外資系金融機関のオフィスに、世界水準の食体験を届ける株式会社MUSICO。前編では、代表・瀬本頼一がテーマパークの現場で掴んだ「本当に売っているのは、時間と感情だ」という原点を聞いた。
後編では、急成長を支えるチームづくりと経営哲学、そしてこれからの話を聞く。
チームづくり——「人が全て」と「属人化NG」の間で
── 創業初期、「採用・育成・定着をすべて自分で見ていて、自分のキャパが律速になっていた」と話していました。そこからどう変わったのですか?
失敗から学んだ言葉があって、「人を信じすぎても、仕組みを信じなさすぎてもダメ」なんです。
人に任せきりにすると、その人が抜けた瞬間に品質が崩れる。かといって仕組みだけで縛ると、現場から工夫と誇りが消える。どちらに振りすぎても壊れるんですよね。だから僕らが目指しているのは、仕組みで人の力を10倍にすることです。標準化された土台の上で、一人ひとりが「目の前の一人」に集中できる状態をつくる。
── チームに共有している価値観はありますか?
4つあります。「品質が全て——妥協しない」「現場が強い会社が勝つ——机上で完結しない」「仕組みで勝つ——属人化させない」「構想家ではなく実装者——やる人が強い」。
特に最後は大事にしていて、アイデアを語る人より、手を動かして形にする人を評価します。僕自身、机上で考えすぎたら現場を見に行くと決めています。
経営哲学——短期の利益より、長期のブランド
── 経営判断で大切にしている軸は?
判断で迷ったら、利益が出るか、再現性があるか、スケールするか、自社の資産になるか、ブランドに寄与するか——この5つで考えます。
その上で一つだけ絶対のルールがあって、短期の利益のために長期のブランドを毀損する判断はしない。品質を落とせば今期の数字は作れる場面って、実はたくさんあるんです。でも僕らのクライアントは世界で一番要求水準の高い企業群で、信頼は一度失ったら戻らない。「品質が全て」はきれいごとではなく、一番合理的な経営判断だと思っています。
── AIの活用にも積極的だと聞きます。現場の会社なのに、少し意外です。
逆なんです。現場の会社だからこそ、です。議事録や発注のような間接業務をAIと仕組みに寄せて、空いた時間とエネルギーを目の前のお客様に注ぐ。AIの競争優位は、テック企業の中ではなくホスピタリティの現場でこそ最大化する、と本気で思っています。
これから——食を入口に、幸福な時間を増やす
── 5年後、MUSICOはどうなっていたいですか?
事業規模で言えば、売上で今の10倍を目指しています。ただ、規模はあくまで結果で、やりたいことは創業から変わっていません。「幸福と感じる時間を、仕組みで増やす」。企業のオフィスから始まった挑戦を、もっと多くの場所に広げていきたい。
その先では、食・空間・人材・テクノロジーそれぞれの領域で強いチームが集まる、グループ経営の形も考えています。一社で全部やるより、それぞれの領域のプロが誇りを持って戦える構造の方が、僕らの価値観に合っているので。
── 最後に、どんな人と働きたいですか?
品質に妥協しない人、変化を楽しめる人、そして「自分でやる」と言える人です。経験よりも、学習速度と現場感覚、合意したことを必ずやり切るかどうかを見ています。
第二創業期の今は、仕組みそのものを一緒につくれる、一番面白い時期だと思います。少しでも興味を持っていただけたら、まずはお気軽に話を聞きに来てください。
(聞き手:社長室 石黒)
※ 記事内の発言は本人の言葉を元に編集・再構成しています。