【イベントレポート】鎌倉・御成町に新たなサウナカルチャーを── GREENING × 面白法人カヤック × SUPPOSE × madsaunist トークセッション
鎌倉・御成町に誕生した新たなサウナ施設「御成桑拿(Onari Sauna)」。
開業を記念して開催されたトークセッションでは、企画・設計・運営に関わるメンバーが一堂に会し、構想から完成に至るまでの背景を語りました。
登壇したのは、当社取締役CEOの関口、面白法人カヤックの佐藤氏、SUPPOSE DESIGN OFFICEの吉田氏、谷尻氏、そしてアカデミックサウナレーベル・madsaunist(マッドサウニスト)の3名です。
“なぜ鎌倉でサウナなのか?”という問いを皮切りに、街とサウナの新しい関係が語られました。
目次
「街=オフィス」という発想から生まれた街づくりとしてのサウナへ
街に開かれた“銭湯的”コミュニティ
3年の構想を経て、ついに開業へ
「街=オフィス」という発想から生まれた街づくりとしてのサウナへ
関口(GREENING):早速ですが、御成町といえば駅からほど近く、隣にはカヤックさんの本社があります。地域資本主義の考えを軸に、ITの力で街づくりを推進している中でなぜ “サウナ” だったのか。その経緯を、まずは佐藤さんに伺いたいと思います。
佐藤(カヤック):ありがとうございます。僕らは創業以来、鎌倉を拠点にしてきて、今年で26年になります。2018年に本社機能をすべて鎌倉に集約し、新社屋を建てたことをきっかけに、御成通りを中心とした「分散型街づくり」を始めました。
鎌倉では大きな建物が建てられない分、小さなオフィスが街に点在する形になる。でも、それが結果的に良かった。御成通り全体が “廊下” のようになって、社員が行き来する。そうすると、ゴミが落ちていたら拾うし、街を自分たちのオフィスの一部として大切にするようになるんです。そんな風に、街とオフィスを一体化させてきた中で、社員食堂を街に開く「街の社員食堂」や、豊島屋さんと共に立ち上げた「保育園」など、必要な機能を街の中に “シェア” する取り組みを続けてきました。
そして今回、体験として街に根づくものをつくりたいと考えました。空き物件を見つけてチームでブレストしたとき、「サウナっていいよね」と。人と人のつながりを生む場になるし、僕らの思想にも合っている。そこでGREENINGさんに声をかけ、一緒に取り組むことになりました。
面白法人カヤック:https://www.kayac.com/
街に開かれた“銭湯的”コミュニティ
関口(GREENING):サウナが文化体験になりつつある今、鎌倉の自然や街並みとどのように融合させたのか── 設計面でのこだわりをお聞きしたいです。
吉田(SUPPOSE):最初にこの敷地を見に来たとき、駅からすぐなのに、少し蛇行していたり、砂利道が残っていたりして。横にある松の木も鎌倉らしくて、空気感がいいなと。今のサウナって、すごく“おしゃれ”なイメージがあるじゃないですか。でも、鎌倉には、あんまりおしゃれすぎないサウナの方がいいなと思ったのが最初の印象です。この街の雰囲気に合うサウナってなんだろうと考えたとき、どこか懐かしさがありつつも、どことなくシャープ。その両方が融合したようなものがいいなと思いました。
鎌倉って、銭湯があまりないですよね。私は街歩きが好きで、旅に出ても必ずその土地を歩くんです。歩きながら居酒屋に入って一杯やったりして、最後は銭湯に入ってまた歩く——そういうのがすごく好きで。だから鎌倉にも、そんな風に気軽に立ち寄れる銭湯があったら最高なのになって、ずっと思っていました。今回の「コミュニティスペースとしてのサウナ」というコンセプトを聞いて、まさにそれだなと。
若い人たちだけが行くような“流行りのサウナ”ではなくて、子どもたちが小銭を握ってやってきたり、近所のお年寄りがふらっと寄れたりするような、そんな場所がいい。土っぽい色合いや、カウンターの素材感もそうした想いから来ています。
ここでは受付がありながら、その場でビールやお酒も楽しめる。男女一緒に入れるサウナということもあって、更衣室も広く必要なんですが、どんどんパブリックスペースが減っていく中で、むしろ“狭さ”をデザインに活かそうと。銭湯の番台のような受付の雰囲気や、小さなロッカーが並ぶ風景を再構成しながら、懐かしさと新しさが混ざり合う空間を目指しました。
SUPPOSE DESIGN OFFICE:https://suppose.jp/
3年の構想を経て、ついに開業へ
鎌倉・御成町に新しく生まれた「御成桑拿(Onari Sauna)」は、文化として根付きつつある令和のサウナと、かつて生活の一部として親しまれた昭和の銭湯を掛け合わせ、現代の感性でアップデートした新たなコミュニティサウナです。
まちと人が “ととのう”をコンセプトに、“ととのう” という個人的な時間を超えて、まちと人が呼吸をともにし、ゆるやかにつながっていく── そんな街のハブとなる「地域密着型のコミュニティサウナ」を目指します。
これまで当社GREENINGは、不動産企画開発事業、FOOD & BEVERAGE事業、HOTEL事業を展開し、「企画」×「運営」を両輪に街づくりを推進してきました。今回のサウナ事業は、これまでに培ってきた知見を活かした新たな挑戦です。
古きと新しき、ローカルとグローバル。一見それだけでは結び付かない要素を線で結び、線を面にする “企画編集力” と、その着想を実装させる “運営力” が、私たちGREENINGの強みです。
撒いた種がやがて芽を出し根付いていくように、この施設が街のハブとなり、賑わいを生み、それがカルチャーになる。サウナが単なるリラクゼーションではなく、街のカルチャーを育てるコミュニティスペースとして機能する未来を見据えて── 鎌倉・御成町から、新たな挑戦が始まります。
madsaunist
本サウナは、「Saunner of the Year 2024」を受賞したアカデミックサウナレーベル「madsaunist」が監修。飽和水蒸気と過熱水蒸気を組み合わせ、理想的な“熱と湿”を生み出す電気式スチームジェネレーター「MAD ENGINE」を日本で初導入。独自の入浴法「ヒューマンロウリュ」と組み合わせ、深い没入感と至高の “ととのい” 体験を実現します。madsaunistが提案する科学と感性が融合した新しいサウナ体験をぜひお楽しみください。
madsaunist:https://madsaunist.com/