今回は株式会社トラジェクトリーの代表取締役 小関にインタビューをいたしました。
トラジェクトリーを立ち上げたきっかけや社内で大切にしている価値観、そしてこれからのドローンビジネスの可能性について迫ります。
ー早速ですが、小関さんがトラジェクトリーを起業したきっかけを教えてください!
元々、NTTデータグループで航空管制システムの開発に約18年間ほど携わっておりました。その際に、有人飛行機では、航空管制の完全自動化は難しいことを痛感したんです。
有人飛行機は、パイロットや管制官など、訓練を受けた人々の能力に頼ることが多く、乗客の安全を確保するためには高度な専門性が必要です。
そのような業界で、航空管制業務の自動化(AI)化の研究に深く取り組んでいた私は、有人飛行機の自動化はまだまだ難しいものの、ドローンのような無人飛行機であれば長年の研究を活かして、自動化を実現させることができるのではないかと思い、2018年3月にトラジェクトリーを設立しました。
ー前職の経験からの想いが影響して、トラジェクトリーを起業されたんですね。改めてになりますが、トラジェクトリーの事業について簡単に教えてください。
トラジェクトリーではドローンを含む無人飛行機が衝突しないよう、安全な空の路を自動生成してくれるAI管制プラットフォームシステム「TRJX(トラジェクトリーエックス)」を開発しています。
私たちは「誰もが空の恩恵を享受できる世界を実現する」というミッションのもと、専門的な知識を持たずとも、誰でも安全にドローンを飛行できるサービスを展開しています。

当社は国内で唯一、AIを活用した航空管制サービスを提供するスタートアップ企業です。世界中でも航空管制のエンジニア人口は限られており、その中からさらに起業する方は非常に少ないのが現状です。
私がこれまでに培ってきた自動航行技術とトラジェクトリーの技術を組み合わせることで、多くの方がドローンをもっと有効活用できるような世界を築けると考えています。ですので、このような珍しいAI管制サービスを展開できる環境自体が、弊社の特徴の一つですね。
ー小関さんからみた社内の雰囲気は、どのように感じていますか?
トラジェクトリーはスタートアップですが、大手企業から転職して入社した社員が多く、比較的落ち着いた雰囲気があると思います。個性豊かなメンバーが揃っており、それぞれが持つ知識や経験を活かしながらチームワークを大事にして取り組んでいます。
各々強い個性はありますが、お互いにリスペクトし合って共同で仕事を進めているため、人間関係で悩んだという話はこれまでありませんね。その証拠に、離職率は極めて低く、比較的スタートアップにしては平均勤続年数が長いという特徴もあります。
また、一人一人のライフサイクルに合わせて、リモートワークやシフト勤務など勤務形態を選んでいただけるので、プライベートとのバランスを保ちながら働ける環境になっています。
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ー確かに、各々がリスペクトし合える関係性が築けているように思います!トラジェクトリーを起業してやりがいを感じた瞬間はどんな時でしたか?
元々、産業用途でのドローン活用に関心を持っていましたが、人が操縦する場合、コストが高く割に合わないという課題から、ドローンの無人制御を実現して様々な分野に活かしたいと思っていました。
そのような中で、山岳遭難救助の際にドローンを活用する機会がありました。私たちがドローンを活用して得た情報が、民間救助隊の捜索計画を立てる際の基礎となり、捜索から短時間でご遺体を発見し、ご家族の元へ返すことができました。
この出来事から、弊社のドローン技術が山岳探索に貢献できることを証明できたので、当初のドローン活用の目的に近づけているなと感じました。
ー山岳探索など人命に関わる現場でもトラジェクトリーの技術が活用されているのですね。様々な場面でドローン技術が使われ始めていますが、ドローンの活用法を考える中で意識していることは何ですか?
まず、お客さまと信頼関係を築くことが何よりも大事だと考えています。そのために「相手の立場になって物事を考える」そして「俯瞰して考える」ことを大切にしています。
ドローンを活用して解決したい課題を持っていらっしゃるお客さまに対し、まずは丁寧なヒアリングを行い、一緒に考えながら、課題の原因を分析するようにしています。
また、お客さま目線だけでなく、俯瞰目線でも課題に向き合うことを大切にしています。全体像を把握しながらどのような場面でドローンが活用できるかを検討し、非現実的な提案になっていないか等、技術的な側面を含め、様々な角度からお客さまが抱えている課題と向き合うことを重要視しています。
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ーまだ事例が多くない先端的な取り組みだからこそ、多面的に課題を捉えることを大事にされているのですね。トラジェクトリーの社内全体で大切にしている価値観はありますか?
「相手の期待を超えるサービスを提供する」ということを大切にしています。お客さまとの会話を大切にする理由は、課題を正確に把握するためだけでなく、相手の期待していることを理解するためでもあります。
お客さまが何を求めているのかを理解することで、その期待を上回るには私たちはどのようなチャレンジが必要かを考え、それを自分たちの成長にも繋げられるよう意識しています。
ー期待を超えるサービスの提供を目指すことは、企業の成長だけでなく、お客さまとの信頼関係を築く上でも非常に重要ですね。話は変わりますが、ドローンの将来性はどのようにお考えですか?
ドローン自体は市場に出てきた時から注目度の高いビジネスでしたが、これから自動運転技術を支える運航管理サービスがもっと発展していくと思います。自動運転の分野では、センサーの小型化などハードウェアがすごい勢いで進化しています。ただ私は、無人ドローンの安全な運行を実現するためには、ハードウェアの発展だけでなく正確で安全な飛行ルートを提案・確認できる運航管理サービスが今後のビジネスの要になってくると考えています。
そのような点でも、弊社はドローンの自動操縦を支える「AI管制技術」の開発に取り組んでいるので、ドローンの将来性や安全性に貢献していけると感じています。
ー今後どのような未来を実現したいですか?
今は、パイロットや管制官の技能で空の安全が成り立っています。ただ、地上とは違い、空は飛ぶものしかないので自動化がしやすい領域です。
また、今の日本では少子高齢化や過疎化が進んでいる地域がたくさんあります。そうした地域でドローンは物流や災害救助に大きく貢献し、救世主のような存在になれると考えています。
街中で自動化されたドローンが当たり前のように活動している光景を実現することが、私の原動力の一つでもあるので、それを叶えるためにトラジェクトリーで挑戦を続けていきたいですね。
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ードローンが私たちの生活の一部になる未来が楽しみです!最後に、この記事を読まれている方へ一言お願いします。
これからドローンのさらなる進化が期待されていますが、新しいドローンの機体が出てきても、それを安全に運用する技術が不可欠です。私たちのAI管制技術がこの役割を担うことで、ドローンを必要としている人や自治体がもっと手軽にコストを抑えながら導入できる未来を目指しています。
今後はドローンが現在の携帯電話と同様に、重要なインフラの一部になっていくと思います。それを実現するために、色々な方々と協力しながらドローンが使われる自治体を増やしていきたいと思っています。
是非ドローンと人間が共存していく未来に興味がある方は一緒にトラジェクトリーでチャレンジしていただけたら嬉しいです。