「支援員自身が健全で、健康で、ごきげんな状態で支援に入ること。それは単なる理想論ではなく、最優先されるべき大切な業務だと、私は確信しています。」そう語るのは、名古屋センターでサービス管理責任者を務める大竹さんです。
福祉の現場で長く働くなかで大竹さんがたどり着いたのは、「支援員自身の心身の健康こそが、支援の質を左右する」という考え方でした。インクルードのバリューの1つである「心身の健康にこだわる(心身を整えることは優先順位の高い業務)」という言葉と強く重なったといいます。
本日は大竹さんに、転職を決意した背景や、健康を最優先にする組織づくりへの想い、そして名古屋センターで実践している具体的な取り組みについて伺います。
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大竹 泰史 / ニューロリワーク 名古屋センター サービス管理責任者 兼 管理者
福祉系大学卒業後、障害児入所施設にて児童指導員として約5年間勤務し、生活支援全般を担当。その後志賀高原にて、スキーインストラクターを2シーズン経験。
結婚を機に医療・福祉専門の人材紹介会社へ転職し、約9年間、転職支援業務に従事(産業カウンセラー資格取得)。再び障害福祉分野へ戻り、就労継続支援A型・B型事業所で管理者・サービス管理責任者を約10年経験し、2025年、インクルード株式会社に入社。名古屋センター立ち上げに参画、12月よりサービス管理責任者兼管理者に就任。
良い支援は、支援員が健康でいてこそ
――大竹さんが今回の転職で大切にされていた軸は何だったのでしょうか?
実は、前職の最後の2〜3年は自分にとって非常に苦しい時期でした。だからこそ、次の仕事を選ぶ際に最も重視したのは、「自分自身が安心・安全な状態でいられること」、そして「心身の健康を保ち、ごきげんに働けること」でした。
そんな時に出会ったのが、インクルードのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)でした。
特に心を打たれたのは、「心身の健康にこだわる(心身を整えることは優先順位の高い業務)」という言葉が明文化されていたこと。福祉業界では、どうしても「利用者さんファースト」の考え方が強く、支援員自身の健康や安全が後回しにされてしまうことも少なくありません。「自分を削ってでも利用者のために尽くすもの」という風潮を感じる場面もありました。
しかし、ここでは会社がはっきりと「自身の健康にこだわる」と掲げている。その姿勢こそが、私にとって大きな安心材料でした。
――自分たちの健康を後回しにしない、という考え方ですね。
そうです。利用者さんと直に接する支援員が、健全で、健康で、元気な状態で支援に入らないと、結局は本末転倒だと思うんです。自分が健康だからこそ、利用者さんにより良い支援ができる。前職までの経験から、それが一番本質的だと確信していたので、迷わず応募を決めました。
前職での最後の数年間は、自分自身「支援員はこうあるべき」「自分のことは後!まずは利用者さんや共に働く支援員のことを考えなければ」という呪縛のようなものにとらわれていたのかもしれません。でも、その結果として自分に余裕がなくなり、精神的に追い詰められてしまったとき、結局は利用者さんに対しても、最高のパフォーマンスで向き合えなくなっている自分に気づいたんです。
福祉の現場ではよく「自己犠牲」が美徳とされがちですが、支援の現場に立つ私たちが疲弊していたら、利用者さんに「安心」を届けることなんてできませんよね。鏡のように、こちらの不安定さは相手に伝わってしまいます。
施設従事者による虐待事件が増加している背景にも、決して悪意ではなく、「余裕のなさ」から生まれてしまった事例があるのではないかと感じています。誰も最初からそうした思いで仕事をしているわけではないはずです。
だからこそ、支援員自身が健全で、健康で、ごきげんな状態で支援に入ること。それは単なる理想論ではなく、最優先されるべき大切な業務だと、私は確信しています。
――「健康管理も業務の1つ」と捉えるのは、インクルードならではの視点ですね。
そうですね。インクルードのバリューにある「心身を整えることは優先順位の高い業務」という言葉を目にしたとき、思わずハッとしました。まさに私が求めていた答えでした。
会社が「まずは自分が安心・安全でいなさい」と支えてくれる。その安心感があるからこそ、迷いなく、持てる力のすべてを利用者さんへの支援に注ぐことができています。
自分自身が満たされ、心に余裕があると、利用者さんの小さな変化に気づけるようになりますし、表に出にくい深い悩みにも、時間をかけて丁寧に耳を傾けることができます。
「自分を大切にすることが、結果として利用者さんを大切にすることにつながる」この循環こそが、福祉の現場で長く、そして質の高い支援を続けていくために欠かせない、本質的な土台なのだと思います。
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「定時退社」は、支援の質を下げるどころか、むしろ高める
――名古屋センターは、支援員の皆さんがほとんど残業をしないと伺いました。
そうですね。もちろん日によって変動はしますが、基本18時になると「さあ帰ろう」と声を掛け合い、18時5分には鍵を閉めて退社しています。
私自身インクルードに入社するまでは、夜中まで書類を作成したり、家に仕事を持ち帰ったりすることが当たり前の環境を経験してきました。でも、そんな働き方をしていると、やっぱり心身ともに疲弊してしまうんですよね。
最近強く実感していることは、「良い支援は、長時間働くこととイコールではない」ということです。疲れ切った状態で長く関わるよりも、支援員が万全のコンディションで、限られた時間の中でどれだけ密度の濃い関わりができるか。そのほうが、利用者さんにとってははるかに価値があると感じています。
支援の質を高めるのは“時間の長さ”ではなく、“支援員の状態の良さ”と“関わりの質”。定時退社は決して妥協ではなく、より良い支援を続けるための大切な条件だと思います。
――では残業を減らすために、具体的に取り組んでいることはありますか?
一番大きいのは、AIの活用です。
福祉の仕事は、実は事務作業、特に「記録」に多くの時間を取られます。以前は、面談後の記録作成に20分から長いときは1時間ほどかかることもありました。今は、音声をAIでテキスト化し、記録として整える仕組みを取り入れています。その結果、作業時間はおよそ5分程度まで短縮されました。
――事務作業が劇的に効率化されたのですね。
ええ。ただ、これは単に「業務が楽になった」という話ではありません。
記録作成に追われるストレスから解放されたことで、面談中の向き合い方そのものが変わりました。以前は「あとで記録に残さなければ」と考えながら、パソコンに向かって必死に入力していました。しかし今は、利用者さんの表情や声のトーン、言葉の背景に100%集中することができます。目の前の利用者さんのためにより面談に集中できるようになった。この変化は、支援員にとって大きな喜びです。
さらに、定時で帰りオンオフをしっかり切り替えることで、翌日は頭がクリアな状態で業務に向き合えます。その結果、個別支援計画についても「この方の課題の本質は何か」と、支援員同士や利用者さんとじっくり話し合う時間と余裕が生まれました。
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名古屋センター
心理的安全性を高めて、心も健康に
――名古屋センターでは、支援員同士の「心の健康」を維持するための仕組みもあるそうですね。
はい。毎朝欠かさず行っているのが、「心身の状態チェック」です。メンタルと体調をそれぞれ5段階で共有し、「今日は少し調子が悪いです」といった声があれば、チーム全体でフォローできる体制を整えています。
また、月に一度は「業務量調整委員会」を開き、業務が特定の人に偏っていないかを確認しています。負担が集中していないかを可視化し、無理が生じる前に調整することを大切にしています。
そういった取り組みを通じて、お互いに頼りやすく、率直に話せる雰囲気が育ってきたと感じています。いわゆる「心理的安全性」が高まってきた実感があります。
私が目指しているのは、立場に関係なく、誰もが自信を持って意見を言えるチームです。
――立場に関係なく、ちゃんと言える環境…ですか?
はい。例えば、「サビ管が言っているけれど、それは違うのでは」と感じたときや分からないときに、遠慮せずにきちんと伝えられることです。
先日、支援員から「話の展開が早すぎて、意見を出す隙がありません」と率直なフィードバックをもらったときは、思わずハッとしました。相手がサービス管理責任者やマネージャーであっても、「それは違うと思います」「正直、よく分かりません」と自然に言える。そんな環境であってこそ、一人ひとりが安心して力を発揮できるのだと思います。
全員が遠慮なく意見を出し合い、それぞれの視点を持ち寄れるチームになるよう、これからも試行錯誤を重ねながら、より強く、よりしなやかな組織を育てていきたいと思います。
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※本インタビューの内容は、2026年2月時点のものです。