新たなAIエージェントの開発を積極的に行い、かつてないスピードで成長しているカイタク株式会社。
今回は、そんなカイタクの創業者である代表の松木さんに、今までの経歴、創業に至るまでの歴史やカイタクの考え方について、お話を伺いました。
学生時代から抱いていた”日本産業へ貢献したい”という軸
ーー早速ですが、松木社長のこれまでのキャリアを教えてください。
大学卒業後、新卒で日本政策投資銀行に入行しました。
銀行に就職を決めた理由としては、元々、日本の産業支援や事業支援をやりたいという想いがあったからです。
その想いを叶えるのであれば、金融かコンサルかなと思っていたのですが、コンサルは個人的な感覚として、”言葉で売る”というイメージがなんとなくあり、私の中ではピンと来なかったため、それなら公的な知識も得られる金融かなと思い、銀行に就職することにしました。
入社後は経営企画部で2年務めたのち、広島にある中国支店で融資の営業を2年、そしてカリフォルニアにあるバークレー校に留学し、MBA(Master of Business Administrationの略/「経営学修士」と呼ばれる学位を指す)を取得しました。
その後、カイタク(当時:株式会社イメジン)を創業し、現在創業から10年になります。
元々は人を中心に企業の事業支援をしていましたが、現在はAIエージェントによる人とAIが協働した事業支援を展開しています。
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カイタク株式会社 代表取締役 松木友範
東京大学卒。日本政策投資銀行に入行し、予算策定を担当、その後広島にて法人営業に従事。
2013年から米国カリフォルニア州立バークレー校に留学しMBAを取得。
帰国後、2015年に友人と当社を設立し、CEOに就任。
きっかけは、”心理的距離”をWebの力でなんとかしたいという想い
ーーどんなきっかけで、カイタクの創業に至ったのでしょうか?
広島で法人営業をしていた際、中小企業のリアルな多くの実情を聞くことができたことが大きなきっかけでした。
様々な企業の経営者の方とお話をする機会が多かったのですが、特に印象に残っているエピソードとしては、地元の企業の方から、「東京の会社さんと取引したいときはどうすれば良いんですかね?」と聞かれたことです。
方法だけを考えると、電話をしたり、メールを送付してみるなど色々あるなとも思ったのですが、そもそも東京から広島という距離でも、企業の方からすると”心理的な距離”があると感じました。
そのような、心理的距離の影響から踏み出すことが難しいと感じている企業様などに対し、「Webの力を活用して、解決できないかな?」と思ったのが大きなきっかけです。
心理的な距離も物理的な距離も解決できるような支援をしたいと思いました。
「ど真ん中感」を大切にした社名
ーー社名である「カイタク」の名前の由来や込めた想いを教えてください。
まず、由来としては「営業開拓」から取りました。特に言葉の変化をつけずそのままにしたのは、分かりやすく、認識してもらいやすいことが狙いだったからです。
そして、想いに繋がることとしては、「ど真ん中感」も大切にしたいと思いました。
「ど真ん中感」というのは具体的に言うと二つありまして、一つは、”営業を開拓する”というコンセプトをずれないように届けたいという想いがあります。
もう一つは、「営業支援」となると、表面上の結果や短期的な結果に引っ張られやすいですが、そういった枝葉のものではなく、お客様に向き合い、きちんとしたやり方を考えて、サービスとマーケットをマッチングさせるという本質的な営業支援をしていきたいという想いです。
こういった想いも込めて、「カイタク」という社名にしました。
AIエージェントを提供し、新たな未来を描く第3創業期
ーー2015年に創業されてからこれまでのカイタクについて教えてください。
創業してから現在まで、第1~第3創業期に分けられると思っています。
まず、第1創業期にあたる最初の5年は、本当にありとあらゆる支援をしていました。
具体的には、LP制作、コンサル、アドバイザリー、システムの受託開発など、販促全般において、できることは何でもやるようにしていました。
ただ、最初から全てがうまくいっていたわけでもなく、今となっては懐かしい思い出ですが、2万円で支援させていただいたクライアントさんに「2万も払えない!」と叱責され、最終的に半額の1万円で請け負ったこともありました。
その後、今につながる「カイタク」というプロダクトを2020年に作ったフェーズが第2創業期に当たります。
「カイタク」のサービスは、”サービス×ITを効率化する”という形で作ったものなのですが、このプロダクトを作るきっかけは、元々自分たちの営業のために使っていた、当時ではまだ珍しいフォームDMでした。
当時、自分たちで使っていたフォームDMの反響が良く、「これを自動化する仕組みがあったら良いのではないか?」と思い、仕組みとしてシステムを作り始めました。
そこから、せっかくなら外販化したら良いのではないかと思ったのがきっかけで、フォームDMのシステムを顧客にも提供しつつ、営業のマルチチャネルをコンサルする伴走型の営業支援に変化していきました。
そして、第3創業期は今年からだと思っています。
新たに対話型AI電話エージェント「スパ電」を2025年6月にリリースしました。
▼「スパ電」のプレスリリースはこちら
https://www.wantedly.com/companies/company_8152223/post_articles/982433
これから、AI革命は必ず来ると考えていて、AIの活用で世の中の仕事が革命的に変わると感じています。
今、人間が務めている業務のほとんどがAIが代わって作業することを想定し、今後は事業支援や産業支援において、今まで人の力で支援していたものをAIで支援し、AIと人の協働を実現するプロダクト開発に注力していきます。
また、プロダクトの営業強化にも取り組んでおり、展示会は月に1~2回以上は出展しています。事業の成長はもちろん、認知の拡大にも繋がっている実感があります。
直近1年で、現在の倍程の人数規模に採用を強化し、AIエージェント開発企業として更に拡大していくフェーズです。
ーー現在の第3創業期に至るまでの、印象的な変化を教えてください。
大きな変化としては、第二創業期のときに従業員の人数が25名まで増えたのですが、そこから9名に減ったことです。
単純に人数の減りだけを見ると「組織崩壊」とも言えますが、取り組みとしては「組織改革」とも言えると思っています。
こんなことを言うと、「何があったんだろう?」と思う方もいるかもしれませんが、もちろん会社側から退職を促したわけではなく、ルールを守るとか成果や結果をしっかりと求めるなど、「会社としての基準値」を明確にして、社内の規律をしっかりさせる、いわゆる”プロフェッショナルな集団”にするための改革を行いました。
結果としては、モチベーションやパフォーマンスが高い人など、基準値を満たせるメンバーが残り、カルチャーフィットしていない人とは別の道を歩むことになりました。
良い意味で想定外だったことは、人数が減ったからと言って会社としての利益が下がることはなく、増益はし続けていました。
今振り返っても、あのタイミングで改革を行い、筋肉質な強い組織が構築されたことによって、現在採用を加速することができていると感じています。
引き続きプロフェッショナルな集団であり続けたいと思っています。
きちんと考えて、何事も設計をしてから支援をするという本質主義なカルチャー
ーーカイタクにはどんな文化や特徴があるかを教えてください。
会社自体としてのMission・Vision・Valueは、現時点で明文化されたものはありませんが、カイタクのプロダクト理念としては、以下のものを掲げています。
Mission:
よい商品に、もっとチャンスを。
Vision:
テクノロジーの力とセールス&マーケティングのプロの知見とを組み合わせながら、企業のセールスプロセスを伴走支援することで、クライアントの事業を成功に導く。
上記活動を続けることで日本の営業プロセスを世界基準に引き上げる。
Value:
こちらはまだ検討中の部分でもありますが、
・クライアントの事業に真の貢献を!
・知見を貯めて、磨こう!
・データと数値を使って、科学的に営業を
といったものがあります。
まだ定まっていないものもありますが、会社の不変的なカルチャーとしては、ずばり「本質主義」です。
「AIという言葉を表層的に捉えるのではなく、本質的な課題解決に繋がるサービス・プロダクト開発を行っていく」というのがベースの考え方です。
なんとなくのソリューションではなく、お客様やマーケットにしっかりと本質的な価値を提供していきたいという気持ちをお持ちの方に、是非仲間になっていただきたいです。
ーー最後に、今後カイタクをどうしていきたいなど何か展望はありますか?
自主的・自立的、且つジェネラリストとして、ひとりひとりが動けるプロフェッショナルな集団であり続けることとともに、会社として、形や見かけだけではなく、「きちんと業務の効率化ができる」という本質的なサービスを届けていきたいと思っています。