100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。
複業メディア「ウィズパラ」では、サラリーマンの方、学生の方、フリーランスの方、問わず、『複業』という、これからの時代の新しい働き方を実現するために必要な知識・ノウハウを発信していきます。
今日のテーマはズバリ「見積り」です。
・・地味ですか!?
いえ、「見積り」を侮るなかれ。
フリーランスにとって「見積り」は非常に難しく、この「見積り」でミスをせず、上手な金額を設定することが成功の第一条件と言っても過言ではりません。
第一条件どころか、一番大事とさえ感じています。
では、なぜ自分がそこまで「見積り」を重要視しているか・・・それは、
ズバリ下記の確信に至っているからです。
・フリーランスにとって「見積り」はめちゃくちゃ難しい
・「見積り」が上手いか下手かで、フリーランスの仕事は天国にも地獄にもなる
・「見積り」で働き方を設計できる
最初に言っておきます、この記事を呼んで「見積り」の奥深さとコツを知る事でフリーランスとして一段階成長できます。
それではひとつずつ解説していきます。
フリーランスにとって「見積り」はめちゃくちゃ難しい
ハッキリ言います。
超ベテランフリーランスのわたくしにとっても、まだまだ「見積り」は難しく、完璧な見積りというのはなかなかできません。
予め、案件の工数をすべて把握することは至難の業ですし、かといって無難に高めに設定しておけば、その分、受注確率は落ちてしまいます。
なぜ「見積り」が難しいか理由をひとつずつ見ていきましょう。
案件の工数(手間)を正確に見積もれない
断言しますが、案件の工数(手間)を着手前の見積り時に完璧に把握することは出来ません。
なぜか、見積り時にクライアントからの要件がすべて出そろわない為です。
では、見積り時にすべての要件を出してもらえばいいじゃないかという意見もごもっともですが、案件が持ち込まれるときに細部まで要件がバッチリ決まっている事はそうはありません。
要件が出そろっていないので、見積りはできませんと断わる事もできますが、それでは別をあたります・・・と、そのたびに仕事を失っていては生活できません。
つまり、ある程度、工数を完璧に把握できない段階であっても、見積りを出さざるを得ないわけです。
まぁ、経験を摘んだり、クライアントの特徴を把握すれば、見逃しがちな工数を見積もれるようになってきます。
見積り金額が高すぎれば受注できない可能性が上がる
見積り時に工数を完全に把握できないなら、余裕を持って高く設定すればいいじゃないか・・・
ぶっちゃけその通りです。
しかし理想は、かかった工数通りの見積りが理想です。
工数とは無関係な見積りは、どこかにひずみが出てきます。
金額に説得力が出てきませんし、クライアントからの信頼も失いますし、単純に高くしすぎれば、案件を受注できない可能性が高くなります。
じぶんの作業時間単価を高く設定して、見積り金額を高くする事自体はOKです。
工数が読めないから、かなり余裕をもって見積りを高くしてしまえというのはNGです。
両者には天と地ほどの開きがあります。
見積りが下手なフリーランスは地獄を味わう
IT系の受託制作業で、炎上する要因は主に納期に間に合わない事、そして赤字です。
どちらも見積りの失敗が起因しています。
想定している工数よりも実際の工数が大きい際に炎上します。
シンプルに隠れ工数を想定できていなかったり、案件を獲りたいがあまりに工数や単価を甘く見積もっているケースです。
割に合わない金額で仕事をしなければならない時の絶望感
見積りがあきらかに実際の工数に見合っていないと気づいてから、その案件を続行することは、地獄そのものです。
作業に見合っていない報酬で、続けなければいけない仕事ほど、つらいものはないからです。
基本的に見積もりは、見積り後に仕様の追加や変更が生じない限りは、変更することはできません。
もちろん見積り後であっても、あきらかに見積りが作業に見合っていない場合、クライアントに相談して応じてくれる可能性もあるかもしれませんが、それはかなり良心的なクライアントと言えるでしょう。
IT制作に対するクライアントの理解不足からくる絶望感
ITの受託制作に理解を示してくれないクライアントとの仕事は、かなり炎上のニオイがプンプンします。
見積り後の仕様の追加や変更が再見積もりであることを理解してくれないクライアント・・・これは厄介です。
見積り金額内で、どのようなリクエストも聞き入れてくれると思っていて、無限に修正や機能追加を寄せてきて、それがすべてクリアできなければ納品完了にならないと考えているクライアント・・・。
理解不足はある程度、仕方ないので、これは案件がスタートする前に、念入りに説明しておく必要があります。
見積り時に寄せられた要件・仕様以外の仕様の追加や変更には再見積もりが必要になる事・・・。
データ待ち・・確認待ちの時間で納期が危うくなる時のこと・・・
修正回数の上限・・・
瑕疵担保の期限・・・
納品後の保守・回収に関する決めごと・・
などなどなど、徹底的に話し合い、受託契約書や見積もり書に明記しておくことが重要です。
「見積り」で働き方を設計できる
受託契約書でも仕事の条件をコントロールできますが、
シンプルに「見積り」の金額にて働き方をある程度コントロールできると考えています。
自由な時間が何より重要な人は
フリーランスを15年以上も続けていて気づいた事があります。
見積り金額を低く設定しても、高く設定しても収入はあまり変わらないという事です。
高く設定すれば、その分、仕事を受注できる確率は落ちます。
仕事の数が減った分と金額を上げている分、収入が増える分が相殺されて、結局トータルの収入はあまり変わらないのです。
(もちろん見積り金額を上げるにも限度はありますが)
それであれば、よほどのワーカホリックで常に手を動かしていたい人以外は、仕事を減らして収入をキープするのではないでしょうか?
自分は若い時には、時間は無限にあると錯覚しており、安く自分の貴重な時間を切り売りしてしまった事を後悔しています。
今は、仕事が減るのを多少覚悟の上、見積り金額を少し上げ、じぶんの自由な時間を増やすことでワークライフバランスをコントロールしています。
安くてもとりあえず多くの仕事をこなしたい
駆け出しのフリーランスには、とりあえず、経験を積まなければ話にならない時期というのがあります。
自分のスキルを高めたいので、とりあえず安くても良いから多くの仕事をこなしたい・・・そんな考えも間違いではないと思います。
リスキーなお客さんを遠ざける
多くのクライアントと仕事をしてきましたが、何割かのクライアントは「リスク」のあるクライアントだと言わざるを得ません。
簡単に言うと、クレーマーであったり、連絡がタイムリーに取れなかったり、ひどい時は報酬の不払いやパワハラまがいの言動であったり・・・などなど
こういったクライアントからの仕事は、そもそも請けるべきではありませんが、完全に見抜けないのもまた事実です。
そのため、少しでも「リスク」を感じたら、その「リスク」の分を見積り金額に反映させるのです。(要は見積り金額を高くする)
これはリスクヘッジとして当然の対策ですし、当然の権利です。
また逆に、自分と相性の良い仕事の進め方のクライアントや誠実で長い付き合いをしたいクライアントの見積り金額は低く設定するのも当然と言えるでしょう。
保守プランをつくり安定収入化する
単発の受託案件ばかりだと収入がなかなか安定しません。
その場合は、継続してクライアントの役に立てるように保守サービスなどを積極的に提案するのが吉です。
なかにはノーサンキューのクライアントもいるかもしれませんが、提案は基本、喜ばれると思います。
制作費用を無料やかなりの低価格に設定し、かわりに保守サービスにて安定的に収益化すると、フリーランスは毎月安定した収入となり、精神的にかなりゆとりを持って仕事ができます。
ベテランフリーランスからのアドバイス・・・できるフリーランスの見積り術
フリーランスにとって「見積り」は奥が深くて、見積りが上手いか下手かで収入も変わってきますし、理想の働き方にもなりえますし、逆に稼げず貧乏暇なしにもなりえます。
最後に長年のフリーランス生活できづいた「見積り」に関するTIPS・コツを紹介します。
テクニック1:すぐに見積りを出さない
ズバリ、これは非常に重要です。
要件があまりにふわっとした状態や、新規のクライアントでそもそも取り引きすべき相手かわからない状態で見積りを出すべきではありません。
一度、見積りを出すと、あとはクライアントがGOを出すか出さないかで仕事が動いてしまいます。
自分であれば、まずは信用できるクライアントか見極められるまで打ち合わせを重ね、相手の要望、制作物の要件がある程度固まるまでは見積りは出しません。
どうしても金額感をはじめに把握したいというクライアントさんには、仕事が請けられるかはまだわからないことと、見積りはあくまでも概算で要件が固まったら確定の見積りが出るということを、念を押しながら説明しておきます。
テクニック2:金額に説得力を持たす
金額に説得力が無ければ、お客さんは大金を払おうとは思いません。
逆に見積り金額自体が説得力を帯びる事もあります。
自らのビジネスを日ごろからブランディングしておけば、自ずと高い金額の見積りに説得力が増しますし、案件の工程を細分化して各工程に金額設定をすることで相手が納得する事もあります。
自分は作業単価を相手に伝え、各工程がどの程度の時間がかかるかで見積りしていると伝えています。
これ以外にも、どうやったら見積り金額に説得力が帯びるか、試行錯誤する必要があります。
テクニック3:理想の働き方から見積りを設計する
まずは、自分の価値感、理想の働き方を明確にしておくと良いと思います。
じぶんはそこから逆算して、仕事の見積り金額を設定しています。
じぶんは物欲も多くなく大儲けしたいとも思いませんが、自由な時間とクライアントとの良好な人間関係をなにより重視しています。
自由な時間を担保するために見積り金額を安く設定しすぎることはありませんし、誠実でじぶんの仕事の進め方を認めてくれる長い付き合いのクライアントの仕事では、見積り金額をかなり安く設定しています。
テクニック4:お客さんを見て金額を変更する
これは前述しましたが、少しでも「リスク」のあるクライアントには、その「リスク」の分を見積り金額に上乗せするということです。
大きなリスクでなくても、オンラインミーティングができるのに、対面での打ち合わせを頻繁に要求するようなクライアントにはその分、時間と交通費のお金をがっつりと見積り金額に含ませたりします。
同じ制作物を作るにしてもクライアントによって、工数やうけるストレス、やりがいなどが大幅に異なってくるのです。
テクニック5:極力、案件を細分化する
極力案件を細分化して、段階的に仕事を進めるというやりかたはかなりのリスクヘッジになります。
特に新規のクライアントはどのような仕事の進め方になるかわからず、リスクも大きいので、サイト全体の受注から入るのではなく、まずはトップページのデザインだけという案件に限定して、進めてみませんかと提案し、そこで双方が納得できる仕事の進め方である場合は、先に進めるというやり方です。
新規のクライアントの場合は、最初に大きな規模で案件を請けずに、細分化して段階的に請ける。
これはリスクヘッジ手段として、かなりのおススメです。
ということで、今日はフリーランスの「見積り」に焦点をあてて、話をしてきました。
ぜひ自分なりの「見積り術」を確立して、リスクを回避し、理想の働き方を実現してください。