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人の違いか文化の違いか?海外の新築住宅とリフォームの動向について

日本の住宅事情を予測する時、過去の統計のみを目安にするのは、少々データ不足とも思われます。と言うのも住宅事情は様々な影響を受けて来たからです。そして、それは住宅のスタイルから考えて、海外の文化の影響も多いと思われます。
さて、現在の日本の住宅事情はあまり良い未来が見えません。しかし、何等かの対策は当然に必要と言えます。そして、そこには海外の住宅事情にヒントがあるのかも知れません。
そこで、ここでは海外の新築住宅とリフォームの動向について紹介します。

海外との比較

日本と海外の住宅事情を数値だけで比較するのは乱暴な論理ではあるのですが、参考にならない訳では無く、人や文化の流入を考えるならば避けて通るべきでは無いと言えます。もしかすると、それは参考程度に留めるのがベターかも知れないのですが、覗いてみると面白い動向が分かるのも確かです。
さて、ここでアメリカの動向を見てみましょう。
アメリカは日本との人口比を考えるならば2倍超、人種も民族も多種多様です。しかしながら住宅の新築住宅の着工数は100万戸程度とも言われ、100万戸近辺で推移している日本とはあまり変わらないと言えます。
しかし、中古住宅に目を転じるのであれば、その差は歴然です。アメリカの中古住宅流通量は500万戸のレベルであり、日本の50万戸のレベルの10倍にもなる数値だからです。
当然ながら、アメリカ人も中古住宅をリフォームして使うので、リフォームの市場もそれに合わせて巨大になるとも思われます。
ちなみに、日本の住宅も近年になってリフォーム・リノベーションの動きが活発になり、リノベーションに至っては注文住宅のレベルに達するとも言われる様になりました。また、特に若い世代を中心に中古のリノベ物件を購入する動きが出ています。
しかし、それでも日本の中古住宅の流通量はアメリカの流通量の足元にも及ばず、依然として新築の方が好まれているのです。
尚、ヨーロッパ諸国もアメリカとは違いますがリフォームの比率は日本よりも高いです。もしかするとですが、新築住宅を好むのは日本人の「特異な文化」なのかも知れません。実際、海外の紀行番組などを見ると、ヨーロッパ中世の音楽家の家が保存されていたりするものです。やはり文化の違いは大きくある様子です。

海外と日本の背景の違い

アメリカと日本の違いを中心に取り上げましたが、この違いには住宅を取り巻く環境が少なからず影響しているとも考えられます。
それでは、どの様な相違があるのでしょうか。代表的な物を列挙してみましょう。

地震

まず挙げられるのが地震の数と規模です。
日本は世界でも稀に見る地震大国ですが、これを逆から考えると海外の国々…特にアメリカを代表する大陸の国は、地震が非常に少ないと言えます。
当然ながら地震がほとんど無いことは、建物に与えるダメージも少ないことでしょう。
ちなみに、「3匹の子豚」という童話がありますが、その童話を見るならば「木の家」よりも「レンガの家」が強いとのエピソードがあります。それは多分、欧米での話だから成立したとも思われます。と言うのも、耐震性を考慮するならば木造の方がレンガ造り(当然鉄筋などは入っていません。)よりも優れる訳です。大きな地震が来たならば、レンガの家は崩れ去る…という顛末も考えられるでしょう。…日本とは家に対する考え方が決定的に違うのかも知れません。

塩害

塩害は住宅を痛めます。特にネジやクギなどはダメージを受けてしまいます。腐食したネジやクギは強度が著しく落ちてしまい、実用には耐えられなくなってしまいます。
さて、日本の国土は大陸に比べて塩害を受けやすいと言えます。四方を海に囲まれた島国は、やはり不利なのです。
確かに今の建築部品は塩に対する考慮がされているのですが、住宅に対する考え方が出来た古い時代には、住宅部品は腐食する物…腐食する危険性のある家は建て替えられなければならない物…と認識されていたのかも知れません。
しかし、大陸の国々の人々にとっては、この考えは無用。金属部品でも安心して使えたのかも知れません。

法的制限

新築住宅の扱いが日本と違う国があります。
例えば、イギリスでは建築規制が厳しく、新築の供給が限られていることも。こうなると既存の街には住宅が建てられなくなり、必然的にリフォームで対応しなければならなくもなります。
世界には都市計画を大切にして法律で縛ってしまう街も多も多いのかも知れません。リフォームが優先される様になる土壌が培われることも考えられます。

国民性

新しい物を好むのは日本人の特性かも知れません。実際、不動産の他にも自動車でも家電でも新品の方が喜ばれます。通販サイトなどでは中古品も多く扱ってはいるのですが、やはり新品の人気は高いです。
しかし、これは海外では事情が違うのかも知れません。新しさよりもコストを優先させる人口が多くても不思議は無いのですから。

まとめ

日本と海外の住宅の動向を比較してみました。「新築」「中古」の捉え方に違いがあることが把握出来たと思います。
この海外との差異が日本の住宅市場にどの様に作用するかは不明です。しかし、知識は邪魔にはなりません。海外に目を向けて住宅やリフォームの文化を勉強するのも、ためになることと思います。

※参照記事 欧米との比較における日本の住宅市場の特徴

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