早いもので、2022年も半分以上が過ぎてしまいましたね。相変わらずコロナ禍は続いていますが、それによりDXが推し進められたり、メタバースなどの仮想空間を使ったサービスも台頭し、デジタルヒューマン、バーチャルファッションなど様々なコンテンツが増え、サービス提供するプレイヤーも今年に入ってからさらに増えてきた印象があります。
VRCにとっても大きな変化があった上期でした。
昨年から行っているアパレル分野の取り組みは加速し、品質改善に取り組みつつPoCの準備などをしています。その他、ヘルスケア領域の取り組みも少しずつ始め、小学館様・博報堂DYホールディングス様との資本業務提携の発表などもさせていただきました。段々と私たちが取り組んできた3Dアバタープラットフォーム事業が認められ、世界観の普及に繋がってきていると強く感じています。
上期から下期になるこのタイミングで、改めて今何をしているのか、最近よく話題に出る「UAP」とは何なのか、代表のシェーに今のVRCのトレンドについて聞いてみました。今回話を聞いた内容は、これから下期にかけてVRCが目指したい方向性がよく表れていると思います。これからのVRCに興味がある、今どんな取り組みがされているのか知りたいという方はぜひご一読いただけたらと思います!
(インタビューの音声や記事の全文はこちらのnoteをご確認ください。)
シェーさんインタビュー
ー今日は代表のシェーさんに来ていただきました。よろしくお願いします。年始にボードメンバーの皆さんと去年の振り返りと今年どんな年になるかというお話をいろいろさせていただきました。そこから半年以上経ちましたが、振り返ってどうですか?
年始の時はかなり熱をこめて語りましたね。そこから、VRC社内でいろいろ技術の模索を行い、アパレル分野、健康ヘルスケアそしてエンターテイメント分野など様々な実績を積んできました。それは我々の努力だけではなく、フロントエンドサービスを提供しているパートナー会社さんと一緒に取り組み、着実に実績を積んでこられたと思います。特に我々が意識してるのは各分野で共通で使えるようなアバターを生成すること、そして管理するようなサービスを作っています。
ーなるほど、この半年で開発も進んできたなと思っています。最近というか、去年から少しおっしゃっていたようにも思いますが、新しい言葉というか、概念というかシェーさんがよく社内で言う言葉がありますよね。
「UAP」のことですね。我々が定義しているUAPは「ユビキタスアバタープラットフォーム(Ubiquitous Avatar Platform)」という文言から頭文字をとって作られた造語です。UAPのUは「Ubiquitous」、いわゆる普遍存在という意味ですね。
UAPとは、アバターを1回生成していろんな分野で使っていただけるような意味で、実際にこれを形成していく際には、いろんなことを心がけてやっていく必要があります。特にアバターの生成の部分は、例えばエンターテイメントコンテンツのところで使うアバターのフォーマットと、アパレル分野で使うフォーマットでは少し違いがあったりすると、個人情報の管理するときに、それらの統一的な管理がしづらくなってしまうんですよね。
アバターデータは個人情報ですが、時系列でトレーシングできるような統一のフォーマットがあればいいなと、私は1エンドユーザーとして考えたりはしておりまして、まさにそれを目指してフォーマットの整備など、そういうことを意識して開発してまいりました。
ーなるほど、UAPとはそういう構想なんですね。
そうです。それ以外にプラットフォームを形成していく際には、技術以外にも、個人情報をいかに健全に管理できるようなプラットフォームを形成するかということに気を付けなければなりません。2Dの画像以上の情報量を持つ3Dのデータを利用していく際は個人情報保護の法律にかなり左右される部分もあります。
特に最近、日本国内だと個人情報保護法もありますし、グローバルだとGDPRというヨーロッパでの方針もあります。やっぱりそれらを参考にして個人情報保護に関する設計をすることは重要ですし、エンドユーザーにとって「自分のデータは自分に所有権が全てある」ということは我々もすごく共感しているので、数年前から個人情報保護を意識して開発してまいりました。
アバターのデータを1回生成して、自分のデータであればトレーシングできる、そして管理も全てエンドユーザー自身で管理できるような仕組みを、ようやくですね、最近あちこちで認めていただいてます。そういうものも採用している我々のアドバンテージとしてアピールしております。
特にサービス提供していく際に思うのは、せっかく1個のアバターを撮れたのに1個のサービスしか使えないというようなのは、とてももったいないというか。それを全ての分野で、万遍なく使っていただけるような環境がすごく大事だなっていうのを最近実感しております。
ーアバター生成の部分は本当に創業当時からその速さとか品質とかにこだわってずっと開発されてると思うんですけれども、何かその辺の開発で新しいことや、最近のトレンドというか、技術進歩とか、そういったことについてもおうかがいできる範囲でお答えいただきたいなと思います。
まさに創業当初2016年から3D生成はすごくスピーディーにできるというのをアピールさせていただいてまして、現在7期目を迎えている時期であります。改めて振り返ってみると、3Dアバターの使い道は最近の市場ニーズで言うと、大枠2種類あるとご紹介できます。
一つは幾何学的な精度を重視したサービス。例えば3Dアバターデータを撮影後に、採寸、測量に関するデータをECアプリケーションの服選びや、購買するときに使うとか、自分の体がどんなサイズ、どんな形になってるかっていうのを把握できる使い方です。これはアパレル業界でサービス展開していく際に重視されているポイントであります。
もう一つは、見た目ですよね。見た目はいかに自分らしい見た目の演出ができるかという次第で、エンターテイメントコンテンツに入ったり、アパレル分野ではバーチャル試着ができたりします。バーチャル試着する際に、いかに自分のかっこよさというか、美しさを演出できるかによって、購入したいと採用されるポイントとしてユーザーに重視されていると思います。3Dアバターにはそういった見た目の使い方もあります。
ーそうですね、3Dアバターはそのまま本人の見た目、形状を写しとるのでそういった使い方ができますね。
この二つは、実はこれまで弊社でやってきた技術ですと、ほとんど伝統的なアルゴリズムを用いて提供しており、数十年前から開発されたアルゴリズムをベースにしていろんなオプティマイゼーションをかけた後に得られる結果は安定的な特徴がありとても優れています。
一方で、弊社はディープテックの会社でもありますので、最先端技術をフォローしたり、今でも研究開発をやっております。例えば最近、今年のCVPRに我々もチャレンジして他の大学の先生と共同で発表した論文を提出いたしました。論文にも書いてありますが、ニューラルレンダリングというような方式の3Dモデリングというか、レンダリング方式を一つのチャレンジとして頑張って取り組んで参りました。
ーニューラルレンダリングはどのようなものなのでしょうか?
ニューラルレンダリングはどちらかというと直接コンテンツをレンダリングするようなアルゴリズムなので、リアルさとその表現力を今までのものと比べるとよりリアルにできるというのは一つの特徴ではあります。ただ、まだまだ初歩段階ではあるので、最先端の学術論文誌に採択されたといっても、実際に実応用までは道が長いという状況ではありますね。でも、我々は常に最先端技術をフォローしてより良い技術を開発していけるよう頑張っていきたいと思います。
インタビュー後、シェーからは「ここでははっきりと言えないけれど、この下期にかけては新しい開発もどんどん進み、年末から来年以降にワクワクするような発表もできると思うので、ぜひ期待していてほしい!」というコメントもいただきました。
インタビュー内でも話が出たように、様々なパートナーさんから評価していただき、新しいPoCや新規取引のお話なども増え始めており、本当にありがたいことだと思っています。
そんな中で、人手が足りない状況が続いており、新しいことに取り組みたい方、最新技術開発に興味があるという方を絶賛募集中です!
下期もスピード感を持って開発に取り組み、様々な取り組みをより一層進めていきたいと思います!!ぜひご期待ください!