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「センクシャが目指すセカイ」をテーマに、今回はセンクシャが目指す組織について代表の小松﨑にインタビュー。
センクシャはBHAG(社運をかけた目標)として、「2028年までに日本を代表するエンターテイメント創造企業になる」を掲げている。
採用において、ビジョン共感を最も大切にしたいと語る小松﨑。BHAGを達成するための組織づくりへの思いを聞いた。
▼目次
- 組織と個人は対等。組織にとってベストな選択であれば、自分が社長でなくなることだってある。
- 大切なのは、誰と働きたいか。同じバスに乗らなくても、一緒に目的地を目指すことはできる。
- 働き手に、クライアントに、センクシャが選ばれ続ける組織であるために。組織は次のフェーズへ。
組織と個人は対等。組織にとってベストな選択であれば、自分が社長でなくなることだってある。
―― センクシャさんはよく「選ばれる組織でありたい」と仰っていますよね。
僕は、組織と個人は対等であるべきだと思っています。
組織の目的に対して、個人がその組織の中で補えること・やれること・成長できることが合致しない限りは、絶対うまくいかない。だから、新しく加わりたい、ずっとこの場所にいたいと個人に思ってもらえるような組織にしなきゃいけないんです。
目的を共有する仲間と一緒にやることが、人生一番の醍醐味じゃないですか。ひとつの目的に対して、それぞれキャラクターとそれぞれのスキルと思いでつながっていく。それが組織のあり方だし、目指すべき形だと思うんですよね。
組織はフェーズによって変わります。センクシャが目標に向かっていく過程で、自分が社長でなくなることもあるかもしれません。社長にも、0→1が得意な人、1→10が得意な人、10→100が得意な人がいる。組織は常に変わり続けるから、そのときにベストな人選をすれば良いんです。
センクシャは僕が作った会社ではありますが、自分のものというよりは、概念みたいな感覚です。センクシャという概念に、僕は個人として参加している感じだと思っているんですよね。
ーー先日の全体会議でも、改めて「組織はらせん状に成長する」ことを社員の皆さんに図で説明していました。
「成長」と聞くと、右肩上がりのグラフのような2Dのイメージが一般的ですよね。僕は、組織の成長は3Dだと思っています。
組織って良いことも悪いこともあって、時期によって陰だったり陽だったりと波があるんです。これは、起きる順番と段階が確実にある。その陰と陽を繰り返しながら上昇していくイメージで、いつも皆に「組織は多重らせん状に成長する」と伝えています。能力やつながり、コミュニケーションの練度など、数字では表せないものも細胞のようにつながっていくんです。
大切なのは、誰と働きたいか。同じバスに乗らなくても、一緒に目的地を目指すことはできる。
ーー センクシャという組織を作る上で、大事にしている考え方を教えてください。
どこかで見て共感したのは、組織を車とする例え話です。
僕はバスのイメージなんですけど、どれだけ内装や外装(文化)がかっこよくてもでも、ガソリン(お金)がないと、そもそも走れない。目的地(ビジョン)がないとどこに行っていいかわからない。目的地(ビジョン)がはっきりしていれば、道が塞がれても、問題ない。遠回りしてでも、皆でそこへ行く方法を考えるだけですから。
運転手や乗客(仲間)は、バスに乗ること自体にワクワクしているんじゃない。たとえば「アラスカに行くんだ!」とか、目的地に行くことにワクワクしてるわけじゃないですか。
車内は「アラスカどんな感じかな」「寒いかな」「オーロラ見れるかな」みたいに盛り上がるじゃないですか。仲間がつまらないと面白くないんですよ、ドライブは。だからいい仲間が欲しいし、優秀な人が欲しいんです。
バスには、地図を広げる人、旅の写真を撮ってくれる人、車を修理してくれる人、ギター弾く人、途中で食事を作ってくれる人、それぞれの得意分野を活かしたキャラクターが乗っている。これが、全員ギターを弾く人だとうるさいし、喧嘩になるかもしれない。バランスも大事です。
バスによっては、途中で行き先が変わってしまうかもしれません。ずっと乗っていたからと言って、自分が行くはずの目的地と変わってしまったら、別のバスに乗り換えるのは当たり前ですよね。一度乗ったら必ず終点まで行かなきゃいけないバスなんて、ないわけですから。
ーー バスはすごくわかりやすい例え。降りる人を責めることはできないですよね。
そのバスじゃなくなったら降りて乗り換える。良い循環ですよね、それって。お互いにとってベストを選択できるというか。
バスを降りたって、人生は続いていきます。働く「機能」としてではなく、その人をパーソナルで見ていれば、一人ひとりのやりたいことや、これから成長していきたいことがあるのは分かるし、素直に「頑張って」と応援できると思うんですよ。
長期的に見ると、組織と個人は株価みたいに変動すると思うんですよね。ライフスタイルや考えの変化や、体力的な部分など、どうしても参加できなくなる理由はあると思うんですけど、もしまた挑戦できるタイミングが来たら、一緒にやれればいいなと。
実際に、センクシャにいたメンバーが昨年退職して、物を作ってくれる協力会社さんのところへ行ったんです。彼女がやりたいこともやってきたことも分かっていたし、転職が決まったとき、「良かったね」と言えてよかったと僕は思っています。皆にもちゃんと気持ちよく送り出してあげようと言いました。
その関係があるから、センクシャ時代に担当していたプロジェクトの作り物も、結局いまも外注という形でそのまま彼女が作っているんです。
――正社員だけでなく、業務委託や副業などの自由な契約形態を受け入れている話にもつながってきますね。
仕事に使える力って、0か100かではないじゃないですか。10%の人も、20%の人もいる。グラデーションのある働き方っていうのが自分の中ではしっくり来ています。”自由”というよりも、そもそもそれ、普通じゃない?と。
だから、入社という形ではなくても、専属やスポットなどの契約形態もあるし、在宅でも働けるようにしているんです。
――誰と働きたいか、というのが軸な気がしますよね。「入社してくれないなら、一緒に働けないね」ではなく。
そうそう。協力会社さんたちとは「車は違うけど、並走していける?」みたいな感じなんです。
「俺、アメ車で行きたいんだよね」「軽で行きたい」「風を感じたいからバイクかな」って。良いんですよ、それで。賑やかで楽しいじゃないですか。「行くぞー!」と皆で言っているのを見た他の車やバイクが、興味を持って並走してくれるかもしれない。
なかには、”目的地は決めていないけど、どこかに楽しくて良いバスがないかな”って探している人もいるじゃないですか。
そうやって「アラスカ行きがあるの?」と乗ってきてくれる人もいるだろうし、やっぱり途中で降りたいなっていう人もいるだろうし、本当に色々な参加の仕方があると思います。
バスに乗っている人たちが良い時間を過ごせるように、選定はもちろんありますけど、チームにとって良い循環が生み出せるならありだよねって思っているんですよね。
働き手に、クライアントに、センクシャが選ばれ続ける組織であるために。組織は次のフェーズへ。
―― お金の使い方も、組織の話をする上で大事ですよね。
目的地に行くには、車のメンテナンスやアップデートも必要ですよね。「4駆にしないとこの川は渡れないよね」「タイヤを大きくしないと、途中の砂漠は走れないよね」とか。それは全部アラスカに行くための投資です。
僕らは、ビジョンのために投資をするって決めているから、そこがわかりやすいんですよね。今だと「エンターテイメント業界の製造・現場・仕組みをアップデートする」。儲けたお金は、基本的に全部そのために使うと宣言しています。
組織は、ある程度の規模になってくると大体一緒。クライアントやオーディエンスは、どのバスをゴールへ行かせたいか、ガソリン(お金)をいれたいかって選択になってくると思うんです。「いいね、儲かって」ではなく、「センクシャに仕事をお願いすることは結果として、エンタメ業界をアップデートすることに繋がるんだね。それに賛同したいから一緒にやろう。業界を盛り上げよう。」って思ってもらえる。ただお金の為だけにやっているわけじゃない。ちゃんと目的がある。それって最高じゃないですか。だから、皆にセンクシャのファンになってもらって、応援してもらえるような会社でありたいと思っています。だからこそ、儲けたお金を何に使っているのか、会計関係も全部オープンにしているんです。皆が納得感を持ってやれるっていうのが大事。
お金だけではなく、こうやってセンクシャが発信することで、この業界を知ってくれる人がいる。センクシャの魅力を知ってもらうことが、業界の魅力を知ってもらうことにもつながってくると思っています。
―― BHAG(社運をかけた目標)として「2028年までに日本を代表するエンターテイメント創造企業になる」を掲げています。バリューやミッションなどを設定している会社は多いですが、BHAGは珍しいですよね。
確かに、BHAG(ビーハグ)ってあまり聞かないかもしれないですね。はっきりした、皆が嘘のつけない目標っていうのかな。抽象的なものだと言い訳になるじゃないですか。言い訳を作らないようにしているという意図もすこしあります。
BHAGを改めて設定したのは、取締役の瓜田と下平が入ってくれたタイミングです。それまでは、ずっと自分の中でいつか行きたいと思いつつ、どうやって良いかがまだ見えていなかったんですけど、行けることが確信に変わったときなんですよね。
BHAGがあることは組織にとって大きい気がしています。皆が明確に何をするのかっていうのが見えているから、こうやるよ、ああやるよって言っても、スッと全部理解できる。しっかり言語化できたのは大きいですね。
―― 昨年12月の段階からさらに採用へ向けた組織図もアップデートをして、どんどん磨いてるんだなという感じが伝わってきています。
取締役の2人に権限譲渡をして、やっと時間ができたっていうのがあるんですよね。だから、採用計画も、当初の予定とは規模も大きくなってきています。
2人とは、それぞれ自分たちがこれから本当にやっていきたいことを話し合って、権限を分けられたんですよ。事業面をやっていきたいっていうのが下平、ヒトを大切にしたいっていうのが瓜田。人生をかけてこれをやりたい、と思ってくれる人がいるとガッチリはまりますね。
そしてやっぱり大事にしたいのは、ヒトが先、事業が後だということ。そういうときに、いい人材がいれば売上も上がるし、組織も格が上がってくるんですよね。
僕は割とストレスに強いので、権限を渡した後にやっと気付いたんですけど、今まで結構大変だったみたいです。長期的にはできなかったかもしれない。今、心がとてもいい感じで、自分の格が上がったなって気持ちでいます。それは本当に皆のおかげだし、皆と一緒にやれて幸せだなって本当に思っている。
今まではずっと自分自身がプレイヤーとしてやりすぎてきたんですけど、これからは自分のやることがないくらいの状態にしていくのが、次のフェーズなんだなって思っていますね。
だから、とにかく今自分がやるべきことは、「センクシャが目指すセカイ」「訪れるミライ」を明確にたくさんの方に伝えて、一緒に目的地を目指す仲間を集めることだと思っています。ミライの仲間やこれから訪れるミライを思うと、毎日ワクワクが止まらないんですよね。