こんにちは、MENOU採用担当の岩田です。今回は、カスタマーサクセスチームの並木さんにインタビューしました。
新卒で樹脂成型メーカーに入社し、営業職としてキャリアをスタートした並木さん。 その後、生産技術職へ異動し、製造ラインの立ち上げに取り組む中で「もっと多くの業界に関わり、スキルの幅を広げたい」「ムリ・ムダ・ムラの多い製造現場に、より根本的なアプローチがしたい」と考えるようになり、MENOUへの転職を決意。
現在は、カスタマーサクセスとしてお客様の検査工程立ち上げを支援し、現場に深く関わりながら課題解決に取り組んでいます。そんな並木さんのこれまでの歩みと、MENOUでの業務・やりがいについてお届けします。
―― MENOUに入社するまでのお話を聞かせてください。
大学では経済学を専攻し、企業のマーケティング活動やCSRについて学びました。新卒の就職活動では、マーケティングの知識を活かしつつ、より顧客と近い距離で仕事をしたいと考え、営業職を志望。もともと車が好きだったこともあり、自動車業界など、製造業を中心に選考を受けていました。
入社を決めたのは、研究開発部門を持ち、金型の加工から成型・納品までをワンストップで行える体制に魅力を感じた樹脂成型メーカーです。お客様のニーズに応じた独自性の高い提案ができる環境に惹かれ、営業職として入社をしました。
―― 前職の業務内容について詳しく教えてください。
入社後は希望通り営業に配属され、既にお取引のある自動車メーカー2社を担当し、新製品開発にあたり樹脂部品が必要なお客様に対して、生産システムや材料のご提案を行っていました。 提案活動だけでなく、社内の関係部署と連携しながらスケジュール調整や進捗管理、コストダウン施策の一環として材料仕入先との交渉にも携わりました。
1年ほど営業を経験した後、生産技術職への異動の打診を受け、「もっと技術的な知識を身に着け、幅広く成長したい」という想いから挑戦することを決めました。 異動当初は、文系出身かつ全く異なる職種ということもあり不安もありましたが、現場での実践を通じて一つひとつ学び、着実に業務を身につけていきました。
具体的には、生産設備の立ち上げに関わる業務を担当し、温度や圧力などの条件設定や試作の実施、設備設計エンジニアや検査担当者との連携を通じて、量産ラインの構築を進めました。製品の仕上がりを確認し、図面との違いがあれば修正指示を出すなど、試作の合否判定まで一貫して担っていました。
―― 生産技術職として、どのような学びがありましたか?
最も大きな学びは、生産ラインの立ち上げにおいて、材料の搬送経路や作業員の方の負担、検査工程も含めて全体を俯瞰し、最適な仕組みを設計する必要があるということでした。
たとえば、材料の搬送では「どの経路・タイミングで設備に供給するか」といった導線設計から関わりました。人の出入りには異物混入のリスクがあるため、自動搬送の導入や搬入口の整備なども含めて検討しました。
また、設備をロボットなどで自動化しても、目視検査など人の関与が残る工程は多くあります。現場は常に忙しく時間に追われているため、作業者にとって使いやすく、負担の少ない設計にすることが重要です。
検査工程においても、品質保証部門が設計した検査項目に対し、「検査時間は設備の仕様上10秒以内にしたい」「この箇所は不良が出やすいので重点的に見てほしい」といったフィードバックを行いながら、現実的な品質と効率のバランスをとる調整にも携わりました。
結果として、「不良率の低減」と「生産時間の短縮」といった一見相反する目標を、設備や工程設計を通じて、いかに両立させるかという視点が自然と身につきました。
―― どのようなきっかけで転職をしようと思ったのですか?MENOUに入社した理由も併せて教えてください。
生産技術に異動してから約5年、業務にはやりがいを感じており、自分に合っている仕事だという実感もありました。 ただ、特定のメーカー・特定の部品を扱う業務が続く中で、次第に業務内容が固定化されていくことに物足りなさを感じるようになりました。
「もっとスキルの幅を広げたい」「より多くの業界に関わってみたい」と思うようになったことが、転職を考えた大きなきっかけです。また、製造現場で日々感じていた「ムリ・ムダ・ムラ」の多さにも課題意識があり、もっと根本的に、製造業全体の非効率を変えていきたいという想いも強くなっていました。
転職活動では、引き続き製造業に軸足を置きながら、生産技術としてより幅広い業務に携われる環境を探していました。そんな中で出会ったのがMENOUです。
製造現場の中でも、検査工程は特にマンパワーに依存しており、不良流出が発生した際には、手の空いている人をかき集めて定時後に全数チェックをするなど、人海戦術が当たり前の世界でした。 そんな中、ノーコードで画像検査を内製化できる「検査AI MENOU」を知り、自分が現場で感じていた課題を根本から解決できるのではと感じました。
また、「昨日まではこの傷はOKだったけれど、今日からはNGにしたい」といった検査基準の変更は現場では日常的に起こります。 そうした変更に対して、現場や品質保証の担当者が自ら検査装置を調整・メンテナンスできるという思想にも強く共感しました。
これは間違いなく、今後の製造業に必要とされる仕組みだと感じ、MENOUへの入社を決意しました。
―― MENOU入社後、最初に取り組んだ業務について教えてください。
入社後はまず、受注前のお客様に対する「お試し検証(PoC)」からスタートし、撮像やAIモデル作成をひと通り経験しました。上司のサポートのもとで検証や報告を行うところから始め、2〜3ヵ月目あたりからは、自分が主担当としてお客様とやり取りをする場面も徐々に増えていきました。
――お試し検証(PoC)を進める中で印象的だった学びはありますか?
撮像に取り組む中で強く感じたのは、「目視検査に近い画像を撮ること」の重要性です。 AIに学習させる画像は、ただ撮れればよいというものではなく、検査員がどのように製品を見ているのか――斜めから光を当てて透かして見ているのか、正面から見ているのか――といった“人の見方”を意識して再現しなければ、現場で使えるAIにはなりません。
照明やカメラの調整も、お客様の製品や現場の条件によって最適解が異なります。過去事例やチームの知見を借りながら、最終的には自分の手でさまざまな撮像機材を試し、「この場合はこの照明が効く」などの感覚を掴んでいきました。 たとえば、フィルムの反射が強い場合にはドーム照明、微細な傷を捉えたい場合には斜めからの照明が効果的など、検査内容ごとに最適な撮像環境を構築する力が求められます。
また、お客様とやり取りをさせていただく中で学んだのは、「検査で実現したいことの全体像を正しくヒアリングすること」の大切さです。 当初はこちらからの説明が中心となってしまい、お客様の課題を深堀し切れなかったと反省することがありました。今でも苦労する部分ではありますが、検査を一番理解しているのはお客さまだということを意識し、わからないことはその場で素直に聞きながら、一緒に要件を整理していく姿勢を大切にしています。
――そうした中で、前職の経験が活きたと感じる場面はありましたか?
はい、生産技術として「モノの流れをイメージできること」はMENOUでも活かせていると思います。たとえば、お客様の製品が1時間に何個流れてくるのか、どこで検査を行い、その後どのように排出されるのか。 “全体の流れ”を踏まえて会話ができることで、現場に即した提案につなげられていると感じています。
――逆に、前職と違うと感じたことはありますか?
前職では、自分たちが構築した生産設備をお客様に承認していただくことがゴールでした。そのため、安全性や不良流出のリスク低減を重視し、エビデンスを示しながら説明するというスタンスでした。
一方MENOUでは、お客様が実現したいことをヒアリングし、その目的に対して検査AI MENOUがどのように貢献できるかを提案していく立場にあります。お客様の本質的な課題を理解できなければ、検査AI MENOUの導入メリットも正しく伝えられませんし、仮に導入いただいたとしても、明確な目標が共有できていなければ、最適な検査環境を構築することはできません。 だからこそ、「ヒアリングの力」は何よりも大切だと、日々痛感しています。
――入社してちょうど1年が経過しましたが、現在の業務について教えてください。
お試し検証(PoC)は継続して担当していますが、現在は正式受注につながったお客様の検査現場の立ち上げ支援が主な業務です。既存のお客様を引き継ぐケースも増え、本導入に向けた対応が中心になっています。 お客様ごとに実現したいことや抱えている課題が異なるため、上司やカスタマーサクセスメンバーと相談しながら、一つひとつ丁寧に対応しています。
―― 受注後の立ち上げ支援は、どのような流れで進めているのですか?
受注後のミッションは「お客様の現場で検査AI MENOUを使った検査を開始できる状態をつくること」と、「お客様自身が検査AI MENOUを使いこなし、安定して運用できる体制を整えること」です。
まずは、キックオフミーティングを実施し、お客様が実現したい検査内容や現場のハードウェア構成、検証ステップ、目標とするスケジュールなどをすり合わせます。 その後、PC・カメラ・照明といった機材を現地に設置し、実際に検査が行える環境を整備します。
お客様が検査AI MENOUを使いこなせるようレクチャーさせていただく際は、機能をすべて説明するのではなく、お客様のやりたいことに直結する機能から優先的にお伝えするようにしています。 その後、撮像データを蓄積しながらAIモデルを構築し、必要に応じて信号制御の設計などもお客様と一緒に検討していきます。
最初から完璧な設計を目指すのではなく、実際に稼働させながら柔軟に調整を重ねていくことが、成果につながると感じています。
――特に苦労したことはありましたか?
「机上の理論と現場は違う」と痛感する場面は多くありました。 たとえば、お試し検証でうまく撮像できていた条件でも、実際の現場では周囲の照明や背景の反射の影響で同じように撮れないこともあります。 そういった場合は、急遽レフ板を自作して現場に持ち込んだり、周囲環境に合わせてカメラや照明の設置位置を再調整したりと、自分なりに工夫しながら対応してきました。
――立ち上げ支援における、ご自身のこだわりがあれば教えてください。
「お客様の困りごとは、なるべく自分の手で解決する」という意識を常に持っています。 たとえば、検査対象の位置決めに必要な治具設計は、まったくの未経験でしたが、社内の経験者に相談しながら設計ツール「Fusion 360」を使って習得しました。 最初は板金部品のような簡単な形状から始め、今ではアルミフレームを組んだ治具も自分で設計しています。
また、検査条件のルールに応じてスクリプト検査の設定をカスタマイズしたこともあります。 「〇個まではOK、△個以上でNG」といったルールをコードで表現するもので、これも入社後にゼロから学びました。
難しい内容については、無理をせずエンジニアに協力を仰ぎながらも、基本的には「自分でやってみる」スタンスを大切にしています。そうすることで、「お客様の検査チームの一員」であるという意識をより強く持つことができ、お客様からの信頼感も変わってくると実感しています。
―― カスタマーサクセスのお仕事の面白さは何ですか?
検査AI MENOUを使って、お客様の検査課題を本質的に解決できることですね。お客様からの要望は本当に多種多様で、検査対象も運用の仕方も現場ごとにまったく異なります。 それらに対して「どうすれば実現できるか?」を考え、社内のメンバーと一緒に最適な方法を導き出せたときの達成感は格別です。
また、カスタマーサクセスの仕事は守備範囲が広く、自分のできることがどんどん増えていくのも非常に面白いと感じています。そして何より、その新たに得たスキルを活かしてお客様の困りごとを自分の手で解決できることに、大きなやりがいを感じています。
この感覚は、前職の生産技術の経験にも通じる部分があるかもしれません。前職でも、「この動作がなくなれば、もっと現場の人が楽になるのに……」という声を拾いながら工程改善を進めていました。
実際に検査に携わる方々が少しでも楽になったり、喜んでもらえたりするのは、とても嬉しい瞬間です。
―― 最後に、どのような人がMENOUのカスタマーサクセスに向いていると思いますか?
まず何より、「製造業のお客様の課題を解決したい」という強い想いのある方。 次に、課題解決のためなら、未経験の業務や技術領域も積極的に学び、チャレンジしようとする知識欲旺盛な方も大歓迎です。
転職はキャリアを大きく変える決断なので、不安を感じる方も多いと思います。 ただ私は、「同じ場所に居続けて成長曲線が緩やかになっていくこと」にこそ不安を感じていたので、MENOUでは日々新しい挑戦があり、とても満足しています。
「今よりもっと成長したい」「チャレンジを楽しみたい」という方と一緒に働けることを楽しみにしています!