DE-SCHOOLとはどんな場所なのか、なぜ立ち上げたのか等、詳細に書かせて頂きます。
※なお、この文章は必要に応じて加筆・修正していく予定です!
ミッション
私たちDE-SCHOOLのミッションは、
"多様な子どもたちの可能性を拡げる社会の創造" です。
DE-SCHOOLには好き・得意、嫌い・苦手が顕著な子どもたちや、気持ちが上下しやすかったり、他者との協働に難しさを感じているような子どもたちが多く在籍しています。ちなみに、あまり日本では認知されていないのですが、そのような凸凹がより顕著な子どもたちのことを 2E: twice-exceptional などと言ったりします。
子どもたちの様子は本当に人それぞれですが、例えば、書字が苦手で鉛筆で何かを書いたりするのは苦手だけれども、論理的な理解に優れていてプログラミングなどが非常に得意な子等がいます。好きの面をフォーカスすると、日本軍・戦車が好きすぎてマイクラなどで戦艦を作りまくっている子たちや、電車が好きすぎてスクラッチで電車でGO! のようなものを作り、電車の音を周波数を見ながら作っている子や、マイクラでゼロから街を作り込んだり、レッドストーン回路でパソコンの原理を再現している子どもたち。特撮やゴジラが好きで、ジオラマを自分で作り撮影し、独自の予告編を制作している子。絵や物作りが好きで色々なものを作り込んでいる女の子たち等々あげればキリはないのですが本当に多様な子どもたちが在籍しています。
そのような子どもたちは一斉授業で皆で同じペースで学んだりすることが苦手だったり、同年代の子たちと中々話が合わなかったり、筆記などの苦手分野を求められすぎてしんどくなってしまったり、他者との協働が難しかったりなど多様な背景があり、既存の伝統的な教育の形にミスマッチしている子どもたちです。
DE-SCHOOLはそのような多様な個性を活かすことができる場が十分でないと考えており、そのような子どもたちの可能性を拡げる社会を創っていくことがミッションです。そんな社会を創るための一つの事例として、DE-SCHOOLという教育を日々改善し、運営しています。
看板 by 生徒作成・撮影
What:何をしているか
DE-SCHOOLは、テクノロジーを活かし、"創ること"を中心として据えながらも、居場所でもあり学びの場所でもある探究型のフリースクールです。
創る活動は、テクノロジーを活用したことが多くマインクラフトなどを用いた協働建築・ゲーム作りやプログラミング、3Dプリンティング・モデリングなどを多く、そのようなことに取り組んでいる子どもたちがいます。ただし、創る活動は必ずしもデジタルだけでなく、ジオラマ作りやアクセサリー作り等のものづくり等も多彩です。
さらに、全体的にDE-SCHOOLでは、緩やかな学習の方向性がありながらも心理・関心などに応じて子どもたちは過ごし方を調整します。
サポーターはそのような子どもたちに提案したり、背中を押したり、他の子どもたちとの協働プロジェクトに誘ったりしながら時間が流れていきます。
学年は異年齢となっており、教え合い・学び合いが自然発生的に生まれ、習熟した子どもたちが新しい子どもたちに教えたり、そのことで感謝されその子が自信を持ったり… そういった温かな空間を作っています。
もちろん、お互い主張も激しいので、子どもたち同士でぶつかることも多いです。DE-SCHOOLはそのこと自体ももちろん大きな学びであると考えているため、子どもたち同士で話し合いでの調整を進めながら、適宜良いタイミングでサポーターが介入し、他者と折衝しながら協働することを学ぶ体験を創っています。
Why: なぜ必要か
様々な状況・凸凹ある子どもたちへの適切な投げ込み/環境の欠如
そもそもDE-SCHOOLに来ている子どもたちは伝統的な教育が合わない子どもたちです。様々な理由(理由などが明確にないことも多いです)で、私たちのスクールに来てくれますが、彼ら彼女らは本当に光るものがあります。
また学ぶという行為それ自体にまだ向かうことが難しい子どもたちもいます。それはそもそも伝統的な教育の方法が合わない子もいれば、学習の意味を見出せない子もいますし、何か新しいこと・苦手なことへのトライが難しい子もいれば、気持ちの上下が激しく中々恒常的に学びが続けられない子もいます。
社会に目を向けると、不登校の人数は11年連続で増加(文科省の資料, p.32)し現在も伸び続けています。
個人的にはそもそも伝統的な教育の1人に対して30人程度に教えるといった構造に限界があると感じています。現在の日本の学校の先生方は本当に頑張られている方も多数ですし、実際にPISAなどの国際比較の試験では日本は常に上位です。(※PISA型学力だけが教育の評価基準なのかという論点が大いにありますが..)
しかし、教育の形を再考すると、今後はテクノロジーを用いた個別化・自由進度学習・プロジェクト化が重要だと考えています。これからは with AI の時代に急激に移行する過渡期です。AI が水道、電気のように当たり前の世の中になります。教育も大きく変わります。
そのような前提の中で、様々な理由で現状の学習状況が合わなかった子へテクノロジーなどを活用し、居場所でもありながら学びへトライするような細かな後押しや多様な投げかけがある場が社会に必要不可欠であると私は考えています。
そして、子どもたちの中には、上記に言及したように心理的面や特性のことからも中々学習などの前提に取り組めない子達もいます。そういった子どもたちに必要な環境は、純粋に伝統的な教育でないから良いといったものでは全くなく、子どもたちの現状に合わせて極めて細かな見立てと柔軟性を持ったアプローチが必要とされます。
そのような子どもたちには事前にカリキュラムが決まっていて、その通りに何かを進めるといったものがそもそもミスマッチであることが多くあります。事前にそれらが決まっているということは、当日の子どもたちの心理・関心などを踏まえた調整ができないからです。
それだけでなく、特性上 他者との協働が難しいことも多く見受けられます。そのような時はサポートする大人が適宜柔軟に間に入りながらも、成長の観点を踏まえての調整が求められます。
このように、様々な背景ある子どもたちが居場所と学びの関係を行ったり来たりできる柔軟な場所で、かつ密に大人が必要なサポート行うような場所が求められているものの、そういった場所は多くないため、子どもたちの可能性を拡げるためにもDE-SCHOOLのような場を作っていく必要があると感じております。
How: どのように
1)居場所から学びへ
DE-SCHOOLはフリースクール的な側面とオルタナティブスクール的な側面とを両方兼ね備えた居場所であり、学びの場所です。
テクノロジーを用いて、"創る"ことを中心に子どもたちが様々な制作活動を行いながら、居場所としても過ごしながらも様々な学習を進めています。
そういった"創る"ことが子どもたちの肯定感、効力感に繋がると私たちは考えています。
また、居場所と学びの行き来が何より重要だと考えています。
居場所として過ごしながらも、周りの子どもたちの取り組みに影響を受けたり、サポーターから取り組みの提案があったり、背中を押してもらったりで学びへのトライを広げていく。
それも適宜、気持ちや体調に応じて休んだり、また背中を押されて、活動を再開したり。もっと取り組める子どもたちはどんどん取り組みを拡げていったり。基礎学習に取り組んだり、探究的に学んだり、ものづくりの新しいチャレンジをしたり。
DE-SCHOOLは、居場所と学び、その状態を行き来するフリースクールとオルタネティブスクールの両側面がある空間なのです。
2)"創ること"で学ぶ
私たちのDE-SCHOOLでは"創ること"を重要視しています。
まず、私たちが創ることが好きですし、何より子どもたちがそのことを通して肯定感や効力感を養うことができると思っています。
自己表現として、何かを深く作り込むこと。表現すること。
何か作り上げた、「できた!!」というその感覚。
そのような体験は子どもたちにとってすごく重要なことであると私たちは考えています。
また、テクノロジーも創ることに大きく関わっている重要な要素です。
これまでもこれからもテクノロジーが世界を変えています。
これからは特にAIが私たちの日々の過ごし方、生き方に大きく影響を与えます。
そのような世界の中で、子どもたちにとってテクノロジーが自然に生活の中であり、それらを利活用できていることが極めて重要であると考えています。
そのため、DE-SCHOOLでは、生成AI・プログラミング・動画編集・3Dモデリングなどを用いてデジタルでの物作りを自然に行うことができる環境があります。
3)細かく見ること
すごくありきたりな言葉ですが、「細かく見ること」こそ子どもたちのサポートにとって根幹であると考えています。
DE-SCHOOLでは、多様なサポーターが毎日話し合い、観察からの考察をすり合わせ、次の打ち手を考えます。「このような声掛けをしたが、こういった状況だったので、次はどうしようか」といった細かい相談・調整(KPT)を全体で行っており、かつ、子どもたちの様子は毎日ログされています。そして、子どもたちと大人の人数比率は日によりますが 4〜5人:1人 程度です。それぞれのサポーターからの視点を組み合わせて、子どもたちへのより良い次へのアプローチを意思決定していきます。
なお、こういった対応は非常に大変で、工数がかかってしまいます。
ただし、そのような緻密な微調整こそ、様々な背景や現状がある子どもたちにとってなによりも重要であると私たちは考えています。
常により良い考察は、A or Bの議論でなく、その中間やグレーゾーンにあると私は考えています。その複雑な様相を分析し、細かく子どもたちを観察し、その先にあるものこそに価値があると考えています。
DE-SCHOOLの提供価値
下記の図は、DE-SCHOOLが提供している価値を私が私の所感とDE-SCHOOLサポーターの意見を踏まえて分析、分類したものです。
DE-SCHOOL提供価値の図
原則、下から上に上がっていくイメージですが、必ずしも階段型の形でなく、それぞれの要素がどんどんと強くなっていくイメージです。
なお、④頼られる・頼る体験 に関しては、オリィ研究所さんの以下の記事から着想を経て、私たちの実践の中でも意識されているなぁと思い、言語化しました。頼られる・頼る体験 という体験の重要性は個人的にはかなり見過ごされがちかなと思っています。
子どもたちは、頼られることによって自信をつけ、頼ることにより他者との関係性や協働を学びます。そのような体験は、子どもたちにとって(大人にとっても同様だと考えますが)非常に重要です。
参考:https://note.com/ory/n/n19258c76d1fa
DE-SCHOOLは上述したように多様な背景や個性を持った子どもたちが集う場所です。そのためにそのような子どもたちに対して、サポーターが適宜議論を重ね、現在のその子にとって、どのような関わり方/サポートが良いのかを考え流動的に打ち手を変化させます。そして、そこで考えられている子どもたちへの提供価値は主にこの7つの価値に集約されています。
このポイントを踏まえて、現在の子どもたちにとってより良い打ち手は何なのかをDE-SCHOOLのサポーターは徹底的に考え抜き、アプローチを日々改善し、行っていきます。
最後に: 倜儻不羈(てきとうふき)なる書生
一度、ギフテッド教育特集ということでABEMA TVに私が呼ばれまして出演したことがあります。その時にも伝えていたのですが、私たちは俗にいう"ギフテッド"な子たちだけに特別にアプローチしている教育機関ではありません。
私たちの成り立ちがの中で、凸凹ある子どもたちが集まり、親御様の間や病院などでもご紹介頂くようになり、現在に至ります。
本当に皆にきらりと光るものがあります。大人が皆と話していても、こだわりや取り組みのクオリティに驚き・衝撃を受けることも多いです。ただし、子どもたちはこれまでの体験のことや、凸凹のためにその強みが活かせていなかったり、中々トライできない心身状態であったりします。
子どもたちには多様な背景があり、その可能性が埋もれてしまっていることが多くあるのです。
倜儻不羈(てきとうふき) という言葉があります。
これは、私の母校である同志社大学の創始者 新島の遺言に出てくる言葉です。
倜儻不羈(てきとうふき)とは、
倜儻(てきとう)= 才気に溢れ、独立心が旺盛な
不羈(ふき)= 手綱では抑えきれないような
人のことを指します。
新島は以下のような言葉を残しています。
"倜儻不羈なる書生を圧束せず、努めてその本性に従い、これを順導し、もって天下の人物を養成すべき"
参考:学校法人 同志社, 同志社大学 Campus life
同志社の創始者である新島は徳富蘇峰(そほう)という学生が学校のボイコットなどを主導したりし、大学と大いに揉めた人物にもかかわらず、その学生に全力の愛を注ぎ、その門出にいくらか持たせて見送りました。倜儻不羈(てきとうふき)な学生を、無下に扱うのでなく、真摯にその学生に向き合いました。
学生時代を振り返ると、自分もそのような失礼な?学生(現在も)だったように思います。教授と何回も喧嘩しましたし笑
そのような子どもたちは社会や大人から疎まれるようなことが多いと思います。DE-SCHOOLの子どもたちもその個性からそういった体験をしているのかもしれません。
だけども、だからこそ、そんな子どもたちを無下に扱うのでなく、その可能性を拡げる場がもっと必要だと私は考えています。
DE-SCHOOLはそのような子どもたちの可能性を見据え、むしろ、その凸凹さを活かすような、そういう教育を作っていきたい。もちろん凸を伸ばせばいいとかそんな単純な話でなく、凹部分も見つめるべきところ見つめる必要がありますし、物事は簡単ではありません。
それは二項対立のような単純明快な構造ではないのです。
世界は複雑で、その複雑さをしっかりと細かく見つめることが重要です。
そんな複雑性に向き合いながら、その難しさを感じながらも、どのようなアプローチが子どもたちの可能性を伸ばしうるのか、そういうことを日々思い、子どもたちと向き合っております。
ということで、以上がDE-SCHOOLについての取り組み、詳細な背景や立ち上げた理由等などでした。
まだまだ力が足りません。
私たちも至らぬ点ばかりでもっとより良くできることがまだまだあると思っています。子どもたちに提供したいこと、実現したいことが無限にあります!
もしDE-SCHOOLにご興味をお持ち頂いた方がいらっしゃいましたら、ぜひ下記にご応募ください!
答えがない中で自分自身で"より良い状態"を一緒に考え、DE-SCHOOLを創ってくれる人を募集しています!ご連絡お待ちしております!!