こんにちは!Quantstampにて、リサーチ・PRを担当する増渕大志です。
以前の投稿に引き続き、この記事ではQuantstampが「いったい何者なのか」をお伝えするため、今まで歩んできた道のりをお話していきます!第二弾の今回は、日本進出を果たしてから現在(2020年)に至るまでの総まとめ&これからのブロックチェーン業界へQuantstampがどう向き合っていくかについて触れていきます。
第一弾は、Y Combinator卒業から日本進出が決定するまでのストーリーで構成されているので、まだ読んでいない!という方は以下よりぜひ一読ください。
2019’s Blockchain
2019年2月、Quantstamp Japanの設立を正式リリースしてから、ありがたいことに様々な業界・業種の方々と交流する機会を頂き充実した1年となりました。また、Quantstampグローバルチームにおいても、ドバイが国家単位で推し進めるブロックチェーン戦略の一角「Smart Dubai Global Blockchain Challenge」で優勝を収めるなど躍進の1年となりました。
国内では、スタートアップからエンタープライズまで企業規模に関わらずプロジェクトを推進し、既にリリースさせていただいただけでも以下3社様との事業に関わらせていただきました。
FiNANCiE
Quantstamp Japanにとって初の国内案件となったFiNANCiEさんとの取り組みを6月にリリースしました。
メタップス
メタップスアルファさんが開発・運営するNFTマーケットプレイス「miime」のセキュリティー監査完了を9月にリリースしました。
Klaytn (カカオ)
韓国を中心にメッセージングアプリ「カカオトーク」を運営するKakaoの、ブロックチェーンプラットフォーム「Klaytn」のセキュリティー監査を実施しました。
SCSA、富士通R&D、Decrypt Tokyo
私たちが中心となって設立した「スマートコントラクト・セキュリティー・アライアンス (SCSA)」に富士通R&Dセンターさんを迎え、アライアンスとして活動の幅を広げる年にもなりました。
SCSAでは、ブロックチェーン業界におけるセキュリティーの定義を議論し、「何が安全で、何が安全ではないか」に関する解析度をあげていくことを一つの目的としたアライアンスです。
日本でもブロックチェーン業界は着実に成長を遂げていますが、こういったスタンダードをリーダシップをもって世界に提唱していくことの価値は大きいと信じています。そういった面でも、富士通さんのメンバーとしてのご加入は心強く、2020はアライアンスとしても成長できることを目指していきます。
具体的な富士通さんとの取り組みに関しては、JETROさんの企画にて対談させていただいているのでぜひご一読いただけると幸いです!
昨年7月にブロックチェーン人材育成を目的としたハッカソン「Decrypt Tokyo」を共同主催しました。計100人を超える学生・社会人の皆さんにご参加いただき、改めて日本におけるブロックチェーンのこれからが明るいことを認識するきっかけとなりました。
日本から世界のブロックチェーン業界にムーブメントを広げていくために、あえてブロックチェーン初心者・中級者を対象としたハッカソンとした「Decrypt Tokyo」。
他分野・他業界からブロックチェーン業界へと繋げる「きっかけ」となったと自負しています。今後も、ハッカソン・ミートアップなどを通し国内ブロックチェーンを盛り上げていきたいと思います。
ブロックチェーンの世界を主体的に見るために
上述通り、弊社では「セキュリティー監査」という立場であらゆる企業様とプロジェクトを共にさせて頂いています。
とはいえ、2019年は常に監査する立場というわけではありませんでした。
各プロジェクトが実際に何を目的に、そしてどのようなビジョンを持って設計されているのか、プロジェクト側の立場に立った理解を常に持ち合わせることも重要だと考えます。
弊社ではセキュリティー監査をして終わりではなく、最初から最後まで包括的なソリューション提供をしていますが、これは各プロジェクトが持つビジョンへの想いへの共感無くしては不完全なものとなってしまいます。(詳しくは弊社サイトをご覧ください)
ではプロジェクトの理解を主体的に深めるためには何をするのがベストアンサーでしょうか。それは、1ユーザーとして実際に利用してみることだと私たちは考えます。
昨年11月、その一環の活動がBBCやForbesなどに取り上げられました。 The Fabricant社がデザインしたNFTベースのデジタルドレスを購入した私たちは、実際にNFTを所有することで、NFTが実際にどう利用されていくのか当事者側として考える機会となりました。
ブロックチェーンアプリケーションはどれだけセキュリティーが堅固であると主張しても、実用性が無ければ意味がありません。私たちもセキュリティーだけに目をつけていると、もちろん短期的なビジネスとしては成り立ちますが、その姿勢では中長期的には成り立たなくなるのは明白でしょう。
では、2020以降、まず始めに到来するであろう実用性のあるマーケット・アプリケーションはどのセクターとなるでしょうか。私たちが2019年を含んで今まで、監査側・ユーザー側として感じたことをもとに分析しています。
2020年は分散金融の幕開け
ConsenSysメディアでも語られていましたが、昨年ブロックチェーン業界で最も成長を見せたのはNFTマーケット、そして何より金融マーケットだったことは断言できるでしょう。これは上述したように、監査・ユーザー側どちらの立場からも感じれることです。
そもそも「金融×テクノロジー」はFinTechの世界で、長年にわたって取り組まれてきたものです。そのため、元を辿ればビットコインの誕生から、ブロックチェーンと金融の出逢いはごく自然だったと言えます。
この歴史的に見て閉鎖的だったファイナンスの世界に透明性を持たせていこうというものが、ブロックチェーンの世界では、「Open Finance (オープンファイナンス)」や「Decentralized Finance (DeFi)」と呼ばれ、まさにブロックチェーンの持つ性能とマッチした、というわけです。
さて、金融商品を扱ううえで最も求められることは何でしょうか。金融商品は一言で表現すれば当たり前ですが「お金」です。あえて言い換えれば、何かしらの信頼によって「価値」を帯びているもの、ということになります。
この文脈で考えれば、当然そこには「セキュリティー」対策がしっかりと施されていることが求められるのは明白です。例えば、日本の送金系FinTechで代表格といえば、Yahoo!の「PayPay」やメルカリの「メルペイ」が挙げられますが、利用者側としてみれば「使っても“必ず”安全である」ことが前提条件となっています。(経済産業省)
これは2017年に経済産業省によって言及された政策資料でもはっきりと述べられています。しかし、もはやFinTechの世界においては(ブロックチェーンはFinTechの一つとも捉えられますが今回はあえて別のセクターと捉えて話を進めています)「実際に安全かどうか」などもはや利用者側にとっては考えるまでも無くなっているのが事実でしょう。便利なものがリリースされたなら、とりあえずは使ってみようという領域に到達しています。
これは遡れば、PayPalなど「金融×テクノロジー」のパイオニアたちが世の中に作り上げてきた「信頼」です。つまり、上図でFinTechの課題として「消費者の最大の不安はセキュリティー」と書かれていますが、実世界でその観点を持つ消費者はマイノリティーでしょう。マジョリティーの脳内には、前提として安全であることが刷り込まれています。
さらに言えば、私たち大多数はFinTechが技術的にどう動いているのかなど気にしません。重要なのは「便利or不便」の2点です。
限りなくFinTechが取り組んでいることにオープンファイナンス、DeFiが近いと仮定すれば、この考えを踏襲することは非常に大切だと考えます。
つまり、オープンファイナンス・DeFiの成長を図るために、ブロックチェーンプロダクトにセキュリティー対策が施されていることが「あたりまえ」な雰囲気づくりが求められることになるでしょう。
2020’s Blockchain — “あたりまえ”な雰囲気づくりのために
2019年はあらゆる分野にて、ブロックチェーンプロダクトが形あるものに成長し、特に日本においては元号が令和に変わったことからか、2019(令和)がブロックチェーン元年だともいわれました。
2020年は、昨年の勢いをそのまま引き継ぎ、さらに国内だけにとどまらずグローバルに市場が躍進することが予想できます。
上述通り、確かにブロックチェーン元年にはNFT、DeFi、その他たくさんの目に見える成果が生まれましたが、ひとたびブロックチェーンを外野から見れば、まだ身をもって何か「体験」できるまでに変化を遂げているとは言えません。
つまり、セキュリティーやUIUXが整っていることは当たり前であり、ユーザー側からすれば、早く実際に利用できる環境と安全という「雰囲気」を提示してくれよ、といった状況なわけです。
特に2020は、COVID-19により全ての常識が一から見直される中、ブロックチェーン業界が単体で注目されるケースも多く増えるでしょう。私たちQuantstampにとってみれば、その雰囲気をパイオニアとして作り上げていく使命を感じています。そのためにも、Quantstampでは今までテクノロジーが「信頼」を勝ち取るために歩んできた道を踏襲し、何が私たちにできる最大のソリューションなのかを常に考え行動し、日々過ごしていきたいと思います。
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