XR開発会社が、なぜ感電デバイスを作ったのか
シンフォニアは、XRを軸にソフトウェア開発を行ってきた会社です。
ですが、私たちの仕事は、単にアプリやシステムを作ることだけではありません。
「体験そのものを、どう設計するか」
「技術を、どう現実の価値に変えるか」
そこまで考えるのが、私たちの仕事だと思っています。
その考え方が、ひとつの形になったプロジェクトがあります。
それが、アプリ連動感電デバイス「UNAGI」です。
一見すると、XR開発会社がなぜ感電デバイスを作るのか、不思議に思われるかもしれません。
ですが、私たちにとっては、むしろ自然な流れでした。
きっかけは、ある企業からの相談だった
この開発の出発点は、ある企業からいただいた相談でした。
電気を扱う設備や作業環境では、安全教育の重要性が年々高まっている。けれど、感電の危険は目に見えない。だからこそ、ただ説明を受けるだけではなく、VRと組み合わせながら、軽い電気刺激を実際に感じられる仕組みが作れないか。そんな相談でした。
この話を聞いたとき、私は単なる個別案件では終わらない可能性を感じました。
社会の中で、エネルギーの使われ方も、設備のあり方も変わっていく。そうなれば、安全教育の方法も変わっていくはずです。そこに、私たちのXR開発の知見を活かせる余地がある。しかもそれは、受託開発の一案件にとどまらず、もっと広く必要とされるテーマかもしれない。そう思ったのです。
「面白い」で終わらせず、事業にする判断
もちろん、最初から正解が見えていたわけではありません。
既存の感電体験装置も調べましたが、サイズや価格、拡張性の面で、私たちが考える方向性とは少し違っていました。アプリケーションと柔軟に連動できて、もっと扱いやすく、もっと広い用途に展開できるもの。そのイメージが少しずつ固まっていきました。
メンバーから「それ、自社製品にできるんじゃないですか?」という声が出ました。もちろん、良いアイデアが出るだけでは前に進みません。どこかのタイミングで意思決定し、責任を持って進める必要があります。ただ、そのスピードや走り出しの速さがベンチャー企業の生命線です。
UNAGIもまさにそうでした。
可能性が見えたときに、迅速に決めて進める。
そうしなければ、新しい事業は生まれないからです。
ソフト会社が、ハードまで踏み込んだ
ただ、そこから先は簡単ではありませんでした。
私たちはソフトウェア開発を得意としてきた会社です。そこにハードウェア開発が加わると、当然ながら未知の領域が一気に増えます。どう感じさせるか。どう安全性を担保するか。どんな形状なら使いやすいか。どうすればアプリ側から自然に制御できるか。試作と検証を重ねながら、一つずつ仕様を詰めていきました。
ここで強かったのが、シンフォニアのメンバー構成です。
XR実装に強い人間だけでなく、IoTや電子工作に明るいメンバー、機械工学やハードウェアの知見を持つメンバーもいる。経歴はばらばらですが、その“ばらばらさ”が、そのまま開発力になっている。これは、私たちの会社の大きな特徴だと思います。
UNAGIは、ただの機器ではなく「体験の部品」
UNAGIは、単なるガジェットとしてではなく、体験をつくるための部品として設計しました。
感電教育といっても、業種や用途によって必要な表現は違います。だからこそ、閉じた製品ではなく、さまざまなアプリケーションから扱える形にしたいと考えました。Unity用SDKも用意し、VRだけでなく、AR、MR、PC、スマートフォン、タブレットなど、さまざまな環境から制御できるようにしました。
これは、私たちの事業の考え方そのものでもあります。
受託で作って終わるのではなく、技術を蓄積し、製品にし、さらに他社の開発や事業にもつながる形へ広げていく。シンフォニアは、そういう仕事を目指してきました。
仮説だったものが、実際に売上を生む製品になった
新しいプロダクトを出すときは、いつだって少し怖いものです。
本当に必要とされるのか。早すぎないか。市場はあるのか。
けれど、販売開始の直前、ある開発会社の方がUNAGIの話を聞きつけて、わざわざ事務所まで足を運んでくださり、その場で複数台を注文してくださいました。あのときの手応えは、今でもよく覚えています。
そして実際に、UNAGIは私たちにとって大きな意味を持つ製品になりました。
単なる話題性のある試作機では終わらず、年間売上が千万円単位に届くヒット商品へと成長しています。
これは、製品そのものが売れたというだけではありません。
私たちが見立てた課題が、本当に社会の中に存在していたこと。
そして、自分たちの技術が、きちんと事業になること。
それを証明してくれた出来事でもありました。
ものづくりと事業づくりが、地続きである会社
私は、こういう瞬間に、会社をやっていて良かったと思います。
まだ明確な名前のない課題を見つけ、仮説を立て、形にし、それを世の中に問いかける。最初は半信半疑だったものが、必要とされる価値へ変わっていく。そのプロセスには、ものづくりの面白さと、事業づくりの面白さの両方があります。
そして、それこそがシンフォニアで働く面白さだと思っています。
決まった仕様の中だけで手を動かすのではなく、何を作るべきかから考える。
ソフトだけではなく、ハードも含めて発想する。
一つの機能ではなく、体験全体を設計する。
しかも少数精鋭だからこそ、自分の意見や提案が、そのまま製品や事業の方向に影響していく。
これから一緒に働く人に伝えたいこと
完成された大きな組織の一員になるよりも、これから伸びていくテーマを自分の手で形にしたい。
技術を、もっと立体的に社会へ届けたい。
与えられた仕事をこなすだけではなく、事業の手触りを持ちながら開発したい。
そんな人にとって、シンフォニアは面白い会社だと思います。
UNAGIは、ただの製品ではありません。
「こんなものがあったらいい」を、本当に事業に変えていく。
シンフォニアという会社の意思とやり方が、そのまま表れたプロジェクトです。