私たちトリノ・ガーデンは、28名の会社です。東京・西新橋のオフィスに、全員が収まります。
その28名が向き合っているのは、松屋フーズ、ドトールコーヒー、JR東日本といった、誰もが知る企業です。1,000店舗を超えるチェーンの、店頭の掲示ルールを書き換えたこともあります。この落差が、この会社でいちばん面白いところだと思っています。
■ なぜ、28名でそれができるのか
特別な技術を持っているからではありません。私たちがやっているのは、店内カメラの映像を再生して、人の動きを1コマずつ目視で数える、という作業です。特殊な機械も、難解な理論も使っていません。
あるクライアントの方に、こう言われたことがあります。間近で見ていると、やっていることそのものは、そんなに複雑怪奇ではない、と。その通りだと思います。
違うのは、どこを見るかと、どこまで細かく見るかと、どれだけ正確に数えるかの3つだけです。参入障壁は、実のところ高くない。にもかかわらずこの仕事をしている会社がほとんどないのは、たぶん、地味すぎるからです。
そして、誰も数えていない場所には、まだ誰も見つけていない答えが残っています。だから28名でも、1,000店舗の会社に対して、その会社が知らないことを差し出せる。
■ 実際に、何が起きたか
駅そばチェーンで、1日に一度も座られない席が見つかりました。しかも、誰も座っていないそのテーブルを、スタッフが何度も熱心に拭き上げていた。悪いのはその人ではありません。誰も、その席が使われていないことを数えていなかっただけです。
立ち食い蕎麦の店では、席を減らす提案をしました。業界の常識と逆です。期間限定で検証したところ、総席数を減らしたにもかかわらず、席稼働率も客数も良くなりました。
焼肉チェーンでは、人の手より速いはずだと信じて導入された調理機が、実際には手作業より遅いと分かりました。誰もそれを疑っていませんでした。
どれも、高度な統計から出てきた発見ではありません。ただ、数えたら出てきたものです。
■ 正解を持たずに、現場へ行く
ある鉄道系のクライアントから、コンサルタントというより大学の研究室の先生のようだ、と言っていただいたことがあります。この比喩を、私たちは気に入っています。
研究室の先生は、答えを持ってきてくれる人ではありません。何をどう調べれば分かるのかを、一緒に考える人です。そして、調べた結果が期待と違っていても、それをそのまま受け止める。
私たちの仕事も同じです。プロジェクトが最初に立てた問いのまま終わることは、ほとんどありません。機会損失を数えに行ったはずが、価格の話になる。調理動作を測っていたら、厨房設備の設計に行き着く。数えてみて初めて、何を数えるべきだったかが分かります。
だから、正解を持って現場に行ける人は、この会社には一人もいません。全員が、分からないまま数えはじめて、途中で分かる。そういう働き方です。
■ 変える人ではなく、見えるようにする人
私たちは、クライアントの組織を変える人ではありません。見えなかったものを、見えるようにする人です。事実を並べたあと、どう動くかを決めるのは、いつもその会社自身です。
この線引きは、譲れないところだと思っています。外から来た人間が「こう変えなさい」と言っても、現場は動きません。動くのは、自分の店の数字を自分の目で見たときです。
だからこそ、数字の側に一分の隙もあってはならない。私たちの提案は、たいてい常識と逆を行きます。席を減らす。仕込みをやめる。そんなことを言い出す相手を信じてもらうには、根拠が完全でなければならない。1コマずつ数えるという地味な作業に時間をかけているのは、そのためです。
■ 28名だから、全部が見える
人数が少ないぶん、担当範囲は広くなります。分析する人も、届ける人も、会社の足元を支える人も、全員がお互いの仕事を見ています。自分が整えた資料が、数百店舗を動かす提案の土台になる。そのスケールの落差を、直接感じられる規模です。
入社後は、延べ150時間の教育カリキュラムがあります。「データ分析の考え方」「ロジカルシンキング」。ゼロから専門知識を積み上げられるよう設計したものです。メンター制度と定期カウンセリングもあります。
私たちのフィロソフィーは「Make It Fun」。誰も見向きもしなかった地味な場所を掘り下げた先にこそ、本当の面白さがある、という信念です。28名で、1,000店舗の常識を書き換える。その現場に立ってみたい方と、話をしてみたいと思っています。