大人気DIYキットシリーズ「つくるんです®︎」。単なるDIYキットではなく、つくる楽しさや思い出に残る時間を届ける商品として認知度を上げ、2018年秋の発売以降、シリーズ累計出荷数は220万個を突破しました。今回は、つくるんです®︎が発売されたきっかけやヒットの理由、今後のビジョンについて、つくるんです部の西岡さんにお話しいただきました。
西岡 明子(にしおか あきこ)
編集プロダクションにて、マニュアルやカタログなどのグラフィックデザインがキャリアのスタート。1997年、プラザクリエイト入社。店頭の販促物のデザインや、各種新規サービスの開発等、マルチな業務を経験。一度退職し、結婚を経て2002年に再度入社。再入社後は、法人向けプリント事業や本部企画部門でデザイン業務を担当。2018年、つくるんです®︎のリリースプロジェクトに新規立ち上げメンバーとして参加。
体験に主軸を置き、いかにもプラザクリエイトらしい形でプロジェクトをスタート
つくるんです®︎スタートのきっかけは、2017年。当時の代表が海外の展示会で商品と出会ったことでした。
「つくるんです®︎」という独特なネーミングは、「つくることを楽しんで欲しい」という想いから生まれたものです。子どもから大人まで多くの人に、つくることが手軽に楽しめる機会を提供したいという想いを抱いていたんです。
プラザクリエイトは、「写真」を「モノ」としてではなく、「体験」として考え、その価値を追求してきた会社です。そういった意味では、いかにもプラザクリエイトらしい形で、つくるんです®︎のプロジェクトはスタートしましたね。
成功の鍵は「挫折ハウス」
最も印象に残っているのは、2019年5月の日本ホビーショーです。
この時に開催したワークショップは、とてつもない大盛況でした。多数の出展ブースがある中でも、抜群の存在感を示せた理由は「挫折ハウス」です。「何それ?」って思いますよね(笑)。
実は日本ホビーショーの少し前に、パレットプラザのスタッフの方々に商品を配布し、皆さんにミニチュアハウスをつくってもらったんです。社内外問わず、店舗の方々にも協力を依頼したのですが、結局、つくりきれずに途中段階で返されるものが結構たまっていたんです。
返送されるミニチュアハウスがどんどん増えていく中、とある仲間から「つくりきれなかった商品、一度お返ししますね。」と電話が入りました。続けて、「挫折ハウスになって、申し訳ないです。」と(笑)。
挫折ハウスが倉庫にたまり続ける中、日本ホビーショーの企画を考えている際に、「つくりかけのミニチュアハウスを持って行こう」というアイデアが生まれました。
余っている材料の中の、植木鉢を1つつくるだとか、テーブルとイスを1セットだけつくるとか、そういった形で簡易的な制作体験ができる状態を用意したんです。数分でできるアイテムをつくり、加える。実はこの体験こそ、商品を初めて見る方々が求めていたものでした。
やってみたい気持ちがあるけど、完成させられるか心配な人や、自分でも作れるのか不安な人に大ウケし、これが予想外の大盛況となりました。私たちとしても、制作前の商品や完成品を見てもらうだけでなく、「つくる体験」を多くの人にお届けできたので、目指していた形はこれだったなと、展示会出展のスタイルを確立できた感がありました。
制作体験は順番待ちに。大盛況だった展示会の様子。
数分で制作できるミニチュアハウスのパーツを小分けにし、参加者に提供。
急激に増加した需要のボリュームに対応しきれず、欠品状態に
登場して日が浅い商品ながら、拡大の波に乗り始めてきた実感はありました。そして、一番の大きな波は、2020年の春。コロナ禍の影響による巣ごもり需要です。おうちにいる時間が増えたことにより、飛躍的に販売量が増加しました。
けれども実は、急激に増加した需要のボリュームに対応しきれず、しばらくの間、商品を欠品させてしまうことになりました。人気情報番組で取り上げていただいたのも手伝って、爆発的に需要が増加し、ついには商品の補充が間に合わなくなりました。
需要があるのにスムーズに提供できないという状況は、とても辛かったです。コロナウイルスの影響が深刻化し、外出自粛になり、多くの人が不安でさみしい日々を送っている中です。そんな中で、つくるんです®︎のことを知り、「これならおうちで手軽に楽しめそう」と興味を持ってくれた方に商品がお届けできないことは、本当に心苦しかったです。
ただ同時に、私たちにとっては、つくるんです®︎の価値を改めて見直す良い機会になりました。空白の期間に、ひたすら商品の意義を問い直していたんです。
コロナ禍で改めて理解できた「つくるんです®︎」の価値
緊急事態宣言の期間は、多くの人にとって精神的にかなり辛い期間になりました。生活の全てが変化し、これからどうなっていくかわからない不安があり、そして大切な人とも会えない、とてもさみしい期間でした。
つくるんです®︎は、つくる楽しさ体験できるだけなく、そういった中でも人との繋がりを生み出すことができる商品だったんです。その価値について、これまで全く気付いていなかったというわけではないんですが、ぼんやりとしていて上手く言葉にまとめることができませんでした。このように言語化できるようになったのは、コロナ禍の影響や外出自粛、そして欠品による歯痒い時期があったからです。
お客様や販売店の方からの意見に耳を傾け、思い出に残る商品を企画したい
つくるんです®︎を通して、子どもから大人まで、多くの方の心を一つにするお手伝いができれば嬉しい限りです。そのために、商品を楽しんでくださったお客様や商品を販売してくれている店舗の方々からの声をもとに、色々な改良を重ね、より価値のある商品にしていきたいですね。
今後は、つくる体験の価値を様々な形で提供しつつ、プラザクリエイトという会社の1つの軸でもある「写真」とを掛け合わせる等、色々な楽しい企画を実施していきたいと考えています!