右も左もわからない場所に飛び込むことは誰にとっても大きな挑戦です。
南米・チリから単身来日し、アウトソーシングテクノロジー(以下、OSTech)でエンジニアとしての道を歩み始めた山岸さんも、そんな挑戦者の一人でした。
言語や文化の違い、自動車業界未経験というハードルを乗り越えながら、OSTechのサポートを受け、憧れだった日本の大手自動車メーカーでエンジニアとして働く夢を実現した山岸さん。現在は、自動車の安全を支える部品の開発管理を担当し、世界各国と連携しながらグローバルに活躍しています。
「新しい環境に飛び込む不安や戸惑いは誰にでもある。でも一歩を踏み出すことで、必ず新しい景色が見えてきます」と語る山岸さんに、未経験からエンジニアになれた理由を伺いました。
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山岸さん / 機電系エンジニア / 機電事業本部・厚木支店
南米・チリ出身。母親が日本人であったため幼い頃から少しだけ日本語を耳にする機会はあったものの、日常会話は基本的にスペイン語。現地の大学で機械工学を専攻し、在学中に新潟の大学へ留学したことをきっかけに「いつか日本で働きたい」と考えるように。卒業後は現地での起業を経て、イギリスの投資会社のチリ支店で勤務。鉱山の権利取引や社会住宅建設プロジェクトを担当。コロナ禍を機に日本でのキャリア形成を決意し、2022年12月にOSTechに入社。現在は大手自動車メーカーで、自動車の制御部品の開発管理を担当する。
南米・チリから日本へ。「いつか」を叶えるのは今しかない
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──南米・チリのご出身だと伺いましたが、OSTechに入社するまでのご経歴を教えてください。
子どもの頃からモータースポーツが大好きで、チリの大学では機械工学を専攻し、6年間エンジンやモーターサイクルについて学びました。在学中には新潟県の長岡技術科学大学に留学し、モーターサイクルのサークルに参加して仲間と走ったり、バイクを整備したりする日々を送りました。留学先での生活が本当に楽しくて…「いつか日本で働きたい」という夢を持ったんです。
大学を卒業後、地元で日本風カレーのルーを製造・販売する会社を立ち上げました。日本食材が手に入りにくいチリで、もっと気軽に日本風カレーを食べられるようにしたかったからです。最初はひとりで自宅のキッチンで作って販売していましたが、少しずつ規模を拡大し、従業員10人の会社にまで成長しました。最終的には次のキャリアに進むことを決意したので、会社を売却しました。
その後イギリスの投資会社に入社し、そのチリ支店で鉱山の権利取引や港の建設プロジェクトなどに携わりました。特に印象的だったのは、40万人分の社会住宅を建設するプロジェクトです。とにかく時間がない中、さまざまな技術者と議論しながらプロジェクトを進めました。治安を考慮して、銃弾にも耐えられる建材を使うなど、今振り返るととても刺激的な経験でしたね。正直ハードな日々でしたが、その分達成感は大きなものでした。
──刺激的で充実した日々を過ごしていたように思いますが、チリでの仕事を辞めて日本に来たきっかけは何だったのでしょうか?
学生時代に抱いた日本で働く夢を諦められなかったんです。いつも頭の片隅にありながら、具体的な行動には移せていませんでした。そんな中、コロナ禍による行動制限や親の病気といった出来事が重なり、このままでは「いつか」と言い続けているうちに人生が終わってしまうのではと感じました。そして、行動するなら今しかないと思い、動き始めました。
自動車メーカーで働くことを目指し、日本の転職エージェントに登録しました。しかし、ほとんどのエージェントからは「まず日本に来てから話を進めましょう」と言われるばかり。
そんな中、OSTechを提案してくれたエージェントが「OSTechなら大手自動車メーカーでの経験を積むチャンスがあります」と話を進めてくれたんです。そのおかげで、今こうして夢だった日本の自動車メーカーで働けています。「信じられない!本当に夢が叶った!」と思い、とても感謝しています。
──日本で働くうえで、言葉や文化の違いへの不安はありませんでしたか?
もちろんありました。母が日本人なので、簡単な日本語は理解できましたが、チリで育ったので第一言語はスペイン語です。漢字や敬語の使い方もわからず、転職エージェントの担当者に「本当に大丈夫でしょうか?」と何度も確認しました。それでも「自動車メーカーはグローバルな環境だから」と言っていただき、挑戦することにしました。
世界中のドライバーの安全を守る、自動車開発の仕事とは
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──現在の業務について教えてください。
私が担当しているのは、自動車の安定性を制御する「CDM」というパーツの開発管理です。この部品は、カーブを曲がるときに自動車がふらついたり、ハンドル操作がうまくいかなくなったりするのを防ぎます。また、でこぼこした道などで自動車が大きくバウンスしないようにもしてくれます。誰もが安心して運転できるよう、自動車のバランスを保つ重要なパーツなんです。
私のメインの業務は、世界中の工場やサプライヤーとやり取りしながら、各国の道路環境や規制に合わせて、パーツや仕様を調整することです。同じモデル名の自動車でも、国や地域によって使うパーツが異なることも珍しくないんですよ。
──日本で働いてみていかがですか?
最初は本当に苦労の連続でした。日本で働いたことがなかったため、挨拶やメールなどのビジネスマナーがまったくわからない状態で。新卒入社でもないのにビジネスマナーから学ばなければならず、同僚は自分よりずっと若いのに立派に仕事をこなしていて、正直なところ恥ずかしい気持ちもありましたね。
でも、研修や同僚のサポートを受けながら、少しずつできることを増やしていきました。逆に、英語でのメール作成や海外工場とのやり取りでは、私が同僚を助ける場面もあります。お互いに助け合う環境があったからこそ、ここまでやってこれたのだと思います。
──入社して良かったと感じる点はどんなところでしょうか?
まず、チームの皆さんがとても優しく、働く中で常に安心感を持てるところです。複数人のうちの一人というより、一人の人間として尊重されていると感じます。困ったことやわからないことがあればすぐに相談でき、チーム全体が助け合いの精神で成り立っています。
また、スペイン語を活かせる機会が多い点も入社してからの大きな発見でした。スペインやアルゼンチン、メキシコなどの工場とのやり取りでは、細かいニュアンスまでスムーズに伝えられるため、チームからもクライアントからも感謝されることが多いです。以前はお互いにネイティブではない英語を使っていたところ、スペイン語を使うことで「ストレスなくコミュニケーションを取れるようになった」と。
そして何より、社会的に重要な「自動車」に携われることが大きなやりがいです。特に、安全性を高める部品の開発に関与しているため、「私の仕事が世界中のドライバーやその家族の安全を守っている」と実感できる瞬間は、何にも代えがたい喜びです。
自分の夢を叶えられるのは自分だけ。OSTechは「やってみたい」を後押ししてくれる会社
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──やりがいを持って働かれていることがわかって安心しました。OSTechのフォローアップ体制はいかがですか?
OSTechの研修制度は、業務に直結する実践的な内容が多いのでとても役に立っています。研修を通して、大学で学んだ知識もさらに深掘り、ブラッシュアップできていますね。
特に、e-ラーニングで学べる自動車工学や物理、CADスキル習得コースは、日々の業務に役立っています。座学だけでなく実際に手を動かしながら学ぶことができるので、技術が身につきやすいと感じます。
──OSTechで働く魅力はどんな点ですか?
OSTechの魅力は、常に新しい挑戦ができるところです。大手企業の多様なプロジェクトに携わるチャンスが多く、一つの分野にとどまらず、幅広い知識や経験を積むことで、常に刺激を感じながらスキルを広げられます。飽きることなく、成長を実感できる環境です。
また、安心して働ける体制が整っているのも大きな魅力です。充実した研修制度に加え、職場の雰囲気もフラットで人間関係の良い環境なので、わからないことは気軽に相談し合える雰囲気で、とても働きやすいです。
──今後の目標を教えてください。
さまざまな企業で働ける機会があるので、他にも多くの企業を経験してみたい気持ちもあります。しかし、今は最高のチームで、大好きな自動車の仕事に打ち込めています。この環境を離れるのはもったいないので、しばらくは今のチームで自動車開発の経験を積みたいです。
──これからエンジニアを目指す方へ、メッセージをお願いします。
チリにいた頃の私は、日本の自動車メーカーで働くことなんて、夢のまた夢だと思っていました。日本語もほとんど話せないところからのスタートでしたが、思い切って挑戦してみたことで今こうして夢だった仕事に就くことができています。だからこそ、自信がなくても、「やってみたい」という気持ちがあるなら、その思いを大切にしてほしい、と伝えたいです。
開発の知見がないから、経験が足りないから…という不安があるかもしれませんが、自ら挑戦できないという壁を作ってしまうのはすごく勿体ないです。挑戦することで失うものはないので、勇気を出して、ぜひ新たな一歩を踏み出してみてください!
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