【リーダーインタビュー】15年の安定キャリアを捨て、EC未経験で挑んだリーダーの軌跡。「直感」を信じて踏み出した、私らしい挑戦。
「勇気を出してやってみることで、新しい自分と出会えるはずですよ。」
株式会社Recora(レコラ)のデジタルマーケティング部でリーダーを務める重長奈々美さんは、そう朗らかに語ります。
重長さんは、15年間勤めた建設業界での経理・総務という安定したキャリアを離れ、全くの未経験だったEC業界へ飛び込みました。
入社後は、前職の経理経験を活かして「売上や利益の可視化」という会社の根幹となる仕組みを構築。現在は6つのECモールの運営責任者として、データ分析から戦略立案までを担っています。
「男性社会」「年功序列」といった環境に葛藤を抱えていた重長さんが、なぜRecoraを選んだのか。未経験からいかにして知識をキャッチアップし、チームを率いるリーダーへと成長したのか。
その軌跡には、「男性に頼らず自分が稼ぎたい」「もっと自分の能力を発揮したい」と考えている多くの女性にとって、一歩踏み出すヒントが隠されていました。
15年の安定キャリア。それでも拭えなかった「葛藤」
ーー現在のデジタルマーケティング部でのお仕事内容と、Recoraに入社されるまでのご経歴を改めて教えてください。
はい、今はデジタルマーケティング部のリーダーとして、楽天、Amazon、Yahoo!、Qoo10、自社ECなど6モールの運営管理を担当しています。
各モールの日々の売上・粗利の管理や、在庫・配送状況のチェック、セール期間中の動向分析などを行いながら、チームメンバーと一緒に施策の検討や実行を進めているところです。データ分析をもとに広告運用や商品施策の改善にも携わっています。
Recoraに入社する前は、15年間ずっと建設業界で経理と総務の仕事をしていました。
ーー15年間という長いキャリアを築かれた建設業界から、全くの未経験であるEC業界へ転職を決意された際、不安や葛藤はありましたか?
正直、転職当時は「EC」という言葉すら知らない状態でしたし、不安がなかったと言えば嘘になります。前職は親会社もある安定した環境だったので、未経験の業界に飛び込むことにはもちろん葛藤がありました。
もともと転職を考えていたわけではなかったんです。ただ、前職はやっぱり男性社会的な風土が残っていて、経理や総務といったバックオフィス業務が軽視されがちだったり、年功序列で評価が決まる文化に、ずっと葛藤を感じながら働いていました。どれだけ頑張っても、キャリアアップの順序は決まっていて、飛び級はできないなって。
そんなモヤモヤを抱えていた時に、たまたまRecoraのホームページを見る機会があったんです。
ーー「社長のメッセージに心を動かされた」と拝見しました。それが大きなきっかけになったのでしょうか?
そうなんです。齊藤社長のメッセージにあった「それぞれに出来ることは一人ひとり違いますが、その得意や個性を尊重することで、企業価値へとつなげていければと考えるのが私たちの姿勢です。」という言葉を見て、すごく心を動かされました。
「目立たない業務や裏方の仕事も、ちゃんと価値として認め、社員一人ひとりを尊重してくれる会社なんだ」って。そういうことがわかる人がトップに立っている会社なんだなと感じて。
最初は転職するつもりはなくて。むしろ、そういう考え方の会社があるんだって勇気づけられたので、「私、今の会社でもうちょっと頑張れそうです」みたいな(笑)、感謝の気持ちを伝えたくて、一方的にメールを送ったんです。
その後、社長からご連絡をいただき、住まいが比較的近かったこともあり、お話の機会をいただきました。約2時間ほど、会社の方針や事業への思いを伺い、その誠実なお人柄と明確なビジョンに強く共感しました。未経験ではありますが、自分もこの会社の成長に貢献したい、と感じたのが応募のきっかけです。
ーーとはいえ、15年のキャリアを捨てる決断は簡単ではなかったと思います。
実は、斎藤社長とお話させて頂いてから、転職に至るまでに6ヵ月もかかったんです。前職の上司や社長に「ECの会社に挑戦してみたい」と相談しました。最初は「ここにいたほうがキャリアアップできるし、安定している」とRecoraがスタートアップ企業であったこともあり引き留めていただきました。
でも、私が「もし行かなかったら、半年後も『あの時Recoraに行ってたらどうなってたんだろう』って考えながら仕事してると思います」って話し続けていたら、最終的には「重長さんの挑戦の可能性を私たちが止めてはいけないね。どこに行っても活躍できると思うから頑張っておいで。もしダメだったら、いつでも帰ってきていいよ。」と、温かい言葉で背中を押してくださって。
その言葉で覚悟が決まりました。Recoraの齊藤社長も、私が円満に退職できるように待ってくださり、入社することができました。本当に人に恵まれていたと感謝しています。
最終的な決め手は、やっぱりホームページを見た時の直感ですね。私は、「やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい」と思うタイプなので、未経験の業界でしたが、その直感を信じてやってみようと思いました。
未経験からの挑戦。経理経験が「仕組み化」の武器になった
ーーEC未経験で入社されて、どのように知識をキャッチアップされたのでしょうか?
入社当初は、EC業界の専門用語「CTR」とか「CVR」とかが全くわからない状態でした。最初はもうとにかく勉強して、わからないことは当時の上司だった秋重さんに、理解できるまで何度も質問しました。
私、気になることは納得するまで聞かないと気が済まないタイプなので、秋重さんはすごく大変だったと思うんですけど(笑)、本当に時間をかけて丁寧に教えてくださって。言葉の意味を覚えるのと一緒に、商品が企画されて、生産されて、販売されるまでの一連のプロセスも学びました。
ーーすぐに「売上や利益の可視化」という仕組み作りも担われたそうですね。
はい、社長からも「今、数字を可視化する仕組みがなくて、経営判断のスピードが上げられない」という課題は聞いていたので、入社したらまずそれを作ろうと思っていました。それを作るには、まず「原価の仕組み」を理解しないといけないな、と。
建設業の経理もしていましたけど、EC業界、特に輸入商品は、建設業とはまた違った利益の構造があるんです。関税とか為替とか、新しい概念も多くて。その基本的な知識をまずインプットした上で、各モールの売上や広告費をデータ化し、原価や粗利を自動で可視化する仕組みをスプレッドシートで構築しました。
ーーまさに前職のご経験が活きたわけですね。
そうですね。原価構造がわかっていないと、正しい利益は算出できませんから。もともとExcelの関数やマクロを使って何かを効率化するのは得意だったので、データを可視化するシートは作成できそうだとすぐにイメージできました。前職で原価管理や経理業務に長く携わっていた経験が、Recoraの「仕組み」を作る上で役立ったのは嬉しかったです。
このシートができたことで、チーム全体が「数字を見ながら施策を考えられる」ようになりましたし、経営判断のスピードも上がったと思います。
「攻め」のデータ分析と、経理視点の「粗利」へのこだわり
ーー現在は店舗運営の責任者として戦略立案も担われています。分析したデータを、どのように「実行(施策)」に落とし込んでいるのでしょうか?
日々の数値が可視化できるシートで、商品ごとの数字の変化や異常値を確認します。そこから「なぜこの数字になったのか?」を仮説立てして、要因を特定してアプローチしています。
今は私の視点や考え方をチームに共有して、メンバーそれぞれが担当モールでPDCAを回せる体制をつくっています。EC業界って正解がひとつじゃないので、仮説が外れることもよくあります。でも、間違いに気づいたらすぐに修正して次の施策を試す。その繰り返しで、少しずつ勝ちパターンが見えてくるんです。
数字を分析するだけがゴールじゃなくて、そこから「次にどう動くか」を考えて実行し、その結果まで検証すること。それが、この仕事の一番面白いところだと思います。
ーーご自身が分析・立案した施策で、大きな成果に繋がった最も印象的なエピソードはありますか?
印象に残っているのが、もともとメンズ向けとして販売していたバッグの施策です。販売データを分析したとき、購入者の男女比が、想定よりも女性の割合が高いことに気づいたんです。さらに市場規模を調べたら、同デザインでのレディース需要が大きかったので、「ターゲット自体を女性にした方が伸びるのではないか」と仮説を立てました。
そこで、商品ページやサムネイル画像を、男性モデルから女性モデルに全部リニューアルして、撮影のデザインやテキストも女性視点に合わせて変更したんです。そしたら、メンズ市場では月間約50万円ほどだった売上が、レディース化以降は月間100万円規模に成長しました。
データが会社の意思決定を変える力があるんだ、と強く実感した経験ですね。
ーー「売上だけでなく『粗利』を意識する」という視点は、経理をご経験された重長様ならではの強みだと思います。この「粗利視点」を、チームの共通認識にするために工夫されていることは?
特にセール期間中は、大幅な値引きやクーポンを配布するので、売上が一気に伸びやすいんです。モールの管理画面だけ見ていると、売上だけが目立って「順調だな」と思いがちなんですけど。
でも、その売上で手元にどれだけ粗利が残っているのかは、その場ですぐに見えない。だからこそ、「売上=成功」とは限らないことを、チームにも常に共有しています。目の前の数字だけで喜ぶのではなく、その結果が会社全体にどう影響したかまで考える視点を持つように教えています。
何より大切にしているのは、「安売りしなくても売れる品質のものを、自信をもって販売すること」。企画チームが一生懸命作ってくれた商品を、私たち販売チームが誇りを持って、お客様に価格以上の価値を感じていただく。それこそが、最終的に最も健全な“粗利の向上”につながると信じています。
ーー「攻め(売上向上)」と「守り(コスト削減・在庫管理)」の両方を見ていらっしゃると思いますが、この2つのバランスについては、どう考えられていますか?
このバランスは、正直いまでも一番難しいです(笑)。売上を上げたくても、そもそも売る在庫がなければ売上は立たない。かといって在庫を積みすぎると、トレンドが変わって安売りせざるを得なくなる。商品によっては生産に2ヵ月くらいかかるので、流行を読んで発注しないといけないんです。
「攻め」たい気持ちと、「守らなきゃ」という気持ちのバランスをとるのは非常に難しい。よく社長からは「二重人格でやってください」と言われます。売上を上げたいイケイケの自分と、在庫を守る冷静な自分で考えないと、って。
ーーちなみに、ご自身は「攻め」タイプですか?「守り」タイプですか?
めちゃめちゃ攻めタイプですね(笑)。粗利を残すためにも、やっぱり売上がないと始まらないので。在庫が切れてしまう「機会損失」のほうが大きいと思っているので、つい積みすぎちゃう傾向があって…そこは今も課題です。でも、トータルで見て売上と利益を最大化させていきたい。将来的には、「ここも得意です!」って言えるように頑張ります。
「個性を尊重する」文化が、挑戦と成長を後押しする
ーー前職と比べて、Recoraはどのようなカルチャーを持った企業ですか?
Recoraには「ベストグッド賞」という、私がとても好きな文化があります。
これは、数字や成果だけでは見えない、日々の感謝や“ありがとう”を伝え合うための取り組みです。社員全員が毎月「この人に感謝したい」と思う人に投票して、コメントを贈るんです。
この文化は、私が入社を決めたきっかけでもある「それぞれの個性を尊重する」という社長の考え方と、まさに同じだなと思っていて。目に見える成果だけでなく、日々の支えや思いやりを大切にしてくれる。誰かの小さな行動が、ちゃんと見られて、感謝される。そういうあたたかい文化があるのが、Recoraの一番好きなところです。
ーー「社長や上司との距離が近い」という風通しの良さは、ご自身の成長や成果にどう影響していますか?
なんでも悩んだらすぐに相談できる点は、大きな安心感につながっています。前職だと、会社の規模が大きくなると社長と直接話す機会なんてなかったですけど、今は距離感が近いので、「こういう考え方で合っていますか?」とすぐ確認できます。
そのおかげで、方向性のズレを早い段階で修正できることや、自分の意見が反映される機会が多いことが、成長のスピードにつながっていると感じます。私自身、EC未経験だったのに、入社してすぐに運用を任せてもらえるような「挑戦できる環境」と、「すぐに相談できる安心感」のバランスが取れているのがRecoraの魅力だと思います。
ーー未経験から活躍されている重長様から見て、「こんな人がRecoraに入社したら活躍できる」と感じる人物像を教えてください。
シンプルに「新しいことにチャレンジすることを楽しめる人」だと思います。EC業界はトレンドの変化がめちゃくちゃ激しいので、数か月前の正解が今日はもう通用しない、なんてことも日常茶飯事です。だからこそ、今までのやり方に固執せずに、変化を恐れず大胆に行動できる人が活躍できる環境です。
そして、もう一つ大切なのは、「前向きに学び続けられる姿勢」ですね。私自身も未経験でしたが、分からないことを素直に質問して、納得いくまで吸収していきました。「できない」ではなく「やってみよう」と前向きに考えられる人なら、Recoraでは必ず活躍できると思います。
ーー今後、ご自身のチームをどのような組織にしていきたいですか?
メンバーには、小さい成功体験をたくさん積み重ねて、自信をつけてほしいと思っています。一人ひとりが得た成功や気づきをチームで共有して、議論しながら「じゃあ次はこうしてみよう」とアップデートしていく。そうやって、チーム全体が学び合いながら成長していける組織にしたいです。
うちのチームはみんな個性があるので、色んな意見が出るのが面白いんです。だからこそ、やりたいと思えることは挑戦できるようなチームにしたいですね。もちろん、私は前職が経理なので「根拠と数字」は特に大事にしていて、そこはつい突っ込んじゃうんですけど(笑)。でも、挑戦を恐れずに変化していけるチームでありたいです。
データで未来を予測し、経営を支える存在へ
ーー今後の目標として「データサイエンティストとしての専門性を高めたい」と拝見しました。Recoraで描く、ご自身のこれからのビジョンを教えてください。
今、仕組み化によって可視化できているのは、あくまで「過去のデータ」なんです。これからは、そのデータをより深く分析し、「未来の構造を見ていける」ような強みを作っていきたい。例えば、5年後にどれだけ成長できるか、その予測立てができるような仕組みを作りたいです。
そして、その分析結果をチームや他部署にもわかりやすく共有して、データをもとに経営判断・戦略を支えられるような人になりたいと思っています。私自身が上司の秋重さんにそうしてもらったように、次の世代のメンバーに挑戦の機会をつなげていける、そんなリーダーでありたいですね。
ーー最後に、この記事を読んでいる候補者の方、特にキャリアに悩んでいる女性の方へ、一歩踏み出した先輩としてメッセージをお願いします。
この記事を読んでくださっている方の中には、きっと「今の環境に何かモヤモヤを感じている」「新しいことに挑戦してみたいけど不安がある」…そんな気持ちを抱えている方もいらっしゃると思います。
私も同じように直感を信じて一歩踏み出したことが、今の自分につながっています。勇気を出して変化することって、怖いし、ためらいますよね。でも、勇気を出してやってみることで、きっと新しい自分と出会えるはずですよ。
大丈夫、きっとうまくいきますよ。