地方創生について話をしていると、よくこんな言葉を耳にします。
「うちの地域には何もない」
「若い人がいない」
「新しい産業がない」
「観光資源が弱い」
「企業を誘致するしかない」
でも、私は全国の企業や自治体と話す中で、少し違う見方をするようになりました。
地方には資源がないのではない。
すでにある資源が、まだ“つながっていない”だけなのではないか。
これが、私たちが地方創生に取り組むうえでの出発点です。
地域を歩けば、すでに「宝物」はある
地方には、長年地域を支えてきた中小企業があります。
何十年も技術を磨いてきた職人がいます。
農業、漁業、食品、製造業、介護、観光、宿泊、飲食、伝統文化。
地域を支える金融機関、商工会、士業、学校、そして自治体があります。
さらに、その地域を離れたけれど、
「いつか地元に何か恩返しをしたい」
と思っている人もいる。
東京や大阪などの都市部には、地方と関わりたい企業や専門人材もいます。
つまり、材料はすでに存在しています。
問題は、それぞれが別々に動いていることです。
企業は企業。
行政は行政。
金融機関は金融機関。
観光は観光。
人材は人材。
これを一つの「地域経営」という視点からつなぎ直したら、何が起こるでしょうか。
私が考える「地域をテーマパークにする」という発想
テーマパークには、たくさんのコンテンツがあります。
レストランがある。
ホテルがある。
ショップがある。
働く人がいる。
イベントがある。
そこに物語があり、人が集まり、お金が動きます。
私は、地域も同じように考えられると思っています。
ただし、巨大な遊園地を建設するという話ではありません。
地域全体を、一つのテーマパークのように捉える。
町工場もコンテンツ。
農家もコンテンツ。
商店街もコンテンツ。
介護施設もコンテンツ。
地元企業もコンテンツ。
自然も、食も、歴史も、人もコンテンツです。
そして自治体、地域企業、金融機関、商工会、士業、都市部企業、外部人材をつなぐ。
すると、「点」だった地域資源が「線」になり、やがて「面」になります。
私は、ここに地方創生の大きな可能性があると考えています。
そして今、AIによって「つなぐ」ことが現実的になってきた
以前なら、地域全体の情報を整理し、企業や人材を結びつけ、プロジェクトを動かすには膨大な人手が必要でした。
しかし生成AIの登場によって、この前提が変わり始めています。
私たちが取り組んでいるのが、AIダッシュボード/AI企業OSという考え方です。
企業の「人・物・金・情報」を整理する。
地域企業が抱えている課題を整理する。
自治体の政策や地域課題を整理する。
地域にどんな企業、技術、人材、資源が存在するのかを可視化する。
そしてAIを使って、
「この企業と、この地域を組み合わせたら何ができるか?」
を考える。
AIは地方創生の主役ではありません。
主役は、あくまで地域で暮らし、働く「人」です。
AIは、今までつながらなかった人と企業と地域をつなぐための、新しいインフラになれると考えています。
「地方に仕事がない」も変えていきたい
地方創生を持続させるには、もう一つ重要なことがあります。
仕事です。
地方に住みたいと思っても、希望する仕事や所得がなければ、若い世代は地域を離れてしまいます。
だから私たちは、「地方に人を呼ぶ」だけではなく、
地方で新しい仕事そのものをつくる
ことに挑戦します。
AIを学ぶ。
企業の課題をヒアリングする。
要件定義をする。
AIダッシュボードを構築する。
地域企業のDXを支援する。
自治体と企業をつなぐ。
新規事業を立ち上げる。
こうした仕事を地域の人材が担えるようになれば、地方創生は「イベント」ではなく「産業」になっていきます。
全国1,700自治体を、それぞれ違うテーマパークへ
北海道と沖縄が同じである必要はありません。
農業の町。
製造業の町。
食の町。
介護・福祉の町。
観光の町。
スタートアップが集まる町。
AI人材が集まる町。
それぞれの地域には、それぞれの個性があります。
だから、東京の成功モデルを地方へそのまま持っていくのではなく、その地域にすでに存在するものから事業をつくる。
私たちが目指したいのは、
日本全国を同じ形にする地方創生ではありません。
約1,700ある自治体が、それぞれ自分たちの魅力を発見し、それぞれ違う「テーマパーク」になっていく。
そんな日本です。
一緒に「つなぐ側」になりませんか?
私たちのプロジェクトには、完成された正解はまだありません。
だからこそ、面白い。
地域へ入り、経営者の話を聞く。
自治体の課題を聞く。
企業をつなぐ。
人をつなぐ。
AIを使って見える化する。
そして、ゼロから新しい事業をつくる。
必要なのは、地方創生の華やかな実績よりも、
「まず相手の話を聞けること」
「知らないことを素直に学べること」
「自分で答えをつくっていけること」
だと思っています。
地方には、資源がないのではありません。
まだ、つながっていないだけです。
そして、その「つなぐ仕事」を、新しい産業にしたい。
人が集まり、仕事が生まれ、企業が強くなり、地域が輝く。
私たちは、AIと人の力で、そんな地域を一つずつ増やしていきます。
地方こそ、最高のステージだ。
次回は、私たちがその構想を具体化するために進めている、「AIダッシュボードで地域経営を可視化する」という取り組みについて書きたいと思います。