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先日、収穫を終えて一息ついた友人のいちご農家を訪ねました。
彼は、JALのファーストクラスで提供され、ニューヨークのトップシェフも使うという、まさにスペシャリティないちごを育てる、いちごのプロフェッショナルです。
そんな彼が、収穫がひと段落し、ようやく落ち着いたタイミングで、現場を見せてもらう機会をいただきました。
今回は、そこで学んだこと、感じたことを綴りたいと思います。
そして、最終的には「農業という業種はなくなった方がいい」という、一見すると過激な結論について、書いてみます。
この辺りで飽きてきて
お兄ちゃんと道草くって
頑張ってついて行ってると思ったら、虫捕まえてた笑
日本のいちごが「奇跡」と呼ばれる理由
ご存知でしたか?
いちごが日本に伝わったのは、今から400年以上も前の1600年頃だそうです。
当時の日本は、湿潤な気候でカビが生えやすく、いちごの栽培には決して向いている環境ではありませんでした。
しかし、そこは日本のクラフトマンシップの真骨頂。
先人たちのたゆまぬ努力と探求心によって、冬のビニールハウス栽培という独自の技術が確立されました。
寒さに耐える過程で、いちご自身が糖度を上げる性質を利用し、日本のいちごは世界一おいしい生食用の果物になった。
世界中のいちごの多くがジャムや加工用である中、日本のいちごだけが「生で食べる贅沢品」として文化的に定着した。
彼らは今、その日本人らしい粘り強さと創意工夫を受け継ぎながら、最先端の技術を組み合わせて、さらに新しいいちごを生み出そうとしています。
最先端テクノロジーが織りなす「奇跡のいちご」
彼の研究施設は、ビニールハウスに併設されており、まるで未来の植物工場のようでした。
真夏なのに、そこだけ春のような空気が流れ、足元はふわりと暖かい。
裸足で入る温室の中で、彼は、新しいテクノロジーを使って、さらに美味しいいちごを生み出そうと挑戦していました。
温室では、日本の伝統的な紡績技術を応用した膜や、湿度をコントロールする仕組みが使われています。
そして、これまでの土や水に頼らず、湿度の層に根を張らせる「湿耕栽培」と呼ばれる独自の技術も研究されていました。
世界でも類を見ないサステナブルな農業システム
環境負荷を最小限に抑えながら、最高の品質を追求する。
これぞ、これからの未来を生み出すチームの仕事
(詳しく書けないことが悔やまれる!ぜひ訪問してみてほしい!)
彼らの技術は、日本のいちごが直面する温暖化と共にある「絶滅の可能性」を回避し、さらに世界へと羽ばたく可能性を秘めています。
もし何かコラボレーションできる機会があれば、ぜひご連絡されてください。というか買ってね!
感じた「美しさ」と「危機感」
自然と手仕事、そして最先端技術が調和した空間は、ただただ美しいの一言でした。
そこには、長い年月をかけて積み重ねられてきた、人々の努力と知恵の重みが凝縮されているよう。
しかし同時に、ある種の「違和感」と「危機感」も抱きました。
これほど素晴らしい技術が、もし外に持ち出され、より安価に量産される未来が来たらどうなるだろうか。
その時、この土地や、この技術を培ってきた人々には、何も還元されないのではないか。
積み重ねてきたプロセスが無視され、技術や成果だけが安易にコピーされてしまうのではないか。
どんなに長い歴史があり、どんなに素晴らしい技術であっても、最後のたったひとつの要素だけを持ち出して、果実だけを得る。
そんな事例を、私たちは何度も何度も目にしてきたんじゃないでしょうか。
彼らの努力は、簡単に再現できるものではない。
リレーのように、第一走者がいて、第二走者がいて、そして最後にゴールする。
しかし、資本主義のゲームの中では、最後にゴールした人だけが評価され、それまでのプロセスや努力は軽視されがちです。
また、技術が移転され、コストの安い国で作られるようになった未来に、自然、手仕事、文化、地域の人たち。
これらに良い形で分配される未来はあるのか。
ここに強烈な不安を感じました。
「プロセスの美しさ」をどう評価するか
日本人は、「リレー」が得意な人種なのかもしれません。
技術のリレーは平坦な道ではない。
ああでもない、こうでもない。
改善のサイクルも長い自然との対話の中で見つけてきた美味しいを作り上げる技術たち。
そのプロセスや努力、職人気質を尊ぶ文化が日本の誇れる文化そのものなのかもしれない。
しかし、資本主義は「成果」を最優先する。
このギャップこそが、せっかく素晴らしい技術や製品を生み出しても、土地や人々が正当に報われない原因を加速させているように思います。
これからの未来、日本はもっと多くの発明を生み出していくでしょう。
けれども、この美しいリレーに敬意を払い、資本主義のルールの中で正しく評価される仕組みをつくらなければ、いつだって果実は資本家や、よりコストの安い国に奪われてしまう。
そのためには、IP(知的財産)やGI(地理的表示)、ブランド戦略といった、これまで別の産業が培ってきたような仕組みがヒントになるはずです。
技術はもちろんのこと、その背景にある物語や、育んできたプロセス全体を「IP」として可視化し、その価値を経済的に結びつけるなどするビジネスリーダーの参画がとっても重要になっているように強く思っています。
農業は「終わる」、そして「新しい産業」として「始まる」
「農業だけをやる」という農業は、もう「終わる」べき
農業が不要だと言いたいのではなく、これからは、全く別の能力が求められ、それら無くしては努力して積み上げてきた歴史や技術すらもいずれ奪われ、土地も人も疲弊するのではないかと思います。
技術だけを取り出し、安く量産する未来に、私たちはどう抗うのか。
プロセスやリレーの価値を、経済的にも文化的にも正しく評価する
そして、日本人が大切にしてきた「プロセスの美しさ」を、どう資本主義のルールに翻訳し、第一走者にも還元する仕組みをデザインできるか。
農業はもう、かつての農業ではいられない。
だからこそ、次の時代の新しい農業に、素人だからこそ首を突っ込んで関わっていきたい。
私たちのような会社は、まさにその変革の只中にいるように思います。
加工食品という角度から、新しい産業としての「農業」を共に創造していく。
私たちthe kindestはその循環の一助になる。
どこよりも誰よりもこだわった商品を作り、どこよりも良い値段で商売する努力を惜しまず、輪を広げ循環を最大化していく。
そんなチャレンジを、ぜひ一緒にしてみませんか?
宮澤家と、杉岡家!最高!
来年はここでキャンプだ!
- “共に悩む”という体験価値のデザインに挑戦する
- 商品開発とブランド体験をあえてごちゃっと混ぜる
- AI時代における“人にしかできない価値”を問う
- お客様と真っ直ぐ向き合える組織文化とチーム
the kindest というブランドは、子育てをしている親御さんの隣に立ち、
「あなたの選択は、きっと正しい」と伝えられるブランドでありたい。
もし、そんな未来を一緒につくってみたいと思ってくださった方がいたら、
ぜひ一度、MiLの採用ページをのぞいてみてください。
“何を選ぶか”ではなく、“悩み選ぶプロセスを共にする”。
そんな価値観で仕事をしたい方、ご応募お待ちしております。