航空貨物の未来を変えるCargoLaboのビジネスモデルと3ステップの事業展望をご紹介 | 株式会社CargoLabo
航空貨物業界のDX化を推進するデジタルプラットフォームを開発・運用しているCargoLabo。航空貨物業界が抱える最大の課題は「進まないデジタル化」と「慢性的な人材不足」です。こうした課題にどの...
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航空貨物に特化したデジタルプラットフォームの開発・運営を担っているジャパンヒュペリナー株式会社。航空貨物業界ではまだまだアナログで進めている業務も多く、人手不足に拍車をかけています。そうした航空貨物業界における「脱アナログ」を目指し、2020年に設立したばかりのスタートアップ企業です。
今回は、代表の稲葉さんに会社設立までの経緯や、業界全体が抱えている課題、今後の展望について詳しく伺いました。
稲葉 憲邦 / 代表取締役
関西外国語大学を卒業後、航空貨物業界を志し、NCA Japan株式会社に入社。航空機に搭載する貨物管理を手がけるロードプランナーの経験を経て、エクスペダイターズ・ジャパンに転職。営業として活躍した後、フィリピン航空へ。2020年にジャパンヒュペリナー株式会社を設立。航空貨物業界のDX推進に注力している。
大学卒業後、航空貨物のハンドリング業務を手がけるNCA Japan株式会社に入社しました。航空貨物の真髄について深く理解したかったので、現場での業務が中心でしたね。2社目のエクスペダイターズ・ジャパンでは営業を経験しました。この会社は業界内で「フォワーダー」と呼ばれる位置付けとなっています。荷主と航空会社の間に入り、航空輸送に関わっていくというビジネスモデルの会社です。そのため、荷主に対してどのような輸送方法を使えばニーズに対応できるかを提案していました。次に転職したのは、フィリピン航空。ここでは営業はもちろん、航空貨物のフライト予約、貨物の搭載プラン作成などにもすべて対応していました。その後、2020年にジャパンヒュペリナー株式会社を起業しました。
大学3年の時にFedExのインターンシップに参加したことがきっかけです。最初は航空業界に興味があり、外国語大学に進学して語学力アップに力を入れていたんです。ところが希望していた航空会社のインターンは通らなかったため、ご縁のあったFedExのインターンに参加することになりました。夏休みの2週間を利用し、さまざまな業務を通じて学びを深めました。
営業、フライト予約業務、貨物のハンドリング業務、さらにトラックによる宅配業務。一連の流れを経験し、さらに飛行機を間近に感じながら働いて、ダイナミックさに圧倒されました。そこから航空貨物業界の魅力に取り憑かれ、新卒入社した会社も、航空貨物を扱うNCA Japan。「航空貨物」に興味を持てて、本当に良かったと思います。
NCA Japanではロードプランナーをしていました。貨物搭載管理者として、航空機への搭載プランや、飛行機が離発着時や輸送中にいかに安定して運航できるかのバランスを考える仕事です。飛行機が離発着する際、搭載する貨物のバランスを均等にしなければなりません。安全に運航するためにも、貨物の位置、重量のバランスが大切になるからです。貨物専用航空機「フレーター」を扱う経験も積めました。
しかし「営業経験も積んでみたい」と思うようになり、エクスペダイターズ・ジャパンへ転職。新規開拓営業にチャレンジしました。具体的には海外へ貨物を輸出・輸入したい荷主に「これだけ輸送コストが削減できますよ」などと提案していました。荷主はメーカーや商社が多かったです。飛び立っていく航空機を見るたびに、社会の基幹産業を支えているやりがいを感じていました。インセンティブがあったので収入アップも叶えられました。
次に入社したフィリピン航空では、フォワーダーへの既存営業を担当。すでに取引実績のあるフォワーダーに対し、貨物予約や、効率よく貨物を積む搭載プランの作成・提案をしていました。「緊急対応が必要な案件がある」と相談を受けてプランを練り直し、対応できたことは忘れられない思い出になっています。
フィリピン航空で「外資系の航空会社で営業をする」という目標を達成しました。次の目標を考えた時、「より多くの人に航空貨物業界の魅力を伝えたい」と思ったんです。
航空貨物について、ほとんどの方は知りません。しかし私は経験者だから分かる面白さがあります。
最新の製品が海外から入ってきたり、日本を代表する製品が輸出されたりする様子を見て、マーケットそのものの面白さを感じていました。また、自分が考えた効率良く航空機へ搭載する際の積み付けプランと適切なルートで、世界に向けて飛行機が飛ぶというダイナミックさにも魅力を感じていました。求職者に「航空貨物の世界がある」と伝え、キャリアの選択肢に加えてほしい気持ちもありました。さらにずっと航空貨物業界に携わってきたからこそ分かる、業界の課題も見えていました。それが、起業を後押しする力になりました。
航空貨物は半導体、医薬品、貴重品類などの貴金属、動物を主に輸送しています。緊急で高価なものを扱う傾向にあると言えるでしょう。グローバルマーケットの規模で考えると、2027年には53兆円に達するとされています。まさに成長中の業界である反面、改善点も多いんです。例えば、航空貨物を載せるフライト予約の動線。フォワーダーから航空会社への予約は、いまだに電話・メールが中心です。航空運賃の案内も各社によってExcel、Word、PDFなどバラバラ。書類作成についても、紙ベースで管理していたりします。圧倒的にアナログで業務が行われている世界なんです。
フィリピン航空時代に、航空貨物の予約を取って、搭載プランを立てる仕事をしていたのですが何十社とある案件をわずか2名で対応していました。作成した見積書の確認も、現地本社に国際電話をかけてチェックを依頼していました。本社は昼でも、こちらは夜中。業務負担が非常に大きかったんです。
こうした経験から、荷主・フォワーダー・航空会社。この3社が一気通貫で情報を共有し、一つのプラットフォーム上でやり取りができれば業務負担は大幅に改善されるのではないかと考えました。今は少しずつ、航空貨物業界のDXを進めようとしています。
航空貨物に特化したプラットフォームSaaS「CargoLabo」を開発しています。リアルタイムでの情報共有と業務の可視化ができるシステムの開発・提供によって、荷主・フォワーダー・航空会社の業務負担を軽減するのが目標。メンバーは私、PMとSEのエンジニア2名。SES契約で開発を協力会社に委託しています。
「CargoLabo」の主な機能は、予約機能と入札管理です。予約機能はフォワーダーと航空会社間でのスムーズなやりとりに貢献しています。貨物の重量、個数、サイズを入力すると、フライトの選択肢が表示され、通知がいく仕組みになっています。そのためフライトの予約状況も簡単に調べられるようになりました。
入札管理は荷主とフォワーダーとのやり取りを一元管理できます。例えば荷主が年間又は半年を通じて輸出入する予定の貨物量に応じて、料金の値引き交渉をすることがあります。そうした重要なやり取りが一元管理できるようになるため、従来時間がかかっていたフォワーダーごとのExcelシートの作成や管理なども不要になりました。
今後はアナログで処理されている業務を1年以内に解決し、フォワーダーが抱えている業務負担を軽くしたいですね。荷主ごとの見積もり管理機能、書類・請求書の自動発行、オンライン決済などの機能を追加していく予定です。
日本の商慣習にマッチした仕様になっている点は優位性の一つでしょう。例えば、書類がアップロードできる機能があったり、海外ではあまり気に留めないグラム単位での貨物情報の修正が出来るようになっているのも、日本の商慣習にマッチさせていると言えます。また、大手航空系企業は独自のツールを使用しており、他社に展開出来ないことで結果的に横断したサービスが出来ていない現状があります。そういった点でも、スピーディに対応できる当社のようなスタートアップ企業の優位性が言えるかと思います。さらにはIT企業なので航空貨物業界の外からサービスを提供できる立場でもあります。
まずは、国内の航空貨物業界でのスタンダードを目指します。アジアだけでなく、北米もまだまだDXが進んでいません。そのためグローバル展開のチャンスも十分にあります。
さらに優位性という観点で見ると、業務時間の短縮につながる実績が出せていることも見逃せません。航空会社のフライト比較〜選定・予約まで工数を6段階に分けて、時間を測ってみたところ、1件あたり40分かかっていたものが、8分にまで短縮。1/5に削減できました。
当社は「革新的なテクノロジーを介して、人々の生活と社会の土台となる」というビジョンを掲げています。私たちの提供しているサービスがグローバルかつスタンダードになれば、航空貨物に携わっている方々の働きがいにもつながるでしょう。そうすれば彼らの暮らしも豊かになります。
社内の職場環境については、何でも話し合えるアットホームかつフラットな関係を大切にしています。私自身、今までのキャリアの中で、意見が通らずに悩んだり、評価に対して納得がいかないこともありました。殺伐とした雰囲気の中で仕事をした時期もあります。だからこそ、フラットな関係で楽しく働けるようにしたい。そうした社員同士の信頼関係は、クライアントとの関係にも反映されると思っています。クライアントにいかに自分を信用してもらうかは、事業拡大に欠かせない要素でしょう。ニーズの本質を汲み取り、実現していくためにも大切にしていきたいポイントです。
営業体制と開発体制、どちらもまだまだ発展途中です。だからこそ、イチから一緒に作っていける点が魅力でもあります。組織内の風通しは非常にフラットですし、メンバーもチームとして何かを成し遂げようというマインドを持っています。
これから取り組みたい課題としては「スピード感を持って開発に取り組むこと」と、「ユーザーを増やすこと」。荷主企業を中心に新規開拓を続け、多くの企業にシステムを導入していきたいです。こうした課題に向き合い、成長できる面白みがあると思います。
航空貨物に興味関心がある方はぜひ、一度お話させていただければ嬉しいですね。そして航空貨物業界を革新するマインドをお持ちであれば、大歓迎です。
営業でも開発でも、主体性を発揮して動ける方であれば十分活躍できます。もし「こういう職場にしたい」「こんな制度を作ってほしい」などの希望があれば、積極的に提案してください。出社したくなる会社を目指して、組織を盛り上げていきましょう。
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