「災害が起きたとき、その場所には『誰が』『どれだけ』いるのか」 ——
気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が進む近年、防災計画のあり方は大きな転換期を迎えています。従来のハザードマップは、浸水想定区域や避難場所といった地形的なリスクを示すものが主流であり、それだけでは実際の災害時に生じるリスクを完全に捉えきることは困難でした。
そこで GEOTRA が取り組んだのが、ハザードマップだけでは捉えられない「時間帯別の滞在人口」や「高齢者人口」、さらには「災害の種類(津波・洪水・土砂災害など)に応じたリスクの重み付け」といった高度なデータを統合・分析する試みです。これらを組み合せることで、本当に危険な場所をピンポイントに特定し、実効性の高い防災施策へと繋げる「攻めの防災」を実現しています。
今回は、この革新的なプロジェクトの裏側を支えた社員の小島にインタビュー。
「ただのデータ提供で終わらせない」——
現場で直面した壁、試行錯誤のプロセス、そして GEOTRA らしさを感じた瞬間について、ストーリー形式でお届けします。
担当者紹介
小島 拓也
東京大学工学部都市工学科卒。大学では環境工学を学ぶ。2019 年に三井物産にてキャリアをスタートし、再生可能エネルギー事業に従事。現在は、経営企画部にてコーポレート全般をマネジメント。その傍ら、営業支援・データ分析も対応し、「 GEOTRA の何でも屋」として活動している。
ハザードマップを超えて。「真のリスク」を炙り出す高度なデータ解析
これまでの防災施策では、大まかな統計データと地形リスクを照らし合わせるのが一般的でした。しかし、実際の街では「時間帯によって人が集まる場所」も違えば、「高齢者など移動に配慮が必要な方の割合」、さらには「地域ごとに警戒すべき災害種別」も全く異なります。
GEOTRA のソリューションは、オープンデータのハザードマップに対し、時間別の滞在人口や属性データ、そして地域固有の災害リスクを重み付けして掛け合わせる点に大きな強みがあります。
例えば、今回の「防災無線の配置最適化」プロジェクト。単に「スピーカーの音が届くエリア」を計算するだけでなく、「特に高齢者が多く滞在し、かつ時間帯によって浸水リスクが高まるエリアに、適切に情報が届くか」といった緻密な評価を行うことで、費用対効果の高い設置計画を提示しました。
理論上は非常に強力なこのアプローチ。しかし、これを現場で使えるソリューションとして社会に届けるまでには、一筋縄ではいかない試行錯誤がありました。
【ストーリー】プロジェクトの裏側:直面した「壁」と、突破への試行錯誤
1. 複雑なデータを一つの「被害リスク」に落とし込む難しさ
オープンデータとして公開されているハザードマップを単純に重ねるのではなく、地域の特性に応じて重み付けし、真のリスクを特定する
この先進的な取り組みだからこそ、小島は分析の初期段階で大きな壁にぶつかります。
小島:
「オープンデータのハザードマップに、時間帯別の人口や高齢者比率、災害ごとの重み付けを掛け合わせて総合評価するアプローチ自体に、この取り組みの大きな面白さがあります。津波を特に警戒すべき地域もあれば、洪水や土砂災害を重く見るべき地域もありますから。
ただ、一番難しかったのは、それら多角的な情報を『どのような指標で一つの被害リスクとして評価・定義するか』という点でした。何を重視するかによって導き出される結果が変わってしまうため、分析側だけで勝手に決めるわけにはいかず、頭を悩ませました。」
高度なデータ分析だからこそ、「何を基準に危険とみなすか」という定義づくりに真摯に向き合う必要があったのです。
2. 「データ上の正しさ」を超えた、現場との
泥臭い対話
この壁を突破するために小島が取ったアプローチは、徹底した自治体担当者との「丁寧な対話の反復」でした。
小島:
「まず自治体の皆様に、地域で実際に懸念されている災害や、既存の防災計画で重視している考え方を丁寧にヒアリングしました。その生の声を持ち帰り、分析チームと評価項目や重み付けの調整を行っては、再び自治体様と確認する という作業を何度も繰りしましたね。
単にデータ上の正しさを追求するのではなく、現場の実感と分析結果の両方に納得感が生まれるまで対話を重ねたことが、ブレイクスルーにつながったのだと思います。」データサイエンスの高度な技術と、現場の生の声。その両方を擦り合わせる地道なキャッチボールが、プロジェクトを前へと進めました。
3. 一枚の地図に結晶化した瞬間と、「GEOTRAらしさ」
苦労の末に高度なリスク分析が形になったとき、小島は大きな手応えと安堵を感じたと言います。
小島:
「ハザード情報、時間別の人の分布、そして防災無線の位置が一枚の地図に重なり、地域ごとの本当のリスクが目に見える形になった瞬間は嬉しさと安堵を感じましたね。それまで言葉や数値で議論していたものが地図として可視化され、『これなら防災担当者の方々にも、設備をどこに配置すべきか具体的に議論していただける』と確信できました 。
単なる分析結果ではなく、実際の意思決定に使えるツールへ近づいた瞬間でした。」
完成した防災マップ
また、このプロジェクトを通じて小島が強く感じたのは、GEOTRA 特有の柔軟性とスピード感でした。
小島:
「人流データの会社だからといって人流だけに閉じず、ハザード情報や防災設備など、課題解決に必要な多角的なデータを柔軟に組み合わせるところが非常に GEOTRA らしいと感じます。
また、営業と分析担当の距離がすごく近くて、『この見せ方ならお客様に伝わるのでは』と相談すると、分析チームがすぐに地図や分析イメージとして形にしてくれるんです。 部署を越えて、より良いものを素早く作ろうとする文化に支えられました。」
おわりに:一度きりで終わらせない、これからの防災計画へ
今回の防災無線配置の評価にとどまらず、小島と GEOTRA の視線はすでにその先の未を見据えています。
小島:
「今後は、避難所や防災無線の配置評価にとどまらず、災害発生時に人がどこからどこへ避難するのか、道路の混雑や避難所の収容力まで深掘りして分析したいと考えています。防災計画は、一度策定して終わりではありません。都市や人の動きの変化に合わせて継続的に見直せる仕組みをつくり、自治体様の具体的な施策や予算配分につながる価値を提供していきたいです。」
高度なデータ解析と現場の知恵を掛け合わせ、地域社会の安全を支えていく 。——
GEOTRA ではこれからも、社員一人ひとりの想いと熱量を原動力に、データで社会の課題を解決する挑戦を続けていきます。また本記事を通じて、様々な企業や自治体での人流データ活用の最新事例や、位置情報領域における市場トレンドなどについて、より深く知りたいと思っていただいた方々に向けて、過去のセミナー動画を限定公開しております。詳細は、以下のリンクよりご確認いただけますので、ぜひご覧ください。
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