土木部工事課 長谷川 秀馬
入社3年目の長谷川さんは、土木の仕事に憧れて新発田建設に入社した。最初は「重機を動かす仕事」だと思っていたが、実際は多くの人と関わりながら現場をまとめる“監督”の役割だった。戸惑いながらも、仲間や職人たちと一緒に現場をつくる日々の中で、少しずつ仕事の本質を掴んでいく。「形に残る仕事って、やっぱりいいですね」その言葉に、若手らしい素直さと、ものづくりへの誇りがにじんでいる。
「正直、入社するまでは“重機に乗る仕事”だと思ってました」
そう笑う長谷川さんは、新潟の専門学校で土木を学び、地元で働く道を選んだ。学生時代から「現場でモノづくりをする仕事」に興味があったという。
「中学のときに、職人さんが汗を流しながら作業している姿を見て“かっこいいな”と思ったのがきっかけです」
理系科目が得意というタイプではなかったが、形に残る仕事がしたいという思いが強く、土木の道に進んだ。高校卒業後は就職も考えたが、専門的に学びたいという思いから専門学校へ進学。建設に関わる基礎知識を理解しておきたいと考えた。
2023年に新発田建設へ入社。新入社員研修を受けた際、まず感じたのは「座学が多い」ということだった。
「外で身体を動かす仕事だと思っていたので、“いつになったら現場で重機を運転できるんだろう”と思っていました(笑)」
現場を動かすには、安全書類や写真整理、出来形管理、打合せなどの事務仕事が欠かせない。それが“監督”という仕事の大半を占める。
「職人さんと一緒に汗を流す仕事だと思っていましたが、現場全体を動かす側になると、また違う面白さがあると感じました」
はじめての現場と、“怖かった”職人さんたち
土木のキャリアを歩み出してからは、道路工事や水田の区画整理など“新潟らしい”現場も経験してきた。まだまだ学ぶことは多いが、着実に成長を重ねている。
そんな長谷川さんも、配属当初は協力会社の職人たちとのコミュニケーションに戸惑ったという。
「最初は協力会社の方が怖かったです。見た目もそうですし、声も大きくて(笑)。でも、慣れてきたら全然そんなことなくて、今では冗談を言い合うくらい仲良くしてもらってます。完全にイメージ先行でしたね」
現場では図面通りに進まないことも多い。だからこそ、職人とのコミュニケーションが欠かせない。
「やっぱり“話してみる”のが一番大事。今では、お互いに意見を出し合いながら進める現場が楽しいです」
経験を補う準備力
初めて現場に出た頃、常に意識していたのは準備だった。
「経験年数も少ない自分が、何を聞かれても答えられるようにしたくて、職人さんから聴かれそうなことや、確認が必要になるタイミング等を、前日に先輩に質問して整理したりしていました。現場では臨機応変な判断が求められますが、それを支えるのはやっぱり準備だと思っています」
まだ経験が浅い今も、できる限りの下準備は欠かさない。
「“何も知らない新人だから仕方ない”ではなく、“少しでも役に立ちたい”という気持ちで動いていました」
また、自身の成長機会として、ある道路工事の現場エピソードも話してくれた。円筒型の型枠を使い、道路の支障部分に管を入れる作業で、一部の型枠の位置がずれているように見えたという。
「気のせいかと思ったけど、やっぱり気になって上司に確認しました。早く気づけたから問題にはならなかったけど、完成後の検査直前だったらと思うとゾッとしました」
それ以来、ダブルチェック・トリプルチェックを徹底している。
「職人さんに任せっきりにせず、自分でも確認する。現場の所長や先輩がいても、自分も監督の一員という意識を持つようになりました」
目標とできる先輩がいる環境
目標をたずねると、同じ部署の先輩の名前を挙げた。
「年齢が遠くない先輩として、佐藤康幸さんは仕事ぶりを見て“すごいな”と思いますし、尊敬しています。オンとオフというか、集中する時とリラックスする時の切り替えがすごいと思います」
土木の現場は外仕事も多く、天候や自然環境の変化によって作業内容を柔軟に変えることが求められる。
「急なトラブルや追加対応があっても、佐藤さんは焦らずテキパキと対処されます。普段のコミュニケーションも柔らかくて、一緒の現場になったときも協力会社さんを含めて雰囲気が良いんです」
そんな先輩の背中を近くで見ながら、一歩ずつ着実に成長を重ねている。
いい仕事を通じて「選ばれる会社」でありたい
「新潟県下には多くの建設会社があります。それぞれの商圏はありますが、その中で“新発田建設に任せたい”と思ってもらえることが大事だと思っています」
自身の担当する土木という分野は、地域のインフラを支える仕事。エリア単位で請負からこそ、その後のメンテナンスにも対応できるという合理性もあるが、
「競争になったときに負けられないという気持ちはあります。でも、勝負というより“やっぱりシバケンにお願いしたい”と思ってもらえるような仕事をしたいです。僕自身の性格として負けず嫌いな部分もありますが、どちらかといえば“いい仕事”をすることで、新発田以外でも選んでもらえる。そんな存在になりたいです」
現場は毎日違う。天気も地面の状態も変わる。だからこそ面白さがある。
「大変なこともありますけど、完成したときの達成感が一番のやりがいです。自分の関わったものが形に残るって、やっぱり嬉しいですね」
まだ監督業3年目。覚えることは多いが、確実に“現場を動かす人”として成長している。
新発田建設の次代を支える若手として、今日もまちの足元を整えている。