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裸足で暮らす人たちに、靴を履かせる

僕は、どうせやるならやっぱり「誰もやってないこと」に挑戦するほうがいいよね、と思うタイプの人間です。

マーケティング論的な話で、「アフリカで靴を売る話」っていうのがあります。
有名な話なのでご存知の方も多いとは思いますが・・・


2人の靴メーカーのセールスマンが、アフリカのとある国に着いた。
その国の人々はみんな裸足で、誰も靴を履いていなかった。


A社のセールスマンは帰国後、会社にこう報告した。
「この国の人は誰も靴を履いていません!この国には靴の需要が全くありません!」


B社のセールスマンは帰国後、会社にこう報告した。
「この国の人は誰も靴を履いていません!これなら、とんでもない量の靴が売れるでしょう!」


なぜ同じ光景を目にしたのに、両社の捉え方は全く逆になったのでしょうか。
あなたが報告を受けた靴メーカーの社長だったら、この国に進出しますか?


人と話していて「需要がある/ない」という会話になると「あれ?噛み合ってないなあ」と思うときがあります。

その違和感を言葉にすると、需要の種類には「顕在需要」「潜在需要」がある、という考え方で説明できそうです。


「顕在需要」はすでに見えているニーズ。みんなが靴の機能や必要性をわかっている状態。

「潜在需要」は裏に隠れた本人も自覚していないニーズです。靴の必要性はまだ表面化しておらず、気づいていない状態。

ここの捉え方が違ったら、そりゃあ市場の見え方も逆になるし話も噛み合わないですよね!


・・・

さて、起業家と一口に言ってもいろんなタイプの人間がいるなあと思うのですが、
すでに顕在化している需要に対して賢明にアプローチを取る人もいるし、まだ誰も気づいていない潜在需要に対して果敢にアプローチする人もいます。

(このへん、もっといろんな種類の人がいそうなので、また今度詳しく・・)


これは、どっちが正解ということじゃなくてタイプだと言えますが、、、
まだ誰も気づいていないこと、誰もやっていないことをやろうとすると、難易度はより高くなります。

他の人よりも多くの困難に直面することがあります。
時には心ない言葉を浴びせられることもあります。


「それができるなら他の誰かが既にやっている。」

「誰もやっていないのはだめな理由があるはずだ。」

「それはすでにある〇〇とは何が違うの?」

「そもそもなんなのかがよくわからない」


残念ながらこの日本では、よくわからないものは責められるし、前例のないものは不可能だと言われてしまいます。

大谷選手がMLBで活躍する前、日本のプロ野球界の総意はこんな感じでした。

「二刀流が通用するほどプロは甘くない」

「早々にどっちかに決めないと、このままでは中途半端で終わる」

「大昔とは違う、現代では常識に考えて無理」

「成功してほしくない」


誰もやってないことをやろうとする人、前例のないことに挑戦する人には、
無理だという人たちの、いかにも真っ当そうな理由とか同調の圧力とかが、槍の雨のように降ってきます。

F&Pは、「スムージー専門店」という日本に確立していない市場領域でスタートしました。
僕がこれを創業した理由は、「もしかしたらまだ人々からは求められていないかもしれないけど、世の中にそういうのがあったほうがいい」と思ったからです。


そこから、「社会全体の食意識を高める」という「顕在化していない課題」にアプローチすることを目指していますし、そして現在は、toC と toB の二刀流をやって事業チャネルを増やしています。

そんなことをやるたび、無理だとか不可能だとかその理由だとかを、これまでに人から散々聞かされてきました。

でも、前例がないから無理だというその理屈が正しければ、まだ誰もエベレストにだって登頂できていないはずです。
(初登頂に挑戦したものの辿り着けずに何人もが命を落としたはず・・)


誰もやってないことをやること、前例のないことに挑戦することとは、
「何百何千の無理な理由」を跳ね返しながら継続していく作業です。

僕は大谷選手のような100年に1人の逸材ではありませんし、エベレスト最初の登頂者のような度胸もありませんが、誰もやっていないことをチャンスだと捉え、人から何を言われようとひるまず手を変え品を変えしぶとく継続する忍耐力はあるみたいです。


裸足の国で靴を売ることは簡単ではないかもしれません。
でも裸足の国で靴を履く文化を作ったら、それは大きな意味があると思います。

しかも、シンプルにそっちの方がおもしろそうじゃないですか?
僕たちF&Pが選んでいるのは、そういう道なんだと思います。

(この記事は、2022年6月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)

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