なぜ、今の会社では『5年後の自分』が描けないのか? 「会社都合の異動」をなくし、キャリアの決定権を個人の手に。ランスタッドのタレント戦略
原田 麻希ランスタッド株式会社 人事本部 タレントマネジメント部 マネージャー
profile
制作プロダクション、製造系人材派遣会社を経て、経営統合によりランスタッドへ。営業職時代に夫の転勤や産休・育休、会社の事情による職種変更など、自身のコントロールが及ばないキャリア形成に葛藤する。2018年、社内公募制度を利用し未経験で人事本部へ異動。現在はタレントマネジメント責任者として、社員が自律的にキャリアを描ける組織づくりを牽引している。
「あなた、よく辞めなかったわね」と言われて気づいたこと
「このままここにいていいのだろうか」「自分のキャリアが見えない」。
多くのビジネスパーソンが抱える、この漠然とした停滞感や不安。その正体は一体何なのでしょうか。
ランスタッドでタレントマネジメントを統括する原田麻希は、その原因を「キャリアの決定権が会社側にある構造」だと指摘します。
自身もかつては会社主導の異動に翻弄され、キャリアの「霧」の中でもがいた経験を持つ一人です。
なぜ今、ランスタッドは「ジョブ型」雇用を推進し、社員の「キャリアオーナーシップ」にこだわるのか。原田の原体験と、誰にでもチャンスが開かれた独自の仕組みについて聞きました。
日本の伝統的な「メンバーシップ型雇用」では、会社からの辞令一つで働く場所も職種も変わることが珍しくありません。原田自身も、かつてはその「常識」の中で働いていました。
営業職として入社しましたが、数年おきに意図しない配置転換を経験しました。家庭の事情や会社の都合で、人事、アドミン(事務)、そしてまた営業企画へ……。ある時、当時の上司からかけられた言葉が、彼女のキャリア観を大きく変えることになります。
(原田)「『そんな滅茶苦茶な異動をさせられて、あなたよく辞めなかったわね』と言われたんです。その時、ハッとしました。会社都合の異動は、個人のキャリアにとっては『滅茶苦茶なこと』になり得るんだ、と気づかされたのです」
会社任せにしている限り、「3年後、5年後に自分が何をしているか」は誰にもわかりません。この不透明さこそが、将来への不安=「霧」の正体です。
だからこそランスタッドは、「自分のキャリアは自分で決める(キャリアオーナーシップ)」ことができるジョブ型雇用をベースにしています。(ランスタッドのジョブ型雇用制度のショート動画を見る⇒クリック)
キャリアの「地図」は、全員の手の中にある
では、どうすればキャリアを自分でコントロールできるのでしょうか。そのためにランスタッドが用意しているのが、「透明な地図」と「自ら手を挙げる権利」です。
(原田)「まず、社内の全てのポジションに『職務記述書(JD)』があり、役割や必要なスキルが明文化されています。さらに、それらを部門ごとに可視化した『ジョブマップ』が全社員に公開されています」
隣の部署の仕事は何をするのか、一つ上のポジションには何が必要なのか。すべてがオープンになっているため、社歴や年齢に関係なく、誰もが自分で目的地を定めることができます。
そして、そこに到達するための手段が「社内公募制度」です。
(原田)「空きポジションが出ればイントラネットで広く募集され、誰でも手を挙げることができます。会社から命じられた仕事よりも、自分で選んだ仕事に取り組む方が、人は何倍も高いパフォーマンスを発揮できる。私たちはそう信じています」
実際に2025年に社内公募制度を利用して306名が応募しています。
上司の仕事は「管理」ではなく「応援」
▲グレートカンバーセーションは上司と自身のキャリアについて話し合う場。原田自身も上司と定期的にグレートカンバーセーションを行っています
いきなり「自分で決めて」と言われても、戸惑う人もいるでしょう。そこで重要になるのが、上司との対話の質です。
ランスタッドには、「グレート・カンバセーション」と呼ばれる対話の文化があります。
(原田)「これは業務報告の場ではなく、『将来どうなりたいか』『どんなスキルを身につけたいか』を話し合う時間です。上司の役割は、指示することではなく、部下のアンビション(志)を引き出し、支援すること。この対話があるからこそ、チャンスが来た時に迷わず手を挙げることができるのです」
「未経験」はハンデじゃない。ポテンシャル採用の基準
「やりたい仕事があるけれど、経験がない」。そんな場合でも、ランスタッドでは挑戦が歓迎されます。実際、原田自身も営業企画から未経験で人事のタレントマネジメント職に公募で異動しました。
スキルが不足している場合、重視されるのは「ポテンシャル」です。
(原田)「ポテンシャルを開花させるために必要な要素は3つあると考えています。
1つ目は『変化への適応力』。未経験でスキルが足りないのは当たり前。そこから自ら学び取り、素早く適応する力です。
2つ目は『周囲を巻き込む力』。仕事は一人では完結しません。周囲と信頼関係を築けるかが問われます。
3つ目は『他者を尊重する心』。多様な意見を受け入れられるか。これは私たちが大切にするED&I(公平性・ダイバーシティ・包摂性)の観点でも非常に重視しています」
キャリアは「一本道」ではなく「縦横無尽」
▲ 採用において87%の企業が、形式的な資格よりもスキルと経験を重視しており、72%が、一つの会社で昇進を繰り返す従来の直線的なキャリアパスは時代遅れだと感じています。働く人の約5人に2人(38%)がこの考えに同意し、直線的なキャリアではなく、様々な業界や多様な職種を経験することを望んでいます(ランスタッドワークモニター2026:労働力䛾大転換~企業䛸個人䛜問われる「真䛾適応力」)
最新の意識調査「ランスタッド・ワークモニター」の結果によると、世界中の働き手がもはや伝統的な「出世の階段(リニアなキャリア)」だけを求めているわけではないことが明らかになっています。 昇進だけでなく、ワークライフバランスや自分らしいスキルの獲得など、キャリアパスはより複雑で多様なものへと変化しています。
ランスタッドが提供するキャリア観は、まさにこの世界的な潮流と合致します。
未経験から憧れのポジションを掴み取った社員、産休・育休を経て新たなキャリアを開拓した社員。ここには、自分の意志で道を切り拓いた多くのロールモデルがいます。
(原田)「キャリアは一本道ではありません。縦横無尽に網の目状に広がっていて、どっちに行くのも自由です。『あなたはどうしたいの?』と常に問われる厳しさはありますが、自分のキャリアのハンドルを自分で握りたい人にとっては、これ以上ないほど自由で、天井のないフィールドです」
会社に決められたレールの上を歩くのではなく、自分の足で、自分の行きたい場所へ。
その覚悟と意欲がある方にとって、ランスタッドは最高の舞台になるはずです。