こんにちは、ジコウです。
この連載【ジコウでの“はたらく”を解剖してみた】では、私たちが日々の仕事を通じてどんな価値観を大切にしているのかを、少しずつ、言葉にしてお届けしています。
前回の記事では、私たちが「学び方を学ぶ場」というカルチャーを掲げている理由を掘り下げました。今回は、そこから一歩踏み込んで、そのカルチャーを具体的に支える「人材ポリシー」のお話です。
目次
- ジコウには、4つの人材ポリシーがあります
- ポリシー①:学習柔軟性──“知らない”は武器になる
- 「学習柔軟性」がある人って、たとえばどんな人?
- ポリシー②:ネガティブ・ケイパビリティ──“わからなさ”の中にとどまる力
- 「ネガティブ・ケイパビリティ」は、味わう力
- じゃあ、ジコウではどんな人が活躍できるの?
- まとめ:変化の中で、じぶんを育てる場所へ
ジコウには、4つの人材ポリシーがあります
平田:
前回もお話したように、私たちは「学び方を学ぶ」ことを組織として大切にしています。ただ、これは“ただのスローガン”ではなくて、日々の行動や思考のベースになるような、具体的な行動指針を持ちたいと思っているんです。
そこで、私たちは4つの人材ポリシーを掲げています。今回はそのうちの2つ──「学習柔軟性」と「ネガティブ・ケイパビリティ」について、お話できればと思います。
ポリシー①:学習柔軟性──“知らない”は武器になる
永尾:
まずは「学習柔軟性」から。これってどういう意味なんでしょう?
平田:
ざっくり言うと、“学び方を変える力”ですね。何かが「できない」のではなくて、「やったことがない」だけ。だったら、やってみて、その中から何かをつかめばいい──そういう姿勢のことです。
たとえば、社会のルールって、けっこう頻繁に変わりますよね。かつては暗記や計算が得意な人が評価されていたけど、今は「問いを立てる力」や「探求心」が大事になっている。そんな時代の中で、学び方も変えていかなきゃいけない。
永尾:
固定観念にとらわれず、「もっと良い方法があるかもしれない」と目を開いておく、ということですか?
平田:
まさにそうです。「こうやるべき」と思っていたやり方を手放して、新しいやり方を受け入れる。それって、けっこう怖いことなんですよ。でも、その怖さの向こう側に、学びのチャンスがあると思っています。
「学習柔軟性」がある人って、たとえばどんな人?
平田:
たとえば、ある記事で読んだ話なんですが、牡蠣の養殖業を営んでいる方がいて、コロナ禍で誰も食べに来てくれなくなったんです。でも、その人は「牡蠣は店で食べるもの」という前提を一度壊して、家庭用パックにして通販で売るようにした。結果、売上の98%を回復したらしいんです。
永尾:
おお、それは柔軟ですね。
平田:
自分の常識や経験を超えて、新しいやり方に手を伸ばした瞬間ですよね。ジコウでも似たような話があって、たとえば「科学機器人材センター」っていう事業、私たちは最初、科学機器のことを何一つ知らなかった。でも、「知らない=悪」じゃなくて、「知らない=聞けばいい」と発想を切り替えた。
永尾:
自分でなんとかしようとするのではなく、わからないなら誰かに聞くという発想ですね。
平田:
そう。自分たちが知らないことを素直に認めて、むしろ“知らないからこそ聞ける”。そんなふうに発想を変えられることこそが、学習柔軟性だと思っています。
ポリシー②:ネガティブ・ケイパビリティ──“わからなさ”の中にとどまる力
永尾:
もうひとつのポリシー「ネガティブ・ケイパビリティ」も、なかなか聞き慣れない言葉ですね。
平田:
そうですよね。これは簡単に言うと、「答えが出ない状況の中でも、そこで踏みとどまって考え続けられる力」のことです。『ネガティブ・ケイパビリティ』という本の中では、「どうしても答えが出ない問題を抱えたまま、その場にとどまり、受け入れ、前に進む力」と書かれています。
永尾:
なるほど、複雑な状況に耐える力、ですね。
平田:
はい。現代はとにかく複雑で、変数も多い。Googleで調べれば“それっぽい答え”は出てくるかもしれないけれど、人生の問いとか、人と人との関係の中にある答えって、そんなに簡単に出るものじゃない。だからこそ、わからない状態にとどまって考え続ける、という姿勢が必要なんです。
「ネガティブ・ケイパビリティ」は、味わう力
平田:
この力って、いわば“プロセスを味わう力”だと思っています。ゲームだって、ラスボスを倒して終わりじゃない。むしろ、ポケモンでいうと序盤の「たけしを倒す」みたいな小さなイベントを一歩ずつクリアしていく過程が面白い。
永尾:
なるほど、ゴールだけじゃなく、途中の発見や感情に価値があると。
平田:
そうです。たとえば私、ベンチプレス100kgを目指してトレーニングしているんですけど、今は95kgまで来てるんですね。目標には届いてないけど、70kgから25kg伸びたこと自体が、小さな成功体験。これをちゃんと味わうことが、次の挑戦につながると思ってます。
じゃあ、ジコウではどんな人が活躍できるの?
永尾:
ここまでのお話を聞いていると、ジコウって「完璧な人」よりも「問い続けられる人」「学び続けられる人」が活躍できる場なんだなって思いました。
平田:
本当にその通りです。「わからない」にちゃんと向き合える人。「できない」を「まだやってない」に変換できる人。そんな人が、一番輝ける場所にしたいと思っています。
まとめ:変化の中で、じぶんを育てる場所へ
学び方に正解はありません。
でも、変わり続ける社会の中で、“学び方を変えていく”ことは、きっとこれからもっと大切になるはずです。
「知らないことを認められる柔らかさ」と
「わからない状況にとどまり続けられる粘り強さ」。
この2つの姿勢を、私たちは“ジコウらしさ”として大切にしていきたい。
そして、こうしたポリシーが、現実の仕事やチームづくりの中でどんな風に根づいているのかを、これからも少しずつ紹介していきたいと思っています。