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みんな見積りってどうやってる?できるフリーランスの見積り虎の巻

100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。

今日も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「みんな見積りってどうやってる?できるフリーランスの見積り虎の巻」というテーマで話をしていきます。(元記事:https://wizpara.com/2238/

見積りを制するものはビジネスを制す・・これは大げさなコピーではなくマジです。
見積りが上手くなければ、いかに本業でのスキル(デザインスキル・プログラミングスキル・マーケティングスキルなど)があっても、商売で苦労することになります。

逆に見積りが上手ければ、多くの優良な仕事を得て、望まない仕事を遠ざける事ができ、収益を上げることに直結していきます。

ということで今日は見積りについての話しをしていきます。

フリーランスとして独立すれば、この見積りをする機会はおのず多くなるわけですが、独立する前のサラリーマン時代に、業務として見積り作成に触れる機会というのは、あまり多くはないと思います。

では、上手い見積もりとはなんなのか?

やってはいけない見積りとはどのようなものか?

を紹介していきたいと思います。

見積り方法紹介・・・他のフリーランスはどうやって見積りをしているのか?


Web制作の見積りに関しては、大きく分けて2つのオーソドックスな算出方法が存在しています。

ひとつは、「各工程・各サービスごとに予め設定してある単価の合算」する方法

ふたつめは、「自分の作業時間単価×工数(時間)での算出」する方法

それぞれ見ていきます。

方法①:各工程・各サービスごとに予め設定してある単価の合算

例えば中小企業や店舗のコーポレートサイトなど、一般的(平均的)な要件のWebサイト制作の場合、

ディレクション・・・50,000円
工程管理・・・50,000円
サイト全体のデザイン・・・80,000円
ページごとの個別デザイン・・・5,000円/ページ
ページごとの個別マークアップ・・・5,000円/ページ
Wordpress構築・・・80,000円
メールフォーム設置・・・20,000円

20ページのサイトでトータル:48万円+税

などのように、工程ごとにそれぞれ単価を決めておき、打ち合わせなどで制作依頼の要件を洗い出し、各工程ごとの単価を合算し、見積りをするわけです。

この方法のメリットとしては、依頼をするお客さんがあらかじめ費用感をつかみやすく、納得を得られやすいという点があげられます。

デメリットとしては、各工程の工数は案件に応じて、相当なバラつきがあるため、単価を固定で決めてしまうと、見積り金額と実際の工数に乖離が発生し、場合によっては「炎上(大赤字)」になりかねないという点でしょうか。

方法②:自分の作業時間単価×工数(時間)での算出

この方法は、案件案件ごとに各工程の工数を、毎回、こまかく精査して、何時間かかるかを算出します。

そのうえで、予め設定しておいた自分の時間単価(時給)をかけて見積りするという方法です。

先ほどの例で言えば

ディレクション・・・15時間
工程管理・・・20時間
サイト全体のデザイン・・・25時間
ページごとの個別デザイン・・・2時間/ページ
ページごとの個別マークアップ・・・2時間/ページ
Wordpress構築・・・30時間
メールフォーム設置・・・4時間

20ページのサイト&作業単価2,500円で
トータル:43.5万円+税

のような形で、提示された要件から、工数(時間)を想定し、それに自らの作業時間単価をかけて算出するというやり方です。

ちなみに、作業時間単価は自分が働くうえでの時給になります。
これは自らがこのくらいの時給であれば働いてよいという金額を自ら設定する事になります。

フリーランスデザイナーの時給相場は1,500円~5,000円程度とまちまち。
スキルや関わる案件によっても大きく異なります。
Indeedなどの求人サイトを見ると、フリーランスデザイナーの時給相場は2,000円前後です。

ちなみに、自分も作業単価は、好きな工程・得意な工程・嫌いな工程・苦手な工程・その他特殊条件に応じて変動させていますが、おおむね2,500円くらいに設定しています。

世間一般のアルバイトより高く感じるかもしれませんが、フリーランスは経営者でもあるので、この時給の中には、事務所家賃や光熱費・パソコン・ソフトウェア購入費などの経費も含ませなければならないことを忘れてはなりません。

この方法のメリットとしては、同じ「Wordpressの構築」だとしても、クライアントや要件によって工数は大きく異なるので、一律に同じ値段設定をするやり方に比べて、実際の工数と見積り金額のズレを小さく抑える事が出来ます。

デメリットとしては、あらかじめ決められた料金を提示しておけない為、いざ提示する見積り金額に対しての説得力が低下するという点でしょうか。

かしこい見積り時のアクション/マインド


実作業以外の隠れ工数を見逃さない

この隠れ工数とは何を示しているのでしょうか?

一概にサイト制作とはいっても、サイトを完成させるためには実に様々な作業が必要になることがあります。

例えば提供される写真が少なかったり、画質が極めて悪い場合には、追加で写真の撮影を行ったり、トリミングや切り抜き、画質調整に多くの手間が発生することになります。
クライアントから、高品質で見映えの良い写真が多数提供されていたら、この部分の工数ははるかに軽いものになるでしょう。

その他にも、ことあるごとに対面での長時間の打ち合わせを要求されたりするクライアントもいます。この拘束時間はきっちりと見積り内に含めなければなりません。

その他、移動が頻繁に発生する案件では交通費、接待が必要であれば、交際費などなど、実際のサイト制作作業には該当しない、隠れ工数/隠れ経費を想定して見積りに含ませておかないと、あとで、だいぶ安い金額で働く羽目になったと愚痴をこぼすことになります。

クライアントごとに単価を変える

同じ制作要件でも、クライアントごとに単価を変えるというのを聞いて皆さんはどう感じるでしょうか?

とても不誠実な印象を持つ人も少なくないと思います。

タクシー料金が同じ距離なのに人によって料金が変わったら、これはひどいというか、法律的にまずいですよね。

しかしWeb制作業によっては、クライアントの担当者によって、仕事の困難さが大きく変動するため、クライアントによって単価を変える事はしごく当然のことです。

長年の付き合いがあり、毎月、頻繁に仕事をくれるような、いわゆるお得意さんに関しては、報酬が回収できないリスクや見積り失敗のリスクが大幅に少なくなることから、作業単価/工程料金を低く設定しても良いと考えるのはすごく当然のことです。

ただ、単純にお金払いが良いという理由だけで、単価を高くするのは不誠実かなと考えていて自分はやりません。
これも経営に関する考え方次第かなと思います。

技術的に対応可能かどうか見極めてから見積りを出す

クライアントから見積りを求められた時に、一刻もはやく見積りを提示することは重要な事ではあるのですが、工数を詳しく精査することをすっとばして、適当に見積りを出すと、あとで後悔することになります。

また、技術的に対応が可能かどうか微妙な時点で、工数を正確に算出できないことを意味しています。

まずはサイト要件の中で、自らのスキルで対応できるかわからない部分だけでも、テスト環境下で実際に肝心な部分の雛形を作成してみて、対応が可能であり、工数が算出可能と判断出来てから見積りを出すことをおススメします。

見積り時に提示された要件の追加や変更が生じた場合の説明をしておく

受注して制作が進むにつれて問題が表面化してくる要因でもっとも多い要因のひとつが、見積り後の要件(仕様)の追加・変更です。

あらかじめ聞いていた要件にはない別の要望をサイトに盛り込むように伝えられたり、最初に提示された内容とは違う内容のものにしたいと伝えられたりすることで、見積り時に想定していた工数に変更が生じてしまうのです。

想定の工数より、減る分には、損失は出ませんが、想定の工数より大幅に工数が増えてしまう場合などは、追加でお見積りをお願いしなければなりません。

このあたりの説明を念入りにしておかないと、追加で費用が発生することに理解をしめしてくれないお客さんもいます。

見積り時と違うものを作ってと要求されたり、追加で別のものを作ってくれと要求されたら、費用が追加になるのは当たり前の話なのですが、なかには理解してくれないお客さんもいるんです。

このあたりはしつこいくらいに事前に説明をして、念を押しておくのが良いでしょう。

金額が説得力を持たせるという意味を理解する

むかし、大手のメディア編集会社の、知り合いの営業から、案件が大規模すぎるので、フリーランスには仕事を依頼することはできないけど、参考までにいくらくらいの金額感になるか教えてくれないかと頼まれたことがあります。

大手の求人サイトを引き合いにだし、どのくらいの金額感で制作できるか、概算の費用感を提示したのですが・・・

ふたを開けたら、実際に合い見積もりに出した大手制作会社の見積りは、じぶんが出した概算見積もりの数十倍・・・桁がひとつもふたつも違うものでした。

そしてそれらを判断材料に下した、その会社の経営者の判断は、一番高い、見積りを出した制作会社に依頼をしようという判断でした。

金額が高ければ高いほど、提供されるサービスの質が高いのだと感じるクライアントは一定数存在し、そのようなクライアントからは、同じサービスを提供しているのにも関わらず、安い金額を提示することで、仕事を受けられなかったり、あまり熱を入れて仕事に介入してくれなかったりと、いわゆる「安くし損」に見舞われる事があるということです。

もちろん同じ要件なのだから、安ければ安いほうが良いと考えるクライアントも多数存在しますが、まったく逆の価値感で判断するクライアントも意外と多いということを認識しておくべきでしょう。

車や腕時計なども、ある程度、高いものというより、高いからこそ、そこに魅力を感じてしまう人は少なくないはずです。

人間はどうやら、高い金額なのだから、提供される商品は良いものなのだろうと、無意識で感じてしまう生き物なのでしょう

やってはいけない見積り時のアクション/マインド


実際に制作するわけではない、営業マンのみの判断で見積りをする

これはひとり経営者のフリーランスではあまりないですが、組織で活動している事業者の場合はたまに見受けられます。

実際に制作を担当するデザイナーやコーダーは制作のみに従事し、見積りやディレクションは営業マンが担当するというような役割分担の組織の場合です。

制作の現場に精通した、もともと制作側の営業マンであれば、大きく工数を見誤ることはないのですが、あまり制作現場のことを理解していない生粋の営業マンが、クライアントとのノリだけで、見積りを出してしまうと、あとで大炎上することになります。

自分はサラリーマンでシステムエンジニアをしていたころ、まさにこのケースで大炎上となり、現場の技術屋がサービス残業してなんとか奮闘するも、結局挽回することは出来ず、その事業所は閉じる事になりました。

分業することで組織の生産性を高められるというのは、わかりますが、営業マンは制作工程にも精通すべきですし、制作現場は制作現場で、営業マンが外でどのような仕事をしているか理解すべきでしょう。

仕事がどうしても欲しいからという理由での格安見積り

駆け出しのフリーランスに特に多いのですが、仕事欲しさに見積り金額を相当安くするというものです。

これは結論から言うと悪手です。

事業を始めて間もないうちに、じぶんが最も勘違いしていたのは、見積り金額は安ければ安いほど、お客さんを喜ばせて、悪い事は何一つないという認識でした。

これは大きな誤解であると、今では認識を修正しています。

それはなぜか?

・自分の仕事に安い金額を提示することで、金額を提示されたお客さんにも、たいした作業・サービスではないことを印象付けてしまう可能性があるということ。

それがたとえ善意による、低価格設定だとしても、いちど金額を提示されたお客さんは、その後の金額の判断基準が、当初提示された安い金額にアンカリング※されます。

※アンカリング・・・アンカリングとは、 アンカーと呼ばれる先に与える情報が判断を歪めアンカーに近づく心理学の現象のこと。本項で詳述する。 船舶を錨を使って係留すること。
アンカリングとは認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす。

このクライアントが次に別の仕事をくれるとして、その時、適正な金額を提示したとしても、最初に提示した安すぎる見積り金額が影響して、見積もりが通らなくなるという事です。

・じぶんにぜひともお願いしたいというクライアントではなく、安ければどこでもいいという、質の悪いクライアントを近づけてしまい、そのようなお客さんとばかり仕事をするようになり、精神的にも金銭的にも苦労するようになる。

自分自身が、自ら提供するサービスに誇りを持てないと、ついつい見積り金額を安く提示し、「安さ」を武器にして仕事を獲得しようとしがちです。

これは悪手であり、長期的に見れば疲弊して、いつか破綻します。

もし、金額を安くすることでしか仕事を獲得できないのであれば、それは仕事の獲得方法が間違っていますし、お金を払ってもこの人に依頼したいという魅力のあるサービスを提供できていないからでしょう。

であれば、やるべきことは、見積り金額を安くすることではなく、サービスの品質やスキルを高める事に注力すべきでしょう。

まとめ

今回は見積もりをテーマにして話をしてきました。

長年のフリーランス経験を踏まえると、自分を安売りして良い事は何一つありませんでした。

もちろん単純に見積り金額を高くすれば良いという訳ではありませんが、自分が値段に見合う質の高いサービスを提供できるまで、スキルを高め、価格勝負ではなく、サービスの独自性やスキルの高さで勝負できるようになれば、見積り金額を高くしても、仕事は集まるようになります。

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