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【CPO就任インタビュー】Chief Product Officerのミッションとキャリア

こんにちは!スマートラウンドの杉山です。
今回は、5月1日よりCPO(Chief Product Officer)として就任した、加納拓也さんにインタビューを行いました。
実は、2020年からスマートラウンドとの接点があった加納さんに、これまでの経緯と、なぜこのタイミングでジョインを決めたのかを伺いました。

目次

  1. 代表砂川からのコメント
  2. エンジニア、プロダクトマネージャーからBizDevまで
  3. 奇跡的なタイミングと不思議なご縁
  4. プロダクトのポートフォリオマネジメントと「器」としての役割
  5. 朝5時からのライフスタイル
  6. 「残すに値する未来」を生み出すために

代表砂川からのコメント

弊社の小山CTOの時や、冨田COOの時もそうでしたが、加納さんの時も会ってすぐにビビっときたんですよね。一目惚れに近い感覚です。それから口説き続けてはや2年。ようやく加納さんをスマートラウンドのCPOとして迎えることができました。長かったw。加納さんは、PdMとしての卓越した能力はもちろんのこと、金融をはじめとするドメイン知識、チームをまとめるソフトスキル、何をとっても理想のCPOだと思っています。そんな最高のCPOを迎えることができ、とてもとても嬉しいです。

エンジニア、プロダクトマネージャーからBizDevまで

ーー加納さん、CPO就任おめでとうございます!早速ですが、簡単に今までのキャリアについて教えてください。

2009年に新卒でシンプレクスというベンチャーに入社し、エンジニアとして株や為替、デリバティブのトレーディングシステムを開発していました。その後リクルートに転職し、ID・ポイント領域のプロジェクトマネジメントやプロダクト企画開発を推進していました。途中からPontaポイントを運営するロイヤリティマーケティングに出向し、ポイントサービスの再構築や新規サービス開発、開発組織マネジメントなどを担いました。
 私が新卒の頃やリクルートに入った2014年時点では、まだ「プロダクトマネジメント」という概念は一般的ではありませんでした。2016年頃にリクルートの社内イベントで及川卓也氏が行った講演でプロダクトマネジメントを知り、自分が進むべきキャリアはPdMだと心に決めたのが転機でした。
 その後、ロボアドバイザーやテーマ投資といったFintechサービスを提供するFOLIOからPdMのオファーを頂きました。本格的なプロダクトマネジメント経験は当時初めてだったので、土日も含めて必死にキャッチアップして、日々考え抜いて迅速にアクションを取っていたことを、今でも覚えています。FOLIOではロボアドバイザーのプロダクトマネジメント、事業提携先との交渉やデータドリブンでのグロース企画の立案実行を担いました。在籍期間は比較的短かったのですが、当時のチームはエンジニア・デザイナー・マーケター・データサイエンティストが一丸となった素晴らしいチームで、濃密な時間を皆で必死に走り切ったことは自分のキャリアにとっても最大の財産となっております。
 FOLIOでの経験を経て、プロダクトを取り巻く事業環境も含めて一気通貫でマネジメントできるようになりたいという気持ちを強く抱くようになりました。そこで2020年から三菱UFJファイナンシャル・グループの戦略DX子会社であるJDD(Japan Digial Design)にジョインし、BizDev兼プロダクトオーナーとして、事業開発や営業、銀行や大企業とのオルタナティブデータを用いた新規事業開発、金融グループにおける新規事業創出プログラムのメンタリングやプログラム運営を支援していました。

ーーすごい。エンジニアから始まって、PdM、事業開発まで本当に幅広い職種を経験していますね。

はい。様々な経験を積みましたが、私のキャリアのポイントは以下の3点だと思っています。
 1点目は、事業開発や営業、プロダクトマネジメント、エンジニアまで一通り経験しているため、それぞれの職種の基本的な思考回路を経験的に理解できていること。
 2点目は、様々な職種を渡り歩きつつも、結果的にずっとFintechにコミットし、レンディングや資産運用からオルタナデータ等の先端領域までを俯瞰し、面白さと厳しさの両方を理解できていること。
 3点目は、大企業とスタートアップの双方を経験しており、マネジメントスタイルも組織のコンディションに応じて柔軟に使い分けられるようになったことです。

奇跡的なタイミングと不思議なご縁

ーー加納さん、いつもポイントをまとめて説明してくれるので分かりやすいです。笑 お話いただいたキャリアの中で最初はどうやってスマートラウンドと接点ができたんでしょうか?

スマートラウンドには、サニーさん(スマートラウンド代表砂川)の共通の知人の紹介で、2020年前半に副業PdMとしてジョインしたのがきっかけです。当時八重洲にあったスマートラウンドのオフィスを訪問したことを覚えています。スマートラウンドを紹介してくれた方は、なんとサニーさんが最初に立ち上げたロケーションバリュー社に大学生時代にインターンとして勤務していた方でした。当時私も初めての副業だったのですが、非常にユニークなビジネスであり、挑戦してみようと即座に決意したことをよく覚えています。
 副業PdMとして入った頃は、資本政策smartroundやライブラリ、その入口となるコンテンツとして「資金調達マニュアル」をリリースした直後でした。そのマニュアルの改善やプロダクトの施策効果分析、優待特典smartroundの立ち上げ、後任のPdMの面接や入社後のオンボーディング支援まで行なって、一旦スマートラウンドからは離れました。
 実は当時、サニーさんからPdMでの入社オファーもいただいていたのですが、JDD入社直後であったこともあり、タイミングが合わずお断りしておりました。

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ーーそうだったんですね、加納さんが副業でいらっしゃった時期とは被っていなかったので、お会いしたことがなかったのですが、他のメンバーからその活躍の噂は聞いていました。そこからどういう経緯でCPOとしてのジョインを決めたのでしょうか?

スタートアップを取り巻くエコシステム全体に対して価値提供できるスマートラウンドの事業環境、サニーさんやCTO小山さんを中心としたチームに強い魅力を感じていましたが、最終的には色々なタイミングが重なり、さらに不思議な縁もあって、入社を決めました。
 副業PdMを離れた後も継続的にサニーさんを初めとするスマートラウンドの皆さんとはやりとりを続けておりました。そんな中、2021年10月にPdMの藤原さんがご入社され、わずかな時間ではあるもののオンボーディングを支援するなかで、私自身も本格的にジョインしたいという気持ちが少しずつ芽生えるようになりました。
 もう一つ大きかったのは、2021年の冬に、元三菱UFJ銀行の経営企画に所属していた佐藤さんが事業戦略担当としてスマートラウンドにジョインしたことです。実は彼と私は元々面識があり、入社のタイミングで佐藤さんから私にお声がけいただいて、二人で対面で会うことになりました。そこで挨拶もそこそこに、スマートラウンドの事業戦略について、うっかり二人で熱く話し込み、意気投合してしまいました。
 このような流れで、「あれ、私はスマートラウンドに引き寄せられているな」と気付くようになりました。このような心境になったところ、サニーさんから奇跡的といっても過言ではないベストタイミングでCPOでのジョインのオファーを頂きました。サニーさん、私のことを透視しているんじゃないか?と思ったことをよく覚えています。笑
 ロジカルな理由としては、一貫してFintechをやっている私のキャリアにとっても整合的であったこと。JDDで事業開発を経験したなかで、やはりプロダクトに軸足を置きたいと思っていた中でぴったりのオファーであったこと。さらにはスタートアップエコノミー全体を扱う事業ドメイン、桁違いに大きいスケールのビジョンなどに魅力を感じていた点が挙げられます。
 エモーショナルな理由としては、サニーさんにずっとお声がけいただいていたことへの恩義、これまで出会ったメンバー全員への思い入れ、そして最後に「不思議なご縁」があったことが非常に大きかったです。

プロダクトのポートフォリオマネジメントと「器」としての役割

ーー加納さんが入社することになり、副業の時から加納さんを知っていたメンバーは本当に喜んでいました。加納さんがCPOとして入られる前は、サニーさんがその役割を担っていたわけですが、これからCPOとしてどのような役割を担っていくのでしょうか?

前提として、CPOに正解もなければ、典型的な姿もないと思っています。なぜなら、プロダクトを取り巻く事業内容やプロダクトの構成によって、担うべきミッションが大きく異なるからです。さらに言うと、CPOが不要な事業も存在すると思います。
 その上で、スマートラウンドは、複数の顧客に複数のプロダクトを提供しているマルチプロダクトであるという特性上、全体をマネジメントするCPOが必要だと考えます。具体的には、スタートアップ向けのプロダクトと投資家向けのプロダクト、士業その他のアドバイザー向けのプロダクトの3つは全てSaaSとして提供しており、これに加えて非連続的な成長を狙う新規プロダクトを含めた、4つがある状況です。すでに全社員に語った内容ですが、各プロダクトには固有の強みと弱み、利用特性が存在します。
 こうした全体像に対し、もちろん「選択と集中」の思考で特定領域で突き抜ける必要性もありつつ、各プロダクトがプラットフォームとして有機的に連携している構造、会社のフェーズ的に探索的な開発も求められる構造をトータルに考え抜く必要があります。そのためには、事業戦略面でサニーさんや事業戦略担当と徹底的に膝詰めで議論をし、営業やCSの現場で一次情報を獲得しにいきます。結果として「プロダクトの全体の構造は何か、我々としてはどの点を重視して、どれほど力をかけるべきか」「プロダクトとして何を提供し、何は提供しないのか」「探索的な試みと、開発につなげるための要求・要件定義やデザインのバランスをどう取るべきか」などを決めていくのが、CPOとしての最大の仕事です。マルチプロダクトのポートフォリオ全体をマネジメントする感覚を持っています。
 それと同時に、あらゆる要望や事業戦略を受け止める「器」であることも大切な役割です。これまでの経歴から、様々な粒度の施策を解像度高く受け止めて対話できることが私の強みです。このため、全メンバーには「とりあえずアイデアを思いついたら投げ込んでください」と伝えています。
 私が全体をアレンジしたうえで、新規プロダクトあるいは既存プロダクトの改善を強力に推進するのがPdMのミッションであり、そのなかでユーザにとって最良の体験を生み出すべくデザインとしてカタチにするのがデザイナーのミッションだと考えております。デザイナーの上垣さん、PdMの藤原さんは非常に優秀な方々であり、みなさんが正しい方向に向かって気持ちよく自走していただけるよう、私としては障害物を取り除きつつ支援したり、職種間のコミュニケーションを風通しよく計らうのも、私の重要な役割だと思っております。
 まとめると、プロダクトのポートフォリオマネジメント、「器」としての役割、最後に組織マネジメントがCPOの大きな役割だと考えていいます。

ーー私も加納さんがジョインして下さってから、あった方がいいけど今のリソースと優先順位的にどうなのか判断つかないものも気軽に相談できています。いつもありがとうございます!
スマートラウンドに入ってから楽しいことってなんですか?

既存のプロダクトを磨き上げるのも非常に重要ですが、新しいプロダクトで顧客や市場にポジティブなサプライズを生み出すことに、ワクワク感を感じています。3〜5年先をみた戦略的なものもあれば、足元でもこういうところでスマートラウンドが切り込めるはずだというのが沢山あり、何をしたいかが職種を超えて皆があたりまえのように議論されているのは、まさにスタートアップらしくて、とてもエキサイティングです。
 それを受け止める「器」としては大変なこともありますが、新しいアイデアがくるのはすごく歓迎だし、自分自身がそれを思いついた時もすごく興奮します。まだ20名くらいでみんな顔と名前がわかる組織でわちゃわちゃと議論し、合意形成しながら物事を前に進めるのは本当に面白いです。

朝5時からのライフスタイル

ーー話はかわりますが、加納さんが朝型生活だと聞いたのですが、普段どんな生活しているんですか?加納さんの健康法も知りたいです!

健康にはオタク的にこだわっていて、あらゆることをやっています。笑
私の家庭は、妻も働いているなか3歳の息子の育児もあり、バランスをとりつつも仕事のパフォーマンスを最大化するための方法が必要です。色々と考えて試行錯誤した結果、基本的に仕事は19時前には切り上げて、21時前には子供と一緒に寝てしまい、毎日7〜8時間は絶対に寝たうえで、早朝に起床して太陽の光を浴びて簡単なヨガをして顔を洗い、朝5時から仕事を開始するようになりました。
 最初の20〜30分は前日の仕事の振り返りとインプットの時間としたうえで、あとは重要度・緊急度を踏まえて「やるべきこと」にフォーカスして業務に取り掛かるようにしています。特にフルリモート環境となってから、毎日の習慣を、自分に対する強制力とするため、徹底的に同じスタイルを貫くことが大事だと痛感しています。
 マネジメントを担っている経営陣が心身ともにヘルシーであることは、組織全体にとって最も重要であると考えています。「スマートラウンドが大切にすること」にも「健康に気をつける:健康が第一。お互いの心身の健康に気を配る。」という項目がありますが、心から賛同しており、社員全員の健康をケアしたいと強く思っております。

「残すに値する未来」を生み出すために

ーー最後に今後のCPOとしてやっていきたいことを教えてください。

お客様から喜ばれ、ここで働く全員が誇りを持つことができ、事業的にもスケールし、社会にも求められる「四方よし」、を実現したいです。これは本当に難しく、それぞれがトレードオフの関係となりますが、それを含めて成り立たせるのがマネジメントであると考えておりますし、スマートラウンドならそれができると思っています。
 次に、自分のキャリアを振り返って、私自身がスタートアップに行ってキャリアが変わったという自覚がありますし、日本全体を俯瞰してみてもスタートアップこそが新しい事業やプロダクトを生み出すべきだと強く感じています。大きなビジョンとしては、smartroundを通じてスタートアップを取り巻くエコシステムを今以上に活性化させ、人と資金が流れ込み、様々な新しい産業を生み出す起爆剤になれたら、と考えております。
 少しエモい話をすると、スマートラウンドへの引き寄せを感じていた昨年の冬、すやすや眠っている息子を抱っこしながら、この子に「残すに値する未来」を作れるのか、とふと思い、それ以降ずっとこのことを考え続けています。これは私の言葉ではなく、『シン・ニホン』で安宅和人さんがお話しされていたことではありますが、改めて心の奥底に強く刻み込まれました。昨今の安全保障の危機、気候変動を初めとする世界が抱えるサステナビリティの深刻な課題、国家や社会や個人を適切に評価しているとはいえないマネーやデータの深刻な課題が存在する中、傍観者として言いたいことを言うだけにとどまるのか、力不足であれども未来を作る側に立って必死に走りきるのか、を自分に問い続けていました。スマートラウンドにジョインを決めたのも、「残すに値する未来」を生み出す重要なパーツの一つであると確信しているからです。
 こうした言葉をインターネットに残すことは重いことだと考えております。しかし、あえて残したうえで、自分に問い続けたいと考え、この場を借りて正直にお話しさせて頂きました。

少し話が大きくなってしまいましたが、実務的なところでは、全社員やステークホルダーが、今はプロダクトはどのような状況であり、どこに向かっていくのかを納得感もって把握できる仕組みづくりにチャレンジします。事業やプロダクトを取り巻く様々なコンテキストがあるなか、設立からのメンバーもいれば、最近入ったメンバーもおりキャリアも千差万別、かつ職種ごとでそれぞれ見えている世界観も違うなかで、容易なことではありません。全体を俯瞰したうえで適切なコミュニケーションを心がけたいと思っております。
 様々な場で語っていることですが、PdMという職種に限らず、個々のメンバーがプロダクトマネジメントの思考を持った上で自走してプロダクトの改善や新たな企画を生み出している状態が最強だと考えています。その前提として、我々のプロダクトはこのような構造にあり、こう向かうべきだ、というのを語るのが私の役割だと考えております。

ーー加納さんありがとうございました!


加納拓也2009年に一橋大学卒業後、シンプレクス入社。エンジニアとして大手金融機関向けシステム導入を手掛ける。2014年にリクルートに転職。プロジェクトマネージャーとしてID・ポイント領域における数々のプロジェクトを完遂。その後FOLIOに転職し、プロダクトマネージャー(以下、PdM)としてロボアドバイザーのグロースや新規プロダクト開発を牽引。MUFGグループのDXカンパニーであるJapan Digital DesignのBizDev兼プロダクトオーナーとして新規事業開発やプロダクト企画、インキュベーション支援などを手がけた後、2022年にスマートラウンドに参画。

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