円安に後押しされ、グローバル企業の多くが好決算となっている一方で、国内市場を主に事業展開をしている企業は、円安や資源高で向かい風の状況となっています。
社会生活では、物価は上がるが給与(賃金)は上がらない「スタグフレーション」に、今の日本はなりつつあると言われています。
この30年間、日本の物価は上がっていなく、10年前からは先進国に比べて日本の物価は安すぎるということが言われてきました。そのため、物価が上がることは許容すべきことと思いつつも、円安や資源高による原材料価格の高騰が原因なので、値上げが企業の収益性を上げることにはつながらず、デフレの根本的な解決にはなっていません。
コストの上昇分は価格に転嫁されるという「フェアプライシング」という考え方が、日本社会で認められない限り、商品やサービスの価格を上げることは難しく、これは企業が抱える大きな問題でもあります。
健全な物価の上昇が健全な給与の上昇に結び付くということにならないと、生活者にとっては厳しい状況となり、それがまさに今起こる兆しを見せています。
給与については、人手不足ということもあり、パートスタッフの時給の上昇や転職者の年収のアップが実現していますが、既存社員の給与は会社の業績により変動しているので、給与のベースアップがなされているとは言えません。
1990年代は、日本企業の生産性と給与水準は世界トップクラスでしたが、今では先進国の中でも下位に位置するようになりました。そのため、日本企業の優秀な人材が、給与水準の高い欧米企業へ転職する傾向に拍車がかかっています。
日本の多くの経営者が、「自社の商品・サービスの価格を上げて、社員の給与も上げたい」「人をすり減らして利益を上げる経営から脱したい」と切に思っていますが、縮小している市場での競争の中、その糸口が見つけられないというのが現実です。
岸田内閣の掲げる「新しい資本主義」では、「成長と分配の好循環」がコンセプトとして掲げられています。
成長がないと分配はできないので、まずは成長を考えないといけないのですが、需要がないと成長できません。だから、新しい資本主義とは“新たな需要をつくること”だと言えます。
90年代から現在までのアメリカの社会経済を見ると、ベンチャー企業が新たな産業を生み、新たな需要を生み出していることがわかります。デジタル庁によると、全企業の総時価総額におけるスタートアップの割合は、日本が1%で、アメリカは31%にもなります。これがまさに、アメリカが成長を続けて、日本が停滞をしている理由です。
日本の需要創出はベンチャー企業にかかっていて、需要創出による成長が多くの社会経済の問題を解決することになります。そういう意味で、私たちベンチャー企業の活躍は日本にとってとても重要です。使命感を持って経営に努めていかないとと思うばかりです。
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