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今回ご紹介するのは、小林製薬株式会社 芳香消臭剤のさくら、ミモザ、カモミールなど季節を感じる企画限定品のパッケージデザインです。
春に出る企画品を多く担当するのは、入社4年目のデザイナー・宮﨑さん。
言葉とイメージから世界観を広げ制作する宮﨑さんに、デザインの裏側について伺いました。
■ プロジェクトについて
― これまでに手がけた商品を教えてください。
これまで4つのテーマの企画品パッケージをデザインしました。具体的には、「ブルーレット桜の香り」「Sawadayシリーズ ミモザの香り」「Sawadayシリーズ カモミールの香り」などです。
―企画品を担当されるようになったのはいつからですか?
入社1年目の7月です。初めて企画品のデザインに携わったのは、「ブルーレット桜の香り」です。その時は、上司が先行して進めていた「Sawaday香るstick桜の香り」に合わせた世界観でデザインをしました。いつも使用しているブルーレットのデザインに携われることにワクワクしたことを今でも鮮明に覚えています。
― 依頼から納品までは、どんな流れで進みますか?
春発売の企画品の場合、前年の夏ごろにご依頼があり制作を進めていきます。納品までは約1ヶ月ほどで、その間にクライアントの方とやりとりをして作り上げていきます。オリエンを受けて2週間ほどで初回提案をするのですが、幅広く4方向ほどに振ってデザインします。その中から選ばれたものをクライアントの方と共にブラッシュアップを重ね、納品まで辿り着きます。
■ テーマへの向き合い方
― 特に印象に残っている企画を教えてください。
2025年春限定のミモザの香りの企画品です。デザイン制作は2024年夏ごろから始まりました。この案件では、消臭元とSawaday香るstickだけでなく、店頭に商品が並ぶ時の背景ボードも作成しました。1人で、全てのデザインを任されたのは初めてで、とても印象に残っています。「春を届けます」というコンセプトのもと、ミモザと共に鳥や草木が春のお知らせをしている様子を描きました。
― 定番品と比べて、企画品の制作に違いはありますか?
あります。企画品は期間限定なので、定番品とは違う世界観にチャレンジすることができます。例えば、花の写真を使用したビジュアルの定番品に対して、企画品ではイラスト調に仕上げることも可能です。よく上司から「企画品はお祭りのようなものだから、楽しい気持ちで制作すると店頭でも季節のワクワク感が伝わる」と言われます。そのため、クライアントの方からコンセプトやイメージをいただいた上で、アイデアを膨らませることがとても重要です。
― アイデアはどんなふうに膨らませていますか?
文字に書き出すことでアイデアを膨らませています。具体的には、クライアントからいただいたコンセプトなどから単語を抜き出して樹形図のように広げ、繋げていく方法です。その時に、春の企画品であれば「春」から連想できるワードも書き出していきます。そして、見えてきた言葉をピックアップし掛け合わせることで、アイデアが4パターンほど生まれます。その上でイメージに合う画像を探してビジュアルのヒントを得ます。また、よりアイデアを深めるために、文章で簡単なストーリーを書いてから制作作業に取りかかることもあります。そのように、先に言語化しておくと、ビジュアルに意図や一貫性を持たせることができるので、アイデアを考える際は文字で書くことを大切にしています。
― 制作物の季節や香りによって、ご自身の気分も変わりますか?
変わるというよりも、意識的に変えている気がします。特に季節の企画品では、春のものであれば夏に制作するので季節感覚が狂います。私の場合は、イメージ画像でその季節の景色を見ていると、その季節の気分になったり記憶が呼び起こされるので、たくさん集めてデザインしています。
■ プロジェクトを振り返って
― 実際に店頭へチェックにも行かれているそうですね。
はい。店舗によって置かれ方も違うので2〜3店舗見回っています。また、社内でも共有しあう時間が設けられているので、より幅広く深く考察できています。期間限定の商品はその時にしか見ることができないので、店頭チェックと記録に残すことはとても重要だと感じています。
― 企画品のデザインを通して得た気づきはありますか?
特に季節の企画品は、自分の経験が生きてくるものだと思いました。その季節でしか味わえない感覚や出来事がアイデアのヒントになることがとても多かったので、これからも季節を堪能することを大切にしていきたいです。季節限定の商品は、2ヶ月ほどしか店頭で見ることができないですが、日本には四季があるからこそ、季節ごとに変わる企画品が楽しみになるのだと思うとすごく特別な存在です。季節はいつも当たり前のように変わっていきますが、季節を感じることができる瞬間というのは気候や行事だけでなく、お店で売られる企画品もその役割を担っているのではないでしょうか。だから、デザイナーとしていち早くその季節に思いを馳せ、その季節を盛り上げることができるパッケージデザインを作っていきたいと思います。
― 今後、挑戦してみたい香りや、取り組んでみたい企画テーマはありますか?
冬など違う季節はもちろん、春の企画品にも引き続き挑戦していきたいです。同じ香りのものでも、年によって違う表現ができるのが企画品のおもしろいところなので、まだまだ新たなアイデアが思い浮かびそうでワクワクします。