ビジョナリー学習塾が掲げている「夢教育」についての紹介です。
なぜ始めたのか、中身は何なのか、そして実際に生徒に何が起きたのか。
塾のパンフレットに載っているようなきれいな話ではなく、社内で講師に配っている資料に何を書いているかまで含めて書きます。
「夢を叶える力を身につける」が真髄
夢教育の出発点は、僕自身の失敗です。高校時代、僕はプロ野球選手になりたくて、部員140人の強豪校で野球をやっていました。結果は二軍止まり。最後はスタンドで応援していました。
夢を諦めた瞬間、自分の未来が見えなくなりました。
何を目標にすればいいのかわからない。何のために毎日を過ごせばいいのかもわからない。あの感覚は今でもはっきり覚えています。そのあと、学校の先生になりたいという夢を持ち段々と夢を昇華させて。日本の教育を変えたい。そう思って動き始めた。ところが、そこでもう一回つまずくんです。
夢を持っただけでは、人はむしろ苦しくなる。
やりたいことがあるのに、目の前のことが進まない。自己管理ができない。理想と現実の差が、そのまま自分への失望になっていく。このとき、はっきり思ったんです。
「夢を持つだけでは人は幸せにならない。夢を叶える力までセットだ」
持たせるところまでやって、あとは本人の意志の問題にする。それは教育ではないと思いました。夢を持たせるなら、叶えるための力もセットで渡さないといけない。
これが夢教育のきっかけです。自分に足りなかったものを、そのまま事業の設計図にしました。
会社名は「株式会社Dream Today」夢が始まった時のワクワク感を味合う人をふやしたい。
そしてその夢を叶える力を身につける教育を実現したい。そう思ってこちらの会社名にしました。2022年に塾の名前を「ビジョナリー学習塾」に変えたのも、この理念を名前に入れておきたかったからです。
僕たちの仕事の本質
社内の資料は、この一文から始まります。
私たちの仕事の本質は、勉強を通して「夢を叶える力」を届けること。
勉強そのものではなく、勉強を通して得られる力こそが、その子の人生を支える。ここが全ての起点です。
この一文の裏には、3つの考え方があります。
① 勉強で得た価値は、将来必ず生きる
正直に言えば、社会に出て因数分解そのものを使う場面は、そう多くありません。でも勉強を通して手に入る「考え方」「努力できる力」「集中力」は、必ず将来の武器になります。
② 夢を「描かせるだけ」で終わらせない
その子が心から望むものを一緒に明確にする。そのうえで、叶えるための技術・スキル・習慣まで渡す。ここが夢教育の一番大事なところです。
③ 小中高一貫で、発達段階に応じて関わる
小学生・中学生・高校生では、必要な教育がまるで違います。だから12年間を通した設計にしています。
- 小学生:基礎力と体験を通して土台を築く
- 中学生:自己理解と目標設定の習慣を育てる
- 高校生:夢の言語化と、未来への実装力を磨く
転勤のない地域密着でやっているのは、この12年に付き合いたいからです。
「夢を叶える力」を3つに分解する
抽象的な理念のままだと、現場では何も起きません。だから僕たちは「夢を叶える力」を3つに分けて定義しています。
- 学力 ― 夢を叶える「武器」/ゴールは、自分で学べる子を育てること
- 人間力 ― 夢を叶える「在り方」/ゴールは、なぜ学ぶかを自分の言葉で語れる子にすること
- 目標達成力 ― 夢を叶える「技術」/ゴールは、やりきる経験を根拠ある自信に変えること
順番に書きます。
学力 ― 夢を叶える「武器」
成績を上げることには全力で取り組みます。そこは手を抜きません。ただ、本当に大事にしているのは、
自分で勉強できる子に育てることです!点数を上げる過程で「自分に合った学習法」と「論理的に考える力」が身につくかどうかです。
目指しているのは、教科書を読んで自分で学べる状態です。そこまで行けば、大学でも社会に出てからも、新しいことを自分で学べます。今年度は特にここに投資すると決めていて、勉強法のコンテンツをYouTubeで体系化する取り組みも進めています。
人間力 ― 夢を叶える「在り方」
毎日の勉強に追われていると、「何のためにやっているんだろう」がわからなくなります。でも、「何のために勉強するのか」を自分の中に持っている子は、強いです。
やらされている勉強と、自分の未来のためにやる勉強は、同じ1時間でも中身がまったく違います。なので人間力の中身は、まず土台から。挨拶をする。約束を守る。ここを整えたうえで、面談やイベントの時間を使って「自分は何のために勉強するのか」を一緒に考えていきます。
そのための時間を、2種類つくっています。
① 夢・目標設定面談(年3回)
春期・夏期・冬期の講習前に、生徒と一対一で座る時間を必ず取ります。「講習を何コマ取るか」の面談ではありません。その前に、志望校と将来の夢を一緒に設計する時間です。
講習の直前に置いているのには理由があります。長い休みは、いちばん行動が変わるタイミングだからです。何のためにこの夏を使うのかが自分の中で決まっている子と、決まっていない子とでは、同じ講習を受けても残るものが違います。
② ビジョナリーHR(月1回・Zoom)
面談は年3回なので、それだけだと間が空きすぎます。そこで月に1回、Zoomで「ビジョナリーHR」という時間を設けています。小学生版・中学生版・高校生版があり、それぞれの発達段階に合わせた内容です。将来の夢や、これからのキャリアについて考える時間を、月に一度、全員が持つ。
夢について考えるのを、面談のときだけの特別なイベントにしたくないんです。月1回のペースで繰り返し戻ってくるから、少しずつ言葉になっていく。1回目は何も出てこなかった子が、半年後に自分から話し出すことがあります。目指しているのは、その子が自分の言葉で「勉強する理由」を語れるようになること。それだけです。
長期休みのイベントも、ここに紐づいています。この夏の合宿では、2日間の中にこんな時間を組みました。
- 初日の朝いちばんに「将来の夢・目標を考えるシート」を書く
- 「自分の大切にしたい生き方」をテーマにしたコーチングホームルーム
- 「理念・ビジョン・人生の目的と職業」をテーマにしたコーチングホームルーム
- 「頑張る理由」をテーマにしたコーチングホームルーム
- 気になる職業のチェックリストを、宿題として一晩考えてくる
- 色紙に「◯◯高校合格」と書いて、チームの仲間が応援メッセージを書き込む
- 保護者の方から集めた応援メッセージを、休憩時間に読み上げる
- 最後に、親御さんへの手紙を書く
自分のことを見てくれる大人の存在が大事です。そして自分の可能性を信じてくれる大人の存在が大事です!
目標達成力 ― 夢を叶える「技術」
僕たちが社内で「成功のサイクル」と呼んでいるものがあります。
目標を決める → 行動する → 達成する → 自信がつく → だからもっと高い目標を決められる。
この輪が一度回り始めると、子どもは放っておいても伸びていきます。逆に、どこか一箇所で止まると、そこから動かなくなる。だから僕たちの仕事は、教えることそのものよりも、この輪を止めずに回し続けることだと思っています。目標達成力というのは、要するにこのサイクルを自分で回せるようになることです。
サイクルを回す舞台は、定期試験
ここに関して、僕たちは他の塾と違う選択をしています。模試をやりません。理由は、模試だとこのサイクルが回らないからです。
模試は試験範囲が「今までやった全範囲」なので、対策のしようがありません。対策できないから結果が出にくい。結果が出ないから、次に向かう気持ちが湧かない。「やってもできない」という体験を子どもに与えてしまうリスクのほうが大きいと考えています。
その点、定期試験は範囲が限定的です。だから対策ができる。対策すれば結果が出る。結果が出れば自信になり、次の試験に向かえる。成功のサイクルを回すのに、これ以上いい舞台はありません。 だから僕たちは定期試験に全部を寄せています。地域の各中学校の出題傾向を毎回分析して、学校別の模擬プリントまで自作しているのはそのためです。
目標は「達成できる高さ」に置く
サイクルが止まる一番の原因は、高すぎる目標です。社内では「達成できる目標を設定する」を原則にしていて、たとえば平均60点の生徒に70点の目標は立てません。届かない目標を立てて未達に終わると、その子の自己評価が削れて、次の一周が回らなくなるからです。
だから守れる高さに置いて、「決めたことを守れた」という小さな成功を積み上げていく。「今日決めたページを最後までやれた」 「先週よりちょっとだけ点数が上がった」
これが積み重なると、「自分はやればできるんだ」という根拠のある自信に変わります。根拠のない励ましではなく、事実の積み上げで自信をつくる。ここは譲れません。
宿題も同じ考え方です。子どもが宿題を嫌がる理由の多くは「中身がわからない」こと。わからないものを出しておいて「やる気がない」と言うのは、こちら側の怠慢だと思っています。きちんと解ける宿題を出すのは、サイクルを止めないための設計です。
面談で、サイクルを1周させる
このサイクルは、放っておいても回りません。担当講師が横について、1周ずつ回します。
面談は3種類あります。
- 目標設定面談 ― 次の定期試験の目標を決め、「何のために頑張るか」を本人の言葉にする
- 振り返り面談 ― 試験後に実施。結果を次の行動につなげる
- 各講習前の面談 ― 学校の宿題、自習、長期休みの過ごし方を共有する
面談の目的は「行動変容」です。話して終わりではなく、次の行動につながったかどうかが全て。担当講師は「目標を立てる → 行動する → 振り返る」に、毎回伴走します。
そして目標設定のときは、生徒と一緒に4つの目標を縦に並べます。
- 将来の夢の目標
- 志望校の目標
- 定期試験・内申の目標
- 検定(英検・数検・漢検など)の目標
「看護師になりたい」だけでは今日の行動は変わりません。看護師 → だからこの大学 → だから次の定期テストで何点 → だから今週この単元。ここまで降ろして、初めて今日やることが決まります。タイムマネジメントは中学生は手帳、高校生はアプリで管理します。受験が終わったあとに残るのは、志望校の名前ではなくこっちのほうです。
理念を、理念のままで終わらせない
ここまで読んで、「言っていることはわかるけど、実際どうやるの?」と思われたかもしれません。僕たちもそう思っています。だから社内では、3つの力をさらに12の要素に分解して、それぞれに具体的な企画を紐づけています。
学力 読解力 → 読書感想文イベント/計算力 → 計算力イベント/論理的思考力 → 哲学対話/学習力 → YouTube発信・学習法ガイダンス
人間力 セルフマネジメント → 選択理論心理学・学習法ガイダンス/人間関係構築 → 体験学習・選択理論心理学イベント/ビジョンクリエイト → 合宿・ビジョナリーHR/プレゼンテーション → 夢・ビジョンプレゼン企画
目標達成力 やり抜く力 → 講師による伴走/習慣力 → 習慣マネジメントアプリ/タイムマネジメント → 手帳・アプリ/PDCA力 → 3ヶ月ごとの振り返りセッション
全部が完成しているわけではありません。開発中のものもあります。それでも、理念に対して「で、具体的に何をするのか」を1つずつ埋めていく作業をやっているかどうかが、掲げているだけの塾との違いだと思っています。夢教育は、スローガンではなく仕様です。
導入してから、生徒に起きたこと
きれいごとだけでは意味がないので、実際に起きたことを書きます。
ある中3の男子生徒
入塾した頃は、理科が20点でした。国語43点、数学30点台、英語も30〜40点台。そこから1年でこうなりました。
- 理科 20点 → 60点
- 数学 30点台 → 50点
- 英語 30〜40点台 → 50点台
- 国語 43点 → 60点台で安定
- 志望校の模試判定はS判定(合格可能性90%以上)
数字も嬉しかったのですが、僕たちが一番嬉しかったのは彼の言葉のほうです。
「勉強が楽しいと感じるようになった」
実際、高校では1年生から始めると決めて、そのまま通ってくれています。
高3のある男子生徒
英検に一度落ちて、12月に合格し、そこから大学入試で4校に合格した子がいます。
合格したあと、彼が言ったのはこの一言でした。
「運じゃなくて、実力がついた」
僕はこの言葉が今でも一番好きです。夢教育がうまくいったかどうかは、結局ここで測るしかないと思っています。
卒業生が、講師として戻ってきた
今年の合宿には、西新宿校の卒業生がスタッフとして入ってくれました。今は大学1年生です。帰省しているあいだだけ、後輩たちの前に立ってくれています。自己紹介で、当時お世話になった先生の名前を挙げていました。塾を出ていった子が、大人になって同じ場所に戻ってくる。 事業としてこれ以上の答え合わせはないと思っています。
正直に言うと、うまくいかないこともあります
夢教育と言っていますが、面談で「将来の夢は?」と聞いて、すぐに答えられる子はほとんどいません。大半は「わからない」です。当たり前だと思っています。僕自身、高校で夢を失ってから、次の目標が見つかるまでに何年もかかりました。
だから社内では、講師にこう伝えています。その子が今、夢を求めているかどうかを見なさい、と。求めていないタイミングで「夢を決めよう」と迫るのは、ただの押し付けです。そういうときは、目の前の定期テストの目標だけ一緒に決めて、その日は終わりにします。夢の話は後日でいい。
それに、夢は必ずしも職業でなくてもいいと思っています。「こういう大人になりたい」でもいいし、「あの高校の制服が着たい」でもいい。そこから始まった子を、僕は何人も見てきました。
夢を持つこと自体が善だとは思っていません。大事なのは、その子が自分の人生を自分で選んでいる感覚を持てているか、それだけです。
何のためにやっているのか
高校時代の僕みたいに、夢を諦めた瞬間に未来が見えなくなる子を、一人でも減らしたい。
もっと言えば、夢を諦めても大丈夫な状態を作りたいと思っています。矛盾しているようですが、そうではありません。
夢を叶える力さえ持っていれば、一つの夢が終わっても、次の夢に向かって歩き出せます。僕にとってそれが勉強でした。野球で失ったものを、勉強が返してくれた。
だから僕たちは、勉強を通してそれを渡します。
志望校に合格することがゴールだとは思っていません。この塾に出会って人生が変わった。 そう言ってもらえる場所を作りたくて、毎日やっています。