今年に入って世界を驚かせまくっているトランプ大統領ですが、ぼくは、1月20日にワシントンDCで開かれた就任式に片山さつき参議院議員と一緒に参列してきました。
前日からDC入りして、クエール元副大統領によるウェルカムランチに始まり、ハドソン研究所のワインスタイン日本部長、ハガティ上院議員(元駐日大使)、アトキンスSEC委員長らと会談し、就任式翌日にも共和党金融サービス副委員長を務めるハイジンガー下院議員ほか多数の有力者にお会いしてきました。
今日は、そこで感じたことを書き記そうと思います。といっても、トランプ氏の政策や政権運営に関してではなく、「仕事をすること」についてです。
当たり前のことなのですが、物事を決めているのは「人」です。
政治であっても、民間企業であっても、最後は人が決める。もちろん、自分の主義や趣向、好き嫌いや勘だけで決めるわけじゃありません。立場も踏まえるし、合理的なプロコンも考慮に入れる。情勢も相手の反応もあらゆる情報を加味して判断するわけですが、それでも最後に決めるのは人です。
たしかに理屈は大切です。でも、理屈以上に大切なのは、心が動くことです。どっちがいいのか悩みに悩んで、自分の中で心からそうしたいと思ったときに、人は重要な決定を行う。そうすると決めたあとに、なぜそう判断したのかの理屈を整える。そうなんです。順番は、心が先で理屈が後なんです。
どの要人たちも、一所懸命に日本の立場を理解しようと努めてくれました。傾聴しながら、自分がその立場に共感できるかどうかを自分に問いかけていた。それが腑に落ちたとき、彼らは心からのアドバイスをくれ、ぼくらが求めていた人を紹介してくれました。
片山議員とぼくとがやっていたことは、要するに対米ロビーだということです。
ロビーと聞くと、お金をばらまいて政治家を引き込んでいくことのように思うかもしれませんが、なんのことはない、ロビーとは、要職にある人たちの心に訴えて、共感を引き出し、こちらに味方をしてもらうことなんです。人と人との、心と心のコミュニケーションです。そんな役割を担える人は有能に決まっていますから、ロビイストを雇うのにお金がかかるというだけのことなんです。
これはなにも、政治場面だけのことではありません。自分のプランを実行させたいと決意した若手社員が上司を口説くときだってそう、エンタープライズに営業をかけてしかめっ面の相手さんに自社プロダクトを売り込むときだってそう、どうしても採用したい優秀人材を説き伏せるときだってそうなんです。
当たり前のことなんですけどね。でも、ぼくらはえてして理屈で物事を進められるかのように錯覚してしまいがちです。ワシントンDCでは、ハイレベルな話し合いに同席させてもらったからこそ、かえってこの当たり前を再確認することができたように思います。