第1章|「未経験OK」は本気です──現場起点の“人材育成戦略”
「未経験でも、全く問題ありません。大切なのは“やる気”と“人に敬意を払える姿勢”です」
そう語るのは、たこ一精肉部門の責任者・上田部長。
現在、現場選考では応募者の経験有無に応じて選考内容を明確に分け、経験者にはスライサーの技術確認(豚ロース)を、未経験者には鶏肉のパック詰めと陳列を通じて、仕事への向き合い方を見る。
未経験者の中には、鮮魚部門から異動して1年で主任に昇格した社員が2名もいる。
「包丁経験ゼロでも、本人の姿勢次第で1年以内に戦力化できます。特に“商売に興味がある人”は伸びるのが早い」
たこ一の現場選考は、単なる“作業確認”ではなく、「商人としての目線とマインド」を見抜くための戦略的なステップなのだ。
第2章|定着率のカギは“チーム文化”──職人気質からの脱却
精肉は、いわば“孤高の職人”が集まりがちな職種。しかし、たこ一の精肉部は違う。
上田部長が目指すのは、**「チームで“ありがとう”を集める集団」**だ。
「スキルが高くても、“俺だけが正しい”では続きません。技術と同じくらい、人間関係を大切にする人を育てたい」
実際、精肉部では技術力だけでなく、“他者への敬意”が評価軸になっている。
仲間、パート、バイヤー、取引先──の関係性
この仕事が「続くか、続かないか」の分岐点だ。
この方針により、精肉部門の離職率は年々低下傾向。
現場には「定着」→「育成」→「戦力化」の好循環が生まれつつある。
第3章|人材を“リーダー候補”として見る──育成の最終ゴール
「精肉出身の店長が、まだいない。それが一番の課題です」
そう語る上田部長は、明確に**“店長輩出”を人材戦略のゴール**に掲げている。
「今の店長会議、正直“精肉の声”は少ない。でも、店長に精肉出身者が増えたら、全体のバランスが大きく変わる。だから次世代を育てたいんです」
そのため、主任育成の段階から“視座を高める指導”を実施。
たとえば、仕入れ価格の交渉、売り場づくりの企画、売上戦略の共有などを意識的に担わせるようにしている。
「現場の2番手・3番手が、売上責任を意識して動けるようになれば、数年後には“精肉出身店長”が必ず誕生します」
育成の最終形は、“売れる現場をマネジメントできる人材”──そのゴールに向かい、精肉部は静かに変革を進めている。
第4章|採用ターゲットは“商売好き”דチーム志向”
精肉という職種は、「作業が好き」だけでは続かない。
上田部長は、明確に**“商売好き”で“売る喜びを感じる人”**をターゲットにしている。
「売れたら楽しい、売るために工夫したい、そんな人は精肉で爆発的に伸びます」
“向いていない人”にも明確な線引きを設けている。
人物に合った育成・定着戦略が、採用の成功確率を高めている。
第5章|未来構想──「産地とつながる精肉部」へ
たこ一の精肉部が目指す先にあるのは、単なる現場力の強化ではない。
将来的には、産地と直接つながり、サプライチェーンまで巻き込む精肉部をつくりたいという構想がある。
「畜産農家と直接契約を結べるほどの“販売力”がつけば、仕入れの安定、品質確保、価格メリット──全部可能になる。その第一歩が、“たこ一の精肉をもっと売ること”なんです」
現時点では物量が足りないが、人材が増え、店舗が拡大し、精肉の発言力が高まれば、プレミアポークのようなブランド肉を“自社開発”する未来も現実味を帯びてくる。
上田部長からのメッセージ
「“作業員”じゃなく、“商売人”として精肉に関わってくれる人を、僕は育てたい。」
未経験でも、やる気があれば絶対に伸びます。技術は後からついてきます。
そして、今の精肉部は“上を目指せる文化”ができてきています。
主任、バイヤー、店長──全部、あなたの未来にできる。