前編では山本さん(写真左)と橋本さん(写真右)が未経験の世界に勇気を持って飛び込み、活躍するに至る過程を追いかけてきました。 後編では、コノセルの強みである「データ」を活用した生徒伴走について詳しく伺います。 お二人の経験談から浮かび上がるデータ活用の本質とは何か、ぜひ一緒に考えてみてください。
【実践①】データを起点に生徒の意識が変わる瞬間
ーではここからは、業界未経験のお二人が、「データ」というものも駆使して生徒に価値を届けたエピソードをお伺いしていきます。まずは山本さん、データを活用して生徒の意識を変え、行動を変え、結果を変えたエピソードを教えてください。
山本:光が丘校に通っている、当時中学1年生のある男子生徒のエピソードをお話しします。入塾当初は、全教科20点から30点程度しか取れない状態でした。それが学年末試験では英語は50点、数学は60点を取るまでに成長したんです。本当に伸びたなと感じた生徒ですね。
ーそれはすごい変化ですね。具体的にはどんな指導をしたんですか?
山本:生徒と保護者の両面からアプローチしました。まず保護者の方からは「とにかく量をこなしてほしい」というご要望が強かったんです。しかし、これまでもがむしゃらに量をこなすだけでは成績が伸びていないという状況でした。
そこで、保護者の方との面談の際に、本人のコノ塾での学習状況が見えるデータをお見せしたんです。そこで見えてきたのは、半ばやっつけでも宿題はやってきているものの、授業開始時に行う確認テストの点数が取れておらず、さらには授業中の練習問題での正答率も芳しくないことでした。
ただただ量をこなすだけでは解決できないことがあり、まずは授業の受け方の質を上げる必要があることをデータを用いて説明しました。
ー なるほど。データを使って、保護者の意識の転換を試みたわけですね。
山本:そうなんです。授業に集中することの大切さをデータと共にお伝えしたところ、一度信じてみようと思っていただけたようで、ご家庭でも「今日の授業内容理解できたの?」と量ではなく質を意識して声をかけていただけるようになったんです。
ー保護者の協力を得るのは大切ですよね。生徒本人への働きかけはどのように行なったのでしょうか?
山本:生徒本人も量をやるように言われ続けていて、それで点数が上がらなくてモチベーションが下がっていたような状態でした。そのため、本人にも意識を変えてもらう必要があって、授業ごとに毎回データを見ながら話をするようにしていました。
ー自分の学習状況をデータで見るという習慣はあまり一般的ではないと思いますが、生徒さんの反応はどうでしたか?
山本:最初は印刷しておいたデータの紙をろくに見ないで机の中に片付けてしまったり、なかなかデータに興味を示してくれませんでした。それでも粘り強く、データを印刷した紙を見せながら、授業中の動画を集中して見ることで、練習問題で解法を再現することの重要性を語り続けました。
そうしたところ、授業中の練習問題や確認テストが解けるようになってきて、データ集計表の数値も改善してきたのです。そのあたりからデータというものに興味を持ち始め、集計表を眺めては「この項目はどういう意味ですか」と聞いてくるようになりました。それに対して、僕がその都度説明し、できるようになったことは褒めるというのを意識しました。数値が改善するごとに、生徒の目の色が変わっていったのが印象的でした。
ー最初は興味が持てなかったものにも、自分の変化を実感できたことで興味を持てるようになってきたのですね
山本:その通りです。それに、自習にも来るようになったんです。入塾半年後のテスト対策期間では、「今日は自習に残って勉強したい」なんて自分から言い出すようになりました。成功体験を掴むことができてモチベーションも上がり、勉強への向き合い方が変わったんだと思います。
ー自発的に学習する習慣が身についたわけですね。
山本:そうなんです。それまで全然勉強しないタイプの子だったのに、土曜日は昼頃に自習に来て、1時間だけ遊びに行くと言って出たと思ったら、ちゃんと1時間で戻ってきて勉強するんです。お母様も電話くれて、「遊びに行ったはずなのに、また自習に向かったみたいです」と。自分自身もここまでの変化が起きるなんて思ってもみませんでした。
ー本人の意識の変化はもちろん、それを支える環境づくりができたからこその結果ですよね。
山本:おっしゃる通りです。生徒の頑張りはもちろんですが、その子を支えるご家族の理解や講師の存在も大きかったです。講師一人一人が些細なことでも褒めることを意識するなど、前向きな声かけを続けてくれていました。ご家庭での声掛けもあって、生徒のモチベーションが上がり、点数として成果も出てくる、といった好循環が生まれていました。この連鎖反応がなければ、ここまでの変化はなかったと思います。ご家庭や講師と一丸となって生徒の成長を後押しできたという手応えを感じました。
— 素晴らしいですね。学年末テストの点数を見て、生徒や保護者の方はどんな反応だったんですか?
生徒は今までに見たことないくいらい嬉しそうな表情をしてましたね。友達からも「こんなに勉強できたんだ」と前向きな反応をもらえて、それがさらにモチベーションになったという話も聞きました。 保護者の方も、面談の時に入室するやいなや、「先生これ見てください!うちの子こんなに点数取れるようになったんです!」とテストの答案用紙を僕にも見せてくださって、お子さん以上に喜ばれていていたのが印象的でした。
【実践②】データを武器に生徒の主体性を引き出す
ーでは続いて橋本さんについてはどうでしょうか。データ活用を通して生徒に価値を届けた事例を教えていただけますか?
橋本:はい、所属するチームで定期試験に向けて取り組んだエピソードについてお話ししますね。
コノ塾の定期試験対策においては、学校から発表された定期試験範囲の演習をしつこく繰り返すことによって成果を出すことを目指しています。しかしながら学校の定期試験範囲はなかなかに膨大で、定期試験の範囲をどう生徒にやり切らせるか、さらにはやるだけではなく、「解ける」ように定着させるかが課題となっていました。
—なるほど、そんな課題にどのようにアプローチしていったのですか?
チーム内で議論する中で、私たち主導で「やらせる」のではなく、生徒自身が主体的にやるべきことを理解して取り組むことが大切だという話になったんです。そしてその状態ををどう実現するかということを話し合ったときに、我々の強みである「データ」に着目しました。
—興味深いですね、どんなデータをどのように活用していったのですか?
橋本:コノセルでは定期試験対策教材の取り組み状況や演習問題の正答率がすべて生徒ごとにデータ化・可視化されています。このデータを用いながら、テストまでの残り日数を加味して、いつまでにどのぐらいの進捗を達成しないといけないかということを掲示物にして生徒たちに明示しました。 それを毎日更新することで、生徒一人一人が自分の立ち位置を客観的に認識できるようにしたのです。
ー生徒たちの当初の反応はどうでしたか?
橋本:正直最初は苦戦しました。生徒たちは自分の学習状況をデータで把握すること自体、初めての経験だったと思います。 最初は掲示物内の言葉の意味やデータの見方すら分からない様子でした。それでも丁寧に対話を重ねる中で、生徒にとってデータが「自分事」になっていった感覚があります。
ー興味深いですね、何か具体的なエピソードはありますか?
橋本:入塾当初から理科と社会が苦手だと言っていた生徒さんのお話です。一緒にデータを見てみたら英語や数学と比較して、理科と社会については定期試験対策教材の正当率が明らかに低く、知識が定着していないこと意味していました。一緒に数字を眺める中で、これまで理科と社会の点数が取れなかったのは、反復学習が足りなかったからだと生徒自身が気づいたんです。
そこから、理科と社会は特に復習に力を入れるようになり、結果的に入塾時から30点ずつ点数を伸ばすことができました。漠然とした苦手意識で留まることなく、データを活用して客観的に自分の改善点や解決策が分かるというのは、生徒にとって大きな気づきだったようです。
—素敵ですね。当初の目的であった、生徒の主体的な行動を引き出すことはできましたか?
橋本:はい、まだまだ全員とは言いませんが、このようにデータの有用性に気づいた生徒らが主体的に行動を起こすようになりました。データから自分の状況を客観的に把握できたことで、勉強時間が足りないから自習に来たり、定着度が低いから宿題を2周やってみたりと、目標達成のために自分で考えて動けるようになったことが一番の成果だったと思います。
「目的ファースト」の文化が根付くチームで価値を届ける
ー素晴らしいですね。これらの取り組みはチームとして複数教室で実施されていたんですよね?
橋本:はい、おっしゃる通りです。チームでも振り返りを行なったところ、やはり生徒の学習行動の変化はどこの教室でも起きていたようでした。他の教室でも、データを通した自己客観視によって、授業に少し早く来て準備したり、積極的に自習に来る生徒が増えているようです。
ーチームで取り組む意味はどんなところにあると思いますか?
橋本:一人だと視野が狭くなって、そもそも何の目指して生徒に向き合っているのかという目的を見失いがちです。でもチームで議論することで、その目的に立ち返ることができるんです。これはコノセルの「目的ファースト」という文化があってこそだと思います。
ーなるほど、その文化があることで、議論のあり方がどう変わると思いますか?
橋本:「目的ファースト」という言葉を聞いた瞬間に、全員が同じ絵を思い浮かべられるかどうかだと思っています。 もちろんこれまでも議論の中で、目的を意識することは社会人として心がけていました。しかし、コノセルはそれがカルチャーとして明文化されていて、チーム全員が目的に意識的に立ち返る姿勢を持っているんですよね。みんなが同じ方を向いているからこそ、目的を起点にした議論ができるんです。
ーなるほど。その「目的ファースト」が根付いているからこそ、議論がブレずにシャープに進められるということですね。
橋本:まさにです。文化として共有されていなかったら、「目的ってなんだっけ」って誰かが発言したとしても、「いや、それよりも目の前の打ち手の方が大事だから」というように、話が拡散してしまうと思います。カルチャーとして明文化する力は本当に大きいと感じています。
コノセル社員一人一人が体現し、組織に根付かせてきている4つのカルチャー
人ならではの役割を最大化するツールとしてのデータ
ーいいですね。それでは山本さん、先ほどの事例も踏まえて、データ活用の本質とは何だと考えますか?
山本:そうですね、まさに「目的ファースト」じゃないですけど、「何のためのデータ活用か?」を考えると、私たちが目指すのは、生徒一人一人に成功体験を積み重ねてもらうことです。「データ」はその実現のために、人が果たすべき役割を最大化するためのツールなんだと思います。
—面白いですね、具体的にはどういうことですか?
山本:教育業界って「あの手法が良い」「この量をこなすべき」といった過去の成功パターンに固執して目の前の生徒を見ていない議論や打ち手が先行しがちな気がします。でも生徒個々のデータに着目すると、必ずしもそうではないことに気づくんです。 生徒によって最適なアプローチは異なりますが、それを全ていちから観察していてはキリがありません。だからこそデータを用いて仮説を立て、人として介在すべきところを絞ることによって、最短距離で最大の成果を生徒に届けることができるのだと考えています。
—まさに先ほどの男の子の事例はそれを体現しているわけですよね。
山本:全くその通りだと思います。データは「勉強=点数」という固定概念を覆し、一人ひとりに合ったよりよい学び方を問い直すきっかけを与えてくれるものだと思います。生徒の可能性を最大限に引き出すツールとして、これからもデータ活用の可能性を追求し続けたいと思います。
ー 素晴らしいですね。では橋本さんはどうお考えでしょうか?
橋本:なんか山本さんがいいこと言ったので緊張しますね(笑)
私はデータを、現実に起きていることの”一部”を可視化したものだと捉えています。学習という目に見えないプロセスを数値化することで、 生徒は自分の成長を実感できますし、次の課題も見えてきます。
一方で、データがすべてという訳ではありません。 そのデータの背景にある生徒の学習行動を、私たち教室長や講師が実際に見に行くことこそが重要だと思います。データから立てた仮説をもって、生徒と対話することで見えてくるものも多いです。データとコミュニケーションの両輪で考えることが重要だと考えています。
宮本:その仮説が良い意味で裏切られたりするのもまた面白さの一つですよね。
橋本:間違いないです。加えて、伴走者もどうしても人間なので、生徒に接するときに何らかのフィルターがかかってしまうと思うんですけど、そこにちゃんとデータという形で事実を示すものがあるのがコノセルの強みだなと思います。
—興味深いですね、具体的にはどういうことですか?
橋本:例えば有休などで校舎運営の代打をお願いしたり、逆に自分が他教室の代打をする際に生徒情報の引き継ぎを行うのですが、数字・データが共通言語として存在していることはすごく大きいと思ってます。同じデータを見ながら認識を揃えられることで、結果的に初対面の生徒とも早く関係を構築することができます。
教育業界のベテランには長年の経験に裏打ちされた「勘」というものがあるようですが、我々のように教育業界に携わってこなかった人間でも、そのデータを見ることによって瞬時に生徒の学習状況を捉えることができて、ベテランの方とも同じ目線で議論できるのはすごい価値だと思います。今後いろんな業界からコノセルで教育業界にチャレンジする方が増えていくことを考えても、共通言語があるっていうのは非常に大切なことかなと思います。
手の届く価格で科学された良質な教育を一人でも多くの生徒に
—橋本さんの回答も立派でしたよ(笑) そんな経験をしてきたお二人の今後の目標を教えてください。
山本:長期の目線で言えば、ご家庭が望む教育機会にアクセスできる環境づくりに邁進していきたいなと思っています。手頃な価格で、科学された教育を”あたりまえ”にしていきたいコノセルのコンセプトともマッチするんですけれども、金銭面など様々なことが障壁となって、本来受けたい教育が受けられないご家庭がまだまだあると思うので、そんなお子さんを一人でも多く救えればと思っています。
—最初に(前編で)聞かせてもらった転職の動機からやっぱりブレないですね。
山本:そうですね。そこはもう常に意識はしてますね。
—そういう意味では、業界に新しい”あたりまえ”を示す圧倒的なプレイヤーになることが山本さんの中でも目標になってくるって感じですかね。
山本:そうですね、「教育と言えば山本紘平だ」って言われるようにもなっていきたいし、あの人に聞いてみたらなんとかなるんじゃないかっていう風にもなっていきたいです。もちろん会社としても、次の時代の教育を担う企業の中のセンターピンを取っていきたいという思いがあります。
—熱いですね。では橋本さんはいかがでしょう。
橋本:コノセルに来て自分の経験を振り返った時に、教育業界ってブラックボックスになっている部分が多いんだなということに改めて気づきました。その点で、コノセルがやろうとしている「科学された透明性の高い教育を誰にでも届くようにする」というのは、すごく意義のある取り組みだと感じていますし、これが”あたりまえ”になるまでやり続けるしかないかなと思っています。
—すっかりこの業界に当事者意識が芽生えてきたのですね。
橋本:やっぱり教室で生徒の表情を見ていて、小学生、中学生の年代の子たちが小さな成功体験を積み重ねていくことは、冗談抜きでこれからの日本の未来に繋がるんだろうなと肌で感じています。こういう良質なサービスが誰にとっても手が届くように広げていく、展開していくところに寄与したいという思いが今一番強いですね。
教育業界への先入観は不要。大切なのは「成長への熱意」
ー素敵ですね。では未経験からコノセルにチャレンジしようと思われている方の中でも、どんな方がコノセルに合うと思われますか?
橋本:未経験の方で活躍されている方の共通点は、成長意欲と組織貢献のマインドを持っていることかと思っています。自分自身が成長したい思っていることはもちろんですが、その成長のベクトルが、組織のため、社会のため、と利他の方向に向いているとすごく素敵だなと思います。
山本:橋本さんのおっしゃる通りで、自己と利他の両方をバランスよく持たれていると良いと思います。利他ももちろん大事だけど、自己成長も大切にしないとどこかで妥協してしまうかなと。コノセルはその成長したいという思いを広く受け止めてくれる環境だと思います。
ーありがとうございます。では、最後にお二人からコノセルへの入社を検討されている方にメッセージをお願いします。
橋本:教育という言葉から連想されるイメージって、人によって違うと思うんです。 「教師=聖職者」みたいな固定観念があったりして、自分にはできないと思ってしまう部分もあるかもしれません。でもコノセルは教育業界の常識に囚われず、 生徒のために何が最善かを自由に考えられる土壌があります。だから教育への想いがある人はもちろん、もっと漠然と「社会に貢献して成長したい」という思いがあるなら、ぜひ飛び込んでみてほしいです。きっと、自分の可能性が広がるはずです。
山本:教育業界の経験がない人だからこそ、インパクトを残せるチャンスがあると私は信じています。 現場の”常識”を知らないからこそ、新しい切り口でアプローチできて、変革の原動力になれるんです。 事実、私のような未経験者でも、1つの教室を任せてもらって結果を出せました。 コノセルには、それを支える仲間や、学び合える風土があります。 だから自信を持って言えるのは、業界経験は問わないということ。 むしろ、ゼロからのスタートを歓迎します。フラットに学び、経験を積める場所がここにはあります。 ぜひ一緒に、教育の世界に新しい風を吹き込んでいきましょう。
ーお二人とも、本日は貴重なお話をいただきありがとうございました!