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世界の音楽ストリーミングの需要が急拡大
最新のデータによると、世界における音楽のオンデマンドストリーミング(オーディオ)が急速に成長していることが明らかになりました。2023年には1.99兆回だったストリーミング回数が、2024年には2.29兆回に達し、わずか1年で15.1%の増加を記録しました。このデータは、音楽の楽しみ方としてストリーミングがますます重要になっていることを示しており、今後もその需要が拡大し続ける可能性が高いと考えられます。
出典:2024 Luminate Midyear Music Report
2024年上半期の米国音楽ジャンルトレンド分析:ラテン音楽が急成長
2024年上半期、米国におけるオンデマンドオーディオストリーミングのジャンル別トレンドが注目を集めています。特にラテン音楽が急速に成長しており、2023年上半期と比較してシェアが0.51ポイント増加しました。これは、米国市場でのラテン音楽の影響力が拡大していることを示しています。
成長率が高いジャンルとして、ラテン音楽のほかにロック、ポップ、カントリー、クリスチャン/ゴスペルが挙げられます。これらのジャンルは、過去1年間で安定した成長を見せており、新たなリスナー層を取り込んでいます。
一方で、右のグラフでは、ジャンル別のオンデマンドオーディオストリーミング総量が示されています。ここで最も多くのストリーミング数を記録しているのはR&B/ヒップホップで、依然として圧倒的な人気を誇っています。ロックやポップも総量では高い位置にありますが、成長率ではラテン音楽に遅れを取っている状況です。
これらのデータから、音楽市場が多様化し、新しいジャンルが注目される一方で、既存の人気ジャンルも依然として強い支持を維持していることが浮き彫りになっています。特にラテン音楽の台頭は、今後の米国音楽市場における重要なトレンドとして注目すべきでしょう。
出典:Luminate Music Consumption Data
インディーズアーティストのシェアが市場全体で増加
以下の表は、インディーズアーティストの市場シェアが、すべてのストリーミング規模において増加していることを示しています。特に注目すべきは、ストリーミング回数に応じた異なる規模のティア(階層)で、インディーズアーティストのシェアが一貫して上昇していることです。
まず、100万回から1000万回(1M-10M)のストリーミングを記録した層では、インディーズアーティストのシェアが61.5%から62.1%へと0.6ポイント増加しました。この規模のティアでは、インディーズアーティストが市場の過半数を占めており、その存在感がさらに強まっていることがわかります。
次に、1000万回から5000万回(10M-50M)のストリーミングを達成した層では、インディーズアーティストのシェアが35.1%から37.4%へと2.3ポイント増加しており、中規模の市場でもインディーズアーティストの影響力が拡大していることを示しています。
5000万回から1億回(50M-100M)のストリーミング層でも、シェアが20.3%から22.1%へと1.8ポイント増加しており、この層でもインディーズアーティストが順調にシェアを伸ばしていることが明らかです。
特に注目すべきは、5億回以上(500M+)のストリーミングを達成した層において、インディーズアーティストのシェアが7.1%から9.9%へと2.7ポイント増加している点です。この結果は、トップティアの市場でもインディーズアーティストが着実に存在感を増していることを示しており、これまでの主流レーベルアーティストに対する競争力が強まっていることを示唆しています。
これらのデータは、デジタルプラットフォームを利用したインディーズアーティストが、自らの音楽を広め、成功を収めるための選択肢が広がっていることを裏付けています。市場の多様化が進む中で、インディーズアーティストの存在感が今後さらに強まることが予想されます。
出典:Luminate Music Consumption Data
ジャンル別のリリース年代構成
2024年上半期における米国のオンデマンドオーディオストリーミングデータは、ジャンルごとのリリース年代の構成に大きな違いがあることを示しています。このデータは、リスナーがどの年代の楽曲を好んで聴いているかを示すものであり、音楽業界におけるトレンドを理解する上で重要な情報です。
まず、ラテン音楽では、リスナーが比較的新しい楽曲を好んでいることがわかります。グラフでは、0~18ヶ月以内にリリースされた楽曲が他のジャンルと比較して多く、ストリーミングの35%がこの「Current」カテゴリに該当します。これは、ラテン音楽が常に新しいリリースによってリスナーを引きつけていることを示しています。
一方、R&B/ヒップホップのジャンルでは、18~60ヶ月前にリリースされた楽曲が全体の26.7%を占めており、新しい楽曲と少し古い楽曲のバランスがとれていることがわかります。また、最新の楽曲も引き続き人気であり、新旧の楽曲が共存するジャンルとしての特徴が表れています。
ロックのジャンルでは、60ヶ月以上前にリリースされた楽曲が全体の70.5%を占めており、最も古い楽曲が多く聴かれているジャンルであることが顕著です。これは、クラシックなロックが依然として多くのリスナーに愛されていることを示しています。
カントリーやダンス/エレクトロニック、ポップのジャンルでは、リスナーは新旧の楽曲をバランスよく楽しんでいる傾向があります。これらのジャンルでは、幅広い年代の楽曲が人気を集めており、特定のリリース年代に偏らない多様なリスニング体験が提供されています。
このデータは、各ジャンルにおけるリリース年代の構成がリスナーの嗜好を反映しており、音楽業界におけるマーケティングやリリース戦略に影響を与える要因となることを示しています。新旧の楽曲がそれぞれのジャンルでどのように消費されているかを理解することで、アーティストやレーベルは、より効果的なプロモーション活動を行うための指針を得ることができるでしょう。
出典:Luminate Music Consumption Data
米国音楽リスナーが利用するショート動画プラットフォーム:YouTube Shortsが急成長中
2024年第二四半期のデータによると、米国の音楽リスナーが利用するショート動画プラットフォームにおいて、TikTokが依然としてトップの座を維持しています。しかし、最も注目すべきはYouTube Shortsの急成長です。このプラットフォームは、2023年第二四半期と比較して2024年に最も大きな伸びを見せています。
TikTokは依然として約30%の使用率でトップを維持していますが、YouTube Shortsはその勢いを増しており、TikTokに次ぐ主要なプラットフォームとして台頭しています。この成長は、YouTubeの既存の巨大なユーザーベースと連動しており、特にショート動画を好む若年層にリーチしています。また、2023年2月にYouTubeがShortsでの広告収益化を強化したことも、クリエイターによる投稿が増加し、視聴時間やエンゲージメントの向上に繋がっています。さらに、TikTokに対する規制のリスクと、中国発アプリに対する米国の懸念が、YouTube Shortsの成長を後押ししている背景もあります。
Facebook Reelsも成長を見せており、アメリカ市場においてその存在感が増しています。日本ではFacebookの使用率が低い傾向がありますが、アメリカでは引き続き利用されており、特にリール機能が注目を集めています。
一方で、Snapchatは他のプラットフォームと比較してわずかながら使用率が減少していることがわかります。この減少は、他のプラットフォームとの競争が激化していることを反映しているかもしれません。
このデータは、TikTokがショート動画プラットフォームのリーダーとしての地位を維持している一方で、YouTube ShortsやFacebook Reelsが急速にその地位を追い上げていることを示しています。これにより、音楽リスナーの動画視聴習慣が多様化しており、各プラットフォームがそれぞれの強みを生かしながら競争している様子が浮き彫りになっています。
出典:LUMINATE INSIGHTS - ENTERTAINMENT 365 (Q1 2024); LUMINATE INSIGHTS - U.S. MUSIC 360 (Q2 2024)
まとめ
2024年上半期のデータから見ると、音楽市場は大きな変革期に突入していることがわかります。ラテン音楽の急成長やインディーズアーティストのシェア拡大など、新たなトレンドが浮かび上がる一方で、R&B/ヒップホップやロックといった伝統的なジャンルも依然として強い支持を受けています。
また、ショート動画プラットフォームではTikTokが引き続きトップに立っていますが、YouTube ShortsやFacebook Reelsが急速に台頭しており、音楽リスナーの視聴習慣が多様化していることが浮き彫りになっています。
今後、これらのトレンドがどのように進化し、音楽市場全体に影響を与えるのか注目されます。音楽業界に携わる企業やアーティストにとって、これらのデータを活用し、戦略的に対応していくことが、成功への鍵となるでしょう。