100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。
今日も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「長生きはリスクでしかない!?年齢とともに減っていく人的資本の中、フリーランスはどう立ち回ればよいか?」についてお話ししていきます。(元記事:https://wizpara.com/2590/)
皆さんは、作家橘玲氏の「幸福の資本論」を読んだことはありますでしょうか?
人生における幸福を「金融資産(資産額)」「人的資本(労働力)」「社会資本(家族や友人職場の人間関係等)」の3つに分けて考える本です。
簡単に言えば、幸せには3つの条件があって、金融資産を多く持っていて、稼ぐ力を持っていて、人間関係が良好な人のことですよーという本です。
この本は、上記の前提をできる限り客観的なエビデンスや事例・データを参照しつつ解説しているめちゃくちゃためになる本なのです。
そして、われわれフリーランスの問題に置き換えた時に、鬼門となるのが、2番目の「人的資本(労働力)」になります。
フリーランスはサラリーマンに比べ人的資本の減少に対して、大きな影響をこうむるのです。
今日はフリーランスが加齢とともに人的資本(労働力)が減少していくとき、どのような立ち回りで人生の荒波に立ち向かうべきかを考察していきます。
人的資本が減少すると具体的にどんな問題が生じるか?
フリーランスがサラリーマンにくらべ不安定だからと敬遠される理由のひとつが人的資本の減少に伴うもろもろの事象です。
フリーランスは年齢経過とともに収入減少、ひどければ収入がゼロになる
終身雇用が崩壊したとはいえ、サラリーマンであれば、正社員で会社に入ってしまいさえすれば、定年で辞めるまでは会社から給与が支給され続けられます。
とくに日本は年功序列の制度が浸透しており、歳を取るごとに給与がアップしていく傾向があり、歳を取るごとに「人的資本(労働力)」の減少について頭を悩ませることは、あまり多くはありません。
しかし、実際には年齢とともに確実に「人的資本(労働力)」は衰えていきます。
職業にもよりますし、仕事内容やスキルにもよりますし、経験を蓄積することで、ある程度、リカバリもできます・・が
体力・気力・柔軟な思考力・感性・センス・人を惹きつける魅力など
さまざまなパラメータが30代あたりをピークに、確実に下降していきます。
そしてサラリーマンとは違い、フリーランスは「人的資本(労働力)」が衰えると、収入減少に直結します。
全盛期を過ぎたスポーツ選手が、成績の下降から年棒が減少したり、現役を引退して収入が途絶えるようなものです。
健康が徐々に失われ、パフォーマンスが落ち、活動に支障が出る事もある
収入の減少もおそろしいですが、さらに危惧すべきは、加齢とともに健康もじょじょに失われていくという現実です。
若いうちは健康な状態である事が普通で、健康であること自体がとてつもなく貴重でありがたいことなのだと、考えたこともありませんでした。
わたしも言っても40代なので、まだそこまで深刻な病気に苛まれているということはありませんが、疲れやすく病気や怪我が治りにくくなったなぁという実感がありますし、
50代、60代になったら大きな病気のひとつやふたつ、かかる可能性も低くはないんだろうなぁと懸念しています。
当然、健康不安で働けなくなったら収入は減少どころか、すべて途絶えることも想定しなければなりません。
(最近は病気やケガで働けなくなった時の、所得補償保険がさまざまな団体で提供されていますので、これらの活用もフリーランスには必須でしょう。)
クリエイティブセンスが古くなり時代とマッチしなくなる・・
これも考えたくはないですが、現実です。
世の中は諸行無常です。盛者必衰です。
著名アーティストも、有名デザイナーも能力の低下や時代に合わなくなる時が必ずきます。
われわれ、クリエイターはクリエイティブ能力が劣化したり時代とマッチしなくなれば、当然、得られる仕事も減っていきますし、単価も落ちていきます。
モチベーション低下、能力低下からくる生産性の下降
若い時は、なんといってもシンプルにお金が欲しかったですし、
みんなにフリーランスとして成功している姿を認めて欲しいという自己顕示欲も旺盛でしたし、
家も買わなければなりませんでしたし、結婚するのにも大きなお金が必要でしたし、
飲み会にも参加したかったし、欲しい洋服やガジェットアイテムも多かったので、
そのぶん、それがジャンジャン働いてジャンジャン稼ごうというモチベーションになっていました。
徹夜とはいわないまでも、夜遅くまで連日仕事をしても、キツくもなんともありませんでした。
しかしそのようなギラついたモチベーションというのも、落ち着いてくるものです。
以前のような、キツくてもジャンジャンお金を稼ごうというスタンスでは、今では働くことができません。
年齢の上昇から、相手に与える印象の変化
実はこれも、収入の減少要因として、何気に大きな要因なんですよね。
たとえば先鋭的・先進的なデザインやアイディアなどは、やはり歳をとったベテランからは生じません。
いつだって考え方が柔軟な若者から生み出されるものです。
とくに時代の先端を追うような業界では、制作物に新しい最新の表現やテクニックを駆使することが求められ、ベテランよりも若い人に仕事を任せたいと思うものです。
また、人を惹きつける要因のなかで、やはり若くて美しいビジュアルというのは、別に恋愛だけではなく仕事面でも同じく惹きつける要因と言えるでしょう。
このように、スキル面の能力だけでなく人に与える印象という意味でも、武器はだんだんと失われていくという現実が待ち受けている訳です。
年齢とともに減っていく人的資本の中、フリーランスはどう立ち回ればよいか?
ということで、フリーランスに対してのネガティブキャンペーンのようなことばかり、申し上げてきましたが・・。
それでもやっぱりフリーランスという働き方は最高ですし、
若いうちから対策を練って立ち回っていけば、人的資本が減少していく中でも焦ることなくフリーランスライフをまっとうできると確信しています。
では、どのように立ち回ればよいか僭越ながらベテランフリーランスがアドバイスしていきます。
大・大・大前提!!自分の能力がいつか衰えゆくものだという事を自覚する
まず、人的資本の減少にさらされてから困らないようにするためには、若いうちからじぶんも人的資本が減少していくということを腹の底から認識しておく必要があります。
人は歳をとれば、能力は落ち、不自由が増えてくるというのは、人間だれしも知っているようで、「腹の底から理解している」という意味では、誰も理解していないといえます。
ある程度、まとまったお金を稼げるようになったフリーランスは、自分の力に過信し、それがいつまでも続けられると思い込んでしまいます。
そしてこれがすべての元凶です。
いつまでも稼ぎ続けられると錯覚してしまうのであれば、極論、いくら稼いだとしても安心はできません。
大金を稼ぐNBAのスター選手の50歳までに破産する確率が90%に達するというのはご存知でしょうか?
メジャーリーガーも引退後5年で8割自己破産するというデータもあります。
これは、じぶんがもうかつてのように稼げなくなったと認められない慢心と、一度上げた固定費(生活スタイル)や浪費癖を見直すことができないことが起因しています。
これは極端な例ではありますが、フリーランスも一生涯において順境と逆境があることをまずは腹の底から理解できれば、自己資本の減少による危機を回避できる事に近づきます。
現役時代にサラリーマンの何倍も稼ぐ(稼げないのならサラリーマンをしていた方がいい)
前の項で、人的資本が減少することを想定できない人は、いくら稼いでも破綻する危険があるとお伝えしましたが、
人的資本がピークのうちに大金を稼ぐという事自体は間違いではありません。
それどころか、いかに人的資本がピークのうちに大金を手にするか、稼ぎ切るかが重要ともいえます。
その大金を人的資本の減少に備える事に使えれば、人生は一段階イージーモードに上げることが可能です。
例えば人的資本がピークの若い時に年収1,000万以上で働き、できれば数千万円以上の資産を築き、全世界インデックス連動投資信託などに投資することができれば
人的資本が減少していく年代の時には、ある程度の不労所得を獲得できている訳です。
フリーランスはサラリーマンとは違い稼ぐ力があれば収入は青天井なので若いうちに稼ぎ切るという戦略がとれるわけです。
ジョブチェンジ、キャリアチェンジを予め想定しておく
Web業界、インターネット業界に身を置いているとしみじみ感じますが、進化のスピードが速い・・・
使っているスキルが陳腐化するのが速い・・・
トレンドが変遷するスピードがとにかく速い・・・
じぶんが稼げていたスキル・サービスが数年で通じなくななったり、ニーズがなくなってしまう。。
一生食えるスキルなどというのは、少なくともこの業界にはありません。
そのこと自体を予め想定できていれば、備えておくこともできますが、一生仕事がありつづけるとあぐらをかいていれば、いざ仕事がなくなったときに絶望を感じる事になります。
一生、食えるスキルなんてものは、変化の激しい今の世の中では幻想にすぎませんから、予めジョブチェンジ・キャリアチェンジをするということを想定しておきましょう。
歳をとる事で逆に向いている仕事というものもある
歳をとる事自体は、必ずしも悪い事ばかりではありません。
能力は落ちていきますが、経験は蓄積されていきます。
経験を活かす仕事というのは、確かに存在しています。
培った自分の経験を活かせる仕事にシフトできれば、負担やストレスは少なく長く働き続けられます。
例えばコンサルやコーチングなど、若い人を育成する側の仕事に従事するなどです。
経営者として人的資本豊かな人を使う側にまわる(注意事項アリ)
フリーランスが歳をとって考える事が、法人化し経営者として、人を雇って組織を率いていくという道です。
経営者であれば、今までの経験が活かせるわけですし、人的資本豊富な人材を活用することで、いつまでもビジネスを続けていけるわけです。
しかし、誰しも経営者として人を雇ってやっていけるかというと、中々難しい面もあります。
まず経営者として自分が適性があるかどうか。
社員の人生を抱えるという責任と向き合えるか。
これは人を選ぶので万人向きとはいえない選択肢ですね。
生涯、勉強・リスキリング・自己鍛錬をかかさない
変化が激しい世の中で生き残るものは、必ずしも強いものではなく、変化できるものである・・・チャールズ・ダーウィンも言ってますよね。
要は変化し続ける・・学び続ける・・別のスキルを身につけることが重要になってくるわけです。
もちろん本業で働いてへとへとになっている中、自己投資をして勉強したり、リスキリングをしていくのは並大抵のことではありません。
ただ、一生食えるスキルというものが死語となった現代では、生涯勉強、生涯リスキリングをしていくしか生き残る道はなさそうです。
人的資本以外のあと2つの資本「金融資本」と「社会資本」を徹底的に増強する
橘玲先生の「幸福の資本論」では、幸せのためには3つの資本、「人的資本」「金融資本」「社会資本」が必要と説いています。
「人的資本」の減少を食い止められれば、一番良いですが、加齢とともにどうしても「人的資本」が減少する場合は、「金融資本」「社会資本」にて補填するのがベストな戦略となるでしょう。
簡単に言うと、めちゃくちゃ働けるときにお金を稼ぎきり、それは散財・浪費せずに資産としてオルカンなどの優良な投資商品につっこみ(金融資本の蓄積)、自分が幸せを感じられるコミュニティにいくつも属して(社会資本の蓄積)いきましょう・・このような戦略ですね。