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差別化戦略をスターバックスの事例に学ぶ
差別化戦略は、マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)によって提唱された競争戦略の1つ。
特定の市場における製品やサービスについて、デザイン面での付加価値やブランドイメージ、顧客サービス、プロモーション活動などによって、競合他社より優れていることを強調し、差別化を測ることで競争優位性を獲得する戦略のことを指します。
差別化戦略のメリットの1つに、競合他社との価格競争を回避できるという点が挙げられます。
差別化によって他の企業にはない商品やサービスを提供することになるため、消費者にとっては唯一無二の商品・サービスとなり、価格競争をしている競合に合わせて価格を引き下げる必要がなくなるのです。
一方、差別化戦略で成功したとしても競合がその差別化した商品やサービスを模倣することで、差別化が図れなくなってしまうといったリスクも秘めています。この状態に陥ると差別化のために投資した資金が無駄になるばかりでなく、新たな価格競争に巻き込まれてしまう危険性も孕んでいるのです。
その意味で、簡単には真似することのできない差別化戦略を図ることが重要であり、成功したあとも競合の動向を常にチェックしておく必要があると言えるでしょう。
本記事では、スターバックスの事例を参考に差別化戦略の方法を紹介したいと思います。
スタバはカフェでなくスタバ空間を生み出した
1971年にアメリカのシアトルで誕生したコーヒーチェーン「スターバックス・コーヒー」。言わずと知れたシアトルカフェの先駆け的存在であり、そのブームを巻き起こした第一人者です。
スターバックス・コーヒー、通称「スタバ」が日本に上陸したのは、1996年のこと。
「人々の心を豊かで活力のあるものにするために」を企業ポリシーに掲げ、「カフェ」ではなく「スタバという空間」をつくったことが、これまでの喫茶店とも他のカフェチェーンとも違う新しいスタイルのカフェを生み出しました。
喫茶店の主な利用客は男性だった。スタバ空間は女性にフォーカス
日本の喫茶店は、元来、おもにサラリーマンなどの男性の憩いの場所でした。しかし、現在のスターバックス・コーヒーの利用客の大半は女性。つまり、徹底的に女性を利用客として取り込む戦略が、スターバックス・コーヒーの差別化の軸だったのです。
スターバックス・コーヒーは、外観、店内空間、メニュー用看板から商品名、サイズ表示のいたるところまで、女性客に好まれる「おしゃれ感」や「スマート感」を徹底的に追求している。その徹底ぶりは、他のカフェチェーンの追随を許しませんでした。
しかし、カフェの概念を壊したという訳ではありません。スターバックス・コーヒーはあくまでもカフェでありながら、女性の利用客が求める価値を最大限に付加した結果、今の姿になったのです。
また、日本国内では3店舗目からではありますが、「スターバックス・コーヒー」は「全面禁煙」のカフェという形を貫きました。まだ多くのカフェが喫煙席を設けていた時代に推し進めたこの「割り切り」が、「清潔感」「コーヒーの香りを楽しむ」というスタバのさらなる付加価値を生み出し、差別化戦略の功を奏した要因のひとつでもあります。
現在も女子高生や女子大生などからの支持が根強く、多くの若い女性が待ち合わせ場所としてのみならず、勉強や読書などをする場として利用されるスタバ。「インスタ映え」するスポットとしても定番になっており、SNSでは女性客によって撮影されたスタバのカフェメニューが日々、続々と投稿されています。
時代の流れに乗って起きたこれらの現象が、さらに「スタバ」のブランド価値を高め、「差別化」を推し進めていると言えるでしょう。