MODEは、現場における点検業務の負荷を大幅に軽減するAIアプリケーション「BizStack」を開発・提供する、シリコンバレー発のスタートアップ企業です。日々新しい挑戦に満ちたフィールドで、私たちは「次世代の社会を支える力」になりたいと願っています。
今回は、新サービス「パートナーApp」の開発をリードする北村 航さんにお話を伺いました。日系SIerや大手企業のプロダクトチームで培った豊富な経験を経て、現在はMODEでプロダクトマネージャー(以下、PM)として活躍中。転職のきっかけから現在の業務、そして今後の挑戦やビジョンについて語っていただきます。
目次
クライアント支援から、自社プロダクト開発へ。「現場で物を作りたい」思いが導いたスタートアップ転身
— まずは自己紹介とこれまでのキャリア、入社のきっかけを教えてください。
パートナー企業と共創する「パートナーApp」 ― BizStackを市場にフィットさせる挑戦
— MODEのプロダクト「BizStack」の中で、北村さんが担当している部分はどこですか。
— プロダクトは、どのように作っているんですか?
— 入社前に想像していたMODEでのPMの仕事と実際の業務で感じたギャップとかありますか。
— プロダクトをつくる上で、どんなところに難しさがありますか。
— ステークホルダーとのコミュニケーションはどのように取っていますか?
セオリーに縛られない現場で磨かれる柔軟な対応力
— MODEに入社して満足していますか?
— 入社してから自分が成長したと感じる点はありますか?
— BtoB×IoT×AIというMODEの環境で、他では得られないと感じる経験はありますか?
— PMとして、これからどんなことに挑戦していきたいと考えていますか?目標やビジョンを教えてください
少数精鋭のチームで、ともに未来をつくりませんか?
— どんな人にプロダクトチームに入ってきてほしいですか?
— 次に入るメンバーにメッセージをお願いします
— ありがとうございました!
クライアント支援から、自社プロダクト開発へ。「現場で物を作りたい」思いが導いたスタートアップ転身
— まずは自己紹介とこれまでのキャリア、入社のきっかけを教えてください。
北村:北村航です。MODEは3社目で、最初は日系SIerでエンジニアとして12〜13年働きました。会社が大きくなり、部長職に就いたことで、現場で物を作るより予算管理や採用がメインとなり、自分のやりたいこととのギャップを感じていました。
2社目では大手企業のプロダクトチームで0→1の立ち上げ支援を3〜4年経験し、リーンスタートアップやアジャイル開発を学びました。ただ、あくまでクライアントのプロダクト支援が中心だったので、自社のプロダクトを作りたい思いが強くなり、MODEに転職しました。
入社のきっかけは、以前からリクルーターに声をかけてもらっていたのですが、実際に考え始めたのは2024年の自社イベント「MODE CHANGE」に参加した時です。CEOのガクさんやCTOのEthanが、テクノロジーで良いものを作り、素晴らしい世界にしたいと話していて、すごく惹かれました。
MODEの経営陣が技術バックグラウンドであることや、スタートアップ志望だった自分にとってシリコンバレーへの憧れも後押しになりました。人数やフェーズ感が自分にちょうど良いと感じたのと、面接で会ったメンバーがみんな自立して自分の言葉で話せる人ばかりだったことも、大きな決め手になりました。
パートナー企業と共創する「パートナーApp」 ― BizStackを市場にフィットさせる挑戦
— MODEのプロダクト「BizStack」の中で、北村さんが担当している部分はどこですか。
北村:パートナー企業と協力し、BizStackをさまざまな業界や産業にフィットさせるための専業ソリューションとして展開するプロダクトを作っており、それを「パートナーApp」と呼んでいます。BizStackの汎用性を活かしつつ、業界知識に長けたパートナーと連携することで、高付加価値なソリューションとして提供しています。
第一弾は今年の秋〜冬にローンチ予定で、そのダッシュボードやアラート設定を自分が担当しています。また、業務フローやマニュアルの整備、汎用性の高い構成や簡単にインストールできる仕組み作りも手掛けています。
MODEはセンサーとBizStackをつなぎ、現場データをクラウド上で活用する豊富な実績があります。これまではお客様からの問い合わせに対して、デリバリーチームのエンジニアや営業が迅速に対応してきました。このフェーズは非常に重要であり、社内には多くの知見が蓄積されています。
今後はMODEが持っていない販売網や代理店を活用して、さらにスケールさせて行きたいと考えています。そのためには、代理店にもわかりやすく使いやすい、小規模でも価値あるプロダクトを各チャネルで提供できる形にしなければなりません。そのため、代理店やユーザー側で自己解決できる仕組みも作る必要があり、そこはまだ十分整っていないので、必要最小限のものを作り、内外からフィードバックをもらいながら進めているところです。
— プロダクトは、どのように作っているんですか?
北村:パートナーAppは、CEOのガクさんやVP of Businessのサトシさんからの大きな方向性を踏まえつつ、パートナー企業やPoC現場のユーザーの声、自分たちの考えを加えながら、裁量権を持ってバランスを見ながら進めています。
BizStackはPMが少ないため、自分の担当外のチームにも積極的に関わっています。プラットフォームの性質上、個別にカスタマイズするのではなく、みんなが満足できる共通機能を作ることを重視しています。例えば、「こんなデータと連携したい」「こういう制御があれば便利」といった要望を集め、その中で費用対効果が高く、開発も比較的簡単なものを選び、仕様や設計を作ってエンジニアに伝えるのがPMの主な仕事です。
ただ、実際はデリバリーチームがカスタム開発をし、ユーザーの細かいニーズと製品の価値のギャップを埋めている部分もあります。しかし、毎回カスタマイズ費用がかかるビジネスモデルは続けられないので、製品自体が広がり、持続可能なビジネスとなる仕組みを作る必要があります。
最終的には、集まったデータをもとにBizStack Assistantが現場で働く方の真のパートナーとしてサポートできるようになることを目指しています。
— 入社前に想像していたMODEでのPMの仕事と実際の業務で感じたギャップとかありますか。
北村:正直、大きなギャップはほとんどありません。ただ、PMの仕事だけを考えると、純粋なPM業務以外のことも多いなとは感じます。
ピュアなPMの仕事は、ユーザーリサーチに時間をかけて、ユーザーの困りごとや解決したい課題を理解し、市場や競合の調査をして「本当に作るべきか」「どう差別化するか」を考え、技術面での優先順位を決めることだと思っています。
一方、MODEではデリバリーチームもあり、特定のお客様からの細かい要望対応や、パートナーさんの教育・サポートもあります。人数が少ないため、自分で設定やキッティング、動作検証などエンジニア的な作業も行います。
また、荷物の受け取りや発送など、大企業なら整備されていることも自分たちで分担してやっている状況です。PMだからといってそういった雑務を避けるわけではなく、できる人ができることをやるスタイルで、そういうフェーズも楽しんでいます。
— プロダクトをつくる上で、どんなところに難しさがありますか。
北村:BizStackって、導入したらすぐ使えるプロダクトではなく、センサーをつないだり、ダッシュボードを見やすくしたり、使いやすい状態に整える必要があります。
色々なものをつなげられるように、柔軟性と汎用性を高めているため、ユーザーには一定のITリテラシーが求められます。
一方で、ボタン一つで調整できるようなプロダクトにすると柔軟性が落ちるため、汎用性と使いやすさのバランスが難しいと思ってます。
プラットフォームとしてのあり方は永遠のテーマだと思います。担当しているパートナーAppは一つの実験だと思っていて、特定の課題に特化しパッケージ化した製品を提供します。反応や売れ行きはMODEにとって新しい学びになるので、面白くも難しいチャレンジです。
以前提供していたSensor CloudはBizStackより繋ぎやすかったものの、繋げる対象が限定的だったと聞いています。BizStackは逆に幅を広げるために作られたため、広げたり狭めたりの試行錯誤を続けています。
今回はプロダクト自体は広げたまま、その上で狭めたバージョンをパッケージ化して売る形にしているため、これは進化だと思います。
— ステークホルダーとのコミュニケーションはどのように取っていますか?
北村:週単位で様々なステークホルダーと話すリズムです。プロダクトのプランニングでは、CEOのガクさんやリーダーシップメンバー、Head of Productのヒロトさん、Biz Devのメンバーと話すことが多いです。パートナー企業との定例会議もあり、ピラーという小さなチーム単位の取り組みではエンジニアとも話します。
チーム内では、他のPMやデザイナーと2〜3日に1回ほど連携。特にUIまわりのエンジニアはサンフランシスコオフィス(SFO)に多く、ミーティングやSlackでコミュニケーションしています。CTOのEthanもSFOにいるため、毎月SFOチームへの報告ミーティングもあります。
パートナー企業とはオンライン会議が多いですが、実際に会うこともあります。最近では、高速道路のトンネル現場にパートナー企業の方と一緒に訪問しました。
入社直後は会社に行くリズムができて、週4日ほど通勤しています。日本のピラーのメンバーとはオフィスでよく話しています。
セオリーに縛られない現場で磨かれる柔軟な対応力
— MODEに入社して満足していますか?
北村:入社して2ヶ月くらいは大変でした。キャッチアップも自分で探して学ばないといけなくて、面白さもあったけど苦労しました。MODEのみんなは野心とバイタリティが高く、それぞれが「これがいい」と思うことをやっているので、ぶつかることもあります。プロダクトとしてどうあるべきか話し合わなければならず、みんなの考えを理解しないと何が正解かも分からず、意見を言うのは難しかったです。
そんな中、パートナーとの仕事を任されたのはラッキーでした。MODEでのプロセス整備に興味ある人も多く、助けてくれる人もいて、大変ながらも不満はあまりありませんでしたね。もちろん過去の経緯やちょっとした矛盾などに「もう!」って思うことはありましたが、「そういう整っていない環境や自分で切り拓いていかないといけない環境で働きたくて入ったんでしょ」と自分に言い聞かせていました。できなければ自分の実力不足だと思い、愚痴は言っても完全な不満ではない感じです。
— 入社してから自分が成長したと感じる点はありますか?
北村:入社して感じた一番の成長は、状況に合わせて柔軟に対応する力です。
前職では教科書的なことやセオリーをしっかり学びましたが、MODEでは相手企業や時間・予算などさまざまな事情が絡むため、正しいことだけ言っていれば正解にたどり着くわけではないと感じています。ベストプラクティスを知りつつ、与えられた条件で最善の選択をすることが大切で、そこが難しくもあり面白いところですね。
MODEのメンバーは「セオリー通りじゃない」状況でも無理とは言わず、守るべきことは守りつつ、最善の選択をするマインドセットが強いんです。セールスやデリバリー、プロダクトチームも同じで、「今の状況ならこれくらいで充分」「ここまでは作らなきゃ」と、個々がしっかり主張しながら進めています。
そうした現実的な判断力や対応力を間近で学び、自分も見習わなければと強く感じています。前職に比べて、そういう点で大きく成長できたと思いますね。
— BtoB×IoT×AIというMODEの環境で、他では得られないと感じる経験はありますか?
北村:生産人口が減る中、AIは欠かせません。ただ、AIは漠然としていてイメージしづらいですよね。BtoBのお客様のビジネスを支えつつ、職人の経験や勘をIoTで定量化し、さらにAIと組み合わせることで、わかりにくかったことが見える化され、今まで定量的に言えなかったことが言えるようになります。
つまり、単に今あるものを良くするだけでなく、人間の作業を肩代わりするAIサービスになる可能性があります。正解がない難しさもありますが、アイデアを試しやすいフィールドです。
MODEの場合、AIアプリケーション企業と言っても工事現場で泥だらけになることも多く、ギャップはありますが、本当に役立つことを試行錯誤できるのがMODEの魅力です。
入社して5ヶ月ほどで、新潟、京都、北海道など全国各地10ヶ所以上の現場に行きました。特にトンネル現場によく行くのですが、自分がプライベートでトンネルを通るとき、「こんなに長い距離をよく作ったな」と、過去にトンネルを作った人たちに対して敬意を持つようになりました。
— PMとして、これからどんなことに挑戦していきたいと考えていますか?目標やビジョンを教えてください
北村:まずはパートナーAppで、これまで取引がなかった会社やDXが進んでいない工事現場の方々に気軽にBizStackを使ってもらいたいですね。BizStackの良さを知ってもらい、その存在が世の中に広がることが大きな挑戦です。
実際に世に出してみて、売れるかどうかやユーザーから褒められるか、あるいはけなされるか、そのフィードバックを直接受け取るのが楽しみです。早くリリースして、そこから次につなげていきたいですね。
方向性としては、PMのヒュウマさんが進めているAIアシスタントとの融合も目指しています。単にセンサーからの情報が上がるだけでなく、さまざまな情報を踏まえたAIアシスタントが、知りたいことを教えてくれる。現場の人の“相棒”として一緒に働けるようなプロダクトに育てたいです。各現場に1つBizStackがある未来を目指しています。
さらに、PMとしては企画から実装、リリースまで一つのプロジェクトに一貫して関わることがすごくやりたいことです。そこからシリーズ化してブランドを作っていきたいと思っています。
また、ある程度区切りがついたら、ファシリティマネジメントやインフラ、アメリカ市場など、まだ経験のない分野にもチャレンジしたいですね。
少数精鋭のチームで、ともに未来をつくりませんか?
— どんな人にプロダクトチームに入ってきてほしいですか?
北村:前向きで、混沌とした状況を楽しめて、自分の意見をしっかり伝えられる人ですね。正直、丁寧に教える余裕があまりないのと、教えたことがすぐに変わって最新じゃなくなることも多いので、自立的にキャッチアップできる人がいいです。
あとは変化に柔軟に対応できる人。先週言われたことが今週には変わることもよくあるので、それをポジティブに受け止めて「そう来たか!」って感じで乗りこなせる人と一緒に働きたいですね。
— 次に入るメンバーにメッセージをお願いします
北村:人数が少ない分、一人ひとりの責任範囲も大きいです。普段はお互いの仕事にあまり口出しせず、自律的に動くチームですが、結束力は強く感じます。そういったプロフェッショナリズムを尊重できる働き方はとても心地よいので、そんなチームを一緒に作っていける仲間をぜひお待ちしています!