100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。
最近、「フリーランス保護新法」に関するニュースが、方々から届くようになってきました。
我々、フリーランスにとって吉報なのか、悲報なのか・・・。
今日は、「フリーランス保護新法」とはそもそも何なのか、フリーランスにどのような影響があるのかを深堀していこうと思います。(元記事:Wizpara https://wizpara.com/2406/)
Yahooニュースによると組織に属さず働くフリーランスを保護する新たな法律案の策定で、フリーランスへの不利益な取り扱いなど、新法で定める義務に違反する行為の是正命令に従わない事業者に対し、50万円以下の罰金を科す規定を盛り込む方向で政府が検討しているようです。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/21b1e0a43c472e7f4c5cb077c6d41642adfcce5f(Yahooニュース)
フリーランスは自分のスタイルで働けることにメリットを感じる人が多い一方で、社会的な立場は弱く、発注元事業者との間で報酬の支払い遅延や一方的な減額などのトラブルを経験した割合は4割近くに上っているとされています。
(ちなみに、じぶんも何回も経験しています・・・とほほ)
そのため、政府は2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義」の実行計画や経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の中で、フリーランスが安心して働けるようにする法整備を進める方針を明記しました。
さらに発注元事業者に仕事の内容や報酬額の明示などを法律で義務付ける方向性を9月に公表。
これに対して一般から意見を公募したところ、「抑止力を持たせるため罰則を設けるべきだ」との意見寄せられ、法律の実効性を担保するため罰則を設ける必要があると判断したようです。
新法案では、公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁が違反行為について事業者に報告を求めたり立ち入り検査を行ったりできる規定も設け、検査拒否にも罰則を適用する方向です。
ちなみに、肝心の、この罰則ですが、命令違反に50万円以下の罰金を科す規定を政府が検討しているそうです。
このフリーランス保護の流れは、フリーランスにとって間違いなく吉報ではあるのですが、このたかだか50万円以下の罰金で実効性があるのかどうかというところですね。
・・・正直、微妙なところです。
フリーランス保護新法要点まとめ
では、実際に現状決まっているフリーランス保護新法の要点をもう少し詳しく洗い出していきます。
(引用:創業手帳 ー フリーランス保護新法とは?制定によって何が変わる?下請法との関連も含めて解説)
業務委託の開始・終了に関する義務
事業委託の際の書面の交付等
「業務委託の内容(仕事内容)、報酬額等」を記載した書面を交付するか、メールなど電磁的記録を提供しなければなりません。
また一定期間以上、継続してフリーランスと仕事をする場合、契約期間や契約の終了事由、中途解約時の費用などをあわせて記載する必要があります。
このルールに感じたひとこと
要は、必ず書面にまとめましょうよということでしょうか。
今までは、口頭ベースの約束で仕事になっていたものが、毎回、書面にてどういった条件での依頼なのか、毎回記録に残すことで、いざっとなったときにフリーランスに不利にならないようにという配慮でしょう。
ただ、フリーランス的に言わせてもらうと、毎回、個別の細々した案件にも書面で契約を交わすとなると、手間が激増するだけで、正直デメリットの方が大きいと感じるフリーランスは多いでしょう。
そういう意味で浸透するか実効性は不明です。
まぁ、メールなど記録に残るものでもオーケーとのことですが・・・。
書面に残していたら不払いや一方的な減額などの理不尽が減るのかというと経験上、契約書を交わしていても発生する際は発生するんですよね。
やはり罰則など、いかに実効性を持たせられるかが肝だと考えています。
契約の中途解約・不更新の際の事前予告
フリーランスと継続的に仕事をする場合、契約の中途解除や期間満了後の更新打ち切りを選択するなら、「中途解除日または契約期間満了日の30日前まで」にその旨を予告しなければなりません。
またフリーランスから求められれば、事業者は契約の終了理由を明らかにする必要があります。
このルールに感じたひとこと
ルールが明文化されるのは良い事です。
ただ、だいたいのクライアントは、理由の明示と30日前くらいには打ちきりの連絡をくれますけどね。
このルールで劇的にフリーランスの待遇が改善されるということにはならないでしょうけど。
業務委託の募集に関する義務
募集の際の的確表示
不特定多数のフリーランスを対象に、仕事を募集する場合は、正確かつ最新の情報を伝えなければなりません。
虚偽の表示や誤解を生むような表示は禁止されます。
このルールに感じたひとこと
これは、まさに徹底してほしいルールですね。
ただ、何をもって正確で最新なのか、、当事者のさじ加減次第になりそうですね。
要はフリーランス側にも玉石混合の募集情報を吟味するリテラシーが必要になるのは変わらないということです。
募集に応じた者への条件明示、募集内容と契約内容が異なる場合の説明義務
事業者は、応募してきたフリーランスに対し、仕事内容や報酬等を明示しなければなりません。
また募集時点で明示した情報と異なる内容で契約したい場合は、その旨を説明する必要があります。
このルールに感じたひとこと
まぁ、当たり前の話ですよね。
歯の浮くような、好条件で引き寄せて、実態は全然違う条件で働かされるなどあってはならないですよね。
虚偽の記載で募集を行っている事業者にきちんと罰則が適用されるかが気になるところです。
報酬の支払に関する義務
事業者は、フリーランスから納品物やサービスの提供を受けた日から60日以内に報酬を支払わなければなりません。
このルールに感じたひとこと
昔はいましたけどね、請求書を送ってから支払われるまで2か月半みたいな・・・。
今の時代、60日以上も報酬が支払わない業者ってまだ存在しているのかなという感じです。
そもそも請求をあげてから報酬が振り込まれるまでに60日以上もタイムラグがある時点で、そんなクライアントの仕事を引き受けちゃダメですよね。
フリーランスと取引を行う事業者の禁止行為
フリーランスと一定期間以上、継続して仕事をする場合、事業者は以下1〜5の行為は禁止されます。
また6、7の行為により、フリーランスに不利益を与えることも禁止されます。
- フリーランスに帰属する理由が無いのに納品物の受領を拒否する
- フリーランスに帰属する理由が無いのに報酬を減額する
- フリーランスに帰属する理由が無いのに返品を行う
- 相場に比べ、著しく低い報酬額を不当に定める
- 正当な理由なく、物の購入やサービスの利用を強制する
- 金銭やサービス、その他の経済上の利益を提供させる
- フリーランスに責任のある理由なしに給与の内容を変更させたり、やり直させたりする
このルールに感じたひとこと
たしかにどの項目もフリーランスあるあるなので、マジでルールが浸透・徹底してくれることを期待したいところです。
ただ、「フリーランスに帰属する理由」・・・ここが、結局クライアント側の担当者のさじ加減でいくらでも、いちゃもんをつけられかねないから問題なんですよね。
結局は当事者の主観がぶつかって、こじれるわけですから・・・そうなるとパワーバランス的にはクライアントが圧倒的に強くなり、フリーランスの大半は泣き寝入りしてきたわけです。
これからはフリーランス側も、不当な扱いを受けた際、自分に非はないと確信できる場合は、きちんと声をあげる事が重要になってくると思います。
就業環境の整備として事業者が取り組むべき事項
ハラスメント対策
事業者には、フリーランスへのハラスメント行為について、体制整備やその他の必要措置を講じ、適切な対応を行うことが求められます。
このルールに感じたひとこと
最近では減ってきましたけどね。
昔はたしかにひどいクライアントがいたものです。
フリーランスはルールの整備に期待しつつも、こういったパワハラ系クライアントの仕事は断固うけつけないという覚悟と工夫が大事になります。
出産・育児・介護との両立への配慮
事業者は、フリーランスと継続して仕事をする場合、出産や育児、介護と業務の両立という観点から、フリーランスに配慮しなければなりません。
フリーランスから申し出があれば、就業状況に関する交渉や就業条件の変更に応じる必要があります。
このルールに感じたひとこと
とても良いフリーランスの働きやすい環境づくりだと思います。
あとは、フリーランス自体がワークライフバランスをうまくコントロールできるようになることが重要で、これは単純に意志と努力が必要ですよね。
フリーランス目線でのまとめ
罰則も軽く、実効性に疑問視が残るのが正直なところですが、国がフリーランス保護のためのルール・環境づくりを促進してくれている事に対し、シンプルに嬉しいですし、感謝です。
思えば、日本はフリーランスもサラリーマンもブラックな就業環境やハラスメントが非常に多い国でした。今でも多いですが。
それでも昔に比べれば、業界・社会全体で、こういったハラスメントやブラック就業環境を撲滅していこうという流れが出来てきたように思います。
我々、フリーランスとしては、こういった環境づくりやルールの整備に感謝をしつつ、自分自らがこういったブラックな案件・クライアントに近づかないよう意志を持ち、工夫を巡らせていくことが、ブラックな仕事を強いる存在を減少させることになるのではないかなと考えています。