MODEは、現場のリアルタイムデータや既存システムのデータを一元的に統合し、業務効率化や安全性向上を実現する「BizStack」を開発・提供する、シリコンバレー発のスタートアップ企業です。日々新しい挑戦に満ちたフィールドで、私たちは「次世代の社会を支える力」になりたいと願っています。
今回は、初期メンバーとして入社し、プロダクトチームのマネージャーとして技術と組織の両面からプロダクトの進化を支えてきた島川 悠太さんにお話を伺いました。
初期メンバーとして見てきたMODEの進化と、マネージャーとしての役割
― MODEに入社する前のお仕事と、MODEに入社したきっかけを教えてください。
島川:もともと大学では食とテクノロジーに興味があり、農産物のトレーサビリティ研究を通じてプログラミングに出会いました。技術の面白さに惹かれてエンジニアに転向し、レストラン検索サイトの開発で基礎から応用まで幅広いスキルを習得。その後の転職先では、開発に加えてマネジメント、事業とチームのグロースにも関わりました。
そんな中、2018年に元同僚の紹介で出会ったのがMODEです。大企業でマネジメントに徹するより、アーリーステージの環境でプロダクトを育てる方が自分には合っていると感じ、英語環境やプラットフォーム開発への挑戦も含めて、入社を決めました。
― 現在の業務内容を教えていただけますか?
島川:最初は人数も少なかったのでフルスタックエンジニアとしてバックエンド、フロントエンド、モバイル、エッジゲートウェイまで色々な技術領域に跨って開発を行なっていますが、今現在はプロダクトチームのエンジニアリングマネージャーをやっています。本業ではないけど開発も今でもやってますよ。
必要なタイミングではコードを書いたり、インフラオペレーションの作業も行うことはありますが、基本的には「自分が手を動かさなくても回る状態」を作るのが大事だと思っていて、チームの中長期的な方向性や課題の発見解決をすることや、大きめのプロジェクトの舵取りやサポートが仕事の中心です。そう思ってはいるんですけど、どうしても手を動かさざるを得ないときはやります、って感じです(笑)。「ここは自分がやったほうが良いな」って場面では、最後の手段として自分が手を動かす、みたいな。
理想を言えば、組織のことがちゃんと整って、「もう自分がやることないな」ってなったタイミングで、ようやく「じゃあコード書くか」って余暇を過ごすような働き方が理想形なんだろうなとは思ってますね。
― プロダクトチームのマネジメントは、具体的にどんなことをしているんですか?
島川:マネジメントといってもいろんな側面があるんですが、MODEでは「ピラー」という単位でチームが分かれていて、それぞれにTech Leadがいます。ただ、マネージャー=Tech Leadではなくて、僕はピラー3とピラー5の2つを担当しています。
ピラー3は「BizStack Assistant」の開発チームで、ここはTech Leadに任せられているので、僕はピープルマネージャー的な立場で、1on1やフィードバックを通じて関わっています。
一方のピラー5は少し特殊で、ビジネスメンバーやProduct Managerがいないんですよ。Head of ProductのHirotoさんが関わってはいますが、実際の意思決定はほぼチーム内で完結していて、僕の役割はざっくり言うと「エンジニアがやりやすくなるためのことをやる」って感じです。
その中にもさらに2つのチームがあって、ひとつはインフラやクラウドを担当、もうひとつはゲートウェイ関連。チームとして機能するように、ミッション・ビジョン・バリューを定めたり、役割やレビュー体制を整えるといった動きもしています。
だから、「これがマネジメントです!」って一言で言えるものではなくて、チームの状況に応じて必要なことをやる。結局はその積み重ねかなと思っています。
バスがなければ作ればいい。島川さん流“ゆるくて強い”チーム作り
― チーム作りで大切にしていることはありますか?
島川:そうですね、チーム作りっていう意味では、例えば「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」とかって、必ずしも絶対に必要ってわけじゃないと思っていて。MVVじゃなくてKPIでもいいし、形式にはこだわらなくていいんですよね。
でも大事なのは、自分たちは何をやっているのか、それがどこに向かっているのかを、ちゃんとメンバーが言葉にできることだと思ってます。自分たちのやってることが何に繋がってるのかがわかっていれば、自然とパフォーマンスも出やすくなるし、納得感も持って働けると思うんですよ。
だから、そういう状態を作るのがマネージャーの役割なんじゃないかなと。
よく「同じバスに乗る」とか言いますけど、そもそもバスがないなら作ればいいし、みんなバラバラのバスに乗ってるなら、ちゃんとひとつのバスに集めよう、みたいな。ちょっと抽象的だけど、みんなが同じ方向に進めるように整える、っていうのが、チーム作りには必要だと思ってます。
― チーム内の雰囲気や関係性はどんな感じですか?
島川:チームによって、けっこう雰囲気が違うんですよね。僕が見てる範囲でも、ざっくり言うとピラー3の「BizStack Assistantチーム」と、ピラー5の「バックエンドチーム」「ゲートウェイチーム」の3つのサブチームがあって、それぞれいる人も違えば、雰囲気も全然違う。だから、関係性の作り方もチームごとに少しずつ変わってくるのかなって感じています。
今のプロダクトチームは、ピラー単位で編成されているんですけど、ピラーのTech Leadがそのままピープルマネージャーというわけではないんです。ピープルマネージャーとしては、自分とEthanでピラーごとに役割を分担して見ている感じですね。ただ、これはまだ過渡期というか、今後変わっていく可能性もあると思っています。
プロダクトの幅広い課題に挑む。AI×IoTだからこその面白さと独自性
― プロダクト開発で、面白い・難しいと感じるのはどんなときですか?
島川:まず、MODEのプロダクトって、業界を横断して使える“ホリゾンタル”なものを目指してるんですよね。だから、特定のお客さん専用に作るというよりは、いろんなユースケースを汎用的にカバーしなきゃいけない。
マルチテナント設計で、多くのお客様に使っていただくものなので、あまり、このお客様専用というものはできないし、マルチテナントに何かしらのサービスを提供する形です。例えば時系列データベースひとつ取っても、「社内で使う分析用のDB」と「複数の企業がそれぞれのデータを載せて利用するDB」では、考える難易度がまったく違ってくるんです。後者は想定パターンも複雑だし、作るのは本当に難しい。でも逆に言うと、難しい=面白いでもあるので、そこは表裏一体ですね。
あと、IoT系の開発って、いわゆる一般的なWebアプリの開発と比べて、スタックが“深い”し“広い”んですよね。どっちの表現が正しいかはわかんないけど(笑)、とにかく考慮すべきことが多い。そこもまた、難しいけど楽しいところです。
さらにMODEは、ソリューション提供やカスタマイズ性も意識してるので、設計段階から「柔軟に変えられるようにする」っていう視点も必要なんですよ。それがまた大変で… 良い意味での難しさもあるけど、正直「これめんどくさいな」っていう瞬間もあります(笑)。
全体的には、課題が多い分だけ“戦線”がすごく広がっている感覚ですね。「こっちで水漏れを塞いでたら、別のところからまた漏れてる」みたいな、常に何かしら対応してる感じ。そういう意味でも、毎日が試行錯誤の連続です。
― 今、AIと組み合わせたプロダクトに進化していますが、そのあたりの独自性についてどう感じていますか?
島川:AIって、単体で「すごく便利!」ってものじゃないと思ってて。結局は“AIに何をやらせるか”が大事なんですよね。AIがちゃんと役に立つためには、そもそも入力される“データ”がないと始まらない。
その点、僕らはIoTの技術をベースにやってきてるので、センサーデータやカメラから取得する映像データといった現場の情報を幅広く取得できる土台がある。これは他の会社にはなかなか真似できない強みで、AIとの組み合わせにおいて大きなアドバンテージだと思っています。
例えば、Web検索をAIが勝手にやってくれるのって、確かに便利ですよね。でもあれって結局、プラットフォーマーの“1人勝ち”になる世界じゃないですか。だから、逆に言うと僕らがやってきた「現場のデータを集めて、いい感じにする」っていう領域に、AIという“新しいツール”が加わっただけ、とも言えるんですよね。
AIにとっても、IoT領域っていうのは“応用の余地がある新しいフィールド”だし、僕らにとっても「今あるデータやプロダクトを、どうAIで“いい感じ”にできるか」っていう挑戦が生まれてきてる。それがMODEとしての、ひとつの独自性なんじゃないかなと思います。
― LLMやAI領域の経験がなくても、開発にチャレンジできるのはなぜでしょう?
島川:今のLLMって、基本的には「アプリケーションとして提供されるサービス」なんですよね。要は、中の原理を知らなくても、“入力したら何かが返ってくる”というインターフェースが整っている。もちろん「こういうインプットをすると、こういうアウトプットが返りがち」みたいなノウハウは必要になる場面もあります。でも、LLMの仕組みそのものをゼロから理解していなくても、APIを使ってアプリケーションを作ることは十分可能なんです。
僕らもLLM自体を開発しているわけではなくて、LLMを活用したアプリケーションを作っているのでアプリケーション開発の延長なんですよね。
この感覚は昔からある話で、例えばWebアプリケーションってみんなデータベース使いますよね?でも、誰もがデータベースの中身の仕組みを全部知ってるわけじゃない。「どう使えば便利か」「どう扱えば効率がいいか」ということの理解がまずは重要ですよね。もちろん、原理や実装を理解していればさらにうまく扱えることにはなりますが。
それと同じで、LLMも「どう活用するか」が大事です。つまり、LLMもアプリケーションを作るための道具なんですよ。もちろん、LLMについて知ってた方がプラスにはなります。でも、それよりも大事なのは、アプリケーションを上手く作る経験とか力。そこがあれば、LLM領域でも十分チャレンジできると思います。
教科書に載っていないプロダクトをゼロから考える面白さ
― 一緒に働きたいと思うのは、どんな人ですか?
島川:"爆速成長"とか"大勝ち"みたいな言葉にワクワクする人、ですかね。これはうまく言葉にしにくいんですけど、野心むき出しとか、俺が俺が!みたいなテンションではなくて。穏やかなんだけど、技術が好きで、ちゃんと真面目に取り組む人。 目立たないけど大事なものを、ちゃんと手を動かして整えていくとか、地味に見えるけど確実に意味のあるものを積み上げていく、そういうタイプの人の方が、フィットすると思っています。なんというか、派手じゃなくても静かに情熱を持ってる人。そういう人と一緒に働けたら嬉しいですね。
― 未来の仲間に向けて、メッセージをお願いします。
島川:「教科書に載ってないプロダクトを作りたい」って思う人には、すごく向いてる会社だと思います!
金融やオフィス向けツールみたいな王道のビジネス領域ではなくて、MODEはIoT領域からスタートしている、ちょっと変わった切り口のBtoB スタートアップですよね。
それに合わせて、使っている技術スタックも独特で。「センサーデータをうまく扱うためには、どういう仕組みが必要なんだろう?」っていう問いから、どんどん作っていってる。時系列データベースやマルチテナント構成なんかもありますけど、それらを"いい感じに"動かすアプリケーションって、実は教科書には載ってないんですよね。
僕らが作ってるのは、風変わりだけど意味のある、実践的なプロダクトです。単に動くものを作るんじゃなくて、「どうすればもっとスマートに提供できるか?」を常に考えてるし、場合によってはデータモデリングのフレームワークそのものを提供する立場にもなる。だから、型にはまった開発じゃなくて、自分の頭で考えながらゼロから形にしていきたいって人にはぴったりだと思います。
ありきたりなプロダクトにはちょっと飽きてきた人、何か面白いことにチャレンジしたい人。MODEには、そういう人がチャレンジできる余白がありますよ。
― ありがとうございました!