働き方について、Ragate代表の益子竜与志ははっきりした立場を取っています。フルリモート一辺倒ではない、という立場です。
ただし、リモートワークを否定しているわけではありません。理由の立て方に、この人らしさが出ています。
仕事は、画面ではなく人と行うもの
2025年10月14日のブログで、益子はエンジニアとしての長年の経験から得た信念を書いています。どれだけ技術が進化しても、仕事の本質は人と人とのやり取りにある、と。
顧客の課題を理解するときも、チームで協力するときも、画面越しでは伝わりにくい微妙なニュアンスや、偶発的な会話が効いてきます。
そのうえで、フルリモート環境の「見えないコスト」が挙げられます。視野が狭まり、特に新入社員にとって厳しい環境になる。チームの雰囲気を把握したり、誰に相談すればいいかを見つけたりするのに、対面なら数日で済むことが、フルリモートでは数か月かかる可能性がある。
相互にサポートし合う関係の構築はチーム成果の基盤ですが、フルリモートではその機会が限られるため、一体感や協力体制が弱くなりやすい、とも書かれています。
結論は、オフィスでの対面コミュニケーションを基本としながら、リモートワークを戦略的に組み合わせることが最適解である、というものでした。現時点では対面コミュニケーションの価値を代替できる技術は存在しない、という判断です。
Ragateの案件の体制も、同じ順序で組まれています。常駐するかどうかを先に決めるのではなく、顧客の課題を解消できる最善の体制を組む。常駐はその選択肢のひとつ、という位置づけです。
週に3日、メンバーが自分でオフィスを掃除する
対面を基本にするなら、その場所の質が問われます。2025年10月21日のブログは、オフィス環境へのこだわりを扱っています。
Ragateでは週に3日、メンバーが自分でオフィスの掃除をしています。清掃業者に依頼せず自分たちでやる理由は、日々の清潔感への意識を全員が持つためです。他人任せの意識が、オフィスの汚れを招く。「自分が使った場所を自分で整える」という当たり前の行動が、仕事の進め方や責任感に直結する、という考え方です。
もうひとつがフリーアドレス制です。私物を机に置きっぱなしにする習慣を防ぎ、毎日の「リセット」という感覚を生む。今日使った場所は明日は別の誰かが使う、という意識から、きれいに片付けて帰るようになる。席が変わることで隣に座る人も変わり、メンバー同士のコミュニケーションが自然と生まれ、プロジェクト間の協力も促されます。
人形町という街を、意図して選んだ
オフィスの立地も、意図的な選択でした。
人形町は「人情にあふれ、グルメも甘味処も豊富」な街で、昼休みに老舗の和菓子屋や隠れた名店に出会える。周辺環境の豊かさはメンバーの日常の質を高め、リフレッシュにつながり、仕事のパフォーマンスに影響する、と書かれています。水天宮や小網神社など、商売の神様として信仰されてきた場所が近いことにも触れられています。
ただし、率直な但し書きもあります。将来の拡張を考えると人形町は広めのオフィスが限られるため、移転の可能性も視野に入れている、と。
オフィス環境へのこだわりは単なる快適さの追求ではなく、「組織の文化をつくり、メンバーの意識を高め、お客様への信頼を築くための土台」である、というのがこの記事の結論です。技術で課題を解決する企業にとって、その技術を支えるのは人的資本だから、という理由が添えられています。
関西の顧客が増えている。それでも支店はまだ
もうひとつ、場所にまつわる判断が2025年11月5日のブログに書かれています。関西支店の構想です。
ここ数か月、関西エリアからの問い合わせや新規取引が目に見えて増えている。特定のマーケティング活動の結果ではなく、ウェブサイトやイベント登壇、技術記事の発信を通じた自然流入です。既存顧客の口コミや、関西企業の課題と自社の強みのマッチングが背景にあると見られています。
現在は東京オフィスから関西の顧客を支援しており、新幹線での移動が常態化しています。メンバーの移動負担が増え、プロジェクトの品質やスピードへの懸念がある。顧客側も、より迅速なレスポンスと現地でのコミュニケーション頻度を望んでいる。
候補地として有力なのは大阪の梅田エリアです。新幹線アクセスに優れ、関西全域への拠点として機能する。
それでも、時期は未定と書いている
この記事が誠実なのは、結論を出していないところです。
オフィスを構えるだけでは意味がない、と益子は書いています。関西支店の最大の目的は質の高いサポートの提供であり、現地に常駐するメンバーと、地域の文化を理解したマネージャーが不可欠になる。東京メンバーの定期派遣では、現地の顧客との深い信頼は築きにくい。
関西の人材市場は東京と異なる特性があり、人柄、文化、コミュニケーションスタイルの違いを理解した採用活動が必要になる。理想は、大阪在住で現地の企業文化に精通したマネージャーを迎えることだ、とも書かれています。
そのうえで、設立時期は未定とされています。顧客の増加は事実だが、支店設立には相応のコストとリスクが伴う。判断基準は、大口顧客が増えるタイミングか、案件規模が一定のボリュームに達した時点。焦った拠点構築ではなく、事業の持続可能性と成長性を見極めたうえで実行したい、という結論です。
東京方式の押し付けではなく、地域特性を活かした運営を目指す、とも書き添えられています。
需要があるから即座に拠点を出す、という判断をしていない。この慎重さは、サーバーレスに早く賭けた人の姿勢と矛盾するようにも見えますが、根は同じです。確かめられる事実が揃うまで動かない、という点では一貫しています。