【前編】では、学習塾経営からEC会社設立というユニークな経歴、そして「地方でも面白い仕事はできる」という強い想いを原点に株式会社Recoraを創業した軌跡を伺いました。
後編では、事業を成長させる中で直面した困難や、働く仲間への想い、そして齊藤さんが見据える会社の未来について、さらに深く掘り下げていきます。
やりがいと挑戦
ーー事業を運営する中で、最もやりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?
二つあります。一つは、やはりお客様から「期待以上でした」というお声をいただけたときですね。「とても良かったので家族へのプレゼントにまた買いました」といったお言葉をいただくと、お客様との信頼が着実に積み重なっていることを実感でき、この仕事の大きな喜びを感じます。
そしてもう一つが、社員やスタッフの成長を感じる瞬間です。未経験で入社したメンバーが少しずつ力をつけ、難しい目標に挑戦し、それを乗り越えて喜んでいる姿を見るのは、何物にも代えがたい。以前、ある社員から「この会社で働けて幸せです」と伝えられたときは、本当に涙が出るほど嬉しかったです。お客様の生活を豊かにすることと、一緒に働く仲間が幸せであることは、私にとって同じくらい大切なことなんです。
ーーこれまでで、特に大きな壁や困難はありましたか?
困難は常にありますが、特に創業初期の数年間が一番苦しかったですね。実績がないため資金調達も限られており、物販事業特有の「先にキャッシュが出ていく」モデルに苦しめられました。売上は伸びているのに、仕入れのために在庫が膨らみ、資金が底を突きかけたこともありました。当時は本当に必死で、自分の愛車を売って仕入れ資金に充てたこともあります。今でこそ笑い話ですが、その時は本気で「どうにかしないと」ともがいていましたね。
もう一つの大きな壁は、自分自身のマネジメント能力の乏しさでした。自分の考えがメンバーにうまく伝わらなかったり、期待通りに動いてもらえなかったり。それは周りの問題ではなく、完全に自分の未熟さが原因でした。「自分ができることは皆もできるはず」と思い込み、伝え方が雑になっていたんです。
その壁を乗り越えるために、実践で課題を見つけては、ビジネスの先輩に相談し、本を読んで学ぶ、という地道なサイクルをひたすら回し続けました。そうして少しずつ、自分なりの経営やマネジメントのスタイルを築いてきました。
会社・仲間・カルチャー
ーー現在、Recoraにはどのような仲間が集まっていますか?
成長意欲の高い人が多いですね。一見すると控えめで穏やかなメンバーが多いのですが、対話してみると、内に秘めた情熱や負けん気の強さを感じるんです。派手さはないけれど、“静かに燃えている人たち”が集まっている、そんな組織です。
ーー社員やチームと接する上で、大切にしている価値観は何ですか?
自分の考えを一方的に押し付けないことです。もちろん、トップダウンで意思決定が必要な場面もありますが、コミュニケーションは常に双方向であるべきだと考えています。
まずは、相手が何を感じ、どう考えているのかをじっくり聴く。その人の立場や背景を想像し、言葉の奥にある感情や価値観まで理解しようと努める。そうすることで、本当の信頼関係が生まれると信じています。
ーーこれから一緒に働く仲間には、どのようなことを求めますか?
私たちは採用において、「IQ(スキルや知識)よりもEQ(感情理解力や協調性)」を重視しています。もちろんスキルも大切ですが、それ以上に、仲間やお客様の感情を理解し、状況に応じて柔軟に行動できる力が必要だと考えているからです。一人で出せる成果には限界があります。Recoraで本当に価値を発揮しているのは、仲間と一緒に喜び、悔しがりながら成長している人たちです。相手を思いやりながらも自分の意志を持ち、感情を通わせながら挑戦できる方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
今後のビジョン
ーー今後、Recoraとしてどのような未来を描いていますか?
中長期的には、EC事業を軸に、異なる世界観や顧客層を持つ複数ブランドを立ち上げていく構想です。それによって、より多くのお客様に価値を届けていきたい。
さらにその先では、自社で培ったEC運営やWeb集客の知見を活かし、地方企業のEC事業を支援する事業や、業界の共通課題を解決するSaaSツールの開発なども視野に入れています。
規模の拡大自体が目的ではありません。事業を成長させることで、社会に提供できる価値を大きくしていく。そして、「地方からでも挑戦できる」という姿を自ら証明する存在になることを目指します。
ーー齊藤代表ご自身が、人生をかけて実現したいことは何ですか?
それは、一言で言うと「地方創生」です。繰り返しになりますが、私自身の原体験から、地方出身者が抱く悔しさや葛藤に強い問題意識を持っています。「地元で暮らし働きながら、自分らしく挑戦したい」——その想いを、誰もが実現できる環境をつくりたいんです。
日本の地方が直面する人口減少や若者流出という大きな課題に、事業を通じて向き合い続ける。Recoraは、そのための手段であり、舞台です。地方だからこそできることを、これからも証明していきます。
読者へのメッセージ
ーー最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。もし、お話しした内容の中に少しでも共感できる部分があったなら、まずは気軽にお話しできると嬉しいです。
地方は今、人口減少や高齢化という課題が顕在化していますが、私はそれを“日本の最先端”だと捉えています。これは、やがて日本全体が向き合うテーマです。だからこそ、地方発の挑戦が、日本の未来にポジティブな影響を与えると信じています。
ただし、Recoraで働く上で「地方創生」に特別な関心がなければいけない、ということは全くありません。「新しい価値を生み出したい」「ECに興味がある」「自分の可能性を広げたい」——そんな前向きな想いがある方なら、きっと楽しめる場所です。
生まれた場所に関係なく、私たちの挑戦に少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ一度お話ししましょう。あなたとのご縁を、心から楽しみにしています。