企業の採用ページや募集要綱には「業務を通じて【成長】する」とか「やりがいがあなたを【成長】させる」などといった耳触りの良いWORDを並べていることがあり、若くて素直な人たちはつい吸い寄せられてしまいがちです
が、この【成長】という概念。ファンタジー(空想であり幻想)です
こう言い切ると多くの人は脊髄反射で「そんな訳ない」「なんてひどいこというのか」となるかもですが
事実、私たちの素養や能力の半分以上は、親からの遺伝で決定付けられており、私たちはその遺伝的要素を基点にして、自分らが生存し易い道筋や環境を無意識に選択して生きているに過ぎません
それらはいうなれば「順応」または「適合」であって【成長】とは別ものです
もっと学術的に言うと
・人間の知能の遺伝率は、成人期で約7割とされており、性格特性についても約4~6割の遺伝率が報告されています。これは、個人の能力や行動の大部分が遺伝的要因によって説明されることを示します
・人は無意識に(つまり遺伝的素質により)個人の経験や環境を選択している。これを「遺伝的セルフセレクション」といいます
重要なのは、人には向き不向きがあり(遺伝による「適性」をマイルドいうとこうなる)、苦手なことや嫌なことを延々とやらされても能力を発揮できない、好きなことや自分が夢中になれることに身を置くことこそが持って生まれたもの(遺伝的素養)を最大限に発揮するヒントだと言ってよいのです
人員採用をしたり配置を実施する企業側にも同じ目線が必要だと考えていて、X業務が苦手なA君に「がんばってX業務に慣れてね」などとアサインし続けることは合理的ではありません。人間なので多少の頑張りと熱意と熟練によりキャッチアップする(或いはしたように見える)ことはあれど、これをして「A君、成長したねー」なんていう人間の頭の中はお花畑もいいところです
私の大学生の娘には、シンプルに自分の「好き好み」に問うて職を探してね、と話しています
※会社ではなく職を探してねといっていることに留意されたく
参考:
・発達心理学研究「双生児による縦断研究が明らかにする遺伝のダイナミズム」(慶應義塾大学文学部教授 安藤 寿康)
・『言ってはいけない - 残酷すぎる真実 - 』(新潮新書、橘玲 著 2016年)
・『もっと言ってはいけない』(新潮新書、橘玲 著 2018年)

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