私はどんなインパクトを与えられるのか…司法書士を経てスタートアップ法務になったメンバーが語るアーバンエックス【社員インタビュー vol.8】
アーバンエックステクノロジーズの社員を紹介するインタビュー。Vol.8は、法務担当として2022年10月に入社した山崎梨紗さんにお話を伺います。まだ従業員数10人程度のスタートアップとはいえ、法務は手を抜けない領域である当社。法務という仕事に就くまでの経緯から、今アーバンエックスで働くことを選んだ理由まで深掘りさせてもらいました。
山崎梨紗さん
法務担当。新卒でSIerに入社し、営業担当を経て、一念発起して難関資格である司法書士を目指す。派遣社員として働きながら行政書士、そして司法書士に合格し独立。その後、スタートアップ企業に転職し一人目法務として、法務機能の立ち上げから参画。2022年10月、アーバンエックステクノロジーズに入社。社会人として働く側らNPOの代表としても活動を続ける。
教育への関心から、NPO/NGOに関わる学生時代
— 最初のキャリアは、意外にもSIerからスタートとのことですが、どのような経緯だったのでしょうか?
そうなんです。教育学部を卒業し、SIerで営業担当になりました。大学時代は社会教育に興味を持ち、特にICTを使って時間や場所を問わない教育のスタイルを確立することに興味があったため、IT業界に入ることにしました。
実は教師の多い家系の生まれで、両親も教員なんです。だからこそ、「自分は教師以外の方法で教育にアプローチしてみたい」と思うようになり、最終的には教員免許を取らずにそのまま就職することになりました。また、ゼミでNPO/NGOの役割に関する研究を行ったのがきっかけで、学生時代から今日にいたるまで常に何かしらのNPOに所属して活動しています。現在は自分が代表を務めるNPOが一つ、役員を務めているNPOが一つの計2つで活動中です。
— 私も両親の職業はあえて真似なかった経緯があるので共感してしまいます。SIerでの勤務は、山崎さんにとって良くも悪くも転機になったようですね。
当時は今のような働き方改革といった社会の動きもなく、働き方は過酷でした。先輩よりも先に帰れなかったり、新人が土日の作業に優先的に回されたり、女性のみならず同期のみんなにとって働きやすい環境ではなかったですね。パワハラも日常茶飯事でした。
そんな環境の中、同期の相談に乗る延長で、労働トラブルの相談窓口となってくれるNPOと接点を持つ機会があったんです。そこで相談事にビシバシ回答している女性弁護士と出会いました。
彼女を見て、知識は誰かを守る力になる、ということを実感しました。元々、正義感が強い性格で、警察官も就職の選択肢に考えるほどだったので、困っている友人の相談に乗ることも多くありました。そんな時も、この弁護士の方のように「資格があればもっと人を助けることができるのかも」という思いから、司法書士を目指すことにしました。
目の前の人を助けたい…司法書士を目指す
— 司法書士といえば、合格率3%程度の難関資格ですよね。そこからどのように資格取得までのステップを踏まれたのですか。
本当は憧れた彼女のように弁護士も良いと思ったのですが、法学未履修者から司法試験を目指すのは難しいと考え、受験要件のない司法書士を選択しました。
そこからは資格勉強を中心に据えた生活です。派遣社員として働きながら予備校に通いました。
まずは、勉強を進める一環で行政書士の資格を取得。そうすることで、派遣の業務も法務関連のものにステップアップし、実務でも学習できるようになりました。これは偶然というよりは戦略的に考えて進めた結果で、合格後に独立するキャリアも見据えながら計算していたんです(笑)最初の会社で少し苦い社会人経験をしてしまっていたので、頭の中は「独立」一択で、どうやったら独立後も仕事をしていけるかを考えながら勉強していました。
— そこから念願の資格取得。素晴らしいですよね。その後、独立された後も意外な資格をいくつか取得されていますよね。驚きました。
当時暮らしていた川崎市の武蔵小杉で独立開業し、地域の中小企業を対象として登記などを受託する傍ら、せっかくならずっと関心を持ち続けているNPOの役にも立ちたいと考えていました。川崎市は市民活動が盛んな地域なんです。なのでNPO無料相談みたいなイベントを一人で開催して、地域の市民活動団体・NPOの知り合いを増やしていきました。その頃PRプロデューサーやファンドレイザー(資金調達)に関する資格を独学で取得しました。た
取得した理由としては、NPO向けの仕事が軌道に乗れば乗るほど、法律観点の相談事だけでなく、「人間関係」「人材不足」「広報活動」…と、徐々に相談内容が多岐に渡っていきました。これは今ある知識だけだと役に立てないと思い、目の前のお客様の役に立てるように取得した資格がPRプロデューサーやファンドレイザーなんです。
モチベーションの源泉は「どんなインパクトを残せるか」
— 徹底的にお客様のためになることを考えて行動していらっしゃるのですね!尊敬します。独立してお客様にも恵まれていたように聞こえるのですが、そこからまた企業で働こうというモチベーションはどこから…?
アーバンエックスの1つ前の会社は、社会的な意義が大きいと感じることができたスタートアップ企業でした。ちょうどコロナ禍になった2020年頃、NPOや中小企業は経営面で困り始めていた時期で、
そんな中で自分の出せる価値のインパクトの小ささ、一人で事業を行っている中でできることの少なさをじわじわと感じ始めます。NPOでの活動をずっと続けているので「社会にどのようなインパクトを生み出せるのか」ということをベースに考える癖がついているんですよね。
改めて、自身が生み出せるインパクトは?と問うた時、司法書士を10年経験してある程度一人でできることをやり切ったという感覚があったので、次はチームに参加して、大きなビジョンを目指してみようと思い立ちました。
とはいえ、久しぶりの会社員。まずは業務委託として慣れていくつもりだったのですが、前述したスタートアップでは代表の持っている大きなビジョンや、地方創生につながる事業そのものに魅力を感じ、ほどなくして社員として参画することになりました。
— 徹底的に社会やお客様に対しての価値を考える姿勢はNPO時代に培われたことがわかりました。そこからなぜ、今、アーバンエックスに?
前職と同様、ビジョン「都市インフラをアップデートし、すべての人の生活を豊かに」に対する共感があります。アーバンエックスの事業は地方都市のような、これから人口減少が見込まれる地域にとってインパクトが大きいと考えています。
その上で、代表の前田さんの人柄です。いつも楽しそうに事業について語っていて、人を惹きつけ、会社に期待感が持てたのが印象的でした。自分の仕事のスタイルとして、大きなビジョンを描くボスを支えながら付いていくみたいな感じが性に合っているので、代表がどんな方なのかは大きな軸です。
元々、車には縁のない生活をしていたので、道路に対して興味があったわけではないのですが、今年からたまたま車に乗る生活になりました。運転していると、道路の白線カスレが気になるようになったり、地方都市の知り合いとの会話で道路の大切さに気付かされたりと、事業自体へのコミットメントもじわじわ高まっているところです(笑)
スタートアップのカオスは楽しい!さらなる高みへ
— インタビューするとみんな前田さんの人柄については決め手になったと言いますね(笑)前職もスタートアップという環境で、今と近い部分もあったかと思いますが、業務として新しいチャレンジをするポイントはありますか?
元々ベンチャーのような環境は性に合っているようで、整った業務フローを運用するよりも何もないカオスなところから仕組みを整えていくのが大好きです。前職はある程度整えきったところもあり、アーバンエックスでまた一人目として法務をイチから立ち上げられるのは大きなやりがいです。
とはいえ、アーバンエックスには経験豊富な社員も多く、何もかもが整っていないわけではありません。みんなの仕事の基準が高く、Slackにも「基準が高い」のスタンプがあるくらいです(笑)
これからは、知的財産の管理の領域に挑戦していきたいと考えています。ソフトウェアに関する知財の知見はまだ多くないため、大学のスクーリングで授業を受けながら、キャッチアップをしているところです。
必要な知識はインプットしながらすぐに使う。この高速サイクルを回すことを「ひとりOJT」と呼んでいます(笑)
— 業務委託期間も経て入社されたのであまり感じないかもしれませんが、外から見ていたアーバンエックスと、入社後にギャップを感じたことはありませんでしたか?
法務の面でもそうなのですが、「思ったより整っている!」という印象です。やはり経験が多いメンバーが多いからだろうと思います。
スタートアップというと、代表が若く、伴って従業員の平均年齢も若いイメージをお持ちの方もいると思いますが、アーバンエックスは少し違うかなと言う印象です。ここは前田さんの素晴らしいところだと思うのですが、「自分には知らないことがある」という謙虚な姿勢を持って、自分を補ってくれる人を採用しようとしているのかな、と。結果的に、臆することなく自分と年が離れている人もフラットにチームに加えようとするマインドを持っているように思えます。
— 私も初対面の時から、謙虚な方だなあという印象でした。最後に、アーバンエックスでのこれからの意気込みを教えてください。
やはり、まずは知財の経験を積み重ねたいですね。また、最近はESG・インパクト投資やSDGsなど社会性の話題もベンチャー業界に欠かせないものとなってきています。NPOでの経験から得たインパクト評価や開示に関する経験も活かせると思っています。
知財・インパクト…両方の武器を使いながら、アーバンエックスが社会に与えられるインパクトを大きくしていくサポートができたらと考えています。
— 山崎さん、今日はありがとうございました!