合があるので、「じゃあ40歳になった時に指導者になってくださいね」っていう言い方をしてます。
この指導者っていうのは、例えばお父さんっていう言い方もできるし、会社の上司っていうこともあるし。そうなるためには20代、30代なりの頑張り方があると思う。
value には3つあって、価値を生み出す・価値を高める・価値を伝える。
価値を伝えるっていうのは40代のミッション。だから、20代はとりあえず頑張って価値を生み出してください。でも30代なったら体力がなくなってくるから、じゃあみんなとチームを組んで価値を高めましょう、と。40代になったらそれを若い世代に教えてあげてください。
50代になったら好きなことをしていいですよ、と。ここまでちゃんとやってきた人は絶対50代に反社会的なことはしないと思うので、そういう風になってください。
そうしてるうちにふと気がつくと思うんですね。 " あ、自分がやりたかったのはこういうことだったんだ " と。そこまで行くと、自分の人生っていうのは豊かなもんだったんだなっていうのは多分気がつく。そういう風になってくださいというのを言っています。
― "人の話 " がここまでよく出てきたと思うんですけど、経営者として大事にされてきたこと・していきたいなと思ったことはありますか?
増田会長: 会社はやっぱり人がいてなんぼってところがあるので。実際のところ、ほとんどの人は自分で経済的な力とか働ける能力ってあんまり持ってないと思うんですよ。そういう人にチャンスを与える、雇用を生み出すのが、会社のミッション。
なかなかね、そうもかないっていう場合がありますから難しいところではあるんだけど。やっぱり経営者はそれしていかなあかんのかなと思ってます。
外国に行った時に思ったんだけど、外国ってなかなか仕事がないんですね。それで、仕事がないから泥棒して、治安が乱れる。ちょっと労働者的な考えかもしれないけど、仕事を与えることによって治安が良くなる。世界平和とかそこまで大げさなことは言わないけれど、そういう風になるんじゃないかなと思って。皆さんに適切な仕事を回してあげたいなと思う。
西川社長:会長が言われるのと似てるんですけど、やっぱりよく "ヒト・モノ・カネ" みたいに例えられたりもすると思っていて。そういう観点ももちろん大事ですけど、時代としてそこにプラスして情報みたいなところが大事なのかなと思っていまして。
人っていう文脈で言えば従業員の皆さん、あとパートナーさんとかクライアントっていうところでも、さっきの "人持ち" の話と似てるなと思ったんですが、そこの人脈とか繋がりにしても常にアップデートしていくべきだと思ってますし、これは物とか金っていうところでも。あとは情報っていうところも、特に我々の業界ではAIとか言われたりするので、自学自習するっていう観点もちろんそうですし、AIとかが入ってきたときその環境に身を置けるようにするとか、そういうのも大事なんだろうなって思っています。
― 人が繋がっていったら情報は自動的に、しかも優良な情報が集まってきますもんね。
西川社長:本当に情報があるところに人が集まってきて、人が集まってくれるところには変な話お金も集まってくる。全部循環していくと思う。
― 次世代生成の経営理念に沿って、より進歩していくというのがなんとなく見える感じですね。
西川社長:すごく良いまとめをしていただきました(笑)
― 今後のところについてお伺いします。会長が次の西川社長に託す思いや期待していることを教えてください。
増田会長:要望をあげたらちょっとキリがないので(笑)。まずは一旦はコロナの前まで戻してもらいたいなっていうところと、あとは(社長の)代が替わったのでその個性を出して欲しいなと思ってます。
0を1にするとか1を10にする、10を100にするとかっていう言い方があるんだけど、0を1にするのはできたかなとは思ってます。10年ぐらいでね。
0を1にする人って、とりあえずがむしゃらに働け、みたいな感じでとりあえず売上を作ってお金回して…っていう人なので。1になったら、1を10にする時にバトンを託さないといけなかった。それがちょっとずるずると来てしまって、1~5...ぐらいまで行った時に、コロナが来てしまった。
なので1から10にする仕組みを作って、いろんな規定を作るとか流れを作るっていうのをやってほしいなと思います。
10ができたら次は10を100にせなあかんけど、ここはもう仕組みだけで回してるような組織になるので、あんまり迷うってことは多分なくなると思う。ただ10を100にするときに、あんまりやりすぎると大企業病とかなっちゃうから、次の0→1を考えていくっていうことが始まるとは思ってます。
― そのバトンパスをしていく中で、増田会長は今後どんな形で会社に関わっていくんでしょうか?
増田会長:私は側面から援護射撃をしようと思ってますので、これまでにないお付き合いをしてるお客さんだとか、そういう世界っていうのをこちらに持ってこれたらなと思っています。
今、社長仲間と一緒に海外の仕事を展開していこうと思ってますので、そうすると IT の開発の話とか出てきますから、その仕事を社内に持ってきてコラボしていこうかなとは思ってます。
― 次のフェーズに向かっているということで。
― 西川さんは、 ” 西川さんらしいリーダーシップ・社長像 " についてはどんな風にお考えでしょうか?
西川社長:昔、京セラフィロソフィーをみんなで輪読していたことがあって、当時読んでも全然頭に入らなくて。でもその中で記憶に残ってるもので、「渦の中心になれ」とかあると思うんですけど、こういうのが結構理想として目指すべきところなのかなと思ってます。
会長のように、「ほら行くぞついてこい」みたいな形で巻き込むみたいなことではなくて、自分らしさを出しながらその渦の中心で、こうみんなを巻き込んで、みたいなことができるといいのかな。そこにグループ代表が掲げている経営者の秘伝書の内容が掛け合わさったようなところが目指すべきところなんだろうなとは思ってます。
― 渦の中心になって周囲を巻き込んでいく時に発揮される "西川さんらしさ" っていうのはどういうものだと思いますか?
西川社長:なんやろう。でもやっぱり、嘘みたいなこと言うんですけど、(自分自身の)第一印象は良い方だと思ってまして、第一印象から第二第三に繋げていけたら良いですね。
― 西川さんが社長就任後に1番メインで取り組みたいと思われてることは何ですか?
西川社長:1番はやっぱり売上。まずはこのコロナ前に戻すというところは本当にそうだと思っていまして、絶対やったらあかんなと思ってるのは、代替わりした瞬間売上も利益も下がってるやないかっていうのは絶対あかんなと思っています。売上10億を目指しているっていうところもありますので、やっぱり売上の追求っていうところかなと思ってます。
― アットマークとしての取り組みの中で、グループ会社の中ではどういった立ち位置・存在になれたらいいなというのはありますか?
西川社長:これも色々考えたんですけど…システム開発の会社なので、 やっぱりAIであるとかIT関連のサービスであるとか、「何か作りたいな、物作りしたいな」ってなった時にご用命いただけるような存在になれてるといいのかなと。
何かあった時、「じゃあアットマークさんにとりあえず相談してみましょうか」みたいな風に思ってもらえるといいのかなと思っています。思い出していただけるような、相談したくなる存在になりたいですね。
― 会社として今後注力したいと思っているテーマはありますか?
西川社長:はい。 AI 活用の文脈とか、中小企業向けのコンサルサービスみたいなところを今始めていますので、そういったところに注力していきたいと思っています。特にコンサルの文脈に関しては、 AI が台頭してきているからこそより需要が増してくるお仕事の1つだと思うので、この分野については注力していきたいなと思っています。
― では、中長期的なビジョン・理想像を教えてください。
西川社長:はい。このあたりも数字の観点だとやっぱり売上10億。グループ全体で見ると1000億っていうとこで目指してるので…そのうちグループ会社が30社になるっていうことを考えると1社30億。ずっと会長も言われてましたけれども、長期的にはやっぱりそこ(売上30億)を目指していかないといけないっていうところは思ってます。
それに向けた取り組みで言うと、やっぱり AI 活用とか IT コンサルで活用できるプロフェッショナル集団であるっていうところ。背景にはクライアント志向っていうキーワードもあったりしますので、エゴにならないような形で、クライアント目線・クライアント志向であれ、を実現ししていきたいな。そういう集団であれというところを実現していきたい、というところですね。
増田会長:そうですね。まず数字面で言うと、せっかくグループに入れていただいたこともあるので、2030年に(グループ全体で)30社で1000億円体制、1社33億。グループ内のIT3社では、3社100億円っていうところが目標になると思います。ITでやっていきたいっていうグループの方針がもあるので、そのために動いてあげたいなと思ってます。
そのためにはアットマークとしては日本だけじゃなくて、色んな国から仕事を集められるようなプラットフォームにもなれればいいなと思ってます。
西川社長:本当に、海外の支店とかもやりたいですよね。
増田会長:有名な海外大学のOBとかも呼べるようにしていくので、頑張りましょう。
― 最後に。これを見てくださる社員や求職者の方、クライアントに向けてのメッセージをお願いします。
増田会長:まず社員さん。いろんな働き方があるので、まず働き方や方向性をある程度決めて、きちっと勉強してもらって会社に伝えてもらうと。できれば社会をリードするような存在になって欲しいですね。なのでまずそこ(働き方)を明確にしてもらいたいなと思ってます。
学生さんに向けても、社会を引っ張っていけるような働き方をして欲しいなと思ってます。
西川社長:はい。結構シンプルで、面白い会社にしていきたいなと思っているので、これからよろしくお願いします!
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おまけ
西川社長のXでの社長就任のご挨拶も、西川さんらしいユーモアにあふれたポストとなってますので、
こちらも是非併せてご覧くださいませ!
https://x.com/akio_nishikawa_/status/1939992531099406372?s=46&t=c173pvZTLnw5BnRvmqd46A