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こんにちは、MENOU 採用担当の岩田です。今回は昨年末新たにセールスとしてMENOUにジョインした、大手SIer出身の加藤さんに「MENOUとSIerの営業スタイルの違い」をテーマにディスカッションしてもらいました。
ディスカッションの相手は、Wantedlyストーリーでは初登場となるCEOの西本さんです!
ーー西本さん、加藤さん、よろしくお願いします。まずは加藤さんが入社してから3ヶ月で取り組んできたことを教えてください!
加藤:入社して初めの頃は、営業の先輩のオンライン商談への同席や、お客様訪問への同行をさせてもらうところからスタートしました。最初のうちは聞き役に徹していましたが、現在ではAshura(アシュラ※)を使った撮影や「検査AI MENOU」のデモンストレーションをお客様先で実施するなど、MENOUのセールスとして徐々に自走し始められたかなと思います。
※MENOUが開発・販売しているAI検査のために必要な撮像環境を手軽に設置できるポータブル撮像キット。
また、マーケティングで行っている展示会などでのリード獲得~初期商談によるお客様へのアプローチや、カスタマーサクセスが担当するMENOUを使ってのユーザー様へのAIモデル構築~解析サポートなどにも携わりながら、セールスサイクル全体が理解できるようになってきました。
カメラ操作や、レンズ・照明などの機器構成の提案といった技術面に関しては、まだまだ学ぶべきことが多いと感じています。
検査の常識を変えていく、最初から100%を目指さないアプローチ
――加藤さんは大手SIerご出身ですが、SIerとMENOUでは仕事の進め方にどのような違いがありますか?
加藤:そうですね、導入前にシステムの仕様をどこまで決めておくかは大きく違うと思います。
SIerでは基本的に請負契約が中心になるので、どんなプロジェクトでも基本的にゴールは「仕様書通りにシステムを完成させて納品すること」です。そのため、仕様書でやれること、やれないことの線引きを丁寧に行う必要がありました。契約時も、仕様書の一つ一つの言葉を読み込んで、自社とお客様、協力会社の3社間の責任範囲が明確になっているかの確認を行っていました。
一方MENOUでは、請負契約での受託開発ではなく、開発プラットフォームとオンボーディングサービスを提供するという形なので、「最初から100%を目指しません」と先輩社員がお客様に伝えているのを聞いて、まずはその認識の違いにとても驚きましたね。
CEO西本: 製造業の常識としても、SIerへ外注してシステム・装置を収めてもらうやり方が一般的でした。なので、お客様に「最初から100%を目指さない」という新しい常識を理解してもらうのはMENOUの営業として重要なポイントです。
こういった進め方をしているのは、検査システムの仕様を決める上で基準となる「品質の良さ」は、現状明確に定義できていない企業がほとんどと考えているからです。
製造業の各現場にどのような手順で検査を行うかを定めた「検査仕様書」は必ずありますが、実際のところは、現場で仕様書を超えた改善を繰り返し、品質の良さを追求しています。なので、それらが反映されていない検査仕様書をもとに第三者がシステムを作っても、仕様漏れが発生して現場で思った通りに使えないことがあるんです。
なので、品質の良さは検査システムの導入前には定量化できない、運用していく中で定義していくものだという点を、お客さんに理解してもらうことが必要です。
加藤:そうですね。MENOUでは導入を検討しているお客様に対して、製品サンプルをお送りいただき、撮像からAI解析までの無償お試し検証を実施し、その結果を報告させていただきます。例えばサンプルに小さな汚れがあった場合、どの程度の汚れを許容するかをお客様に確認すると、「人によってはOK、人によってはNG」という回答をよくいただきます。
その状態がよくないこと、OK/NGの基準を定量化していくことの重要性はお客様自身も感じられているのですが、なかなか踏み出せていない、というお客様に対してどのように背中を押してあげるかがMENOUの営業としての腕の見せ所なのかなと感じています。
CEO西本:そうですね、その際は企業として何を優先事項にしたいかを整理してあげることが大切だと思います。そのためには、歩留まりを優先するか、それとも目視検査よりもさらに不良品率を下げるか、というような選択肢を提示するのがひとつのやり方です。
これはどちらかというと導入後にカスタマーサクセスが担う動きになりますが、もし歩留まりを優先する場合は、例えば検査AI MENOUを使ってNGとする汚れの面積の基準をコントロールしたり、検査項目を調整したりして、歩留まりを最適化していくことになります。
――「常識を変えていく」ことが求められるんですね。改めてMENOUのセールスは難易度が高いなと感じます。
加藤: そこは少し訂正したくて。ちょっと先ほどと反対のことを言うかもしれないのですが、MENOUのお客様は抱えている課題は明確なので、営業として非常に進めやすい側面もあるんですよね。
SIerの頃は、情報システム部や総務部に営業することが多かったのですが、こういった部門の方々って、異動でたまたま配属されたというケースも多くて、必ずしもシステムに詳しいかというとそういう訳ではないことがありました。また、現場が実際にどのような課題を抱えているのかもあまり詳しくないことも多く、「とりあえずDXを進めないといけないんですが…」というようなかなり漠然としたところから話が始まるんですよ。
一方で、MENOUのお客様の場合は、システムに関する知識が無かったとしても、現場には非常に詳しいので、現場でのオペレーションと絡めて話し始めるとすぐに「ああ、こういうことか!」と理解していただけるんですね。皆さんがものづくりのプロなので、導入が決まった後に実際の運用をご相談する段階では、お客様の方から率先してうまく工夫してくださることが多いです。
また、実際に現場で検査工程に課題を抱えている方々なので、現状を改善するための新しいことへのチャレンジにを躊躇しない印象がありますね。
検査領域に特化しているから、営業として技術知見を積み重ねられる
――他に、MENOUの営業活動に取り組む中で感じる違いはありますか?
加藤:特定の領域に特化して、自社でソリューションを提供していることで、営業として技術的なノウハウをしっかり蓄積できている実感がありますね。
以前所属していた企業ではネットワークレイヤーを中心に扱っていたこともありますが、最近のDXの風潮に対して、ネットワークレイヤーで技術革新するよりアプリケーションレイヤーで新しい技術を持つベンチャー企業と協業して対応することが多かったです。
また、 働き方改革などの幅広いテーマに関わる機会が多く、どうしても浅く広い対応になりがちで、結局はテーマに沿った下請けを見つけて終わりとなってしまい、自分の成長には繋がらないとも感じていました。これは自分の中で転職を決意した大きな理由でもあります。
その点MENOUでの営業活動では、お客様への提案を重ねるごとにハードウェアや画像処理AIに関する理解が深まり、次の提案に活かすことができています。
一方で、業界を限定せずに事業を展開しているので、食品から自動車、日用品、インフラまでお客様先の幅が広く、課題とそれに対する提案方法は千差万別です。技術知見を積み重ねながら、様々な課題に応用していくことができるので、とても良いサイクルが形成されていると感じていますね。
CEO西本:そう言ってもらえるのは、すごく嬉しいですね。日本の製造業に向けて事業を展開するとなると、自動車業界に特化するのも一つの方法です。ですが、MENOUでは日本全国、様々な規模の製造現場に対してソリューションを提供することにこだわってきました。
業界を絞らないのは非効率で大変な面もありましたが、今では50業種以上のお客様に導入いただけています。メンバーにも幅広い業界の課題を解決するのが楽しいと言ってもらえることが増えて、これまでの方針が間違っていなかったんだなと思えますね。
加藤:そうですね、初めて展示会に参加してMENOUの製品がどれだけ多くの業界に適用できるか実際に見たとき、汎用性に驚きました。
CEO西本:汎用性も重要なキーワードだと思っています。Microsoftのエクセルが単にレジの計算に使われるだけでなく様々な場面で活用するように、検査AI MENOUも画像検査の分野で色々な使い方ができるツールを目指しています。多方面で活かせることでユーザーのやる気も上がり、「MENOUを使って自分たちで検査を行う」ことが当たり前になるような未来をつくりたいです。
差別化ができているから、課題解決のフェーズに集中できる
――転職前の希望が叶っていると伺えて、人事としても嬉しいですね。ただ、営業として誰もが知る大手企業からスタートアップに移る中で戸惑いはなかったですか?
加藤:最初は少し不安もありましたが、すぐに払拭されました。変な言い方かもしれませんが、こんなにもお客様に喜んでもらえる営業ポジションもなかなか無いと思います。展示会に一度出ると、3日間で数百件のリードが得られるんです。しかもそれがしっかりと契約に繋がっていく。営業をしていて「なぜ訪問しに来たのか」と疑問に思われることがほとんどなく、「こんなに分かりやすく、簡単に検査AIが作れるんですね」と歓迎されることの方が多いです。
これは先ほどお話した、お客様の抱えている課題が明確というのに加えて、他社との差別化要素が明確でわかりやすいのも理由だと思っています。お客様からも「他社と全然違うね」と言われることが多いですね。
――お客様が「他社と違う」と感じるポイントはどこだと思いますか?
加藤:自分としては、カメラ・照明といった撮像系の提案力は大きなポイントだと思っています。多くのお客様が、「こんなにきれいに撮れるんだ」と驚かれます。そして、MENOUを使った操作面を見せると、例えばアノテーション(※)では、「こんなに簡単に色を塗るだけでいいんだ」という手軽さにも感動されることが多いですね。これら2つのポイントがセットになると、ほとんどのお客様が興味を持ってくれるので、営業としてはとてもありがたいです
※画像のどの部位を見つけさせたいのかをAIへ教える作業(詳しくはこちら)。
CEO西本:僕としては、MENOUが提供しているものは「目視検査の代わりとなる持続可能なシステム」であり、検査装置を販売しようとしている他社とはそもそものコンセプトが異なると考えています。
お客様は検査を自動化しようと思って検査装置を探すのですが、本質的に求めているのは、品質を保つ仕組みだと考えています。
人間はこれまでの経験と勘をもとに様々なパターンに対応できるので、これまでは目視検査が最適解だったと思うのですが、人手不足の現状を考えると、何らかの形で対策を講じなければなりません。
MENOUでは、人と同じように見えるカメラを提供し、誰でも開発できるノーコードの検査AIシステムを提供しているので、お客様に「これなら自分たちでできそう」と思ってもらえているのかなと思っています。
加藤:確かに、最初はお客様が「自分たちで検査装置開発はできない」と感じているところに対して、実際にデモを見てもらうと「こんなに簡単なんだ」という反応を得られることが多いですね。
CEO西本:特に画像検査の分野は、インターネット上にも情報がほとんどないのがこれまでの課題でした。だからこそ、私たちはフォーラムでノウハウを公開し、ノーコードツールを使って技術的なハードルを下げることで、これまでSIerや特定のベンダーしか手がけられなかった検査装置の開発を、より多くの人に開放していきたいと考えています。
――ディスカッションありがとうございました!