幼い頃から乗り物が好きで、高校時代は自転車競技部の選手としてインターハイにも出場した岩﨑さん。
葛西工科高校 デュアルシステム科による職場体験をきっかけに並木盛自動車を知り、高校卒業後、葛飾サービスセンターのメカニックとして働き始めました。
入社当初は、車の構造も、工具の扱いも、体力の使い方も分からないことばかり。
それでも、先輩から仕事を任され、一つずつできる作業を増やしてきました。
若手メカニックが感じる成長の実感と、Alfa Romeoを整備する面白さについて伺います。
目次
- 第1章 自転車競技から、メカニックの道へ
- 第2章 入社の決め手は、車種の幅と工場の美しさ
- 第3章 すべてが分からなかった、入社1年目
- 第4章 任される仕事が増えるほど、成長を実感する
- 第5章 流れ作業ではない。アルファロメオと向き合う面白さ
- 第6章 整備の知識を、次のキャリアにも生かしたい
- 編集後記
第1章 自転車競技から、メカニックの道へ
ーーー まず、岩﨑さんご自身について教えてください。子どもの頃から車に興味があったのでしょうか。
岩﨑さん:
車だけというより、昔から乗り物全般が好きでした。
電車も好きでしたし、高校では自転車が好きで自転車競技部に入っていました。
ーーー 葛西工科高校を選んだ理由も、自転車競技部だったそうですね。
岩﨑さん:
はい。
東京都内で自転車競技部がある高校が少なかったので、それが学校選びの大きな理由でした。
高校3年生の時には、団体でインターハイにも出場しました。
ーーー 競技の道を続ける選択肢ではなく、就職を選んだのはなぜですか。
岩﨑さん:
自転車は好きでしたが、競技で仕事をしていくというより、現実的には就職しようと考えていました。
専門学校に進むことも考えましたが、どこで何を学びたいかがはっきりしていない状態で進学するより、まず働いた方がいいと思いました。
進路について、親や先生から強く何かを言われたわけではありません。
親からも「自分で決めていい」と言われていましたし、これまでも自分のことは自分で決めることが多かったです。
第2章 入社の決め手は、車種の幅と工場の美しさ
ーーー 並木盛自動車を知ったきっかけを教えてください。
岩﨑さん:
高校のデュアルシステム科で、実際の企業に行って仕事を体験する機会がありました。
その中で並木盛自動車を知りました。
何社か職場体験に行きましたが、もともと乗り物が好きだったので、自動車関係の企業は特に意識して見ていました。
ーーー 複数の企業を見た中で、最終的に並木盛自動車を選んだ理由は何だったのでしょうか。
岩﨑さん:
ボルボやアルファロメオなど、輸入車を扱っていて、いろいろな車種に触れられるところに魅力を感じました。
高校の先輩からも「並木盛自動車では、さまざまな車を触らせてもらえる」と聞いていました。
特定の作業だけではなく、幅広い経験ができそうだと思ったんです。
ーーー 工場の印象も良かったそうですね。
岩﨑さん:
はい、そうですね。
ほかの企業も見ましたが、並木盛自動車の工場はきれいに整えられていると感じました。
職場体験の時から、朝礼前に工場やショールームを掃除していましたね。
何より自分たちが毎日使う場所ですし、お客様の車を預かる場所でもありますので。
きれいに保つことを大事にしている会社なんだと、率直に感じました。

作業に勤しむ岩崎さん
第3章 すべてが分からなかった、入社1年目
ーーー 高校卒業後、実際にメカニックとして働き始めて、最初はどんなことに苦労しましたか。
岩﨑さん:
本当に、全部です(笑)
車の詳しい構造も分かりませんでしたし、知識だけではできないことがたくさんありました。
作業には感覚や経験も必要です。
固く締まったネジを緩めることや、タイヤの重さにも驚きました。
最初は力も足りなくて、「このままでは駄目だ」と思い、体力をつけるためにトレーニングも始めました。
ーーー 技術や知識は、どのように身につけていったのでしょうか。
岩﨑さん:
現場で教えてもらいながら、資格の勉強もしました。
3級整備士の講習では教材をもらい、先生の説明を聞きながら勉強しました。
実際の作業では、同じように見える仕事でも、車によって違う部分があります。
最初は覚えるだけで精いっぱいでしたが、少しずつ経験を積み重ねていきました。
ーーー 入社前のイメージとのギャップはありましたか。
岩﨑さん:
仕事の大変さはありましたが、会社や職場について大きなギャップはありませんでしたね。
職場体験で工場の様子を見ていたことも、何事も丁寧に教えてくれる工場長や高校の先輩が職場にいてくれたことも大きかったと思います。

入念にチェックをする岩崎さん
第4章 任される仕事が増えるほど、成長を実感する
ーーー 現在は、どのような作業を任されていますか。
岩﨑さん:
今は、法定点検や車検、新車の納車前整備などを担当しています。
ディーラーオプションの取り付けや、取り付け後の動作確認も行っています。
部品交換では、ベルトやエンジンマウント、ウォーターポンプなど、以前はできなかった作業も少しずつ任せてもらえるようになりました。
ーーー 「成長した」と感じるのは、どんな時ですか。
岩﨑さん:
やはり、できなかった作業ができるようになった時ですかね。
工場長や先輩から仕事を任せてもらえることも、成長を感じるきっかけになります。
初めての作業でも、二人がサポートしてくれますので、本当に感謝しています。
教えてもらいながら自分でやり切ることで、次は一人でできるようになる、という成長の好循環を実感しています。
ーーー 作業の進め方にも変化はありましたか。
岩﨑さん:
最初の頃は、工具や部品を落とさないようにするだけでも緊張していました。
今は、マグネットの付いた工具を使ったり、作業する場所に合わせて準備したり、失敗しないための工夫ができるようになりました。
一度うまくいかなかったことがあれば、「次はどうすれば同じことを起こさないか」を考えるようにもなりました。
やってはいけないことも含めて、経験の中で覚えてきたと思いますね。

真剣に作業に取り組む岩崎さん
第5章 流れ作業ではない。アルファロメオと向き合う面白さ
ーーー アルファロメオを整備する面白さは、どのようなところにありますか。
岩﨑さん:
車ごとの個性が強いところです。
例えば、ジュリア GTAのような特別なモデルや、カスタム・チューニングされた車に触れられることもあります。
今は車もデジタル化が進んでいて、専用のコンピューターが故障箇所や不具合の箇所を一定程度特定してくれるのですが、それでは決められた作業を流れ作業のように進めるというような単なる作業になりがちなんですよ。
それよりかは、車の特性や個性、お客様の使用状況によって生じる違いを感じながら、「なぜこの状態なのか」「どこに原因があるのか」と考えながら進めることが自分には合っていると感じています
ーーー 難しい分、苦労することも多いのではないでしょうか。
岩﨑さん:
もちろん、イタリア車、アルファロメオ、という特性上、作業している最中は、「なぜだろう」と悩むこともあります。
ですが、考えながら作業に没頭し、最後にきちんと直せた時は相当な達成感がありますね。
作業中は大変でも、終わって振り返ると「面白かったな」「やりきったな」と思えるんです。
ーーー 一台を一人で担当することも多いのですか。
岩﨑さん:
お陰様で今は点検や交換作業などは、基本的に一人で担当することが多いです。
もちろん難しい作業では先輩に確認しながら作業をしますが、一台の車を自分で最後まで見られることは、責任もありますし、成長にもつながっています。
第6章 整備の知識を、次のキャリアにも生かしたい
ーーー 今後、どのようなキャリアを考えていますか。
岩﨑さん:
今は整備士として経験を積んで、目下は2級整備士の資格取得に邁進していますが、将来ずっと整備だけにこだわっているわけではありません。
人と話すことも好きなので、整備の知識や経験を持ったうえで、営業や接客の仕事に挑戦することにも興味があります。
まだ具体的に決めているわけではありませんが、将来的には挑戦してみたいですね!
ーーー 仕事以外でも、人と関わる機会は多いのでしょうか。
岩﨑さん:
地元が浅草で、青年部の活動を手伝うことがあります。
三社祭を筆頭に、地域のお祭りや行事は好きなので、運営などにも関わっています。
仕事では工場の中にいる時間が長いですが、地域の活動ではさまざまな人と話す機会がありますね。
そういう経験も、今後に生かせたらと思っています。
ーーー 最後に、整備士を目指している学生の皆さんへメッセージをお願いします。
岩﨑さん:
車や乗り物が好きなら、整備士の仕事を選択肢に入れてほしいと思います。
ただ、好きなだけではなく、仕事として責任が伴います。
車は人を乗せるものですし、整備士はお客様の命や安全に関わる仕事です。
安心して、安全に乗っていただける状態でお返しする。
その責任を理解したうえで挑戦すれば、成長もやりがいも感じられる仕事だと思います。

言葉は穏やかだが内に秘めたる熱い想いを語ってくれた岩崎さん
編集後記
取材の中で印象的だったのは、岩﨑さんがアルファロメオの整備について、迷いなく「悩みながら作業する方が面白い」と話していたことでした。
効率だけを考えれば、答えがすぐに分かる方が良いのかもしれません。
しかし、原因を考え、仮説を立て、自分の手を動かし、最後に車が正常な状態へ戻る。
その過程に、メカニックという仕事ならではの面白さがあります。
高校卒業時には、車の構造も工具の扱いも分からなかった岩﨑さん。
今では、点検や部品交換、新車の納車前整備まで任されるようになりました。
その成長の背景にあるのは、本人の努力だけではありません。
若手に仕事を任せ、初めての作業には先輩が付き、失敗から次の工夫を考えられる環境があります。
「乗り物が好き」という原点から始まったキャリアが、これからどのように広がっていくのか。
岩﨑さんの次の挑戦も、楽しみにしたいと思います。