生成AI時代における税理士業界での税理士資格の優先度について
Photo by Thought Catalog on Unsplash
税理士業界で働く上で税理士資格を取りたい人は多い
「税理士事務所で働くなら税理士資格を取らないと」
これは税理士業界で古くからある価値観で、事務所側・労働者側どちらもこう考える人は多いと思います。
もちろん、うちとしても税理士資格を取ってもらえたら可能性は広がるので取ってくれるとベターだとは思っています。
しかし、この業界で活躍するために、お客様から信頼されるビジネスパーソンであるために税理士資格がマストなのか?どれほどの優位性・優先度なのか?について今回は書きたいと思います。
大前提、税理士試験は難しい
税理士になるためにはいくつかのルートがあります。
- 税理士試験で5科目合格する
- 税理士試験で3科目合格し、税法大学院で修論を書く
- 国税庁に23年勤務する
- 弁護士、公認会計士などの資格を取得する
いずれの方法も難易度や掛かる時間の差などの差はあれど、時間または労力が掛かるものです。
受験科目や科目数、勉強する環境などにもよりますが、年間1,000~1,500時間の勉強時間が必要で、早い人で3~5年、平均10年掛かると言われる試験ですし、更に言えば取れる保証はありません。
年間1,000時間と言うと1日当たり約2時間45分を365日
年間1,500時間と言うと1日当たり約4時間を365日」
1日勉強できない日があったら次の日は5時間半~8時間必要です。
これだけの時間を5~10年確保しなければいけません。
これを仕事、自己研鑽、プライベートと両立しながらできるでしょうか?
優先順位として資格試験の優先度は高いのか?
上記の時間を勉強してきたからこそ感じることとして、これをこの業界で働く人の多くに求めることは個人的には酷だと思っています。
特に「これからは単純作業から付加価値業務」「資格よりもスキル」と言われている時代で、その付加価値業務のための勉強・研鑽の時間を大きく減らしてまで資格を取ることが果たして優先順位として正しいのか?も考えるべきポイントだと思っています。
北島は「2025年現在、税理士が行っている業務の全てはテクノロジーで代替できる」との仮説を持っています。
実際100%完璧にというとハードルは高いもしくは時間は掛かるかもしれませんが、昨今の生成AI含むテクノロジーの急激な進歩を見る限りそのほとんどは比較的早い段階で代替し得ると思っています。
この状態を分かりやすく言うと「無くなりはしないかもしれないが、資格を取ることによる効果が限りなく薄くなっていく」状態です。
そのために、年間1,500時間を数年掛けるのはご自身の人生の優先順位として正しいのか?をきちんと考えた上で受験するかを検討することを求められる時代なのかもしれません。
(繰り返しますが、うちも資格者はまだ欲しいですし、取ったら取ったで出来ることはあるので、受験すること自体を否定するものでは決してありません)
その意味で、資格試験の勉強時間を他の自己研鑽に充ててビジネスパーソンとしての成長を遂げられる人の方がむしろ重宝される時代が近づいていると思っています。
だからこそ、「資格はないが、ビジネスパーソンとしては素晴らしい」人にも輝ける場を当社は提供しています。
税理士業界で働く人たちもビジネススキルを身に付けてほしい
「これからは単純作業から付加価値業務」と言われる時代だからこそ、働く動機も「簿記の知識を活かして仕事がしたい」「資格を取って手に職付けたい」という自分に矢印を向けたものから「お客様のためになることを学び、それによってお客様に満足してもらいたい」「お客様に喜んでもらえることが自分としても嬉しい」という周りに矢印を向けた働き方が大切になってきます。
税理士変更が全体の80%程度を占める当社がお客様が税理士を変更する際にいただく理由の代表例は実は税務の知識などではありません。
だいたいはコミュニケーションスキルとか、経営分析スキルとかの税務と関係がないスキル・マインドに起因しています。
※この話題だけで記事1つ以上の分量になるのでこれはいずれ別記します。
だからこそ、「専門知識や資格があればお客様から信頼されるわけではない」ことに注意が必要です。
専門知識や資格があってもそもそものビジネスパーソンとしてのビジネススキルがないと信頼されない時代になっています。
(たまに言われる「士業もサービス業」にも関連するものですね)
だから、資格試験を取る取らないに関わらず、ビジネススキルを身に付けてほしいと思っています。
特に税理士試験を受けない人は受ける人が試験に充てている時間をビジネススキルに充てることができるので、資格がなくても成長してお客様に信頼されるようになれます。
生成AI時代と言われるほどテクノロジーが進歩し、これからも進歩を続けるからこそ、改めて自分に必要なスキルセットを考えていけるといいですよね。
うちは定期的なメンバーとのディスカッションや面談を通じて、この業界・お客様・私たち・そしてメンバー個人のそれぞれがどうあるべきか?を議論しています。
これからも時代の変化に即応しながらお客様に選ばれる組織・個人でありたいと思っています。